一瞥
「これは、儚くもロマンチックな物語♪」
桃色の長髪を持つ女性が、少女が、小さなピンク色の精霊が放ったこの言葉は、どのような意味があったのだろうか。
星穹列車の一同が旅を続けるために訪れた、誰にも認知されることのなかった星、オンパロス。
一同はその星を
そして、体調不良の三月なのかを除いたいつもの列車組、丹恒と星がオンパロスへ向かう。
様々なアクシデントを経てオンパロスに着陸してから紆余曲折、彼らは現地にて火追いの旅を行い、暗黒の潮から世界を救う再創生を目的とする集団、黄金裔らと遭遇し、そこからオンパロスの開拓、そして再創生のために奔放することになる。
そうして、火追いの旅を進めるにつれて、様々な思惑、戦い、そして別れを経験していく。
その中で列車組は、オンパロスという星の秘密について知ることとなる。
オンパロスという星は本来は実在せず、黄金裔達を含めたオンパロス人はデータに過ぎない。そして、黒幕ライコスの目的の阻止のために3千万回を越える永劫回帰により繰り返されてきた再創生の歴史。
その壮絶とも言える真相、そして彼、ライコスが、壊滅の使令鉄墓の復活と知恵の
しかし、星はライコスの手により拉致され、オンパロスにおいて千年もの時間囚われてしまう。
だが、キュレネと黄金裔達の千年に渡る努力により、オンパロスに戻った星はライコスの一時撃破を達成する。
そして、33550337回目の火追いの旅にて、数多の勢力の協力の上、列車組と黄金裔達は遂に鉄墓の撃破に成功する。
その後、星は星穹列車に乗車し、オンパロスの外を見る黄金裔達を見るも、キュレネから、この時間は、オンパロスそのものを描いた紡がれた物語のエピローグによって作られたものであると告げられる。
そうして、黄金裔達との別れの後、列車組は現実へと戻る。
彼らが列車の中で紡がれた物語を見ると、中にしおりが挟んであることに気づいた。
「これは......なんだ?」
「しおり....?見てみようよ。」
丹恒、なのかの順に言葉を述べる。
そして、列車組がしおりの中身を読み切ると、すぐさま星が筆を執り、物語の最後に文を付け加え始めた。
///////////
「一つ目は、あなたが「記憶」の道を辿って解放される姿。つまりオンパロスの因果とは無関係になるの。」
「............もう1つは?」
「あなたが自我を代償にオンパロスの因果に「完結」を与えて、オンパロスを貫く「記憶」となること。」
この選択を間違えば、おそらく「因果の欠如」から鉄墓が復活するだろうね。
そんな無慈悲な選択肢を、魔女はキュレネに突きつけた。
これは、
記憶にある何度かの
これはあくまでも魔女がオンパロスに関して調査した結果からもたらした考察。だが、キュレネが自身で納得してしまうほどに、それは真実味を帯びすぎていた。
つまり、彼女が過去を一瞥しなければ、今までのオンパロスにおける出来事の因果が無かったことになり、結果鉄墓が再度顕現してしまうのだ。
残酷な選択。
しかし、彼女は笑顔で、すぐに1つの選択をした。
1人は未来を進み、1人は過去に留まる。
そうして、キュレネは永遠の1ページの中で過去を一瞥し、オンパロスの因果に蓋を閉じ、彼女がまた過去へと戻り、列車組を含めた今を生きる者たちは、未来へと進むことになる。
これが、本来の歴史
だが、この時、誰も予想だにしない、そう、かの
永遠の1ページ。
そこに立つ二人のキュレネ。いや、ここでは「過去のさざ波」とデミウルゴスとあえて書こう。
この二人が今まさに過去へ遡ろうとしたとき、
チリンチリン
「えっ?」
「?」
ふいに、鐘の音が響いた。
本来、デミウルゴスが過去を一つ一つ一瞥することで鳴る鐘が、何の前触れもなく鳴りだしたのだ。
しかし、それらはけたたましく鳴る警鐘ではなく、優しく鳴り響く祝福の鐘のようであった。
二人が理解できずに立ち尽くしていると、過去のさざ波が、それに続いてデミウルゴスが、気づいた。
いち に さん し ご ろく しち
鐘の音は、リズムにのっていた。
いち に さん し ご ろく しち
ずっと同様のリズムを刻んでいた。
ド
それは、
レ
本来ならば、
ミ
それ以上紡がれないメロディー。
ファ
しかし、
ソ
3千万回を越える旅路、その断片を紡ぎ続けた黄金裔達
ラ
そして、オンパロスの心を3千万回を越える永劫回帰のたびに育み続けたキュレネ達の努力が
シ
ド♪
止まるはずだった彼らの
二人の身体が唐突に吸い寄せられる。
「えっ!?」
「捕まってモモ!」
突然の出来事に2人は最初はその引力に抗おうとするが、すぐにその流れに飲み込まれていく。
遡る風景
永遠の1ページが、ヘルタとの邂逅が、鉄墓が崩れ落ちる姿が、オンパロスが。そして、星穹列車の中で涙を流しながら紡がれた物語の最後をつづる、星達の姿が。
「星!」
デミウルゴスか、過去のさざ波か、はたまた両方のものか。
彼女の声が流れの中に響く。
そして彼女達は、
ヌースすら予測のできなかった最大の因子。その一瞥が、未来から過去を貫いた。
それは、オンパロスにおける出来事全ての因果を紡ぎ、空白を埋めていく。本来、デミウルゴスによって埋められていく空白が、ことごとく埋められていく。
そして、全てが埋まり、ついには鉄墓の再顕現の可能性がなくなった。しかし、吸い込まれていく彼女達はついぞ知らぬ話であり、彼女達は流れに呑まれて.............
