超人スペックで転生させられた俺はせめて正しい敗北を選びたい   作:正樹

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なんとか書けましたので投稿します。

オデッサ作戦に入れました。
ただし主人公視点少なめです。


ちなみに時間的には、第08MS小隊が砂漠でアプサラスⅡを張り込み中のタイミングです。
あと、ブルーディスティニー1号機が起動実験で暴走しまくってる時期らしいです。





第25話 オデッサ作戦 1日目

 

 その惨劇はオデッサ作戦が発動し、ジムの1個小隊がゆっくりと進撃している中に訪れた。

 

 僚機であるジムの1機が敵の機体を確認した。

 

「敵モビルスーツ1機確認!

 該当機種なし」

 

 新型か?

 メインカメラの倍率を拡大する。

 ゆっくりと前進してくる白銀色のモビルスーツ。

 確かに見たことのない機体だ。

 しかし、たかが1機のモビルスーツで何ができるというのか。

 

「スコアは仲良く3等分だ。

 外すんじゃねぇぞ!」

 

 小隊編成のジム3機すべてが、自らの装備するビームスプレーガンの照準を敵機体に合わせる。

 

「撃てぇ!」

 

 号令と共に一斉射。

 敵の機体は散々に撃ち抜かれ爆散――するはずだった。

 

「は?」

 

 理解が追いつかない。

 敵は何をした?

 

 いや何をしたのかは分かっている。

 半(・)歩(・)だ(・)け(・)右(・)に(・)移(・)動(・)し(・)た(・)だ(・)け(・)だ(・)。(・)

 それだけで奴は全てのビームの軌跡から外れた。

 まるで、こ(・)ち(・)ら(・)の(・)全(・)て(・)の(・)射(・)線(・)が(・)事(・)前(・)に(・)分(・)か(・)っ(・)て(・)い(・)た(・)かのように。

 

「う、撃て! 撃ちまく――」

 

 その隊長機は、次の指示を最後まで出すことができなかった。

 時間にしてほんの一瞬呆けた。

 ただそれだけである。

 たったそれだけの間に、敵機はこちらが見失うほどの急加速をし、展開したビームサーベルでそのパイロットごと、ジムを唐竹割りにしたのだ。

 一拍の後、ジムが爆発した。

 

「た、隊長!?」

 

 狼狽する2機のジムが爆炎の跡に向かってスプレーガンを構える。

 だが、その反応は遅すぎた。

 1機は胴体部を鞭のようなものでコックピットごと切り裂かれ沈黙した。

 そして、もう1機の右腕はビームサーベルで断ち切られ、スプレーガンごと地面に転がっている。

 

「ひっ、ひぃ!?」

 

 呆然とするジムのパイロットには見えた。

 白銀の機体がモノアイ部分をこちらに向けている。

 恐怖によってビームサーベルを抜くことも忘れたそのジムに向かって、白銀の機体はその輝く刃を無慈悲に振り下ろした。

 

 

 

 

 オデッサ作戦が始まって数時間。

 レビル将軍の乗艦であるビッグトレーに設けられた連邦軍司令部には、ミノフスキー粒子による電波干渉を受けつつも、ひっきりなしに情報が集まってきていた。

 現状、ジオン本隊の構える中央戦線では、一進一退の攻防が続いている。

 そこから入る通信は士気も高く、この戦いがいまだ序盤戦であることを強く感じさせた。

 

 右翼――エルラン中将に指揮が任されている戦線は、随分消極的ではあるもののゆっくりと進んでいる。

 少々、進撃が遅すぎる気もするが、指揮する将官の性格による差異の範疇ではある。

 慎重すぎる、ある意味では臆病とも言っていい彼の性格を考えれば、こういうこともあるだろうと納得はできる。

 実際、大きな問題はない。

 主戦場となっている中央戦線を押し上げれば、それに引きずられて彼も前進せざるを得ないだろう。

 

 よって、中央~右翼にかけての戦線は、若干の遅れが認められるもののおおむね順調に推移していると言っていい。

 

 しかし左翼――北~北東戦線から入ってくる情報においては、状況が一変していた。

 

「本部! 本部!

 こちら第24MS小隊!

 助けてくれバケモノだ!」

 

 通信が途絶する。

 

「本部! 本部!

 くそったれ地獄だぞまるで!」

 

 通信が途絶する。

 

「当たれ当たれ当たれよぉぉ!

