明日を越えた未来の日常   作:まな板とベーコン

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宇宙ステーションヘルタ編
#1 消えた力の行方


読者様の反応次第で続きを書くと言ったな。もう反応があったから書くぞ!(年末が暇で仕方ない)

後、すみません。必須タグの説明読み間違ってて、オリ主必要じゃなかったンゴ。変更してオリキャラにしたンゴ。許してほしいンゴ。

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「半神の力が、ない?」

 

「えぇ。」

 

アグライアは何やら手を動かしているが、すぐにやめて溜め息を吐いた。

 

「こちらに来てから妙な感覚を覚えたのですが........やはり3千万回もの間共にあったものがなくなったからだったのですね。」

 

「まさか」

 

「ええ。目が見えるようになった代わりに、金糸が使えなくなっています。おそらく、ラフトラも呼び出せないでしょう。」

 

顔に影が落ちた。そんな、金糸が使えなくなっていたなんて....

 

「それならば俺も同じだ。」

 

そう言って前に出るモーディス。

 

「この違和感、最初こそ気にしてはいなかったが、そうか。俺はもう()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

「え、それじゃあ、君は―」

「あぁ。この身を殺す戦い方は使えない。つまり俺はもう、これまでどおりには戦えないのだろう。」

 

淡々と、事実を告げるモーディス。

 

「ふむ、ヒアンシー。今、イカルンで皆を癒すことはできますか?」

 

「え?どういうことです?」

 

「やってみてください。」

 

「分かりました。おいで、イカルン。」

 

「プルルッ、プル?」

 

「あ、あれ?」

 

「............ふっ、フハハハハハ!やはりそうですか。どうりで今ではこの残った片目を媒介にしても家族と会えない予感がしたわけです。」

 

「何がわかったのです?アナクサゴラス。」

 

「ふぅ、簡潔に言いましょう。私達は半神の権能がなくなったのではありません。私達は皆、()()()()()()のです。」

 

「人間に?」

 

何を急に言い出すのだろう?皆もとから人間なのに。

 

「正確に言いましょう。我々にはもう、()()()()()()()()()()()()。」

 

「え」

 

「丹恒さん。貴方の槍を、少しばかり貸していただけませんか?」

 

「何をするつもりだ?」

 

「この仮定の実証ですよ。」

 

「........分かった。」

 

丹恒がアナイクスに槍を渡す。

 

「私の血で矛先を汚してしまう事をお詫びします。」

 

スッ、と掌を槍の先で切る。ちょっと!ここにヒーラーは今はいないから、そんなことしたら...........!?

 

「そ、そんな......」

 

「やはりそうでしたか。」

 

「血が、赤黒い?」

 

「そうです。これが人間本来の血なのです。黄金裔はその身に黄金の血が流れているからこそ、種火を継承し、貴方たちの言う半神になることができたのです。しかし、逆にいえば黄金の血の流れない私達では、火種を継承するに値しない。つまり、我々は現実世界に本当の人間として昇華した代わりに強大な火種の継承の権利と権能を失ったのです。」

 

「じゃぁ」

 

「自衛の手段は、今の私たちにはありませんね。」

 

「...........」

 

「何故失ったか、わかるのか?」

 

「理由となるものが多すぎて何とも言えませんね。ですが、もっともな理由を挙げるとすれば、この世界の星神と、私たちが言うタイタンが共に存在してしまえば、世界の均衡が保てなくなるといったところでしょうか。」

 

それに、こちらには均衡の星神もいるようですしね。

 

そう言葉を加えて話を終了するアナイクス。

 

確かに、そう考えるのがもっともらしい。星神とタイタンが同時にいたら、この世界がグチャグチャになっちゃう。それに、キャス........死のタイタンの力なんて、星神から見てもチートだしね。

 

「流石に、皆の力を取り戻したほうがいいでしょ?この宇宙にはオンパロスにいたのとは違う種類の敵がいっぱいいるんだし、危ないでしょ?」

 

なのかの言う通り、この問題は急いで解決しないと。

 

「なら、一度ヘルタに戻ってみるのはどうかしら?鉄墓の件で直接お礼も言いたいし、それに、ミス·ヘルタも、貴方達に興味があると思うし、何より、ヘルタの宇宙船、見てみたいでしょ?」

 

ナイス姫子。やっぱり素晴らしいナビゲーターだね。後はコーヒーの腕前さえ何とかなればパーフェクトなのに。

 

「あ、そうそう。パムはお菓子を持ってきてくれるそうだから、私もコーヒーを淹れようと思うのだけど、コーヒー欲しい人はいるかしら?」

 

言ったそばから!