///////////
「............っ」
「星..........」
「よく頑張った。一度、座って落ち着け。」
短くも長く、重い文を最後のページに書き終え、ペンを置いた星。なのかと丹恒が彼女を心配する。
ほら、笑って?
キュレネのその言葉も、今ではもう聞けない。
相棒!
最後の最後まで肩を並べて戦い続けた黄金裔達ももう会えない。
ケケケ、オイラに逢いたいと思ってくれたのか?
おっと、少し変なヤツが頭の中に出てきたようだ。
いまだ頬を伝う熱いものはとめどなく流れ続けている。笑顔で終わりを迎えようと思っていたのに、それでも..........
「皆...........」
「ヴェルト、少し......離れてましょう。今回の旅は、あの子達にとって今までの中で一番辛かったと思うわ。精神的に、ね。思い出の中に、そして本の中に彼らがいた事は記録されても、それでももう会えない。誰かと永遠に別れるような経験は、おそらく皆初めてだと思うから。気持ちに折り合いがつくまでは、そっと、ね。」
「あぁ、そうだな。こういった経験は、今後もするだろうからな。それでも、あまり慣れてほしいものでもないがな。」
姫子とヴェルトは彼らを見守ることを決め、そっとそばから離れていく。
パムは、彼女達が経験した事を聞いて鼻水ズビズビになってしまったので、途中退場している。
ブラックスワンとサンデーは各々する事があったため、この場にはいなかった。
星は滲む視界を晴らそうと目をこすり、なのかと丹恒の方を向く。すると、なのかはボロボロ涙をこぼし続けていたし、丹恒は一見いつも通りに見えたが、目尻に赤い跡があった。いつものメイクじゃなくて、明らかに擦ってできた跡だ。
それを見て、また星の涙腺が崩壊した。
「なのー、丹恒ー!」
「わわっ!?星..........星ー!」
「っ!」
皆が皆、それぞれの溜め込んでいた想いが溢れて、こぼれ落ちた。やはり別れの物語に笑顔で
そして、堪えきれなくなった星はついにその想いを吐き出す。
「キュレネー!皆ー!逢いたいよー!」
奇行に走る星だが、やはり彼女はまだ若い。年相応に涙もろく、素直な彼女は、この別れを受け止めきることができなかった。
すると、突如として筆を置いた本が開く。
「?おい、本の様子が.........」
それに初めに気づいたのは丹恒。その言葉を聞いて他2人が本に目を向ける。
そして、タイミングを見計らうように、本のページが1枚ずつめくれ、それが加速していく。
「わっわっ、なに?!」
「どうなってるの!?」
「これは」
各々の反応を見せながら、彼女等は本に釘付けになる。
ペラペラとめくられ続け、そして、とあるページでその勢いは止まる。
「これは、永遠の1ページ?」
キュレネが紡いだ永遠の1ページ。
ペラリ
そして、最後のページが開かれた。そのページには、黄金裔達が残したメッセージが記されている。
すると、
「えっ、ちょっ」
一文字一文字、ゆっくりと空気に溶けるように文字が消えていく。
「だめ、だめ!やめて!」
「せ、星!」
なのかと丹恒が彼女を止める。しかし、無慈悲にそのページに書かれたメッセージは消えていく。
「皆との思い出が、メッセージがぁ!」
星の必死の抵抗も虚しく、ついにはそのページから文字は消えた。
「あ..........」
膝から崩れ落ちる星。その姿に何も言えなくなる2人。何事かと見守ることに徹していたヴェルト達も駆け寄ってくる。
「あ、あ.......」
「星っ!」
なのかが星を抱きしめる。それでも、2人の涙が止まることはなかった。
「...............っ!?2人とも、まだだ、何かが」
そんな中、丹恒は気づく。
白紙になったページの一部が、黄金の光を発しだしたことに。
しかし、星はもう動かない。皆で紡いだ物語の中で一番大切なものが消されてしまい、立ち上がれなくなってしまった。
「...........ちょ、ちょっとアンタ!これ、これ!!!」
抱きしめていたなのかが急かしだす。
流石の星も背後から頭をバシバシ叩かれれば反応をせざるをえない。
今は動かすのも辛い頭を、本に向けた。
「っ!」
突如、食い入るようにそれを見る星。他2人がいるのにもかかわらず、本を両手でがっしりと掴み眼前に持って行く。
「おい」
「ちょっとー、見えないよ!」
2人の言葉は耳に入らない。なぜならば、
これは、儚くもロマンチックな物語♪
このような文が書き出されていたのだから。
あれから誰も筆をとっておらず、書き記すことなど不可能だったはず。
これはキュレネが残した新たなメッセージか?なくなってしまった
すると、新たに黄金のインクが文を紡いでいく。
明日は昨日に。
1人は未来に向かい、1人は過去に留まる。
でも、これじゃあ、未来に向かったあなたが、その歩みを止めてしまいそうじゃない?
