超人スペックで転生させられた俺はせめて正しい敗北を選びたい   作:正樹

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なんとか書けたので投稿します。

連邦の物量の足音が聞こえてきますね。
ふふふ怖いか。

私は怖い。


第22話 後始末と事前準備

 

 ジャブローからの撤退は、シャアがガンダムを抑え、俺がその他の迎撃を受け持ったため、大きな損害もなく成功した。

 シャアはそのままマッドアングラーに乗り込んでアマゾン川から大西洋に脱出。

 俺はドダイを護衛してくれていた部下たちと共に、攻略作戦司令部となっているダブデまで撤退し、ジャブロー破壊工作作戦は無事に完了した。

 

 侵入した部隊がモビルスーツ製造ラインに明確なダメージを与え、既に生産されていたジムも大量に撃破したことで、オデッサに回るモビルスーツは減ることになると信じたい。*1

 だが、そもそもがオデッサ作戦に回される戦力は、媒体によっては連邦の全戦力の3割とされている。人員数にして770万だ。

 対するジオンの人員は98万。

 ジャブローにダメージを与えた現状、多少はマシになるだろうが、マシになったところで絶望的な戦力差である。

 仮に俺がMSを100機撃破できたとしても、勝敗は覆らないだろう。

 というか、98万人も投入するジオンも大概だとは思うが、770万人投入は完全にレビル将軍の頭がおかしい。

 どうあがいても地獄絵図になるのは避けようが無いだろう。

 

 なお、鹵獲したマドロックはキシリア少将に引き渡しておいた。

 キャリフォルニアベースに輸送後、キシリアが乗艦するザンジバル級機動巡洋艦でオデッサに運ばれた後、そのままオデッサ基地にて解析が行われるそうだ。

 オデッサ作戦までは1ヶ月程度。

 開戦したらおちおち解析している暇なんてないだろうし、解析が間に合わなそうだったら、開戦前に宇宙に打ち上げてるかもしれないな。

 

 

 正式なタイミングはまだ不明であるが、近々オデッサにて連邦軍が大規模な軍事行動を起こすという情報は、既にジオン内部では公然の秘密となっている。

 そのため、オデッサ以外のジオン支配地域でも、オデッサに兵力を回すための動きが活発化している。

 

 つまり――俺の仕事が増える(デスマーチおかわり)ということである。

 

 ジャブロー破壊工作作戦にて無事だったモビルスーツと、北米にて新造されたモビルスーツをオデッサに輸送する手配。

 ガウそのものすらオデッサに必要とされているので、輸送にはユーコン級潜水艦まで使う始末。

 破損したモビルスーツの修復の指示と配備。

 練度の高い人員の割り振り。あまり手練れをオデッサに送りすぎると今度は北米が回らなくなる。

 そして、たまに湧いてくるゲリラの対処。

 手慣れてきた部下たちの助けもあってなんとか回っているが、1人だとやってられないだろう。

 

 

 ちなみにガルマであるが、イセリナ嬢との結婚をデギン公王に願い出る際の応援を、キシリア少将とドズル中将に取り付けることに成功していた。

 

 俺のおかげである。

 

 当初、ガルマは『ホワイトベースを利用したジャブローの位置特定』という戦果を見せることによって、デギン公王にイセリナ嬢とのお付き合いを正式に認めてもらおうとしていた。

 それを俺が蹴り飛ばして阻止したのだ。*2

 

 なんで『家族の恋愛と結婚』の問題で、初手からそんな取引みたいなやり取りをしなきゃならんのだ。

 

 兄姉を味方につけてから直球で体当たりして来いと、まだ北米に滞在していたキシリアのところに、強引に引っ張っていって会談させた。

 ガルマの足首を掴んで引きずってきた時の、「なんだこいつ?」という目が忘れられそうにない。

 だって逃げようとしたんだもん、このヘタレ。

 

 さすがにいざ話し始めると腹をくくったのか、真摯に話し始めて、キシリアの助力を求めていた。

 

 キシリアは一通りの話を聞いた後、俺に「中佐から見て、ガルマの相手はどのように映る?」と聞いてきた。

 俺は「彼女本人に裏はありません。純粋にガルマを好いていると思いますので、問題はないかと」と返しておいた。

 キシリアは「そうか」と答え、しばらく黙考した後で、ガルマに協力することを約束した。

 

 あの時のガルマの嬉しそうな顔は、ガルマと知り合ってから、初めて見たかもしれない。

 

