超人スペックで転生させられた俺はせめて正しい敗北を選びたい   作:正樹

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なんとか書けましたので投稿します。


また、今話において、主人公の一年戦争におけるスタンスを、あらためて説明させてもらった描写が入れてあります。

▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

この区切りで始まってて、同じ区切りで終わっている部分までがそうとなります。
その辺りを気にされない方なら読み飛ばしていただいても、さほど支障はないと思います。


加えまして、主人公のホワイトベースに対しての作中を通してのスタンスについてですが、これ以上入れようとすると文章の構成が異様に不自然になってしまうため、下の活動報告にて補足説明を入れさせてもらっています。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=336509&uid=14458


本来ならば、作中でご納得いただけるよう描写するのが筋ですが、至らなくて申し訳ないです。


第45話 特に謂れのない爆発がテキサスを襲う

 

 シャアがガンダムと1対1で戦うつもりであっても、俺もシャアも最優先すべきは調整中のエルメスを無事に運び出すこと、要するにザンジバルの安全である。

 

 仮に、ガンダムが1機だけ、偵察等でテキサスコロニーの内部に侵入してくれれば、俺は何もする必要がない。

 というか、実際に劇場版ではガンダム単騎でコロニー内に偵察に出ていた。

 相手がコロニー内にジオン軍がいると確信を持っていない限りは、そうなる可能性はそれなりに高い。

 

 最優先がエルメスである以上、こちらからホワイトベースを探してまで仕掛けるメリットはない。

 シャアがガンダムと戦いたいというのも、あくまでエルメスとザンジバルの安全を確保した上で、できた余裕の範囲内での話だ。

 

 軍人は猪武者ではないのである。

 はずなのだが、ジオンには猪武者が大勢いるという事実に少し頭痛がする。

 

 それはさておくとして、無事にシャアが1対1で戦えるのであれば、俺はそれを観戦しているだけで構わない。

 もしシャアが撃墜されそうになったならば、その時に横槍を入れる程度でいいだろう。

 

 基本的に、ガンダムを含めたホワイトベース隊に対する俺のスタンスは、『積極的にこちらから攻撃に行くつもりもないが、撃墜されるのを無理に助けるつもりもない』ということになるだろう。

 シャアがガンダムを撃墜するのならそれはそれで構わない。

 

 彼らは俺の主たる目的には、もう関わってくる存在ではないのだ。

 

 

 

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 俺のこういった方針については、何もホワイトベースに限った話ではない。

 ガルマがサイド3にいて、ドズル中将も無事に戻った以上、俺にとってのこの戦争のタスクは、半分以上が達成されたと言っていい。

 

 俺の現状を改めて再確認してみよう。

 

 まず、この戦争に限らず、俺が最優先にすべきことは、何を置いても孤児院の家族たちの安全である。

 そのための手段として、俺がこの戦争内での最優先目標としていたものが、ガルマ・ザビとドズル・ザビの生存だ。

 

 これが最も確実だと思ったのは、非科学的だが()()の発言があったからである。

 

()()()()()()()()」と奴は言った。

 

 本当に根拠のない話になるが、()()は理不尽の権化であるがゆえに、言った以上はその言葉を違えない。

 そう信じ込むに足る、何かがあった。

 

 無論、俺の精神が、最初から奴の言葉を信じ込むように操作されており、奴が平気で前言を翻すような存在であるのなら、すべての前提が水泡に帰すことになるだろう。

 だが、そこまで悪い展開を考えると、何も行動できない。

 

 奴の気分次第で世界が軽く変わるのであれば、次の瞬間には月光蝶がすべてを理不尽に塵にするかもしれないし、デビルガンダムが地球を飲み込むかもしれない。

 そんな世界で、誰が真剣に生きられるというのだ。

 

 よって俺は、『奴が「やってみせてくれ」と言った以上、やって見せられる道筋がある』と信じて行動するほかはない。

 だからこそ、俺はこの戦争において、ガルマとドズルの生存を第1に考えて行動してきたのだ。

 

 ……まあ彼らに長い間接しているうちに、情が移っていることは否定はしない。

 

