超人スペックで転生させられた俺はせめて正しい敗北を選びたい   作:正樹

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何とか書けたので投下します。

これまでと違って結構早く作中時間が流れるので、駆け足気味になってしまっているかもしれません。
この時期は原作でも効果序盤からオデッサまで無茶苦茶グダグダしてましたから……。


第15話 北米降下からの社畜ロード

 

 

 レビル将軍の演説に、なんか腑に落ちない部分が追加されてはいたものの、その後の展開自体は俺の知っている通りとなり、1月31日、南極にてジオンと連邦による戦時条約、いわゆる南極条約が締結され、戦争は継続されることとなった。

 

 その後のタイミングで、ガルマ率いる俺たちは地球出陣のあいさつに公王庁を訪れたのであるが、姿を見せたデギン公王はブチ切れていた。

 ガルマが若干怯えるレベルである。

 

「奮闘せいガルマ!

 恩知らずどもを黙らせてやれ!

 好戦的な地球人たちを徹底的に叩きのめしてこい!」

 

 そりゃあんた、ギレンとキシリアの思惑には気付かなかったのは仕方ないにしても、敵のレビルを信じすぎだよ。

 

 ジオンと連邦の関係が悪化していく中、普通にレビルはジオン駐留連邦軍のトップとして居座り続けた人物なのである。

 これで性格が清廉潔白であるならば、そもそもジオンと連邦の関係はここまで悪くなっていない。

 暁の蜂起のタイミングで、連邦軍が独立デモを行う住民に実弾発砲した時も止めなかった奴だ。

 そういうことを失念していたのだろう。

 

 ギレンが「老いたな」と評するのも仕方ない。

 

 おそらく、演説で(少年兵)の存在を非難しておきながら、ホワイトベースが原作と同じ展開となったら、「9歳と15歳は違う」とか「ジオンの独裁に立ち向かう健気な少年兵」とか言い出して、普通に軍属にするだろう。

 西暦どころか宇宙世紀の感覚でも15歳は少年扱いであることもそうだが、そもそも俺が志願兵の士官学校出身であることなど向こうは百も承知で、「それはそれ」と都合よく使い分けるはずだ。

 そんな狸親父をよく信じる気になったもんだなと。

 

 まだゴップ大将の方が話通じると思う。

 

 

 

 デギン公王への挨拶は、公王の剣幕にガルマが気圧されるという展開はあったものの無事に終了した。

 とはいえ、俺たちもすぐに地球に降下するわけではなく、ジオン軍の宇宙要塞ソロモンに移動し、そこで最終準備を整えることになる。

 

 まあ、降下予定は3月なのでそれなりに余裕はあり、その間に地球から一旦戻ってきたマ・クベ中将との面識も持つことができた。

 詳細な会話内容はともかく、要は『ガルマに便宜を図るのはドズル・キシリア双方に共通した意向なのだから、(エルンスト)をドズル閥と思わず、ガルマ直属と思ってもらい、協力し合っていこう』という話だ。

 

 これでガルマに対しては、本編(ファースト)以上の手厚い支援が受けられるだろう。

 ただし取引として、定期的に俺がパイロットとして、ヨーロッパ戦線に出張することになるだろう。

 少なくとも、いずれ降りてくる『黒い三連星(兵隊ヤクザ)』よりは便利で使い勝手のいい戦力として働くつもりなので、マ・クベに損をさせる気はない。

 

 マ・クベが大佐(ファースト)じゃなくて中将(ジ・オリジン)であることから、自身の好悪よりも、メリットのある取引を優先すると思っていた俺としては、悪くない関係を構築できたと思っている。

 

 

 

 そして3月1日。

 

 ジオンの地球降下作戦が開始された。

 第1次降下作戦で降下するのはオデッサ担当の部隊であり、北米担当の俺たちでない。

 俺たちが降下するのは第2次降下作戦からになる。

 とはいえ、第1次と第2次はそれぞれ、作戦としては独立しているため、基本的にはタイムスケジュールは別段変わらない。

 

 幸いと言っていいのか、予想通り、数日でジオンはオデッサ近郊を無事制圧した。

 

 それから数日が経過した3月11日。

 第2次降下作戦の日がやってきた。

 とはいえ、ガルマ・ザビ付の中佐である俺が、いきなり先陣を切るのはさすがに不可能である。

 

 キシリア閥でも屈指のまとも人材と評される、闇夜のフェンリル隊とは接触ぐらいはしておきたかったのだが、残念ながら無理であった。

 通信経由で彼らに作戦を説明しているガルマの、背後にいる俺の姿が向こうに見えたぐらいだろう。

 

 その後、俺が降下したタイミングでは、まだ攻略目標であるキャリフォルニアベースは激しい抵抗を見せていた。

 そのため、俺も白銀に塗装したザクⅡで出ることとなったんだが……。

 

 慣らしの時点でも思ってはいたんだが、()っも。

 

 ザクⅡ、地球重力(1G)下では重すぎである。

 