 なんで当たらねぇんだよぉッ!」

 

 通信が途絶する。

 

「来ないで!

 ねぇ来ないでよぉ!」

 

 通信が途絶する。

 

 断末魔のような通信を残して、モビルスーツを中心に編成されているはずの小隊の反応が次々と消えていく。

 既に9個小隊。27機のジムの反応が途絶えていた。

 随伴している61式戦車も含めると、さらに被害は跳ね上がるだろう。

 

 味方が残した意味のある情報で共通するのはただ一点。

 「白銀」という機体色である。

 

 司令部の中で、誰からともなくつぶやきが漏れ始めた。

 

「白銀だ……」

 

「ルウムの白銀が来た……」

 

「白銀の亡霊が現れた」

 

 まずいな……。

 そうレビル将軍は思った。

 

 情報分析官たちにすら、恐怖が伝播し始めている。

 このままだと、動揺が中央戦線にも伝わりかねない。

 命令を出すしかない。

 

「北部~北東部のモビルスーツ部隊に伝達。

 常に2小隊、あるいは3小隊で布陣を組み、警戒しながら前進せよ」

 

「それだと、展開能力が限られてしまいますが」

 

「構わん。

 奴(・)に各個撃破されるよりはマシだ!」

 

「りょ、了解。

 左翼に展開中の全部隊に告ぐ――」

 

 命令を伝達し始めた部下の様子を見ながら、レビル将軍は思った。

 

 これで奴が抑えられればいいが……。

 

 

 

 

「小隊単位で固まりだしたか……」

 

 もう何個目か数えてすらいない敵の小隊を壊滅させた後。

 複数のモビルスーツの足音を検知して、俺はそう結論付けた。

 

 この戦いで俺のやっていたことは、ある意味では単純だ。

 まず、ミノフスキー粒子をある程度の濃度で散布させ、敵のレーダーによる視界をある程度塞ぐ。

 ある程度というのが重要だ。

 有機的な連携は阻害しつつも、音声通信は通じる程度である必要がある。

 

 そんな霧の中で、振動センサーを使って敵の小隊を見つけては、片っ端から潰していく。

 30対1では手こずるかもしれないが、3対1を10回繰り返す分には大した負担にはならない。

 言ってしまえばゲリラ戦法の一種である。

 

 一応、俺の存在を喧伝するために、最後の1機だけ通信する程度の余裕は与えているが、感応で感じる限り、大抵が恐怖でパニックになってるだけっぽいんだよな。

 まあ確かに、ほぼ勝ち戦だと確信した戦いで、しかも花形であるはずのMSパイロットになったという自尊心の中、急にこういう展開に叩き落とされたのだ。

 パニックになるのも仕方ないのかもしれない。

 

 まあようやく、俺の存在を敵が認識してくれたらしい。

 とはいえ、中央戦線から戦力を回しているという感じではないな。

 残存する戦力を固めているだけのような感じだ。

 

 ならばまだ大丈夫だ。

 レビルはいまだ現状認識が甘い。

 

 最大でた(・)っ(・)た(・)9(・)機(・)程(・)度(・)の(・)モビルスーツを集めたところで、俺やシャアに対抗できるはずがないのだ。

 自陣営のガンダム(アムロ)を見ていれば、それぐらいは分かりそうなものだが。

 あいつも、並のパイロットが操縦するザクの10機程度、難なく撃破してみせると思うのだが。

 

 まあいい。

 

「こちらの戦力を過小評価したツケだ。

 存分に払ってもらおうか」

 

 

 

 

 

 恐怖に満ちていた戦場の空気も、小隊同士が固まることによって、なんとか普段の落ち着きを取り戻そうとしていた。

 この隊も、3小隊が集まって即席の中隊を結成し、MS9機がゆっくりと進撃している最中である。

 そんな中、1機のレーダーが異常を捉えた。

 

「急速に接近する物体があります!」

 

 ミノフスキー粒子によって狭まった探知範囲ギリギリから、高速で接近してくる反応がある。

 まもなく目視できる距離だ。

 

「カメラ最大望遠……

 は、『白銀』ですっ!」

 

「落ち着け!

 全機一斉射撃!」

 

 うろたえる部下を叱責し、中隊長機が命令を下す。

 9機のモビルスーツがビームガンを構え、射撃する。

 だが――。

 

「馬鹿な!

