六道プリンセス!~世界一民度の低い町で、人類を守るために闘う魔法少女たち~   作:XX(旧山川海のすけ)

73 / 105
第73話 はじめての敗北。そして……

「……ビーストプリンセスを囮にして、勝つなんて。花蓮お姉ちゃん非情だね」

 

 私はそんなゲヘナプリンセスの言葉に。

 私の胸が重くなった。

 

 なったんだけど

 

「非情じゃない!」

 

 そこに、春香ちゃんが言い放った。

 怯えを含まない強い口調で。

 キッとゲヘナプリンセスを睨みながら。

 

「花蓮ちゃんは、私の最終手段に意味合いを持たせようと、あの短い間に考えて、実行してくれたんだ! それのどこが非情だ! 訂正して!」

 

 ……春香ちゃんの友情が、私の心に染み入って来る。

 嬉しかった。

 

 とてつもなく、嬉しかった。

 

 そして

 

 そんな春香ちゃんの言葉にゲヘナプリンセスは

 

「……そうだね。もう戦う気は無いし。挑発は意味はないし。我、訂正するし謝る。ゴメンナサイ。花蓮お姉ちゃんのお友達」

 

 立ち上がり、ゲヘナプリンセスは私たちに頭を下げた。

 

 ……え?

 

 混乱する私たちを他所に、ゲヘナプリンセスは

 

「まあ、傷を治してきてよお姉ちゃんたち。……我を止めたいのであれば、いつでも受けて立つから……花蓮お姉ちゃんの義妹として」

 

 ニヤリ、と笑い。

 

 そのまま悠然と去って行った。

 

 

 

 その後。

 

 私と春香ちゃんは病院送りになった。

 

 一緒に診察を受けて、お医者さんの手当てを受けた。

 入院にはならなかったんだけど……

 

 私は全治1か月。

 春香ちゃんは全治2か月。

 

 私は腕。

 春香ちゃんは太腿。

 

 私は腕を吊り。

 春香ちゃんは足に添え木と包帯。

 あと松葉杖。

 

 ……負けてしまった。

 

 はじめての敗北。

 

 それは、咲さんも同じだったみたいで。

 阿比須の技の使い手として、他人の果し合いに横槍を入れることに抵抗があり、私と春香ちゃんの戦いを見守ってたらしいけど。

 ゲヘナプリンセスには、自分でも勝つのは難しい……というか、勝てるかどうか分からないと思ったらしい。

 特に、萬田君がただでは済まないことになる予感があるから

 

 ……今後、咲さんはゲヘナプリンセスが何をしても放置するって宣言した。

 

 その気持ちは分かるかもしれない。

 少しだけ。

 

 私だって、戦うことでシンヤさんが酷い目に遭うかもしれないなら、相手が絶対悪で無いのであれば「放置する」って選択肢を取るかもしれない。

 

 放置したって……

 

 国会前で「破産の自由化」を叫ぶダメ人間。

 国会議員で「パチスロの資産運用化」法案を通そうとするクズ議員。

 女の借金を理由に婚約破棄したら、高額の慰謝料を男に吹っ掛けて良いと発言する識者。

 

 そんなのが酷い目に遭うだけだし。

 正直、少し痛い目に遭って反省すればいいって気持ち、無いことも無いしね。

 

 ……ゲヘナプリンセス……つまり優子はあの後、私の家を家出して。

 東京に行って、宣言通り国会前を血に染めて、国会議事堂に入って、議会を血に染めた。

 

 そして……

 ゲヘナプリンセスは……閻魔優子は4人目の腕力家に認定された。

 

『閻魔優子さん(7)がこの度、4人目の腕力家認定をされました。世界の皆さん、この顔にピンときたら絶対に逆らってはいけません』

 

 緊急ニュースでそんなのが流れて。

 7才とか言いながら、帯刀しセーラー服を身に付けた黒髪ロングの超絶美少女JCの姿で撮った記念写真……ピースまでしている……が全国放送された。

 

「……責任を感じるよ。姉として」

 

 春香ちゃんと、病院廊下の長椅子に腰掛けながら。

 私はそう、独り言のように呟いた。

 

 それに対し、春香ちゃんは

 

「私たち、無敵だと思ってたけど……井の中の蛙だったんだね……」

 

 その言葉に、私は頷くしか無かった。

 ちょっとビール瓶が斬れるとか、ちょっと貫手がコンクリートに突き刺せるとかで、自分はそこそこ戦えるって、妄想してしまった。

 そんなの、誰でも頑張ったらできることに違いないのに。

 

「それに……」

 

 春香ちゃんは続けた。

 辛そうに。

 

 それは……

 

「まさか、デウスプリンセスとヒューマンプリンセスが、ゲヘナプリンセスの軍門に下るなんて……」

 

 悲しかった。

 まさか天野先輩と飛馬先輩が敵に転ぶなんて。

 

 現在、天野先輩と飛馬先輩は、優子が殺したダメ人間たちを蘇生させ、もう2度とふざけた真似をするなと諭して回っている。

 次にゲヘナプリンセスの怒りを買ったら、もう蘇生は無い、って。

 

 ……恐怖政治だ。

 ダメ人間限定の。

 ダメ人間たちが何も言えなくなる……!

 

 問題だと思ったから、真意を訊ねるために先輩たちに六道ホンで電話を掛けたら

 

「ちょうどいいと思うのよね。いい機会だから世直しよ。自由と自分勝手をはき違えた手合い多いし」

 

「ウチは基本、祈里の味方やし」

 

 ……全く問題行動だと考えていない様だった。

 

 なんてことなんだろう。

 

 

 ……私たち、これからどうすれば?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。