超人スペックで転生させられた俺はせめて正しい敗北を選びたい 作:正樹
サブタイトルの付け方がかなり適当になってきたなぁ……w
ア・バオア・クーを発進して、Sフィールドへと向かうと、敵も味方も大量のMSが飛び交っての大乱戦の模様を呈していた。
とりあえずとばかりに、手近なジムを切り捨て、続けざまに数機のボールにビームマシンガンを撃ち込む。
こちらのMS編成はゲルググとリック・ドムが主であるため、決してジムに劣っているものではないが、何せ敵はとにかく数が多い。
覚悟を決めて、乱戦の中へと突入する。
さすがにアクト・ザクの挙動は軽快だ。
ゲームのムービーでアムロがやっていた
相手には気の毒であるが、とにかくすれ違った敵をひたすら撃破しながら、乱戦の宙域を進んでいく。
アクト・ザクのトップスピードを維持しつつ、最低限の姿勢制御バーニアの噴射で攻撃を回避し、交差する直前にビームを撃ち込んで離脱。
この後にNフィールドにも移動しなくてはならないため、プロペラントは節約したい。
そんなことを繰り返しながらさらに進んでいくと、乱戦宙域を一度突き抜けた。
すぐさま機体を反転させて、再度突入しようとした瞬間、俺は機体をわずかに捻った。
機体のすぐそばをバズーカの弾が通り過ぎていく。
そして、こちらに急接近してくるMSの反応が1つ。
「来たか……」
モニターに機体が確認できる。
眼前に見えるのは間違いなくガンダムだ。
だが、俺の知るガンダムと細部が若干違っている。
機体の色が本来白かった部分がグレーに塗装されているし、脚部に追加されたのであろうバーニアユニットが見て取れる。
確証はないが、これはおそらくG-3ガンダムをベースに高機動型ガンダムのユニットを一部取り付けた機体だろう。
パイロットは――感じる気配は、アムロ・レイで間違いない。
先日のエルメスの一件で、さすがに元のガンダムにもガタが来たようだ。
こちら側の機体も、あれに巻き込まれたものは軒並みスクラップになっていたし、それは仕方ないだろう。
しかし、シャアが高機動型ジオング(未完成)を受領したと思えば、アムロは高機動型ガンダム(未完成)とは……。
お前もつくづくシャアと縁があるよなぁ。
マグネット・コーティングが施されたガンダムがさらに強化された機体になるだろうが、このアクト・ザクも原形機よりもさらに強化されている。
奴を引き付けておくぐらいのことはできる。
シャアが来るまでは付き合ってもらうとしよう。
ガンダムに向けて射撃をするが、当然のごとくかわされる。
俺もそれは織り込み済みなので、そのままガンダムとの高機動戦に突入する。
"白銀の機体。
エルンストか!?"
アムロの思念が感じられる。
「正解」
口に出して答えつつ、ガンダムとの撃ち合いに興じる。
この戦いで、ガンダムがホワイトベースに補給に戻るのはなかなか難しい。
両手にハイパーバズーカを持っているのは、補給回数を減らすためだろう。
射撃兵装を消耗しすぎると、辛いのは相手の方だ。
俺は最悪、ドロワに戻れば補給ができるしな。
"やめろ!
僕たちは戦うべきじゃない!"
アムロからの訴えが響く。
「残念ながら、今はまだ戦わなければならない状況だ。
しばらくはこの盛大な茶番劇に付き合ってもらう!」
答えながら、ビームサーベルでガンダムのハイパーバズーカを1つ切断する。
本当に茶番劇ではあるんだよな。
ガンダムは使い物にならなくなったバズーカを投げ捨てると、ビームサーベルを引き抜いて俺を迎え撃った。
その間にも、思念を介した交信は続いていく。
"真の敵はザビ家だろう!"
「俺にとっては、ザビ
ガンダムと鍔迫り合いながら、俺はスラスターを吹かし、機体全体を使ってガンダムを押しのける。
「ザビ家とひとくくりにするから、見えているものも見えなくなるんだ。
ザビ家全体が悪ではない」
"なんだと!"
思い浮かべるのは、こちらに向けて豪快な笑みを浮かべるドズル中将と、朗らかに笑うガルマの顔だ。
それにゼナにミネバ、イセリナも加わった面々の姿。
「俺に、父親のように接してくれる人がいた。
俺を友と呼び、信頼してくれる人がいた」
操縦レバーを握る手につい力がこもった。
「俺はその恩義を返すため、友情に応えるためにここにいる。
ギレン・ザビやキシリア・ザビのためなんかじゃない」
"ギレンとキシリア……"
アムロが敵となる具体的な個人を認識したな。
だからといって何がどうなるわけでもないが、今後のことを考えると、ドズル閣下やガルマへの悪感情は取り除いておくに越したことはないだろう。
こうして交信しながらも、アクト・ザクとガンダムは、周囲から見れば隔絶した速度で格闘戦を繰り広げている。
自分もそうであるが、つくづくニュータイプという奴はとんでもないな。
マルチタスク能力がお互いに高すぎる。
ガンダムの牽制のバルカンを回避しながら、俺もお返しとばかりにビームマシンガンで牽制する。
そのまま、互いにビームサーベルをぶつけ合った。
「それに、お前ら連邦軍の中にも討たねばならない奴がいる」
いまだに俺に対して怨念めいた殺意をまとわりつかせている
正直、俺個人にここまでこだわる理由が分からない。
"それは一体……?"