 この弾幕の中を前進してくるだと」

 

 白銀の機体は、最低限度のサブバーニアの噴射だけで全てを回避する。

 こちらへ向かって、メインバーニアを全開にしたままでだ。

 攻撃が奴の身体をすり抜けているのでは、という錯覚さえ起きる。

 

「何故だ。何故当たらん!」

 

 タイミング的にはどう考えても、直撃していなくてはおかしいはずだ。

 何故、発射に合わせてタイムラグなしの回避行動など取れるというのか。

 

「当たれ!」

 

「速すぎる!」

 

 仲間たちの声が虚しく響く。

 そして、肉薄されたジムの1機が、右手の刃で、すれ違いざまに切り裂かれた。

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

 そのまま、通り過ぎる敵機。

 直後、左手から伸びる赤熱化した鞭が、別の機体を斜めに引き裂いた。

 

「た、隊長、た、助けっ!!」

 

 接敵から数秒で、2体のジムが爆炎の中へと消えた。

 近くにいた味方機が、錯乱したままビームサーベルを引き抜く。

 

「ひ、ひぃぃぃぃぃ!!」

 

 悲鳴を上げながら、『白銀』へと突撃を敢行する。

 

「馬鹿っ!

 無駄に突撃するな!」

 

 叫ぶが到底間に合わない。

 次の瞬間、無謀な味方機は『白銀』によって、構えたビームサーベルごと切り裂かれ、崩れ落ちた。

 

 信じられないものを見たと、仲間の誰かが呟いた。

 

「び、ビームサーベル越しに……」

 

 こちらへと振り向いた白銀色の機体は、ジムの残骸から上がる爆炎を反射し、赤を含んだオレンジ色に輝いていた。

 まるで血にまみれた悪魔のようだ。

 その異様な姿に、まだ6機いるはずの中隊は、全員が恐怖に飲み込まれてしまっている。

 次の瞬間、味方に襲い掛かる白銀の機体。

 もはや連携など意味をなさず、各個にでたらめな抵抗を試みるしかない味方。

 連続する悲鳴。

 さらなる爆発。

 

 中隊長はがむしゃらに通信のスイッチを入れた。

 恥も外聞もなく叫ぶ。

 涙が止まらない。

 

「ほ、本部! 駄目だ! 足りない!

 こいつには! 悪魔にはこの程度じゃ足りない!」

 

 自分の目の前に、仲間の機体の残骸の炎に照らされた、白銀に輝く死神が立っているという恐怖に、頭が働かない。

 既に自分1機しか残っていないことにすら気付かないまま、隊長はただ通信機に叫ぶことしかできなかった。

 

 

 

 そして3時間後。

 更に3つの中隊が消息を絶ち、オデッサ北部から北東部にかけての戦線が一時的にではあるが、完全に停滞することになった。

 

 レビル将軍は中央と右翼より戦力を振り分け、左翼への援軍とすることを決断した。

 これによって、中央の進撃速度が幾分か低下、中央戦線のジオン軍との戦闘が相対的に激化することとなる。

 戦況は開戦初日にして、既に混迷の様相を呈していた。

 

 




読んでいただきありがとうございます。


『ゼロの伝説 -XXXG-OOWO』とか『暗闇からの使い』とかが流れそうなシーンをイメージして書いてみましたが、難しいものですね。

敵からしてたら完全にホラー展開。
きっとガンダムと不意に遭遇したOZ部隊とかも同じ気持ち。
『震える山』とかもある程度近いかも。

ミノ粉で見えないことをいいことに
「怯えろっ! 竦めぇ! モビルスーツの性能を活かせぬまま、死んでゆけ!」
を何回も繰り返してる。


本来ならば黒い三連星がやるべき仕事です。
ガンダムにかまけてんじゃないよ。

ちなみに初戦でマッシュが撃墜されるのは、原作の展開を踏襲しています。
特に主人公もテコ入れをしていない部分ですしね。

まあここまでやっても全体の進軍がちょっと遅れる程度。
連邦の物量が一番のホラー。



ものすごくどうでもいい話ですが、割と状況をかき回したのでエルランの内通はバレてません。
元から怪しまれていたオリジン版はさておき、TV版のバレ方はただひたすら運が悪いだけなので、ちょっとでも変わればバレないと思います。
でも、できることはちょっと進撃を遅くする程度なのが悲しい。




それと、以前にどこかで書いたような気もするのですが
この作品はジ・オリジンを参考として、各種媒体一年戦争の都合のいい部分だけぶっこんだごった煮世界です。
その点をご了承ください。
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