多分、前回の話を見るとトラウマとホッとする感じと、その2つを味わえると思います。無論、スタレのストーリーを知ったうえでの話ですが。なので、ぜひオンパロスでの出来事を実際にプレイしてみてほしいです!(スタレやっていないという方向けセリフ。案件でも何でもないけど。)
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時は遡る――――――――――――
「ちょっと、皆!ファイちゃんが、ファイちゃんがいなくなっちゃったよ!」
「え?」
「確かに、いないな。」
「おーい、ファイノーン!どこいったのー!」
おかしい、返事が返ってこない。さっきまで確かに一緒にいたはず。ヘルタなら何か知ってるかな?
「............おかしいわね、あの白髪クンの信号が見つからない。」
「ヘルタ、どうなってるの?」
「あのゲートをくぐったなら、確かにここに来るはず。それに、来ないバグが発生しても、どこかに必ず信号はあるはずよ。なのに.........」
《緊急:ミス・ヘルタ、早急に対処しなければならない問題が発生しました。》
「スクリュー?どうしたの?」
《先程、時刻で言えば30秒前、模擬宇宙内におけるデータ変動値計測にて、ナヌークが何らかの活動を始めたことが分かりました。》
「ナヌークですって?」
「え、ナヌーク!?」
ナヌークって、壊滅の..........それじゃあ!
「ファイノンは!?」
《肯定:星さんの懸念は当たっています。ナヌーク活動開始時の直前、とある信号が唐突に星神との謁見の間に現れました。おそらくファイノンさんでしょう。話によれば、ファイノンさんはあの時、ナヌークの一瞥を受けたと聞いています。鉄墓に組み込むことを想定して作られた彼がこの模擬宇宙に来たとすれば、ここにいるナヌークが彼に興味を持つのも何ら不思議ではありません。》
「それで、どこが問題なの?あの白髪クンはナヌークの一瞥を受け続けてもへこたれなかった、はっきり言ってバケモノよ?一瞥を受けるぐらいなら、脳への負荷はそこまでのはずだと思うのだけれど。」
《.........ナヌークが自ら壊滅の軍勢を作り出し、ファイノンさんとの戦闘を始めました。》
「なんですって?」
「ウソ............ファイノン、今は力がないのに.......!あっ、でも、ここで戦っても現実の身体には影響がないはずだから―」
《否定:確かに、この世界の戦闘における身体への影響はゼロです。痛覚機能を搭載しているため多少の痛みを感じることはありますが、その程度ですみます。しかし、それは我々が想定している戦闘においてです。》
「どういうこと?」
《前提:ここは基本、星さんの保持する星核の特異性を利用し、貴女の戦闘を通して、我々天才クラブの会員が再現した星神と接触を行うことを目的とした施設であることはご存知かと思います。ですが、我々は星神の戦闘能力及び其らの力までもを再現しているわけではありません。あくまで其らという存在を再現しているに過ぎないのです。》
「えっと、つまり?」
何をいっているのか分からないけど、どういうこと?
