超人スペックで転生させられた俺はせめて正しい敗北を選びたい 作:正樹
何でまた1万字超えてるんですかね?
仕方が無いのでまた前編後編に分割となりました。
こちらは前編となります。
みんな分かりきっていたであろう答え合わせ編です。
ホワイトベースへの補給を無事に終え、ダラスから車で東に進むこと3時間。
テキサス州からルイジアナ州へと州境を越えて、更に30kmほど。
ホワイトベースから350kmほど離れた都市、シュリーブポート。
そこにあるシュリーブポート地域空港にルードヴィク軍曹の乗っていた車が停まっていた。
車から降りた子供が、停めてある民間仕様のリージョナルジェットへと歩き出す。
飛行機に1人で乗り込んだ子供へと、横から声をかけるものがあった。
「お疲れさま」
育ちのよさそうな顔立ちで、ジオン公国軍の士官服を着ている。
ジオン公国、地球侵攻軍北米方面司令官、ガルマ・ザビ大佐である。
大佐に声をかけられた子供は、着ていたパーカーを脱ぎ捨て、到底子供の浮かべる類のものではない、ニヒルな笑みを浮かべた。
「
お前自らこんなとこに来なくても良かっただろうに」
「そう言うなよ
友人にして副官の君をねぎらうのは当然のことだ」
迎えの飛行機には誰も乗っていないはずだったのに、なんでガルマがここに来てるんだろう?
ガルマの横にはシャアもしっかりついて来ている。
こいつら暇か、暇なのか?
そう思いながらも、用意されていた軍服へと着替えながら、要点だけを報告をする。
正式な報告は離陸した後になるだろう。
「作戦は無事に完了した。
後は現地の天候次第だろうが、じきにジャブロー開口部の位置が割れるだろう。
その時のために備えておく必要がある。キシリア少将に提出できるよう、ニューヤークに着くまでに正式な報告書を上げる」
「助かるよ。
そろそろ発進する。奥で座りながらゆっくり報告を聞こう」
数分後。
「さて、今回の任務の全容から説明させてもらう」
飛行機が離陸し、迂回しながらニューヤークへの航路を取る中で、俺は言った。
「今回の作戦は、準備段階も含めて5つのフェーズから成立する。
1、木馬、正式名称ホワイトベースに消耗戦を仕掛け、連中の物資を漸減させる。
2、同時に絶え間ないハラスメント攻撃により、連中の肉体的、精神的疲労を誘い、判断力を低下させる。
3、実在
そう、連邦軍第137機甲部隊も、ルードヴィク軍曹も、実在して
俺が殲滅したそれを、今回は都合よく使わせてもらった。
本物のルードヴィク軍曹は既にこの世にはいない。
実在の軍籍を使うことで、発覚する危険性は最小に抑えられる。
最悪でも発覚を遅らせることができるだろう。
7年後、シャアがクワトロ・バジーナとして連邦軍に所属するのに使った手を先取りしたとも言える。
ちなみにルードヴィク軍曹役には、俺の部下でジオン訛りが少ない中から、一番演技が上手かった白人男性を起用した。
白人男性なのは、そうでないと俺との親子偽装が成立しないからだ。
なお、当然ながら彼はそのまま現地待機である。
霧の天候の時にホワイトベースに連絡を入れてもらわねばならない。
「4、潜入した
設置端末からハッキングを行い、ホワイトベースのコンピューターに
発動条件は、ジャブローからの誘導をホワイトベースが受信して一定時間が経過し、基地管制に入ったとプログラムが認識すること。
作動内容は、通信機器による機械不調を装った高出力バーストを短時間発生させること」
要は原作、『機動戦士ガンダムZZ』でビーチャ・オーレグとモンド・アガケが行ったことを、より巧妙にプログラムに代行させるという形だ。
潜入してのハッキングも、『ガンダムW』で
身体素質が同じであり、かつ士官学校のカリキュラムやラル大尉との特殊訓練を受けてきた俺に、同じ真似ができないわけがない。
出力される電波は長くても10秒程度。
それを数回に分けて発信した後、プログラムは自壊して痕跡を消す。
補給を得ても万全の状態には程遠いホワイトベースだ。
休息が取れたとしても、依然として優先すべき作業は山のようにある上に、そもそも人材が最初から足りていない。
徹底的な哨戒により、マチルダ・アジャン*1による補給行動も妨害したため、人員の追加もさせていない。
そんな中で、稼働してもいないトロイの木馬を発見することなど不可能だ。
「5、マナウスとカラカスにいる部隊、またオリノコ川とアマゾン川に配備したユーコン級により、電波の発信方向を特定。
4か所からの観測方位を分析。
同時にユーコン級より出撃した水陸両用MSによる目視も含めて、ジャブローの入口を見つけ出す。
以上が作戦の全容となる。
なお、副産物として……」
潜入する際に背負っていたリュックから、玩具に偽装した無音カメラを取り出した。
「ホワイトベースの内部情報、格納庫周りや生活区画周辺の映像を撮ってきた。
これは分析班に回す。
露呈しないことを優先したため、ブリッジやエンジンルームへの潜入は見送った。
以上だ」
そう締めくくった。
なんか、ガルマもシャアも黙ったままなんですが、何で?