それに、やっぱり皆と一緒に、未来に進みたい、そう思ったの♪
『
「っ!?誰!」
「星?」
「どうかしたのか?」
周りを見渡してもいつもの列車組しか見当たらない。だが、星は本能で悟っていた。
あれは
おそらく
声の持ち主は一体誰なのか。
星の頭に新たな疑問符が1つ加わるが、そんなことなどお構いなしに、文字は綴られていく。
だから、ね?笑って?皆。
「キュレネ!」
その言葉で、またも星の感情があふれた。
黄金の文字が書かれた紡がれた物語をギュッと抱きしめる。
すると、まばゆい光が本を包む。
「えっ..........わぁっ!?」
「ちょっと、眩し!」
「くっ」
「ちょっとアンタ達!?」
「下がれ!」
列車内が混沌とする中、本の光はどんどん増していく。
そして、
光が列車内を白く染め上げた。
「ちょっ!?」
「えっ?」
「っ!」
「なっ?」
「.........?」
「ふむ」
「「わわわっ!?」」
「わぁ」
「わっ!」
「む?」
「おわ!?」
「あらっ?」
「ぐぇっ」
光が収まっていく。しかし、無事だったものは少ない。
離れていた列車大人組を除くいつもの列車組は皆下敷きになっていた。
「お、重い.........」
「なんでウチまで...........」
「それは俺のセリフだ.....」
では、誰が上に乗っているのか。
「いたたーっ.........って、え?」
ずる賢そうな声が、
「えっと、ここは........」
穏やかな声が、
「おや?貴方達は..........」
落ち着いた声が、
「ほう?まさか.........」
威厳のある声が、
「............お腹が空いたな。」
腹ペコな...........ん”ん”っ、優しげな声が、
「これは、実に興味深いですね。」
思慮深そうな声が、
「だいじょうぶ?」
「この姿を見てだいじょうぶだと本当に言えるのか?」
「一番したにいるのは
元気で、活発で、冷静な声が、
「えっと、皆さん、だいじょうぶですか?」
ほわほわした声が、
「ふむ」
殆どふむ、とかふっ、しか言わない声が、「誰がふむしか言わないだと―
「いてて、って、皆?」
快活な声が、そして..........
「えっと............」
最も愛しい声が、星達の耳に入ってくる。
「あっ」
星は、いや、皆が気づいた。そして、振り向く。
純白にキラキラとした虹色の輝きを放つ装飾が散りばめられたドレスに身を包まれた、少し大人びた、桃色の髪の女性。
「あぁ.........!」
あぁ、本物だ。
「えっとぉ」
今までの旅路で滅多に見せなかった戸惑いの感情が見えたが、すぐに笑顔になる。だが、本当に困惑しているからか、その笑顔はぎこちなく、少し笑いがこみ上げた。
「ハァーイ?私に、会いたかった?」
「キュレネ!」
こうして、運命は新たに紡がれる。
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初投稿です。
まな板とベーコンと申します。
取り敢えず2話ほど、出来れば連日で出したいとおもっています。それから読者の皆様の反応次第でこの日常の物語を綴り続けるか考えていこうと思っています。
ですが、続けることになっても連日投稿は難しいです。
隔日もしくは隔月投稿になるのは確定ですので、ご了承をば。
今回この作品を作るきっかけになったのが、バージョン3.7のオンパロス完結まで完走した時、喪失感がとんでもなく、
それに、投稿日である本日は聖夜です。このような奇跡が起きてもなんら不思議ではありませんよね?
そのため、このハーメルン様にて二次創作として書くことを決めました。
つまり、見切り発車です!考えなしなのです!
おおよそどういった日常を書くかは決めているのですが、一切執筆しておりません!
それでも、私の作品を見たい!と思ってくださるならば、えーと、10段階の評価をお願いします!
何がとは言わないのですが、星の評価じゃないのに違和感が。
あと、誤字脱字、そしてホヨバ様のガイドライン越えてるんじゃね?などなど気づいたことがあったら、報告お願いします。
著作権侵害が一番怖いんじゃ。
あと(Part2)、機能があまり分かってないので、あとがきを書くときはこっちに書いていきますので、よろしくお願いします!
ということで、まな板とベーコンでした!