ここからは基本星視点です。三人称が入ってても星視点です。三人称が当たり前のような顔をして入ってくるのは私の悪い癖です。
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「キュレネぇ、皆ぁ!」
良かったぁ、よがっだよぉ!
「あらあら、フフ♪そんなに会いたかったかしら?」
キュレネが優しく撫でてくれる。
「ちょっと、ビショビショになっちゃうじゃない。」
「ぢーん」
「ちょっと!それはだめ!」
「アンタ、人の服で鼻かまないの!ほら、ティッシュ。」
ぢーん、ズビズビ
温かい。オンパロスの時は精神体であった。そうだからといって暖かさを感じていなかったわけだはないが、この暖かさが、キュレネがこの現実世界に言うことを感じさせてくれる。だが、この世界に来たのはキュレネだけじゃない。
体を起こしてくるりと回転。そして、
「キャスー!」
「あっ」
思いっきりキャスを抱きしめた。
あぁ、キャスだ。あの時朧気ながらも、抱いてくれた時の優しい温もりとこの香りを覚えてる。
「あっ、嘘、そんな......?」
キャスの困ってる声が聞こえる。どうしたんだろう?
「どうしたの?キャス。」
「えっ.......星様は、なんとも、ないのですか?」
「え?何が?」
「っ........いえ......なんでも、ありません。」
そう言って、優しく抱き返しめてくれた。
ふと見ると、泣いていた。どうしたのだろう?..........でも、今はいいか。
皆が、ここにいる。
それで十分だ。
「キュレネ、これはどういうことなんだ?」
「えーっと、そのぉ、私にも分からないの、丹恒。」
「分からない?」
「ええ。私はやるべきことをしようとしていたのだけど、急に何かに引きずり込まれて..........そうだ!モモ!」
「モモって、キュレネのことかい?」
「ええ、ファイノン。ここに来る直前まで一緒にいたのだけれど..........そんな..........」
キュレネが悲しそうな顔をしている。何かあったのかな?
「わわっ!?ちょっと皆、なんかこの本光ってるんだけど!?」
サフェルの声に皆が反応する。
「まだ終わってなかったのか?」
「だとしたら、また誰が出てくるの!?」
皆が本から離れ、様子を見守る。あっ、キャスの手温かいし柔らかい。
「あの、星様..........少し、恥ずかしいです。」
「え?嫌だった?」
「い、いえ.........温かくて、心地良いです。」
そう言って微笑んだ。うん、やっぱりキャスは綺麗だね。
「ちょ、グレっちもこもり姫も!そんなとこでイチャイチャしてる場合?!」
サフェルがなんか言ってきた。羨ましいのかな?
「よしよし」
「!?ちょっ、何やって..........ふにゃぁ」
うんうん、ドロス人は私の見立て通り、撫でられるのが好きみたいだね。後は、私の美少女パワーのおかげもあって、イチコロだね。
「いや、今はそんな場合じゃにぁ〜」
「説得力ないよ、サフェル。ほれほれ」
「どうして抗えにゃいのぉ〜」
ふっ、自分がドロス人であることを恨むがいい。
「ちょっと、相棒。流石にそれ以上はダメだよ。」
むっ、ファイノンがそう言うなら。そうしてキャスと繋いだ手を離し、サフェルを撫でるのをやめる。
「「あっ」」
とても名残惜しそうにしていた。キャスは頬を赤らめて、サフェルは慌てて平静を保とうとしてたけど、尻尾と耳の動きだけは止められなかったようだ。
「貴方達........」
「す、すみません。アグライア様。」
「アタシのは不可抗力でしょ!?」
ふぅ、と溜め息を吐いた後、アグライアがこっちを向いた。その瞳には、今は光が宿っている。
「アグライア、その目........」
「えぇ。何故かは分からないのですが、ここに来た時には、目が見えるようになっていまして。」
「.............どう?」
「最後のあの時もそうでしたが、金糸を通して見るよりも、やはり鮮やかで、綺麗ですね............星。」
「うん?」
「また会えてうれしいです。」
「!........うん!」
すると、すっと、何も言わずに腕を広げるアグライア。これは、吸い込まれるっ!
「んぅ」
「ん........火追いの旅を始めてから今まで、感謝こそ幾度かは伝えていましたが、ちゃんとしたお礼を最後まで言えていなかったと思いましたので。」
なでなで
アグライアとハグすることなんてなかったから分からなかったけど、アグライア、いい匂いがする。それに..........キャスと違って体がとても温かい。これは........