 そして、現状において、この目的はほとんど達成されていると言っていい。

 そのため、今後の1年戦争において、俺は『誰かを守ること』を最優先にする必要が薄くなった。

 

 無論、助けられる味方は助けるが、それ以上に優先するものがあるという話だ。

 

 

 次に必須と言える目標は、ギレン・ザビとヨハン・イブラヒム・レビルの排除である。

 

 片方は人類を極限まで削減する優性思想の人物であり、もう片方はザビ家を絶対に認めないという主義の超タカ派。

 少なくともこの2人を排除しないと、『政務をガルマに、ジオン残党の逃げ口をドズルに』という当初のコンセプトが機能しなくなるだろう。

 

 そもそも、どちらかが生き残っていられると、戦争がまともな形で終結せず、連邦かジオン、どちらかの完全勝利しか終戦の形がなくなる可能性が高い。

 よってこの2人の排除は、俺にとっては必須であるとも言える。

 

 

 ちなみにキシリア・ザビとデギン・ザビについては、少なくとも俺は、排除が必須であるとは思っていない。

 俺は、この2人については『ギレンとレビルを排除した後ならば』という前提はつくが、終戦においては、そこまで多大な影響を及ぼすとは思っていないのだ。

 

 仮に、終戦時にキシリアが生き残れたとしても、彼女にはギレンほどのぶっ飛んだ行動力はない。

 暗躍や暗殺、非道なことのバーゲンセールみたいな彼女ではあるが、1からコロニー落としを思いつくようなトンデモ行動を取らない分、ギレンよりは優先度は格段に下がる。

 デギンについてはレビルさえ排除しておけば、独断の和平を結ぶ先がいないため、そもそもが無害だ。

 

 そして、彼らが無事に終戦を迎えた場合――思いっきりぶっちゃけてしまうが、放っておいてもシャアがそのうち仕留めるだろう。

 まあデギン公王については、この状況のままだと原作通りにギレンが殺しそうであるが……。

 

 以上が俺の絶対に譲れないと考えているラインだ。

 

 

 後に残るのは、個人的な優先順位である。

 私情と言い換えてもいいだろう。

 

 友人であるシャアや、その想い人であろうララァは、なるべくなら生存させてやりたいと思ってはいる。

 とはいえ、ガルマやドズルの生命と天秤にかけなければならないような事態になった場合は、俺は迷わずそちらを取るだろうし、シャアもそれは承知の上である。

 ラル大尉やハモンさんら、サイド3にいる知人たちもその範疇に入るだろう。

 

 少々長くなってしまった。

 

 

 つまるところ、ドズルとガルマの生存が確保できた以上、俺にとってホワイトベース隊は()()()()()()()()()()()である。

 無理に撃墜する必要もなければ、無理に生かす必要も特には感じていない。

 精々生かしておけば、ア・バオア・クー戦でギレン・ザビの喉元に届くかもしれないという点では、万馬券のようなものだろうか。

 

 まあ、戦後のことまで考えた場合なら、撃沈してしまえばティターンズへの対処をする時に戦力不足で困るかもしれないな。

 ただ、そうなってしまっても最悪、俺がアムロ・レイの代役を務めることでカバー自体は可能だとは思う。

 しかし、俺が代役を務めるとなると、非常に手間が増えそうだ。

 下手をすると、カラバがジオン残党しかいない組織とかになってしまう。元々ジオン率はそれなりに高かったらしいのだが。

 

 そう考えると、奴らには生きていてもらった方が良いのかもしれない。

 でもそれは、シャアやララァの生存以上に優先されることはない。

 

 これが俺の現状における、1年戦争へのスタンスである。

 

 

 ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 シャアと俺のゲルググが、共にザンジバルから飛び立つ。

 カメラからの情報によると、ガンダム1機がコロニー内に侵入しており、コロニー中心部の無重力空域に浮設されていた機雷に引っかかっているようだ。

 1機だけで侵入してきた以上、ホワイトベースはジオンがここにいるという確信は持っていないと見ていいだろう。

 

 俺は少し手前で地表へと降り立ち、シャアを見送る。

 シャアはそのまま飛行して、ガンダムと交戦に入った。

 

