超人スペックで転生させられた俺はせめて正しい敗北を選びたい   作:正樹

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なんとか書けましたので投稿します。

開戦まで行けませんでした_(:3 」∠)_


第24話 開戦直前

 

 

 

 俺が機体を受領してから数日が経ち、機体装備の換装も無事終わった。

 予備の交換武装も確保してもらえたあたり、整備兵にも補給員にも頭が下がる思いだ。

 

 俺に合わせたカスタマイズが完了した機体の慣らし運転を終えて、俺が帰還した直後のことである。

 整備の指示をしている俺の背中に声がかけられた。

 

「よーう、中佐殿。

 ルウムの祝勝会ぶりだな!」

 

 この敬っているようで、全然敬っていない口調。

 俺はゆっくりと振り返った。

 

「やっぱり()()()も来たか」

 

 声をかけてきたガイア大尉率いる、『黒い三連星』がそこに立っていた。

 

「当たり前だ。

 こんな楽しい()()()()()に来ないなんてことがあってたまるかい」

 

 パーティー……ねぇ。

 連邦の戦力を知っていたら、全く笑えないんだが、こいつらマ・クベ中将から敵戦力の推定値とか聞いていないんだろうか?

 キシリア少将の推薦を受けて、そのまま降下してきたのなら、あり得る話だから困る。

 仮に、全部分かった上で言っているのなら大したものなのだが、どうにも相手の強さ()が分かっていないっぽいんだよなぁ……。

 

 ついでに、ニヤニヤとした顔つきを見る限り、ルウムからまるで成長してなくないかこいつら?

 地上最大の激戦区になる予想の基地に着任しているというのに、緊張感のかけらも感じない。

 

「それにしても偉くなったもんだな、あの時のちっせぇ新任少尉がもはや中佐殿だからな!

 あ、ちっせぇのは今もだったか。すまんすまん!」

 

 ……まるで成長していないどころか、悪化してないかこいつ(オルテガ)

 

 延髄に蹴りでも叩き込んでやろうかとも思ったが、これでもこいつはエースパイロットの1人だ。

 それでMSに乗れませんでした、なんてことになったら困るので自重するしかない。

 

 苦笑する俺をよそに、マッシュが続ける。

 

「それはそうと、中佐殿。

 あんたや赤い彗星が()()()()()()モビルスーツがいるって聞いたんだが?」

 

 バイアスがかかりすぎではないだろうか。

 本当に、どこ経由で話を聞いたんだ?

 キシリア少将経由なら、そういう情報の歪み方はしていないはずなんだが……。

 

「取り逃がした、は正確じゃないな。

 ジャブローの位置を知るために泳がせた、が正しい」

 

「でも結局ジャブローは落とせなかったんだろぉ?

 お前とシャアが揃ってて!」

 

 オルテガの言い草に、俺は頭痛がしてくる気がした。

 キシリア少将(お前らの上司)指揮下で、成功した扱いの作戦なんだぞこれ。

 

「あれは今回の戦いのための破壊工作作戦だ。

 報告書ぐらい読んどけよ……」

 

 オルテガが吠える。

 

「ともかくだ!」

 

 ともかくじゃねぇよ。

 聞けよ人の話。

 

「そいつさえ倒せば、あの赤い野郎よりも俺たちが上ってことだ!」

 

 いつまでルウムのことを引きずってるんだ……。*1

 オルテガの雄叫びにマッシュが続く。

 

「まあオルテガの言い分は乱暴だが、()()()()()()だ。

 そいつは俺たちがいただく!」

 

 ガイアが俺の肩をポンと叩いた。

 

「なので手を出さないでもらいたいですねぇ、エルンスト中佐殿」

 

 まあ、お前らがそのつもりなら別段止めるつもりはないんだが……。

 こんなのでも、モビルスーツ戦術構築で1年近く過ごした間柄である。

 最低限の助言ぐらいはしてやっても罰は当たるまい。

 

「一応は言っておく。

 ガンダムの戦闘力を侮るなよ。

 あのパイロット、素質だけなら俺と同格だと思っておけ」

 