「お風呂に入ってたの?」
「?あ.........ふふ。ええ、最後のあの時、言っていたでしょう?なので、あの後、私はバルネアに向かったのです。やはり、疲れた身には温かい湯船が一番です。」
やはりそうだった。だからだろうか、アグライアの香りを強く感じる。なんか、ちょっと変な気分に.........
「ふふっ」
「............アグライア、様」
「あっ......キャス?」
頬を触られて強制的に向かされた先には、キャス。
微妙だが頬を膨れさせている。これほど分かりやすい嫉妬の表情があるだろうか?
「その、私たちに注意をした貴方が、このようなことをするのはいけないと思います。」
「あら?.......すみません。星にお礼をしようとしていたのですが、つい。」
「そう、ですか。では―」
「ですが、離すつもりはありませんよ?」
「っ」
「はぁ。どうして奴らはこの状況下であのようなことができるのだ?」
「まぁ、僕達は火追いの旅を完遂して、オンパロスが滅びる未来もなくなったわけだし、今まで溜め込んできたものが出てきたんじゃないかな?」
「...........だが、時と場合というものが―」
「皆さん。」
わちゃわちゃとうるさい中で、アナイクスの声が通る。
「私の予想とこれまでの事象から推測するに、そろそろですよ。」
アナイクスが目を向ける先、そこにある紡がれた物語がまた強烈な光を放ち始めた。
「わっ」
「もぉー!だから言ったのに!」
またサフェルがカッカしてる。
「そんなピリピリしないで。」
また撫でてあげよう。
「おっと、もうその手には乗らないよ〜.....って、え?」
懐........いや、どこに隠してたの?その幣。それをすぐさま親指で弾いたサフェル。だけど、何も起こらずただ一歩動いただけ。
ロックオン
「ちょ、どうしてふにぁ〜」
百発百中だね。
「星!もぉー、巻き込まれても知らないんだからね!」
「俺達も離れよう。」
あっ、丹恒となのかが離れようとしてる。おそらく前のことを考慮すると私とサフェルは避けられない。ならば、
「えっ!」
「なっ」
2人の裾をすんでのところで掴む。
「死なば諸共」
「ちょ、アンタ!」
「ダメだ、間に合わない。」
なんでアタシまでー!
サフェルの虚しい叫びと共に、私たちは光に包まれ―ることはなく。
「ん?」
ふよふよと紡がれた物語が浮いていき、
「いたっ!」
「わっ」
「いてぇー!」
3つの影を吐き出した。なんか、さっきと違って雑じゃない?詳しく説明するのがめんどくさくなったからって、投げやりになってない?
ポンポン
「みゅー!?」
「めみっ」
「わぁ!?」
いてて、なに?
「.........え?ミュリオン?が.........2匹?」
「めー、めみ!?」
「みゅみゅ」
「みゅ、みゅー!みゅみゅみゅみゅ!」
いや、お前は偽物って言ってるみたいだけど、ここにキュレネがいるから、おそらくアンタも偽物だよ。
本から出てきたのはピンク色の精霊、ミュリオン(たぶん偽物)と真っ青なミュリオン(確実に偽物)。そして、
「えーと、どうなったのかしら?」
あどけなさが残る桃色のショートボブな少女と、
「まだ目が見えないのだけど............」
どこかホラー映画を彷彿とさせる髪型になってしまった赤い長髪のお姉さんと、
「ケケケ、お?なんだ?ここ。」
紫色のゲルだ。
「ザ..........バトルス!?」
「あ!サフェルの姉御!こんなところにいたのか!」
「バトルス、なんでここに?」
「さぁ?オイラ、気づいたらなんかに呑まれてて、そしたらここに.........」
シーフ·バトルスとサフェルとの感動的な再会。一方で、
「嘘.........」
「そ、そんな...........」
「師匠が.....2人?」
「正確に言うならば、3人と1人、ですがね。」
「えーと、貴方達は...........」
「うわぁ!?ぼくたちのそっくりさんだ!」
「どうちて、あたちたちがもう一人ここに?」
「髪の毛が長すぎて、まだわたしたちのことが見れてませんね。」
トリスビアスとトリ三姉妹が邂逅し、
「モモ!よかった!」
「わっ、ふふっ。貴方も無事でよかったわ。正直、まだ目が回るけど.........カスライナ.....いえ、今はファイノンかしら?久しぶり♪」
「あぁ。久しぶり、キュレネ。」
「ちゃんと、やり遂げたね。私はずっと見ていたわ。貴方の頑張る姿を。」
「っ.........あぁ。」
しんみりとした雰囲気になっていた。
なんか、列車内が混沌を極めだした。
「........分かってはいたが、アイツは来ないか。」
「僕達の顔見知りも、来ないようだな。」
「カイザー、気を落とすな。私がいる。」
「.........気を落としてなどいない。それよりも剣旗卿、お前は何をしている?」
「?........姫子にご飯をもらったから、食べているだけだが?」
「.........それもおかしいが、千歩譲ってそれは良いとしよう。だが!何故救世主の頭を片手間に撫でているのだ?」
「?理由が必要か?」
「........はぁ、時と場合を考えろ。」
「む?」
「ん?」
なにか、シンパシーを感じたのか見つめ合う王様組。これを機に仲良くなれるといいね。というか、なぜ私はセイレンスに撫でられているのだろうか?