 既にニュータイプに覚醒しているシャアとガンダムの戦いは、一進一退といったところだ。

 ややシャアが押しているのと、ガンダムの反応速度が先日見た時と変わっていないことから、マグネット・コーティングの処理はまだされていないのだろう。

 

 互いにビームサーベルやライフルを用いて、接近と離脱を織り交ぜて戦っているさまは、一種の演武のようにも見える。

 士官学校の教本にしたいぐらいだ。

 

 と、俺のゲルググの足元で、ララァが乗った車が停止した。

 ララァは、シャアに戦いを見学しているように言われていたので、車で後からついて来ていたのだ。

 万が一の際のララァの護衛としても俺がいるので、シャアも余計な気を回す必要がなく、ガンダムとの戦いに集中できるだろう。

 

 ただ、テキサスコロニーは無人の半放置コロニーであり、砂漠化が進行しているのもあって、砂塵が吹き荒れているので、ララァには少々見えづらいかもしれない。

 だが、安全な距離を保つとなると、これ以上前進するわけにもいかないだろう。

 

 視線を戻すと、ゲルググとガンダムの戦いは、徐々に場所を変えながら続いていく。

 ガンダムは背部のバーニアにダメージを負ったのか、若干放電している。

 と、シャアのビームサーベルがガンダムの頭部を掠めた。

 

 原作と違い、シャアが優勢のようだ。

 ガンダムの反応が少しぎこちない。

 そこに若干の既視感を感じるのは、多分、コンソールがスパークしかけているのだろう。

 何回か経験があるため、何となく分かってしまう。

 

 ブラウ・ブロ相手ではなく、シャアのゲルググ相手にマグネット・コーティングが必要になってくるとは、シャアの成長も凄いな。

 

 シャアはそのまま、防戦一方となり始めたガンダムを追い込んでいく。

 ん、ちょっと待て。

 その辺りはたしか、警戒用にとキシリアの部隊が地表部に地雷を設置していた区画じゃ……。

 

 シャアはガンダムをそこに向けて蹴り飛ばしてから、ビームマシンガンを乱射した。

 派手にやるつもりだなぁ。

 

「ララァ少尉、伏せていろ。

 耳を塞いで口を開けておけ」

 

 俺は外部スピーカーで伝えてから、ララァの前でゲルググを盾にする。

 ビームが地雷に命中し、誘爆を繰り返しながら巨大なひとつの爆発となった。

 

 これはコロニーに穴が開いたな。

 

 気配からすると、ガンダムはまだ生きているようだが、開いた穴から外に吸い出されたらしい。

 バーニアにダメージを負っているから、コロニー内に戻ってこられないようだ。

 

 これは場外KOとでも言っていいのだろうか?

 とりあえず、生身のララァを退避させないといけない。

 

「ララァ少尉、コロニーに穴が開いたようだ。

 すぐに空気がなくなることはないと思うが、念のためにザンジバルに退避しておいたほうがいい」

 

 そう告げる。

 ララァは少し躊躇した様子を見せたが、すぐに頷くと車で走り去っていった。

 シャアが心配で一瞬迷ったのだろうが、まあ無傷だったしと納得したのだろう。

 

 それはそうと、シャアが遅いな。

 奴はコロニーの外に吸い出されなかったはずだが。

 

 そう訝しんでいると、シャアのゲルググがゆっくりと歩いてきた。

 なんで飛んでこないのだろう。

 

 シャアがコックピットを開いて話しかけてきた。

 

「エルンスト、すまないが私のゲルググをザンジバルまで運んでくれないか?」

 

「どこかダメージでも負ったのか?」

 

 俺の質問に、シャアの歯切れが微妙に悪い。

 

「いや、ガンダム相手には傷を負ってはいないのだが……」

 

 地雷の爆発の影響で不具合でも出たのだろうか?