 真摯なアドバイスのつもりだったが、『黒い三連星』は笑い出した。

 笑いながらガイアが返す。

 

「そいつはいい」

 

「ならそいつを倒せばお前よりも上ってわけだな!」

 

 オルテガの発言を聞いて、俺は心の中で静かに嘆息した。

 あ、これは駄目っぽいな……。

 

 宇宙でずっと()()()()()()()()()な状態だったからか、俺と模擬戦やってたころの()()()()()()()()()の感覚を忘れてしまっている。

 無条件に『自分たちが倒せない敵なんていない』と信じ切っている。

 俺のニュータイプとしての勘も告げているが、これではホワイトベースとガンダムには勝てないだろう。

 連携自体は上達しているのだろうとは思うが、まだルウム戦役のころの方がプレッシャーがあった。

 ()()はなったが、()()なっている。

 そう感じる。

 

「まあ好きにしろ。

 俺は警告はしたからな」

 

 笑いながら去っていく、『黒い三連星』を見送ってから、俺は深くため息をついた。

 冷たいようだが、あいつらにはホワイトベースの相手をしばらくしてもらうだけでも十分だと考えておこう。

 

 

 

 そして翌日。

 

 結局、ほぼ原作通りの展開になっていたらしい。

 

 ガンダムをジェットストリームアタックで追い詰めはしたものの、ミデアの邪魔が入り、マッシュ中尉が戦死。

 ガイア大尉とオルテガ中尉の機体は武器を失い、撤退したとのことだ。

 

 ミデアがいたということはマチルダ中尉も戦死したということなのか?

 さすがに連邦陣営の戦死者までは分からない。

 

 連中も俺に顔を見られたくないのだろう。姿が見えない。

 だから話は、随伴していたドップのパイロットたちから聞くことになった。

 こういう時、横のつながりが広いと助かるんだよな。

 

 戦闘記録の映像も交えつつ、話を聞いていく。

 向こうの戦力はガンダム、ガンキャノンにガンタンク……ふむふむ。

 おそらくGファイターと思われる戦闘機に、()()()()()に、()()()()()()()()()()()()……。

 

 ん?

 

 ホワイトベースにジム合流しとるやん。

 

 え? ここジ・オリジン展開なの?

 たぶんスレッガー・ロウ中尉だよなこれ?

 

 しかも小型戦闘機(コアファイター)って……。

 リュウ・ホセイ生きてるんじゃないか?

 

 ああ、いや。

 それはそこまで不思議じゃないのか。

 

 俺の影響でガルマが死んでない以上、ラル大尉が地球に降りてくる理由がない。

 そうなると、原作においてリュウが死ぬエピソードは全てカットだ。

 

 ジャブローの戦いでも、ホワイトベースの機体が落とされたという報告はなかった。

 俺との戦いで、俺がコアファイターを叩き落としていない以上、道中の戦闘でも彼が命を犠牲にするような戦いはなかっただろう。

 

 俺の知らない所でシャアがちょっかいでも出していない限りは、だが……。

 まあ今のあいつはキシリア少将の直属だ。

 命令があれば、まだホワイトベースの相手もしなきゃならんだろうしなぁ。

 

 まぁ、ここは生きていると仮定して考えるとしよう。

 で、リュウ・ホセイが生存(推定)しているのに、推定スレッガー・ロウが補充されてきたと。

 元々から人員が少なすぎたホワイトベースなので、補充自体はさほど変な話ではないか。

 

 とはいえ――。

 そりゃ人員に余裕できたよね。

 ついでに、リュウが死んでいないとなると、ブライト・ノアがメンタル崩壊からの過労で倒れることもなくなったわけで……。

 

 それは、アムロの経験が若干足りないのに、『黒い三連星』が敗退したってことにも納得だわ。

 アムロの経験以外の点なら、ホワイトベースの戦力は原作より高いじゃないか。

 

 というか『黒い三連星(あいつら)』、事前情報よりモビルスーツが1機多かったのに、そこに突っ込んだのか……。

 