 まあ、本来の目的が宇宙空間での艦艇攻撃を最優先に設計された機体だから仕方ないのではあるが。

 AMBACや宇宙用の制御スラスターがただ使えなくなった分、メインスラスターと単純な足回りだけで移動しなくてはならなくなった分、宇宙との落差が酷い。

 

 まあそんな酷い状況のザクⅡでも、61式戦車程度なら特に苦労はしない。

 だが、いずれはそんなことも言ってられなくはなるだろう。

 

 味方が攻略に手こずっていた防御陣地を援軍として沈黙させ、味方のザクが敵基地に突入していく様を見ながらそんなことを考えていた。

 

 あれだけマスコミに騒がれたせいだろう。

 『白銀』の知名度は抜群に高く、味方の戦意は非常に高い。

 地下施設も別ルートから侵入したフェンリル隊が押さえたことだし、とりあえず、北米降下作戦の第1段は無事終了したというところだ。

 

 そんなに時を置かず、ニューヤークの攻略も始まるだろうが、それまでにせめてザクⅡは地上戦仕様(J型)にしておきたい所ではある。

 

 尉官程度の階級だと、MS開発の陳情も難しかったが――というか、ブグとザクⅠ以外に開発している余裕などなかったが――、今は佐官の身でありガルマの副官として北米戦線でもほぼNo.2といった立ち位置だ。

 

 新型の要望はこまめに出したいとは考えてはいる。

 でも、極論言ってしまうと、いくら新型が開発されても携行ビーム兵器の登場で、前提が全て崩れ去るのが虚しい。

「敵が携行ビーム兵器を使ってくる前提で新型開発してください」って言ったところで、信じてもらえないだろうからなぁ。

 精々、新型モビルスーツに改良点を述べていくぐらいしかないのだ。

 

 コネと地位を最大限利用しても、無い袖は振れないのである。

 

 

 

 それから数日して、ニューヤーク攻略作戦が発動されたが、キャリフォルニアベースを失って混乱の最中にあったのか、連邦がろくに抵抗できなかったらしい。

 作戦発動後、間もなく陥落し、俺の仕事もないまま終わってしまった。

 

 余談であるが、エッシェンバッハ氏はロサンゼルス市長(ジ・オリジン版)ではなく、ニューヤーク市長(ファースト)であった。本当に中途半端に混ざっているからややこしい世界線である。

 

 キャリフォルニアベースとニューヤーク基地を押さえてしまいさえすれば、現状としてジオン北米軍は、ゲリラ的な活動をする連邦軍に対応する以外に軍事作戦が特にない。

 よって、俺の仕事は『キャリフォルニアベースでのモビルスーツ開発におけるテスト』、『ニューヤーク基地に常駐するガルマの補佐』、『たまに来るマ・クベ中将からの傭兵要請によりヨーロッパ転戦』ということになる。

 

 むっちゃ忙しくない?

 

 とりあえず、グフのフィンガーバルカンは正式量産前に待ったをかけておいた。

 とはいえ、全く使えないわけではない。

 数々のネット媒体で酷評の嵐ではあるが、格闘戦を行いつつ、敵機への牽制や中距離への攻撃に関しては悪くない武器ではあるのだ。

 

 取り扱いがクソ難しい(熟練以外お断り)以外は。

 

 ついでに、フィンガーバルカンが設置されている方の手でザクを殴ったら、砲身が歪んで使用不能になるという弱点も露呈した。

 格闘戦を念頭に置いといてこれは駄目だろう。

 テストも兼ねて、新兵がやりそうな行動を一通り取っただけではあるが、整備員たちが悲鳴を上げていた。

 本当に申し訳ない。

 

 基本は普通のマニピュレーターとし、希望者にはオプションでカスタムする仕様へと直させておいた。

 グフ・カスタムのように盾に仕込め、盾に。

 キャリフォルニアベースに出向してきていたジオニックの開発者が恨めしそうな目をしていたが、理論優先で出すからこういうことになるんだ。

 ツィマッドの開発者も出向してきているが、どちらももっと幅広い現場の意見を聞いて欲しい。

 

 

 そういった感じで、新型開発に積極的にかかわっている以上、俺の機体は割とコロコロ変わっているのが現状だ。

 

 ザクⅡから陸戦型ザクⅡには即座に乗り換えになったし、それすらも5月には先行量産型のグフ*1に乗り換えとなった。

 1ヶ月ぐらいしか乗っていないし、出撃回数も数えるほどである。

 ちなみに、グフも長くは続かず、乗ったのは2ヶ月ほど。

 ただ、こちらはそれなりに活躍できたと思う。

 

 まずグフのデビュー戦になったのが、かの有名(?)な、鹵獲したザクで騙し討ちをしていた(舐めた真似をしてくれていた)セモベンテ隊の殲滅である。

 

 鹵獲ザクで騙し討ちをしている部隊(MS IGLOO)の存在を俺が知っている上、原因不明のまま物資集積所が壊滅した以上、2回目を許すはずがないだろう。

 きちんと網を張り、第67物資集積所を敵が襲った瞬間、俺と部下のザクで一網打尽にした。

 ザクに掩護をさせ、俺のグフが接近してヒートロッドとヒートサーベルで叩き切る作戦である。

 敵にビーム兵器(ジム)がないため、これが実によく嵌ってくれた。

 