「ん?どうかしたか?」
相変わらず無表情。だけど、あの時彼女と共に行動したから分かる。今はとってもご機嫌だ。
「なんでもないよ。ちょっとわちゃわちゃしてるなって。」
「まぁ、これほどのことが起こったのだからな。無理はない。」
「?驚いてないの?」
「いや、これでも驚いている。
柔らかく微笑む彼女の顔は美しい。流石はセイレーン、美人の笑顔は眩しい。私のも眩しいけど!
だけど今は撫でられるがまま。
「灰色の小魚は、この壮大な空を旅しているのだな。」
「そうだよ。そして、この広大な宇宙にある星を開拓することが私たちの旅の目的なんだ。」
「それは、素晴らしいな。.........なぁ、灰色の小魚。あの広大な海のある星に、私ら行けるだろうか?」
「海?どこの?」
「本の中でしか見れなかったが、確か
「あぁ、もしかして丹恒が海を割ったあの場所かな?すぐに行けるよ。アンカーも立ててあるし、ひとっ飛びだよ。」
「!.........そうか。では、時間があれば連れて行ってほしい。」
「お安い御用だよ。」
そしてまた撫でられる。今日はやけに頭を撫でられる日だ。いつか摩擦で熱くなりそう。
「ん?」
そのとき、バッグの中にあったものが震えた。何事かと取り出すと、それは、
「あの時ヘルタにもらった特別なアンカーだ。」
オンパロス用のアンカーが電波を受信したらしい。急いで設置して繋がるようにする。
「あー、あー。聞こえてる?ワイワイしてる中よく気がついたね、おこちゃま。」
すると現れたのは、マダム·ヘルタの姿。投影されてるから触れないが、いつかあのデカい帽子のつばをつかんで伸ばしてやるってこころに決めてる。
「ちょっと、私の帽子に変なことしようとか思わないで。」
何故バレた?
「というか、今はそんなふざけてる場合じゃない.........って、キュレネ?」
「は、ハァーイ、ヘルタ。久しぶり、ね?」
「貴方..........どうして?あの時確かに貴方は..........」
「それが、私にも分かってなくて。」
「なるほど...........はぁ、まさか、私の予想どころか、
「えっと.......」
「どういうこと?」
ヌースが予測できなかったことって?そんな事あるの?
「はぁ、先輩。確かに
ん?ヘルタ、何か言った?
「ま、いいわ。それよりも、
「観測したもの?」
「おこちゃま達はまだオンパロス付近にいるんでしょ?なら、窓の外を見てみなさい。」
そこに答えはある。
その言葉を皮切りに一斉に皆で窓へと向かう。うっ、頭打った。
「え」
誰の呟きだったのだろうか?
星々の輝く広大な
「そ、そんな.....!」
「オンパロス!?」
「紡がれた物語から出てきた時に見た時には既になかった。俺達は確かに、オンパロスの消失を見届けたはず。」
私達3人で確かにあの∞が無くなったのを見た。なのに、なぜ?