たっぷり数秒ほどの沈黙を経て、ガルマがようやく声を発した。
「か、完璧だ……。
ホワイトベースは全くの自覚なく、我々にジャブローの位置を自ら教えてくれる。
キシリア姉さんにも、最高の報告ができるというものだ!」
対してシャアは頭に手を当てている。
「つくづく、君だけは敵に回したくは無いと思うよ……」
割と失礼だなシャア。
まあ、シャアにそういう認識を持ってもらえるのは好都合でもある。
この後の
この後の展開だが、おそらくこの情報から
だが、俺はジャブローの位置が早期に割れたとしても、ジャブローの攻略は不可能だと判断している。
だからこそ、ここまで悪辣な行動がとれたとも言える。
何故かと言うと、単純にジャブローの大きさに対して、モビルスーツの数が全く足りないからだ。
時期的にもオデッサ作戦前であるから、それに備えてマ・クベ中将が大量のモビルスーツをオデッサに集めている真っ最中である。
キャリフォルニアベースで生産されるモビルスーツも、生産されたそばからガウに積み込まれ、オデッサへとピストン輸送されている。
だから、北米にあるモビルスーツは、『若干余裕がある』程度の量しかない。
これですら、俺との取引によるマ・クベ中将からの便宜の結果だ。
俺のブラック労働に対する報酬と考えると少し悲しいが、まぁいいだろう。
南米の部隊など、本当にギリギリのMS保有数のはずだ。
当然ながら『若干余裕がある』程度ではジャブローは落とせない。
落とすつもりなら、最低でも現状動かせる倍、欲を言えば4倍は欲しい。
オデッサ作戦で敗北し、地上における乾坤一擲の賭けに出るしかなかった
キシリア少将の判断待ちになるが、十中八九、宇宙船ドック並びにモビルスーツ製造区画へとターゲットを絞った、オデッサ作戦のための援護をかねた敵施設破壊作戦となると見ていいだろう。
全くの余談だが、みんな大好き(?)ガルシア・ロメオ少将は、この世界に存在していない。
さすがにあの能力で少将に出世するのは、現実だと無理筋だったのだろうか?
まぁ、いたとしても作戦前に
さすがに作中における
「メキシコ湾の周辺に濃霧が発生するまで、それなりの余裕があるだろう。
ガルマは今回の作戦内容をキシリア少将に報告して指示を仰いでくれ。
俺はその後でドズル中将に報告しておく。
シャア、お前はおそらく、ジャブロー攻略戦が発動されたら最大戦力の一角として計算されるだろう。
ザクではきついと思うが……。
ガルマ、キシリア少将に、何か新型のモビルスーツでもないか聞いておいてもらえるか?」
「シャアのための新型か。
分かった、話してみよう」
さすがにシャアをザクに乗せたままでジャブローの戦いに突入するのは、効率が悪いってレベルじゃない。
グフは既に量産が始まってオデッサに送っている関係もあるので、他に良い機体が無かった場合の、最後の手段にすべきだろう。
イフリートはそもそも試作機なので空きが無い。
試作機を改良したドムもあるにはあるが、南米で使用するのはドムの利点を生かせない。ジャブローに入ってからならかなり強いだろうが、ジャブローに入る前が辛いだろうから保留。
ズゴックあたりをキシリアが持ってきてくれることを祈るのみである。
読んでいただきありがとうございます。
結局、やっていたことはZZのビーチャとモンドのパクり(?)でした。
後編もよろしくお願いします。
後編が長くなっちゃったの……。