超人スペックで転生させられた俺はせめて正しい敗北を選びたい   作:正樹

12 / 73
間に合いましたので投稿です。

みなさん大好き(?)赤い奴の登場です。

それはそうと、一年戦争の各作品時系列調べるのが面倒臭すぎる!


第10話 赤いのとの再会。まるで成長していない……

 

 ラル大尉の指令を受けてから6日後。

 

 ダーク・コロニーを後にした俺はまず、専用シャトルにてズム・シティに移動した。

 本来なら孤児院に行って兄弟姉妹たちやマザーに顔を見せたり、ドズル大佐に挨拶でもしておきたいところだったが、あいにくと時間にはそこまで余裕がない。

 そのままドッキングベイから外へ出ず、民間のシャトルへと乗り継いだ。

 

 民間シャトルである以上、搭乗の手続きを経るわけなのであるが……。

『暁の蜂起』にて顔はそれなりに売れているはずなんだが、なにせあれから1年半は既に経過している。

 子供の肉体は成長が早い。

 だから気付かれなくても仕方がない。

 仕方がないのだが……。

 搭乗受付のお姉さんに「一人でシャトルに乗れるのね、えらいねー」とか言われてしまうと、さすがにどういう顔をしていいのか分からなかった。*1

 

 微妙な気持ちのまま宙路を過ごすこと数時間。

 俺は月面都市、グラナダへと降り立っていた。

 

 スペースポートを出た俺に、一人の男性が声をかけてくる。

 ダーク・コロニーで何度か見た顔だ。

 確か技術関係の人だったか。

 

「ようこそグラナダへ、中尉。

 こちらにお乗りください」

 

「承知した」

 

 了承を返し、そのまま停車してある車に乗り込む。

 運転手は別にいるようだ。

 反対側から男も乗り込み、ドアを閉めると車は静かに走り出した。

 

「さあ、参りましょう。

 ジオニック・グラナダ支社へ」

 

 

 

 特に問題もなくジオニック社に到着した俺は、同乗していた男に私物の入った荷物をそのまま預け、指定された部屋に向かう廊下を歩いていた。

 さすがグラナダの工場というべきか、かなり大きい。

 とはいえ、モビルスーツを生産する工場であることを考えると、これぐらいは必要なのかもしれない。

 そんなことを考えながら、目的地へと到着。

 部屋のプレートには第6応接室と書いてある。

 応接室多いな。

 そんなことを考えながら、()()()()()()()扉を開けた。

 

 中にいるのは一人。

 ()()()()()()()赤い軍服に身を包み、シャア・アズナブルがそこに立っていた。

 

 ほんと何なんこいつ?

 

 俺の方を、ルナボールのバイザー越しに*2視認したシャアは、「やあ」と手を挙げた。

 

 ……一応俺、復員したてのお前の上官なんだぞ。

 まあ今更なので構わんが。

 前々から分かっていたが、こいつはフリーダム過ぎる。

 ガルマのことを笑えんな(根がダイクン家の王子様だな)

 

「久しぶりだなエルンスト。

 1年半ぶりといったところか。

 だいぶ背が伸びたな」

 

 そっちはあまり変わらんな。

 地球での生活を満喫してきたんだろう。

 ララァと会ったのか(ジ・オリジン展開なのか)までは知らんが。

 

「そういうお前は相変わらずっぽいな。

 地球帰りの割には元気そうだな。

 地球の生活はもう飽きたか?」

 

 そう言うと、シャアは若干の苦笑を漏らす。

 

「悪くはなかったんだがな……」

 

 あ、これは本音っぽいな。

 そのまま戻ってこずに、ジオンと無関係に生きてれば良かったのに。

 絶対お前の人生的にはそっちの方が幸せだぞ。

 

「まあ、戻ってきたことは歓迎する。

 ようこそシャア()()

 

 そう。

 こいつの現在の階級は准尉である。

 一兵卒からならもっと下からになるはずだったのだが――。

 士官学校卒業直前の退学でありその成績が次席であること。

 地球でモビルワーカーの操縦に携わった経験があること。

 それに加えてドズル大佐の口利きがあったことにより、少尉*3より一つ下の准尉から始まったというわけだ。

 

 そりゃオルテガとマッシュ(同じ階級の准尉)がいきり立つわ。

 