「ミス·ヘルタ。あれは、本当にオンパロスなの?鉄墓が崩壊した時に、私達は確かにオンパロスが消えていくのを見たわ。」
「確かに、おこちゃま達と他の面子のおかげで鉄墓は消えて、オンパロスもなくなった。そこまでは間違いなかったのよ。でも、その後に、予想外のことが起きた。」
「もしかして.......」
「モモ....やっぱりそうなの?」
「どうしたの?」
キュレネとキュレネ(過去のさざ波)が何か知ってそう。
「星神の一瞥。」
「正解。あの後、ヘルタがオンパロス付近で星神の一瞥を観測した。突然のことで私も反応できなくて、そしたら次の瞬間には、オンパロスが元に戻っていたの。」
「その星神って」
「そう。浮黎よ。」
「!」
あの時の言葉..........やっぱりヌースじゃなかったんだね。
「その様子、おこちゃま、もしかして何か聞いた?」
「え?えっと.....」
そういえば、なんて言ってたっけ?
「ごめん、覚えてない。」
「まぁ、そうよね。でも、浮黎に謁見したという情報だけで十分よ。はぁ、それにしても、今までの浮黎の一瞥はキュレネだと思ってたのに、それが外れるなんて。」
「え?そうなの?」
目を少し大きく開けるヘルタ。ふっ、私の耳の良さをなめていたようだね。
「んんっ、じゃあ、もう切るわね。伝えることも伝えたし。あ、そうそう。スクリューと少しオンパロスを覗きに行ったのだけど、あそこ、貴方達が頑張った時代、いわば33550337回目のオンパロスだったよ。それも、
「え?」
「それじゃ。」
プツン、と切れた通信。沈黙に包まれた列車。
「えっと、つまり、オンパロスはデータとしてじゃなくて、本当の星になったってこと?」
「おそらく、そうなんだろう。」
「えっと.........良かった、のかな?」
皆何も言わない。相当驚いたのだろうか?
ピロン
ん?あれ、ヘルタからだ。
”追伸、おこちゃま達は空へ旅に出たってことになってるから、もう黄金裔としてあそこの人達を守る責務を果たさなくてもいいよ。”
「え」
背中に集まる視線。それに耐えきれずみんなに文面を見せた。
みんな押し黙る。どうしよ?
「ん?なんじゃ?って、どうして列車にこんなに人が乗っているんじゃ!?」
救世主兼マスコットパム到来。
「えっと、パム。それが.........」
「いや、みなまで言わなくていい。ここにいる者たちは客人じゃろ?なら、もてなさないとな!」
そう言うと「俺はパム。この星穹列車の車掌じゃ!よろしくな!」と黄金裔の皆に自己紹介してからてくてくと部屋を出ていった。
「よかったな、星。」
そう言葉を残して。
「...........そっか、オンパロスは、僕達は、明日を迎えたのか。」
皆が徐々にこの事実を受け入れていく。
「..........なら、やはり私はあの海へ行きたい。」
「他の星がどのように統治されているか、この目で見なくては。」
「紛争のなくなった世界...........平和というやつを、見るのも悪くはない。」
「宇宙船ヘルタには、多くの書物があると聞きます。そらに、天才達........新たな知識を得られそうですね。」
「なら、アタシはお宝探しに行こうかな〜。グレっちの部屋のものにも興味あったし。」
「私は、何をしましょうか。」
「キャスちゃん。それはこれから決めていけばいいんだよ。」
「わたしたちは、これからずっと、明日を迎えることができるんですから。」
「やりたいこと、いっぱいあってもいいんじゃないか?」
「私も、楽しみです!ね?イカルン。」
「プルルッ」
「.........バルネアのような場所は、あるのでしょうか?」
「大きいところはないけど、夢の国には、似たようなものが、あったわよね?」
「そうだね。まぁ、あれはお風呂っていうより寝床だけど。」
そうだ。これからは皆、明日を迎えられる。もう、いつ訪れるか分からない脅威におびえる必要はないのだ。
「キュレネ。」
「どうしたの?星。」
「...........
「.........ええ!」
これから、皆と一緒に世界を巡るって考えると、ワクワクするね!
「ですが、その前に問題を解決する必要がありますね。」
「ん?問題って?」
「私達の半神の力が、なくなっていること、です。」
「え?」
だけど、旅をするには少し時間がかかりそうだ。
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以上でプロローグは終了です。
ここからは日常を描いていきます。
続きが見たいよって方は、評価をお願いします!
一日経っても報告がないってことは、ガイドラインに引っかかってないってことだよね?
今日も今日とて怯えるまな板とベーコンでございました。
ふぅ、間に合ったぜぃ(執筆完了12:15)