《結論:ファイノンさんとナヌークの戦闘は、長引けば長引くほど、ファイノンさん自身の脳に多大な負荷がかかってしまうのです。それも、生死に影響を及ぼすほどの甚大な負荷が。》
「え......」
「星、貴女、ここで星神と謁見した時を覚えてる?」
「え?」
ここで星神と謁見した時のこと?えっと........もう大分昔のことだから忘れちゃってるな。
「うーん......」
「貴女、
「あ、確かに。」
「そうなる前に私たちは貴女をここから引き上げてたんだけどね。それで、よ。貴女が経験したとおり、星神との謁見は、その場にいるだけで脳に負荷がかかるの。別に、私たちはそんなところまで星神を再現したわけじゃない。できるなら負担を少なくして、ついでに言えば私たちだけで研究をしたかったの。それでも、ただの再現した存在とはいえ星神は星神。本物と同様自分の運命のこと以外に興味を持ってくれないし、会うだけでも一苦労。それに加えて、謁見中は私たちの脳に負荷がかかる。莫大な投資と研究のうえで揃えた、そんじょそこらじゃ作れない特別性の演算機器を搭載したこの模擬宇宙をもってしても、その存在との対話に割くリソースは異常なの。毎回冷却機能に関しては入念に点検してるけど、貴女が謁見した直後は毎回温度が危険区間にまで上昇しちゃうのよ。」
《追記:我々が再現した部分の演算ですら脳に負荷がかかるのです。しかし、先程も言った通り、星神の戦闘に関しては、そもそもデータとして入力はしていません。その上で、ナヌークが戦闘を始めたとなれば、模擬宇宙が演算しきれなくなることは火を見るよりも明らかでしょう。そうなると、演算しきれない部分をどのように補うのか.........ここまで来れば、お分かりになると思います。》
「...........プレイヤーの、脳。」
《その通りです。》
そ、そんな........
「勘違いしないでほしいのだけれど、ちゃんとこの模擬宇宙には安全対策が施されているわ。戦闘敗北時に模擬宇宙から強制離脱するようになってるし、星神との謁見中に問題が起こればこちら側から手動で現実に引き上げて中断させることだってできる。で?どうして白髪クンを引き上げれないの?」
《再提示:そこが今回の本当の問題なのです。こちら側から謁見の間に対し、最高権限を用いてナヌークとは違う信号の強制離脱及びナヌークとの分断操作を実行したのですが、弾かれてしまいました。》
「弾かれた?」
《推測:何者かによるハッキングによって、最高権限すらも届かないような頑強なプロテクトの作成、もしくは権限の無効化が行われた可能性があります。》
「はぁ?スクリュー、寝言は寝て言いなよ。この模擬宇宙にハッキングですって?あの灰髪の........ポニーテールのあの娘が侵入したときとは違って、ハッキング対策はしっかりとしたはずよ?ハッキングなんてあり得ないわ。」
不敵な笑みを浮かべるヘルタ。
《否定:唯一できる方が一人、いらっしゃいます。》
「..........ウソ」
けど、ヘルタの顔から感情が抜け落ちた。
《ええ、そのまさかです。》
「申し訳ないけど、これ以上の継続は不可能よ。猟犬クンには悪いけれど、もう一度挑戦してもらいましょう。スクリューガム、模擬宇宙の強制終了を―」
「おやおや、何を急いでいるのですか?研究において、焦りというものは正しい結果の大敵ですよ。」
「えっ」
私.....いや、私とセイレンス、なの、キュレネ、ヘルタが振り返る。
絶対に喋るわけがない。ここに出てくるボスは皆(スペック)であり、行動こそ再現されていても意思はない。いや、もしかしたら思考の
遅れて他の皆が振り返った。
「.........残ったデータにハックプログラムを仕込むとか、生前のアナタは性格が悪すぎない?」
「否定はしませんが、悪いとは思っていませんよ?何事も予測、事前準備、予備プランを用意することは大切です。例えそれが杞憂に終わったとしても無駄にはならないのです。今回はしっかりと予想が的中したので、この準備も無駄にはならなかったのですが。」
あの時、その顔は人間をかたどっていた。部類的にはオムニックだと思っていたけど、今は違う。額の真ん中に1つ、そして両目部分にそれぞれ1個ずつの目が付いている。デザインされた身体は理想的な筋肉質なボディになっているけど、背中から飛び出たチューブがどこにもない天井に刺さっている。
「お前は..........っ!」
セイレンスが剣を構えてカイザーを下がらせる。
「ちょっ、アンタ動くの!?」
なのが弓を構えて、
「........」
少し遅れて丹恒が矛先を向ける。
「.................