 実戦におけるグフとザクとの戦闘データも得られたし、悪くない展開だったと思っている。

 

 余談ではあるが、結果として、本来ならば死亡するはずであったデメジエール・ソンネン少佐は無事生存。

 つつがなくヒルドルブ*2のテストを終えて、宇宙へと帰っていった。

 テストしていた第603技術試験隊の報告を、ジオン本国がどう受け止めるのかは知らないが、ソンネン少佐が生存しようと、おそらくヒルドルブの採用はまずないと俺は見ている。

 

 ベテラン中のベテランであるソンネン少佐レベルじゃないと機体の性能を生かせない*3というのは致命的だろう。

 

 

 話が逸れた。

 

 次にグフで俺が主に戦ったのは、5月下旬に発動されたトライデント・ジャベリン作戦(連邦軍中東方面軍司令部攻略作戦)になる。

 ドズル閥(トライデント)キシリア閥(ジャベリン)の息が合わなかったことで有名なこの作戦であるが、俺の乗機がグフだったこともあり、マ・クベ中将はあっさりと俺をアフリカ方面軍(トライデント作戦)への援軍として認めた。

 マ・クベ中将との約束により、彼に要請されたら、どちらの作戦であろうと行くつもりではあったのだが。

 

 まあジャベリン作戦は海からの作戦であるため、早々にゴッグに乗り換えるようなことがなくて安心した。

 キャリフォルニアベースでゴッグのテストも行ったが、重いし俺の戦い方には合わないんだよな。

 

 

 そんなトライデント作戦ではあるが――。

 連邦側の戦力はいまだ旧式のガンタンクと、最初期型のガンキャノンであったため、俺がグフに乗っている以上、スミス海の戦いを越える残虐ファイトが展開されることとなった。

 グフの脚力に、連邦の照準が追いついていない。

 ブグやザクⅠの時ですらそうだったのだから、当たり前である。

 

 弾を避けながら接近し、ヒートサーベルで一刀両断。

 距離を取ろうとすればガトリングで狙い撃ち。

 この繰り返しである。

 

 結局、トライデント側が先行しすぎてしまい、連邦軍の司令部があるエルサレム前でジャベリン側をしばし待った後、両軍総攻撃でエルサレムを落とした。

 手柄に関しては(ドズル)(キシリア)で共有という点では、仲自体は険悪ということでもないようだ。

 

 そんな感じで、各地で俺のMSが出没しては暴れていたため、連邦軍では『白銀の亡霊』とか言われているらしい。

 いないはずのところに現れたりするからだそうだ。

 

 失礼な話である。

 亡霊じゃなくて、ただ酷使無双されている軍人なだけだぞ。

 

 

 そして、キャリフォルニアベースに戻った俺を待ち構えていたのは、さらなる機体の乗り換えであった。

 

 MS-08TX イフリート。

 

 テスト運用をしてみたところ、ようやく俺がそれなりにではあるが、まともに動かせるモビルスーツを出してきたなツィマッド、という感じである。

 こいつの運用データを参考にドムが作られるらしいが、ドムはクッソ重そうだしこの機体のままで良いかもしれないな。

 

 

*1
グフ・カスタム同様のガトリングシールド仕様。

*2
モビルスーツと戦車の中間。モビルタンク。異様に強いが、同時に操縦も異様に難しく、生産コストもべらぼうに高い。

*3
その上で、MS適性試験に落ちている戦車乗りなんて、何人いるんだ?




OVA版でのタイミングと違いますが、南極で講和条件が結ばれようとしている(レビル演説の)タイミングで、地球派遣軍がデギンに挨拶に訪れるのは違和感があったため、多少時間をずらしました。
その場にギレンもキシリアもいたので、映像版だと誰もレビルの演説見てないよこれ……w



主人公くん、原作知識はあるけど、それを活用できるかと言えば立場と地位に制限かけられて、『できることしかできない』の図です。
ですので、ブリティッシュ作戦は止められませんし、戦線の拡大も意見できる立場ではないですし、ジム登場を見越して対ビームコーティング済のシールドを要望しても、ガンダムが確認されるまでは「何言ってんだこいつ?」で終わってしまう感じです。


また、感想にて「レビルはアムロ使えないのでは?」という声を良くいただきましたが、私の解釈および、本作の設定ではレビルは相当な食わせ者です。
「連邦の少年兵は独裁に立ち向かう良い少年兵」ぐらいは平気で言うと思っています。


それと申し訳ありません。
これまで、感想にて返答をさせていただいておりましたが、返答に要する時間が1時間を越えたりしてきまして、負担が無視できなくなってしまいました。
ですので、申し訳ありませんが今後、返答は控えさせていただきたく思います。

無論、感想は全て拝見させていただいておりますし、大変な励みになっております。
不義理なことをしてしまい、申し訳ありません。
よろしければ、今後も拙作にお付き合いいただければ幸いです。
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