 まあ、予想よりもホワイトベースの戦力が増えたところで、戦局自体に劇的な変化はもたらさないだろう。

 いや、マ・クベ中将にとっては頭の痛い問題だろうが、『最初からホワイトベースが大暴れする』という前提でいる俺にとっては、変化は微々たるものだろう。

 

 

 そんなことを考えていた時だ。

 基地内に非常警報が鳴り響いた。

 

「敵陣営に動きあり。

 敵陣営に動きあり。

 総員、第一種戦闘配置。

 モビルスーツは順次発進せよ。

 繰り返す――」

 

 ああ、とうとうオデッサ作戦が始まったのか。

 申し訳ないが、マッシュの冥福を祈っている暇はなさそうである。

 

 俺はギャンのコックピットに乗り込み、MSの各部スイッチを入れていく。

 

 各部接続OK。

 武装チェックOK。

 出力安定。

 噴射剤残量フル。

 

 サブモニターにオデッサ全域の地図と、現状で判明している敵戦力を表示する。

 

 敵主力は北西より接近。

 ホワイトベースは南東よりジオンの背後をかく乱する配置。

 まず間違いなく、ガイアとオルテガはそこに向かうだろう。

 

 ならば俺は、ジオン主力と連邦の主力がぶつかり合う北西部をやや避ける形、北~北東部方面の遊撃を担当すべきだろうか。

 通信機のスイッチを入れる。

 

「エルンスト中佐より総司令部へ。

 北部より北東部にかけて、敵MSは確認できるか?」

 

「こちら総司令部。

 ……確認できます。

 広範囲にわたって多数の人型機影を確認しました」

 

「了解。俺はそちらの遊撃を担当する。

 なにか動きがあれば随時知らせてくれ。

 通信終了」

 

 通信を終えて少し考える。

 

 敵も既にミノフスキー粒子を散布し始めているだろうし、ルッグンによる敵陣の情報もいつまで見えるか分からない。

 ならば大事なのは、今ここからの序盤戦であると考える。

 モビルスーツを含んだ大軍を動員して、連邦には既に勝ち戦の気分の連中も多いはずだ。

 初撃で食い荒らして、敵の出鼻を完全にくじく。

 それができる可能性があるモビルスーツに、俺は乗っているはずだ。

 

 俺は操縦レバーを握りしめ、スロットルを踏み込んだ。

 

「エルンスト・ヴァルツァー中佐、ギャンカスタム『エピオン』出るぞ!」

 

 敵の油断につけ込んで大量に食い破り、恐怖で竦ませ、二の足を踏ませる。

 上手くいくといいんだがな……。

 

*1
ちなみに原作でもガイアが、「シャアと我々とはわけが違うて!」とか言っているので思いっきり意識している。




読んでいただきありがとうございます。


マッシュの魂よ、宇宙に飛んで永遠に喜びの中に漂いたまえ……。

エルンストとの会話から黒い三連星が本気でチンピラのように見えますが、原作TV版でもこんな感じにマ・クベ大佐に接しているので、黒い三連星は本気でこんな感じだと思っています。
そりゃオリジンでラル大尉に「兵隊ヤクザ」って言われますわ。


あと、全く意図しないところで死亡フラグを全て叩き折られたので、リュウ・ホセイ生存です。(ラル大尉とハモンさんの生存とのバーター)
あいつ生存ってだけで、TV版ではホワイトベースのメンタル回復力が跳ね上がりますよね。

ついでにスレッガーさんもおまけで投入。
アムロの経験値が多少少なくとも、この布陣ならフォローしきれたんだと思います。
ただしマチルダさんは死ぬ。

ちなみにTV版のこの回、マチルダさんが戦死してんのに、ホワイトベースの戦線復帰と黒い三連星撃退の報を受けて喜んでいるレビル将軍、端的に言って人の心とかないんか?と思っています。
直属の部下死んでるんやぞお前。



なお、ジャブローでジオンが本気でホワイトベース攻撃しなかったのと、マチルダさんが命張ってホワイトベースを守るイベントが後回しになったせいで、ウッディ大尉は多分死んでない。


次はさすがに冒頭からオデッサ戦のはず。
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