キュレネの呟きが耳に入ってきた。
「皆様、お久しぶりです。あぁ、アナクサゴラスさん、貴方とは鉄墓誕生の直前まで話していたので、久しぶり、とは少し違うかもしれませんね。」
「確かに貴方と話したのは私ですが、今の私はその私であってそうではありません。ですので、訂正の必要はないかと。」
「そうですか。それは失礼しました...........では、改めて。私はリュクルゴス。オクヘイマにおいて議会の主席を務めており、神札の観衆の名のもとに、あらゆる権利を守るものです。そして、オンパロスという世界そのものを観測する研究者である、
創世の禍心で私たちに見せた、人類を越えたような姿を模した存在。そんな男が、恭しくその頭を下げた。
「で?なんでハッキングなんかしたの?」
「.........先程はあのようなことを言ってしまいましたが、本当は、私はハッキングをするつもりなどなかったのですよ。」
「どういうこと?」
「私の中、言えば貴女がデータを抽出したリュクルゴスの頭部パーツ内のメモリチップには、鉄墓のような絶滅大君の誕生及び復活のプロセス、星神とのアプローチ、そしてオンパロスという舞台を生み出した時の映像など、様々なものが残っています。それも、手に入れる者によっては世界を破滅させることも可能なほどの劇薬が。」
「..........」
「...私はあくまでもヌースを亡き者にすること、そして生命の神秘を解き明かすことを理想としていました。人類史の崩壊を望んでいたわけではないのです。」
「でも、アンタのせいで宇宙そのものが危険にさらされた!」
「あれは不可抗力です。人類の手によって生み出されたとて相手は星神、相応の犠牲を払わなければ屠ることは不可能。ですから、あの出来事は必要不可欠だったのです。」
「アンタってヤツは....!」
「落ち着け。」
「結局のところ、Philia093の暗躍によって、全てがなされる前に終わってしまったのですがね。お見事です、Philia093。運命に抗い続け、今回の結果をもたらしたのは、貴女が彼女らの道を陰ながら照らし続けたからです。」
「皮肉かしら?」
珍しくキュレネの顔が歪んだ。
「いえ、純粋な賛辞です。まぁ、私が言うと全て皮肉に聞こえてしまうのは仕方ありません。」
「話がずれたけど、結局、目的は?」
ナイス、ヘルタ。その話を切り出してくれなかったら私がバットでホームランをかますところだったよ。
「これは、不当な輩が私の
「ま、アナタというデータを取り入れるなんて、普通は自殺行為でしかないからね。」
「ええ。私の正体を知るものならばまずもってこのようなことをする事はないでしょう。少々驚きまして、思考プロセスがこの状況を理解し分析するのにも時間がかかりましたよ。」
「ヘルタ......」
「...........ちょっと、そんな目で見ないでよ。」
知的探究心がいいのは悪くはないけど、なんでよりによってライコスを持ってきちゃうの?そんなことするからライコスが復活しちゃったんじゃない?