 

「……私のゲルググのコンソールがスパークしてね」

 

 お前もかよ。

 

 おそらくだが、アムロとシャアの互いのニュータイプ能力が干渉しあって、パイロットとしての能力が増大したのだろう。

 地雷原から外に叩き出したのは、勝者ゆえの余裕とかではなく、シャアの機体も限界だったからか。

 

 つまり、場外KOじゃなくてダブルKOだったということだ。

 

 

 

 元々牧畜業のために建設されたテキサスコロニーには、そこらを探せば馬や牛がいる。

 シャアは念のためにゲルググから降りて、馬に乗ってザンジバルに向かうことになった。

 テキサスならではの移動方法である。

 

 コロニーに穴が開いたとはいえ、すぐに空気が尽きるわけではないし、シャアが戻るぐらいは余裕だろう。

 

 シャアのゲルググは、念のために反応炉を停止させている。

 これを俺が背負ってザンジバルまで帰還しないといけないわけだが……。

 

 その前に新たな反応が2つ確認できる。

 モニターを最大に拡大する。

 砂塵で見え辛いが、かすかに見えるのは赤い2つの機体。

 ガンキャノンだ。

 

 ……ちょうどいいか。

 

 そう考えると、俺はゲルググを加速させて、ガンキャノンに急接近する。

 相手の反応は、俺の接近に気付くのに一瞬、迎撃態勢を取るのにも一瞬。

 ここまでは中々の手練れである。

 だが、俺の機体の色を見て、さらに一瞬、動きが固まった。

 目の良さが仇になった形だな。

 

 俺はビームマシンガンでガンキャノン1機の両足を破壊しながら、2機の中心へと降り立った。

 足を破壊された方は、そのまま仰向けに倒れ込む。

 無事である1機がビームライフルを向けるが、俺の向こうには倒れたガンキャノンがいるために撃てない。

 仮に攻撃が俺に命中しても、ビームは貫通して味方を殺すだろう。

 近接兵装が無いのは、ガンキャノンの致命的な欠点である。

 そのままもう1機も、俺のビームサーベルに頭部を貫かれて沈黙した。

 

 不意討ちで2機のガンキャノンを黙らせた俺は、それを放置してシャアのゲルググの所へと戻った。

 これで、ホワイトベースは2名の救助のために足を止めざるを得ない。

 外に放出されたガンダムの回収も考えると、かなりの時間を取らせられるだろう。

 

 俺は手早く、シャアのゲルググを担ぎ上げた。

 

 これひょっとしたら、セイラとシャアが再会するんじゃないだろうか?*1

 

 

*1
してます。シャアの運命力は何気に強い。




読んでいただきありがとうございます。

作中説明が雑多になりすぎて本当に申し訳ない。
なるべく構成を維持できるように努力しましたが、これが限界でした。
筆力がもっと欲しいです。


この時期、原作だとシャアは劣勢になりっぱなしなんですが、今作では攻守逆転モードとなります。
と思ったらお前のコンソールもスパークすんのかい案件。

まあ、これでガンダムもマグネットコーティングされるでしょう多分。
シャアのジオングフラグも立っている気がします。


シャアは多分、セイラと再会しても、すごく楽しそうに「今のザビ家の指導者は、ジオンにとって為にはならん」とか、無意識にガルマ上げしてると思う。
あれは鬼子じゃないわ。ただはっちゃけているだけの青年よ!

まあ、ガルマ生きてて、自分含めて周囲に3人もニュータイプがいて、自分自身もニュータイプ覚醒済みという役満なので、奴は相当楽しく生きている。



それはそうと、中々に展開が難しいです。

テレビ版と劇場版でテキサスとソロモン戦の前後が逆になります。
テレビ版だとソロモン戦の後に、テキサスの戦いがあるのですが、マ・クベ大佐が始めた戦いにシャアが渋々巻き込まれるような形なんですよね。

拙作ではその展開は無理でした。
マ・クベ中将は超の付く重要人物ですし、そもそもギャンはもう自爆しましたw

かといって劇場版だと、そもそもソロモン戦の前で時系列がグッチャグチャw
なんでホワイトベースはテキサスに来たんだろう?
でもシャアとセイラの会話はこっちの方が、らしかったかな。

2つ同時に見比べて、あーでもないこーでもないと唸ってました。
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