 ちなみに、俺は「イセリナ本人に裏はない」と言ったのは、事実ではあるが全てを語ってはいない。

 確かにイセリナ・エッシェンバッハ嬢本人にはまったく裏はないし、ただの箱入り娘だ。

 純粋にガルマに思慕を寄せている。

 末永く爆発すればいい。

 

 ただし、その父親、ヨーゼフ・エッシェンバッハは別だ。

 彼は大のジオン嫌いであり、ガルマに恭順するふりをしつつも、裏で反ジオンのゲリラへの支援を行っている。

 まあ、ゲリラを支援していることを俺が知っているので、逆に彼の動きからゲリラの活動が読める。

 現状ではわざと泳がせて、ゲリラを狩るのに重宝させてもらっている。

 

 本人からしてみれば、自分が支援したゲリラが片っ端から壊滅していくのはホラーだろうが……。

 

 そういう人物であるため、当然ながらイセリナとガルマの結婚にも反対している。

 彼らの結婚においては、目下最大の障害と言えなくもないだろう。

 

 幸いにして、イセリナ本人はガルマに以前、「たとえ父を裏切ろうとガルマのそばにいる」と言っていた。*3

 つまり『縁が切れようがガルマと共にいる』ということだ。

 ならば適切なタイミングを見計らい、イセリナ嬢を宇宙に上げて、駆け落ち同然にガルマが『いただいていって』も構わないだろう。

 未来の世界で、とある宇宙海賊がそうしたように。

 

 そして、イセリナ嬢が父親のもとから離れたタイミングで、俺がエッシェンバッハ氏に()()()をつけさせればいい。

 その行動が『ゲリラの位置の通報』に等しい結果を招いていたとしても、それは結果論でしかない。ゲリラ支援は無罪放免とはいかない。

 

 父親の末路なんて、知らないに越したことはないだろう。

 

 

 

 

 キシリアとの会談後、俺は即座にドズル中将にアポを取り、通信経由でガルマと対談させた。

 

 ガルマは「キシリア姉さんには話したんだし、ドズル兄さんとはまた後日で……」とかごねていたが、どうせ後回しにすると途端にしり込みし始めるのだ。蹴り飛ばして椅子に座らせた。

 

 ドズル中将との話は予想以上にうまく進み、閣下は「お前が好いた女なら、俺は全力でそれを応援しよう」と言い切っていた。

 さすが、()()()()()()()()()()()()()()だ、面構えが違う。

 なお、ドズル閣下がごねたら、俺はそこをチクチク突くつもりであった。

 

 それから、通信画面にミネバやゼナ女史も入り、俺も交えた歓談となった後、通信は終了した。

 どさくさ紛れにシャアの移籍の件も話しておいたが、「まあ仕方なかろう」となし崩しに許可がもらえたのでよしとする。

 

 ガルマはこの時点で、心ここにあらずと言っていいほど舞い上がっていたので、背中に蹴りを入れておいた。

 司令官にツッコミを入れて正気に戻させるのも俺の仕事なのである。

 

 

 

 ギレン総帥はまあ、ガルマの結婚相手には興味がなさそうだし、後はデギン公王に直接話すだけだろう。

 

 個人的には、ドズルとキシリアを味方につける必要すらなく、「結婚を認めてくれないなら私はジオンを出ます」と公王に言うだけで折れるとは思うんだが。

 どうにもガルマは父親に畏怖の感情が強くて、そういう手に出られないようだ。

 

 そういうわけで、オデッサ前に終わらせておくべきガルマの面倒くさい案件はこれで片付いたと言える。

 

 後はニューヤーク基地に、イセリナ嬢を宇宙へと送り届けるため、キシリア少将の手配したザンジバルを待機させておく程度でいいだろう。

 

 耳を疑うかもしれないが、本当にザンジバルである。

 送迎タクシーならぬ、送迎ザンジバルなのである。

 

 原作でのドズル中将もなかなかやらかしていた*4が、これはザビ家の悪癖なのだろうか?