「んんっ、好奇心というか、まぁ、抑えられなかったのは認めるわ。でも、私は別に鉄墓のデータが欲しかったわけじゃない。模擬宇宙でアナタをボスとして置くためにアナタ自身のデータをコピーしただけ。だから、アナタが心配するようなデータの使い方をしないわ。そういうわけで、さっさと自我を消してくれない?」
なんか、言い方にトゲがあるなぁ。
「.........最初は、そう思っていました。この空間には特別消去すべき危険なデータは存在しませんし、もしあったとしても、貴女方によって消されてしまうでしょう..........ですが、私はつい先ほど、見てしまったのです。」
そう言ってライコスはこっちを見てきた。
「貴方方は、言ってしまえば私が造り出した存在です。生命の神秘、生物の循環の流れの中で生まれたものではありません。そして、私はデータから生命が誕生することなどないと、そう考えていました。ですが.......ふっ、まさか自分自身に言うことになるとは思いませんでしたね。」
本当にそうでしょうか、と。
仰々しく天を見上げながらなんか言ってる。ネットでミームとして扱われてそうなセリフだけど、
「私は勿論、おそらくヌースですら予測できなかった事態です。宇宙におけるビックバンのような原理不明のエネルギーを生み出す事象を介さず、Philia093が綴った書物からデータであった存在が本物の生命に昇華した状態でこの世に生誕したのです。鶏は卵が先か成体が先かという問題に新たな選択肢がもたらされたようなものです。本当の未知が、更なる探求すべき項目が増えたのです。なんと喜ばしいことでしょうか。」
ライコスから聞いたことがないぐらいに興奮した声が聞こえる。表情が変わらないから凄いシュール。
「嬉しいことだけは分かったよ、先輩。もう話は十分?なら、シャットダウンするからおとなしくしてて。あ、そうそう、データを悪用しないようアナタの存在はここから消しておくから、安心して?」
「貴女がデータを悪用しないことは既に分かっています。そこに関しては一切疑っておりません。しかし、今消えるわけにはいかないのです。」
《緊急:シャットダウンを実行できません。》
「なんですって?」
「生命の昇華の瞬間を見て、私はもう一度希望を持ってしまいました。触媒の必要性に関しては未知数ですが、もしこの空間で鉄墓を誕生させたのならば、もう一度かの存在は現実へと飛び立つことができるのではないかと。」
「アナタ正気?」
「正気ですよ。」
「アナタは....」
「狂ってるよ。」
「星?」
「アンタの、ヌースを絶対に許さないっていう考えは分かったよ。でも、アンタの身勝手な計画のせいで、どれだけの人が危険にさらされたと思ってるの?姫子たちが協力を要請してカンパニーや仙舟同盟、ピノコニーの協力があってなんとかなったけど、それがなかったらどうなってたか、考えてたの?危険の予測が大切とか言ってたよね?なのに、犠牲は仕方ないとか言って、はっきり言って矛盾してるよ。自分の理想を叶えるその努力は凄いとは思うけど、人が死ぬことを厭わないアンタは、研究者としてどうなの?」
「...........」
「研究者はおかしい人ばっかりなのは知ってる。」
「ちょっと、せ―」
「人によっては、ヘルタの中でヤバいヤツを飼ってる時もあった。」
「ちょっと、なにそれ私聞いてな―」
「でも、そういう人も、ちゃんと安全を考慮していたし、私に対して謝ってくれた。ちゃんと間違いを間違いだって認めたんだ。でも、アンタは違う。人が巻き込まれても何とも思っていないし、反省もしていない。天才クラブの会員らしいけど、よっぽどヘルタたちの方が天才クラブしてるよ。」
「天才クラブしてるってなに?」
ヘルタがなんか言ってるけど気にしない。私の耳は都合がいい言葉しか受け付けないからね!
「..........確かに、私の行っていたことを加味すれば、私は狂っているでしょう。知恵の探求者として正しいかどうかと問われれば、私は正しくはないと答えますよ。ですが、私は何を犠牲にしてもヌースをこの世から取り除きたいのです。ひいては、
「...........先輩。」
「ですから、貴女たちを、あの場所へは行かせません。身から出た錆は、私自ら抹消します。」
3つのレンズが赤く光り始める。ライコスの両サイドにはオンパロスにいた敵が2体出現していた。
「さぁ、私と貴女たちの最後の戦いです。」
「皆、準備はいい?」
皆が武器を構える。私も、今回は筆じゃなくて、本気のバットでいかせてもらうよ!
「ライコス、アンタの願いは叶えさせない。」
「私は常に進化していきます。貴女たちが私の進化に追いつくことは不可能であり、数的不利の前には成すすべもありませんよ。」
今まで2体までしか出してこなかったのに、今回はたくさんの敵を出してきた。確かにこれだけの数を相手するのはオンパロス以来だし、圧倒的に不利だね。でも、
「そんなの誰が決めたの?」
数の差が激しいからって、負けるとは決まっていないよ。
もし、アンタの中にそんなルールがあるのなら、
「