 

「あ、じゃあ―」

「せいやー!」

 

ふぅ、危ない危ない。早速最初の犠牲者が出てくるところだった。

 

「見事だな。的確に顎を狙い気絶させるとは。」

 

「えぇと、わたく―」

「なのっ!」

「まかせて!」

「むっ」

 

キャスが自分から犠牲者になりに行くのを、私となのの連携で食い止める。

 

「よし、これで」

 

「では、一杯いただけますか?」

 

「分かったわ。アナイクスさんの分だけね。じゃあ、淹れてくるわ。」

 

し、しまった!意外(?)な伏兵アナイクスがいた!た、丹恒!

 

「すまない。もう手遅れだ。」

 

い、いや、まだだ!

 

「ヨウおじちゃん!」

 

「任せろ。なぁ、姫子。俺が代わりに淹れてくるから、黄金裔の皆さんに列車を案内してあげたらどうだ?」

 

ナイス!これで被害者発生(姫子の魔の手)を止められるはず―

 

「あら、それなら大丈夫よ、ヴェルト。さっきサフェルさんに、紡がれた物語の中でだけど、星穹列車に乗って中を探検して、大体把握しているって聞いたから。」

 

サフェルゥゥゥゥ!

 

「あー、テヘッ」

 

テヘッじゃないよ!お仕置きで撫で殺しだ!

 

「はふにぁぁぁぁ」

 

3歩ぐらいの距離で逃げ切れると思わないことだね。

 

「それより、何故貴方達はコーヒーを拒ませようとするのです?コーヒーは脳を適度に覚醒させ眠気を取る素晴らしい飲み物ですよ。それに、あの苦味も慣れればいいものです。」

 

いや、アナイクス先生。そうじゃない。コーヒーがおいしいのは分かってる。私も別に嫌いってわけじゃない。だけど、

 

「はい、お待たせ。」

 

「早かったですね。それでは.......っ!?」

 

きっと、彼は見たんだろう。ろ紙を使って抽出してなお水面に浮くコーヒーの粒を。熱々である証拠の湯気がたっているのに、何故か水出ししたような透明度を誇るコーヒーの色を。そして、感じたんだろう。鼻腔をくすぐるおぞましいほどの酸っぱい匂いを。

 

正気か?という顔を姫子に向けるアナイクス先生。でもね、先生。

 

「さ、遠慮せずに飲んで?」

 

満面の笑みを向ける姫子にまったく悪意などなく、純粋な善意でそれを淹れたと気づいたアナイクス先生の絶望した顔は、今でも脳の片隅に残っている。

 

そして、みんな(相棒を除く)が見守る中、アナイクス先生は真理の扉を開いたとさ。

 

 

アナイクス先生ぇぇぇ!

 

 

「.........記憶がないのですが。」

 

「ヨウおじちゃん。多分新記録だよ。ウチが来てから見た中で一番強力なヤツだよ。」

 

「記憶を、たった数分とはいえ消すとは、中々に凶悪度が増してしまったな。これはパムに言って禁止させないと、後々俺達の首を絞めることになるぞ。」

 

なのとヨウおじちゃんの不穏な会話を耳にしながらヒアンシーの手伝いをする。

 

「アナイクス先生、大丈夫ですか?........はい、水です。」

 

「っ、少々、記憶の混濁と頭痛がありますが、一応身体への影響はありません。ありがとうございます。」

 

水がこれほどおいしいと感じたことはありませんね。

 

そう呟いたこえは弱々しく、目もいまだ虚ろだ。姫子、やり過ぎだよ。

 

「いったい何をだしたのじゃ姫子!」

 

「えぇ?ただ、焙煎した豆を3段階の粗さに分けて挽いて、後は半月ぐらい熟成させた特性コーヒー豆をブレンドしただけよ。」

 

それはもうろ過じゃない?炭を砕いたもの(あらめ)小石(ふつう)(細かめ)をボトルに詰めると簡単なろ過装置ができるってネットに書いてあった。まるっきりそれじゃないか。それに、半月熟成させた姫子の豆?........嫌な予感しかしない。

 

「姫子、もうそのレシピは車掌権限を使い禁止にする!」

 

パムからビシィと指をさされ禁止宣言をされてしまえば、さすがの姫子も認めざるを得ない。やはりできるマスコット、パム。私達の最高の車掌。

 

「う、うぅ」

 

「あ、もう一人の気絶者(ファイノン)、起きたんだね。」

 

「今すごいルビ振りしてなかった?相棒。」

 

ファイノンがゆっくりと起きる。流石は英雄、回復が早いね。

 

「すごく顎が痛いんだけどって、アナイクス先生!?」

 

あ、気づいた。

 

「どうしたんですか!?」

 

「あぁ、ファイノン。大丈夫です。大したことはありません。ただ..........先ほど真理の扉を開きまして。」

 