 ともかく、現状こいつは俺の監督下である。

 こいつを引率するのが、今回の俺のお仕事ということだ。

 

「再会直後に早速で悪いが、ブリーフィングに入っても?」

 

「承知しました、中尉殿」

 

 シャアが敬礼する。

 軍人モードとして公私を弁えたってことなんだろうが……。

 なんだろうな、お前に敬礼(勝利の栄光を君に)されると、違和感が凄いわ。

 

 

 

 数十分後。

 ブリーフィング自体は、俺がラル大尉から説明を受けた物と大差はないため、説明自体はあっさりと終わった。

 

「質問、よろしいでしょうか中尉殿?」

 

「その取ってつけたような敬語止めろ。

 気持ち悪くてかなわん。

 で、何だ?」

 

「我々2機を先行させる意味は?」

 

 ああ、まあ普通は気になるよな。

 

「本隊の方に()問題児がいてな。

 最初から行動すると間違いなくお前に絡む。

 かといって作戦前にお前を単独行動させるわけにもいかない。

 これでいいか?」

 

 言外に「お前も問題児だよ?」と籠める。

 シャアは「ハハハ」と笑った。

 

「ならばエルンストは、私のお目付け役ということになるか?」

 

 本当に図太いなこいつ。

 

「まあそうなる。

 一応、他に意義もある。

 先行した俺たち2機の存在を、もし敵が感知した場合、敵がどう行動するのか出方を窺う。

 俺たち2機と、後続の4機が別行動なら、敵が予定外の対応をしてきても、合流前にある程度柔軟に対応できる」

 

 2機だと感知される可能性は低いだろうが、後続の4機が感知された場合、ミノフスキー博士とのランデブーポイントがズレる可能性がある。

 そうなったときの修正役として、どのみち先行する人員は必要だ。

 

「他に質問は?」

 

「質問という点では特にないのだが……」

 

 何か引っかかる言い方だな。

 

「その後続の部隊というのは、どれぐらい()()のだね?」

 

 あー、なるほど。

 今のところ、シャアは復員したての准尉、しかも一介のパイロットでしかない。

 戦闘データを直で見られる権限なんて与えられているはずがないか。

 

 時間を確認する。

 作戦前に睡眠と食事をとることを計算に入れている以上、開始までにはそれなりの猶予はある。

 連携が必要かは分からないが、味方機がどれぐらい動けるのかを知っておくのは無駄じゃないだろう。

 

「いいだろう。

 開発チーム中尉、エルンスト・ヴァルツァーの権限をもって、シャア・アズナブル准尉に模擬戦映像の閲覧許可を出す。

 ただし、作戦開始は10時間後だ。

 戦闘データを見過ぎて寝ていないとかは言うなよ?」

 

「ありがとうエルンスト。

 しっかりと休息は取るさ」

 

 10時間後。

 シャアが若干ひきつった笑顔で俺に声をかけてきた。

 

「エルンスト。率直に聞きたいんだが……。

 

 君は本当に人類か?

 

 本当に失礼だなお前。

 

 

 

 

 そして出立したシャアとの共同出撃は、流れそのものにおいては本編(ジ・オリジン)とはあまり変わらなかった。

 

 精々、合流場所を変更しようとするシャア*4に対し、移動する旨を残した、暗号式のメッセージビーコンを残して移動したぐらいである。

 

 まあ、流れに変化が無いのは仕方ないことだろう。

 

 後続のラル大尉率いる4機だけが敵に感知されている*5以上、敵が1個中隊しか出さないのは原作の流れと同じである。*6

 

 いや、仮に俺たち2機も合わせて6機が感知されていたとしても、12機いる鉄騎兵中隊だけで大丈夫だと連邦は判断しただろう。

 常識的に考えれば倍の数である。

 実際にはその倍でも足りなかっただろうが、相手にそんなことを察しろというのも無理である。

 

 よって、状況がどうなったかと言うと――。

 ラル大尉率いる5機が大暴れしている中に、狙撃砲を持った俺の狙撃が入っただけだ。

 

 どう見てもオーバーキルである。

 

 ご愁傷さまとしか言いようがない。

 鉄騎兵中隊の母艦も、ジ・オリジンのようにシャアがブリッジを破壊する前に、俺がエンジンを撃ち抜いてしまい、撤退の判断をする前に景気よく爆散してしまった。

 悠長に浮かんでるのが迂闊だと思う。

 

