俺のチートアカデミア(ただし、主人公はヒーロー科に入学できないものとする)   作:かりん2022

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二手目騙し討ち

緑谷はヘドロに襲われていた。

 

もう個性を使うしかない、と覚悟を決めた時、オールマイトが助けてくれた。

ビルの上に飛ぶオールマイトにしがみつき、緑谷はオールマイトに問いかけた。

 

「無個性でも、ヒーローになれますか……?」

 

オールマイトからの返事はNO。

ああ、なんで聞くんだ。そして、なんで今更揺れるんだ。

そんなのだから、悪魔に精神性が駄目だからヒーローになれないって言われちゃうんだ。

 

そんな時、オールマイトが萎んだ。

びっくりした。そしてケガという現実を知る。

ーー僕が個性を使えば。

僕は口を開けて、それで閉じた。

 

あと一回だけ。それは確実に何度も続いていくだろう。その先はヴィランだ。

 

僕は、口をパクパクさせて、結局飲み込んだ。

 

飲み込んでしまった。ああ、やっぱり僕はヒーローに相応しくない。

 

トボトボと歩く。

でも、一回ぐらいなら。正体を隠してなら。

散々悩んで、結果は。

 

……かっちゃんに相談してみようか。

 

本当に僕って。自分の弱さに肩を落としながら、ビルの階段を降りる。

爆音がして、気になって向かう。

 

先ほどのヘドロの化け物が、かっちゃんを襲っていた。

 

表向き無個性の僕じゃ何もできない。

 

違うな。

 

無個性でも今動けないなら、一生ヒーローになんてなれない!!!

 

何より、うだうだとした考え事は、かっちゃんの助けを求める目を見て消え去った。気がつけば、僕の足は大地を蹴った。

 

そして、最終的にはオールマイトが助けてくれた。

僕の心は定まった。

 

 帰り道、かっちゃんはお礼を言ってきた。

 

「無茶すんな、クソナードがよ! 個性を使わなかったのは褒めてやんよ! だが俺を助けたと思うな! 俺を見下したら爆破する!」

「わかってるよ、かっちゃん。かっちゃんももう一個の個性使わなかったの凄いよ。流石かっちゃん。でも、後でその個性について相談があるんだけど」

「あ? わかった」

 

かっちゃんの了承を得て、あとはオールマイトに連絡を取れたら、公式サイトからならいけるかな、なんて考え事をしていたら、オールマイトが会いに来てくれた。

ちょうど良かった。僕も話があったから。

オールマイトは言った。

 

「君は、ヒーローになれる」

 

 誰かに言って欲しかった。

 悪魔は無個性でもヒーローになれるとは言ったが、僕がヒーローになれるとは言わなかった。

 憧れのオールマイトは、僕を見て、そう、僕の心根を見てヒーローになれると言ってくれたのだ。

 

「私の個性を受け継いでくれないか」

 

 この言葉には流石に悩んだ。

 オールマイトの個性は引き継がれてきたということだった。

 悪魔の押し付けてきた使ってはいけない個性とは違うのだろうか。

 あれは厳密に言えば個性ではないのだが。

 

「それってデメリットないですか?」

 

 まずそこが大事だ。悪魔が押し付けてきた個性はガッツリとデメリットがあった。

 

「生半可な体では爆散するけど、君は鍛えているみたいだし大丈夫。まあ、特訓はするけどね!」

「爆散!」

 

 僕は考える。でも、僕は嬉しかった。

 悪意で押し付けられた個性なんかより、善意で託された個性を大事にしたかった。

 

 

 

 

 

 

「デク。個性の相談ってなんだよ?」

「僕、オールマイトの個性を引き継ごうと思う。悪魔の事も、僕の個性の事も、オールマイトに話そうって」

「は? 詳しく話せ」

 

 僕は事情を話した。かっちゃんは一蓮托生なのだ。

 

「あー、まあ良いんじゃねーか。お前、ナードの癖にここぞという時体が勝手に動くタイプだし、そんな時、もう一個の個性に頼らずに済むし。実際、オールマイトも癒すつもりなんだろ」

「うん」

「まあ一回だけなら良いんじゃね? 一回だけならな。どこかに相談はしなきゃとは思ってたし。俺の事も話せよ」

「う、うん。ごめんね、かっちゃん」

「俺がやれって言ったんだ。無個性ナードなんかに責任転嫁するほど俺は弱くねぇ」

「ありがとう、かっちゃん」

 

 

 そうして、緑谷は特訓ののち、個性を引き継いだ。

 体は出来上がっていたが、オールマイトの方も、緑谷の方も、実際に会って話し手の見極めが必要だったのだ。

 

「与えられたものより、勝ち取ったものの方が価値がある」

 

 緑谷はオールマイトの言葉を脳裏に刻んだ。

 試験前日、見事オールマイトの試練を突破した緑谷は、夜に友達と会って欲しいと懇願した。

 その言葉にオールマイトは心の中でだいぶ落胆したし苦言を呈したが、個性は譲渡してしまったし、会うことは承諾したのだった。

 




マシュマロ
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