 エース集めた部隊を作って、戦場に出さずに温存してたような人だし、否定できないな……。

 

 まあ一応、ガルマに「()()()()()()()()()好きに使え」と言っていたので、つまりは俺に「これ使ってオデッサに行け」ということなのだろうと解釈しておく。

 

 

 

 シャアは、そのままマッドアングラー隊の隊長に任命され、現在はインド洋で破壊工作を担当するべく出港している。

 オデッサへの戦力の供出を削るために、そのままアフリカ、ヨーロッパと巡るそうだ。

 このルートだと、インドでララァを拾ったり、ベルファストでカイ・シデンが覚醒したりする展開もあるのかもしれない。

 それはシャアに任せておけばいいだろう。

 

 俺はジャブローをいずれ出港するであろうホワイトベースには関与しない。

 というか、する暇がない。

 ニューヤークを離れられるのも、ゲリラ討伐の時ぐらいである。

 ホワイトベースにヨーロッパに向かわれた場合、関与する権限もない。

 

 同様に、ククルス・ドアンについてもまったく分からない。

 カナリア諸島にいるのか、東南アジアの島にいるのかも不明だ。

 どっちにしろ管轄外なので調べようがない。

 

 話がずれた。

 オデッサ作戦でホワイトベースと遭遇した場合には、俺が相手をする展開もあるかもしれないが、少なくともその時までは遭遇する可能性はない。

 

 まぁ、仮にオデッサに俺とホワイトベースがいたとしても、『黒い三連星(兵隊ヤクザ)』が降りてくるだろうし、連中は間違いなく自分たちと戦わせろとごねる。

 そうしたら、俺はホワイトベースからはそれなりに離された戦線に配属になるのではなかろうか。

 

 ある程度の付き合いがあるから知っているが、あの3人は程度の差はあれど全員、上昇志向とプライドの塊みたいな連中だ。

 『赤い彗星(シャア)』や『白銀()』と戦って、結果的に生き延びているというモビルスーツがあるのなら、絶対に執着する。

 

 とはいえ、連中がガンダムと戦った場合、アムロ・レイが原作ほどの経験を積んでいないことを計算に入れたとしても、勝てる確率はせいぜい3割といった所ではないだろうか。

 

 コンビネーションは秀逸だが、個々の操縦技術に関して言うなら、ラル大尉の方が抜群に上手い。

 連携に対応されてしまったら、ガンダム相手には勝ち目はないだろう。

 相手が対応する前に仕留めるぐらいしか勝ち筋がなさそうではあるが、それを助言したところで聞き入れはしないだろう。

 オルテガがいきり立つだけの結果に終わるのが目に見える。

 だから、「油断するな」と一言言っておけば、それでいいとするしかない。

 それすらも、言ったところで聞くとは思えないんだが……。

 

 オデッサ作戦においては、ホワイトベースよりも大量の連邦軍の相手の方が重要だと見ているので、『黒い三連星』が連中の相手をしてくれるのなら、その方が俺としてはありがたい。

 ジムが何十機出てくるんだろうか。

 何百機とかじゃないといいなぁ……。

 

 

 

 

 そうして、忙しい1ヶ月を過ごした頃。

 ついにマ・クベ中将より援軍の要請が来た。

 何々……。

 

 エルンスト・ヴァルツァー中佐のオデッサ戦線への援軍を望む。

 なお、貴官には独立した遊撃行動のための自由行動権と、必要に応じ暫定的な現場指揮権を与える。

 

 マ・クベ中将、だいぶ奮発したなぁ。

 逆に言うと、酷使無双されることがほぼ内定したような気がしないではない。

 ただし、少し気になるのが次に続く文である。

 

 また、乗機については現地にて供与するものとするので、単身にて来られたし。

 

 イフリートは持ってくるなと来たか。

 

 たしかにオデッサ周辺を駆けずり回るのなら、イフリートだと移動速度の制限があるかもしれない。

 ドムでも回してくれるのだろうか?

 確かにホバー走行ならばオデッサ全域をカバーしやすいと言える。

 でもあれ、試作型を乗り回したけど、操作性が重いんだよなぁ。

 

 とはいえ、ドムじゃなくてアッザムとかだったらさすがに嫌だな。

 もしアッザムなら、さすがにニューヤークに帰ることも辞さない。

*1
ジム撃墜のメインは俺であるが、侵攻部隊も中々に頑張ってくれた。

*2
手加減はしたが、物理的に背中を蹴っ飛ばした。

*3
原作でも言っている。

*4
私怨でランバ・ラルを派遣して全滅させ、さらに私怨でコンスコン艦隊を派遣して全滅させた。




読んでいただきありがとうございます。

オデッサまでホワイトベースは放置ですが、多分赤いのがちょっかいかけたり、現地勢とバチバチやり合ったりして、経験値は稼いでいると思います。


そろそろ連邦の物量に押し潰される戦争が始まりそう。
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