 最大の変更点はひとつ。

 

 オーバーキルに()()()()()おかげで、ガイアが敵をいたぶる間もなく敵が全滅してしまった。

 結果としてミノフスキー博士がガンキャノンの下敷きになることなく、無事に俺たちに確保されたのだ。

 

 これは正直、今後にどう影響するのか予想がつかない。

 ただ、俺の考える限りでは、悪いことには転びそうにないのが救いだろう。*7

 

 様々に存在するガンダムの世界線には、ミノフスキー博士が亡命に成功しているというか、とっくの昔に連邦に亡命しているという設定の物もある。

 その場合、博士は教え子と共に、ある技術を連邦で開発する。

 エネルギーCAP。

 ガンダム(RX-78)のビームライフルに使われる技術である。

 

 ミノフスキー博士が亡命に失敗して亡くなった、ジ・オリジンでもガンダムが開発されている以上、博士の教え子のテム・レイが中心となって遅かれ早かれ開発はされるのだろうが、これがジオンで早期に開発できたとすれば、戦局にかなり大きい影響が出るかと思う。

 

 ただ、確実に開発されるかと言うと、上がこのまま、博士に再度、技術の開発をさせるのかが分からない。

 現在のジオンでは、融合炉の小型化が終了したこともあり、ミノフスキー博士の価値は相対的に低下している。

 

 正直、この亡命阻止作戦も、本命は『連邦製のモビルスーツとの実戦による、ジオンの力を見せるためのデモンストレーション』だったと俺は思っている。

 理由としては、ジ・オリジン本編における、グラナダ市長に対してのキシリアの言動がひとつ。

 もうひとつは、ガイア相手にそのキシリアから「ミノフスキー博士の命優先」という指示が出ていなかった様子だからだ。

 指示が出てたらあんな嬉しそうにガンキャノン追いかけまわしてないだろう。

 でもなぁ、連中(兵隊ヤクザども)だからなぁ……。

 

 少し話がズレた。

 まあそういった理由で、ミノフスキー博士が再び研究に携わるのかまでは俺には分からない。

 今後、ずっと軟禁される可能性も普通にあるだろう。

 そうならなかったとしても、ミノフスキー博士がジオンで研究を続けることを承諾するかも別の話だ。

 拒否した場合はやはり軟禁だろう。

 

 一応、俺やラル大尉が作戦に参加して()()した以上、秘密裏に暗殺といった行為は取りづらいはずだ。

 それでもキシリアならやりかねないとは思うが、そこまでしてあの爺さんを無理に暗殺する理由もないだろう。

 

 そんなことを考えながら、俺たちはグラナダのジオニックにまで帰投し、今回の功績をもって俺は大尉に昇進することになる。

 俺、先週昇進したばかりなんだが。

 

 まあ2階級一気に昇進して中尉になったシャアよりかはまだ常識的なのだろうか。

 

 

 そして、その数日後。

 

 U.C.0078 10月24日。

 

 ジオン共和国は公国制への移行を決定し、同時に連邦からの独立を宣言した。

 戦争へのカウントダウンが完全に始まった。

 

 俺の知識によれば開戦は1月3日。

 俺とラル大尉は、それまでに複数の部隊編成を完了させ、モビルスーツに触れたこともないような新兵たちの訓練を終わらせなくてはならない。

 

 クソ忙しい2ヶ月(デスマーチ)が始まる……。

 

*1
笑えば良いと思うよ。たとえ引きつっていても。

*2
リノからもらったものか、新調したものかは不明。グラサンで良いと思うけどな。

*3
士官学校上位卒業生が最初に任命される階級。

*4
一応、俺の許可は求めてきた。

*5
おそらく、『黒い三連星』の操縦が雑なこともあり、振動センサーから場所を推定され、レーダーに引っかかったと思われる。

*6
本編でもシャア機の存在を把握されていなかった。

*7
テム・レイの敵愾心もそこまで煽られないだろうし。




実績解除:シャアにドン引きされる。

ミノフスキー博士がエネルギーCAPをジオンで開発してくれたらゲルググの配備早まりそうなんですが、作中で描写した理由により、多分開発してくれないと思うんですよね。

次からはようやく開戦に入れるかな。
映像版オリジンだとIVの1話で終わるエピソードに、一体何話かけているのか。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。