ポケットモンスター〜キセキ〜   作:龍崎悠司

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〜翌朝のバトル〜

 

 

 夜が明けて。

 疲れが取り切れていない様子のロイナが目を覚ますと、予想通り食器が綺麗になって並べられていた。

 フシギダネやタイレーツともそもそ起きると。

 

「おい、起きたな、バトルすんぞバトル」

「おはよう……早いね、タンジ」

 

 タンジは既に準備万端な様で、自分の分のキャンプ道具一式を大体片付けて普段通りの鋭い瞳で待ち構えていた。

 いつもの青ズボンと黄色地に黒柄のTシャツ、黒いジャケットを羽織り、首からチェーンを通したリングをかけて仁王立ち。

 何となく、研究所を出た時に出待ちしていたライバルの姿とデジャブを感じてため息を吐くロイナ。

 既にロイナは確信している。明日と言った以上これ以上譲ることは絶対にしないだろう。

 食い下がるということに関してはタンジはピカイチだ。ロイナも人やポケモンを助けることに関しては諦めが悪いという自覚はある(コギノリやルベリーに言わせればそんな生優しいものではないと断言するだろうが)。

 しかし、こと相手に屈しないという点においてはタンジのそれは異常な程に頑丈な精神をしているのだ。

 

「分かった。顔を洗ってくるから、そしたらやろう」

「早くしろよ」

 

 あまり待たせると色々言うだろうことも予想済みなので、タイレーツとフシギダネを連れてさっさと行ってくることにした。

 とりあえず、目だけ覚ましてシャッキリした様子でタンジの元へと戻った。

 

「おせぇよ、2対2だ」

「分かったよ……タイレーツ」

「タイレ!」

「はっ、そんな力不足の奴で戦えんのか?」

「舐めない方がいいよ」

「ふん、ヨーギラス!」

「ヨー!」

 

 それぞれが最初のポケモンを選出し、緊張の糸がピンと張る。

 

 【いじめっ子のタンジが勝負を挑んできた!】

 

「ヨーギラス! 『いわおとし』!」

「タイレーツ、『まもる』!」

 

 2人が同時に指示を出す。

 タイレーツが素早く防御体勢をとり、そこへエネルギーを結集させた岩を形成して飛ばすヨーギラス。

 岩の連弾が飛んでくるが、完璧に受けきった。

 

「『たいあたり』で反撃!」

「タイ!」

 

 すぐに反撃に出てぶつかりに行く。

 距離の詰まったところで。

 

「ヨーギラス! 『にらみつける』!」

「ヨー!」

 

 ギンッ! と音が鳴りそうな程の眼光に、タイレーツの勢いが少し鈍る。

 

「今! 『いわおとし』!」

「ギラぁ!!」

「タイレーツ、そのまま突っ込んで『いわくだき』!」

「なに!?」

 

 至近距離で放たれる再びの連弾に、ロイナは間に合わないと踏んで逆に攻撃を指示する。

 再度守ると予測したタンジは意外な行動にタイミングを外される。

 

「タイ! タイレ! タイレッ!!」

「ヨ、ヨー」

 

 ドガ! ドガッ! ドガガッ!! と飛んで来る岩を一つ一つ砕く、鈍い音を響かせながら一歩ずつ距離を縮めていくタイレーツ。

 迫り来る勢いにほんの少しヨーギラスが怯み、岩の勢いが落ちたのを見計らい。

 

「っ! タイレーツ、『たいあたり』!」

「タイレ!」

「ヨギっ!?」

 

 激突。

 岩タイプのヨーギラスにノーマルタイプ技はダメージは薄いが、格闘タイプ由来の膂力が、ヨーギラスをほんの少し浮かせる。

 

「ちっ! もう一度『いわおとし』を」

「遅い! 『いわくだき』で追撃!」

 

 強引に立て直される前にタイレーツの鋭い一撃が、ヨーギラスへぶち当たる。

 先ほど(『たいあたり』)と違い、効果抜群(タイプ一致格闘技)の『いわくだき』がヨーギラスの顔面に叩き込まれる。

 

「ヨーギラス!?」

「ヨ、ヨー……」

 

 煙が晴れたそこにいたヨーギラスは戦闘不能。

 タイレーツの勝利となり、1対2。

 

「ちっ、ケロマツ!」

「タイレーツ戻って。フシギダネ!」

 

 タンジがケロマツを繰り出し、ロイナはフシギダネと選手交代。

 

「あ、てめ、ずりぃぞ」

「コレも作戦だよ」

 

 タンジのツッコミに苦笑して返すロイナ。

 追加で舌打ちするだけで、公式のポケモンバトルでも交代可能なのを思い出したのか、それ以上文句は言わずに飲み込んだ。

 タイプ相性のこともあるし、何より、毎回戦闘不能にするまで戦わせる気は、ロイナにはない。

 そして改めて対面はフシギダネVSケロマツ。

 

「フシギダネ、『つるのムチ』!」

「躱せケロマツ!」

 

 フシギダネが伸ばし叩きつけるツルをケロマツは余裕を持ってジャンプで躱す。

 

「ケロマツ、『みずでっぽう』!」

「ケロォ!」

 

 まだ空中にいる状態でケロマツは水を発射。

 瞬時に出る反撃にフシギダネへの指示が間に合わずもろにくらってしまう。

 

「フシギダネ、大丈夫?」

「ダネ!」

 

 しかしそこは草タイプ。水タイプ技は効果今ひとつで受けきる。

 

「なら数で押し込め! 『みずでっぽう』連射ぁ!」

「フシギダネ、こっちも躱して! 難しい時は『つるのムチ』で迎撃!」

 

 それぞれ攻撃と回避を選択。

 ケロマツは飛び跳ねながら水を放ち続け、フシギダネは走って跳んで、その猛攻を潜り抜ける。

 それでも素早さの関係で回避が間に合わない時は指示通りツルで弾く。

 同じ攻防が何度も行われているうちにタンジが焦れていき。

 

「ケロマツ、動きを抑える、ケロムースで捕えろ!」

「フシギダネ、『やどりぎのタネ』で防御!」

「は!?」

 

 ケロマツが身に纏う弾力性のある泡、ケロムースを飛ばすも、そこに『やどりぎのタネ』をヒットさせるフシギダネ。

 タネが発芽して対象を捉えようとするも相手は泡のため不発。

 しかし、ロイナの狙いはそこではない。

 

「『つるのムチ』を思いっきり伸ばして上から叩き付けて!」

「はぁ!?」

「ケロ!?」

「ダネぇ!!」

 

 ケロムースと『やどりぎのタネ』に目を奪われた隙に、その泡の先にいるケロマツ目掛けてツルを叩き付ける。

 予想外の所からの草タイプ技に、受け身も取れずにクリーンヒット。

 

「ケ、ケロォ……」

「立てケロマツ! 『みずでっぽう』を」

「フシギダネ、『たいあたり』」

「ダネダネダネ、ダッ!!」

 

 どうにか反撃しようとするケロマツに、ぶつかりに行くフシギダネ。

 防御への主張がないケロマツに耐えられる道理もなく。

 

「ケロォ……」

 

 ケロマツ、戦闘不能。

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