「し、真理の扉?」

 

「それと、ファイノン。肝に銘じておきなさい。」

 

姫子さんのコーヒーは、この世の真理を開く鍵です。

 

そう言うとアナイクスが固まった。

 

「あ、アナイクス先生ぇぇぇぇぇ!」

 

「.........気絶していますね。グレーたん。グレーたんのベッドに先生を寝かせてもいいですか?」

 

「別にいいけど。」

 

「いや、お前の部屋は遠いだろう。扉を越えた先の俺の部屋の方が近い。そこに運んでくれないか?ヒアンシー。」

 

「分かりました。ありがとうございます、たんたん!行きますよ、イカルン。」

 

「プルッ」

 

アナイクスはヒアンシー、ではなくイカルンに背負われて扉の向こうへと消えていった。いったいイカルンのぷにぷにボディ(あの身体)のどこにあんな力が隠されているのだろうか?

 

「あー、皆、些細なトラブルに見舞われたが「コーヒーを淹れただけなのだけど」そこ!元凶が口出しするな!んんっ、これから跳躍を行うぞ!これだけの大人数で跳躍を行うのは初めてじゃが、安全は約束する。それと、跳躍の際に起こる酔いを感じたら遠慮せず言ってくれ。」

 

おっ、跳躍が始まるみたい。

 

「グレっち、跳躍って?」

 

「えーと、詳しい原理は未だに分からないけど、長距離を一瞬で移動することだよ。」

 

「そんな技術があるんですね。」

 

「ロケットよりもすごいじゃないか!」

 

「トリアン、暴れちゃだめでちょ。」

 

「でも、跳躍直前と直後に変な感覚に襲われるから、座ってたほうがいいよ。それと、不安な時は目を閉じたらいいよ。ヨウおじちゃんがそう言ってたから。」

 

「星、覚えてたのか。そうだ。黄金裔の皆さんも不慣れな跳躍が不安なら目を閉じるといい。」

 

「あ、じゃあ」

 

...........なの、その体勢、まさか―

「絶対転ばない、絶対転ばない、絶対転ばない.....」

 

あぁ、あのモードに入ってしまった。ベロブルグへの跳躍(あの頃)以降しなくなったと思ってたのに。

 

「ふっ..........何を馬鹿なことを―」

「おっ、いいね。メデイモス、これで勝負してみないか?」

 

おい、相棒?何を子どもじみた戦いをしようとしているんだ?

 

「...........HKS(阿呆)。お前は子どもか?このような時にも勝負にこだわるのか?」

 

「でも、断りはしないだろ?だって、断ったらできないって言ってるのと同じになるし。」

 

「..........あぁいいだろう。クレムノス人の辞書に不可能の言葉はないからな。」

 

「絶対転ばない、絶対転ばない、絶対転ばない.......」

 

あぁ、頭が痛くなってきた。

 

「あの者達のことは置いておきましょう。星、隣に座っても?」

 

「いいよ。」

 

アグライアが優雅に隣に座る。あれ?なんか近くない?

 

「あの、星様、私もよろしいでしょうか?」

 

「え?まぁ、いいけど。」

 

逆側にキャスが。あ、暑い.........

 

「んー、ふふ。ならアタシもぉー!」

 

「え?もう座るところな―」

「ふふーん」

「な」

「あ」

 

ちょっと、サフェル。流石に膝の上は辛い。

 

「........あはは、なんだか恥ずいね、これ。やっぱ向こうの席に―」

「ふん」

「!?」

 

そちらから来たんだ。逃がすわけなかろう。

 

「ちょ、グレっち!?ご、ごめんてば!だから離すにゃぁぁぁ」

 

ふふふ、心地よさに溶けるがいいさ。

 

「はぁ、俺は部屋に戻ってアナイクスの様子を見てくる。」

 

丹恒もまた扉の向こうに消えた。

 

「僕達も座るぞ。」

 

「カイザーは、あの席に行かなくていいのか?」

 

「ふん、暑苦しいだけだろうに。」

 

「トリアン、トリノン。あたちたちは向こうに座ってよう?」

 

「あそこは広そうだしな!」

 

「フカフカで心地よさそうです。」

 

「あら、なら私もそっちに行こうかしら?」

 

こうして全員が配置についた。

 

「あー、あー、えー、これから跳躍を開始する。皆席に着いたな?」

 

大丈夫だよパム。3人を除いたら皆座ってるし、3人とも座る気がないらしいから。

 

「それでは跳躍する。」

 

5

 

4

 

3

 

2

 

世界が、自分を含めて青色に変わる。体を包む不思議な浮遊感に、列車に戻ってきたという実感が一気に来る。

 

1

 

そして、景色が変わる。

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