アムロの質問に答えず、俺はアクト・ザクを引かせた。ガンダムも同時に引く。
瞬間、アクト・ザクとガンダムの間をメガ粒子の束が通り過ぎていった。
だいぶ遅い到着だな。
俺は通信を入れる。
「遅かったなシャア」
「すまないな。
サイコミュの調整に少し手間取った」
ジオングを駆り、ガンダムのいる宙域へとシャアが来た。
原作ならば終盤も終盤といったところだ。
俺もシャアもジオンなので、アムロとの戦力バランスはこちらにかなり傾いている状況ではあるのだが、一瞬の奇妙な静けさがあたりに広がった。
「さて、アムロ・レイ。
俺はその討たねばならない奴を……」
討ちに行く、という前に――。
ア・バオア・クーを強烈な閃光が包んだ。
モニターを拡大し、光の方向に向ける。
光っているのはア・バオア・クーか。Nフィールドの方角が異様に光り輝いている。
「あれはまさか、ソーラ・システムか?」
シャアの声が聞こえる。
まあ、あれだけの光を発している以上、それ以外にはないだろう。
しかし――。
「あの眉無し。
まさか、警戒してなかったのかよ」
原作において、ソーラ・システムがア・バオア・クー戦に用いられなかったのは、ソーラ・レイによる攻撃で消失していたという設定を聞いたことがある。
それを考えると、レビルが生き残っている以上、それが失われていないのは別に不自然ではないだろう。
そもそもだが、レビルの生死を確認する方法などないギレンは、最初からソーラ・システムを警戒してしかるべきだろうに。
衛星ミサイルでの妨害とか、回り込んでの展開阻止とか、手は色々あっただろうに。
心の中でギレンに対して、あらん限りの罵詈雑言を並べ立てることで、心を無理矢理落ち着かせる。
結局、俺の基本方針はさほど変わらないのだ。
やることが少し増えるだけだろう。
俺は通信機のスイッチを入れる。
「シャア!
あれを連射されるとさすがにまずい。
俺はNフィールドに向かう」
「分かった。
ここは任されよう」
シャアの声を背に、俺はアクト・ザクの推力を全開にした。
ガンダムが話は終わっていないとばかりに、こちらに向かってこようとする。
だがすまんな。今はそれどころじゃない。
"ま、待てエルンスト!"
ガンダムに向かってジオングがメガ粒子砲を放ち、ガンダムの動きが止まった。
"すまないが彼は少々立て込んでいてな。
ここからは私が相手になろう!"
"シャア!"
後方でガンダムとジオングが交戦を開始したのを確認しつつ、俺は通信のスイッチを入れる。
「こちらエルンスト大佐だ。
Nフィールドの状況は分かっているか?」
直後に返答が来る。
「こちらドロワです。
連邦はソーラ・システムを使用した模様。
ア・バオア・クーのNフィールドの砲台に甚大な損害が出ております」
要塞の固定砲台が消失するのは、地味に痛いな。
このままだと、戦線が支えきれなくなるかもしれない。
「ドロスは?」
「発射直前に射線上から退避しましたので無事です。
ただそのせいで陣形が崩れてしまい、Nフィールドにおいてモビルスーツの連携に支障が出ております」
超大型宇宙空母であるドロスが大きく移動した関係で、こちらの陣形がドロスに引っ張られる形で崩れてしまったのか。
しかし、移動拠点であるドロスがソーラ・システムで沈んでいた場合、その時点でNフィールドの戦線維持は不可能になっていただろう。
不幸中の幸いだったな。
「ソーラ・システムへの攻撃は?」
「敵の大部隊が展開しているため、我が方のMS部隊もなかなか近づけない状況です」
こうなると、連邦もソーラ・システムが本命なのだろうな。
機体状況をあらためてチェックする。
言い方は悪いが、ガンダムと遊んでいただけなので、プロペラントも残弾もかなりの余裕があるな。
このまま直行するとしよう。
「了解した。
ただちにNフィールドに急行する」
「中々にひどいな」
Nフィールドに到着した俺は思わず呟いた。
ドロスがソーラ・システムの射線上から退避したせいで、こちらのMS隊の配置が崩れ、かなり押し込まれてしまっている。
ア・バオア・クーに取りつかれてはいないものの、このままソーラ・システムの第2射、第3射と放たれれば時間の問題だろう。
レビルの排除は後回しにすると言いたいところではあるが、幸か不幸か、この戦場で常に感じている敵意がソーラ・システムの方向から漂ってくる。
ここまで近づくと、その粘っこさも含めてかなり明確に感じる。
おそらく、レビルはソーラ・システムの制御を自身の乗る旗艦で行っている。
なぜ、俺個人に対して、ここまでの敵意を持っているのか知らないが、さすがに付き合いきれない。
いい加減に退場してもらうつもりだ。
俺はアクト・ザクを敵のMS部隊の中に突っ込ませた。
連邦の部隊から、理解できないという思念が多数感じられる。
だが、同士討ちを恐れる連中は発砲を躊躇するので、駆け抜けるならこの方が早い。*1
斬りかかってくるジムをビームサーベルで一刀両断にしつつ、適度にかく乱のためにビームマシンガンをばらまいては、ソーラ・システムへと突き進む。
俺が敵陣の中央をぶち抜いていることによって、味方は鼓舞されて、敵陣は混乱している。
友軍からの圧力が強くなり、俺に対する敵の圧力もわずかに弱まった。
これでさらに突破しやすくなる。
俺がレビルを倒せば、戦況自体も多少は持ち直すだろう。
ソーラ・システムが肉眼で確認できた。
俺はそのまま制御艦を探す。
おそらくは展開されているミラーの中央部付近……見つけた。
艦艇形式を照合――連邦宇宙軍旗艦フェーベ、レビルの艦だ。
あれを破壊すればソーラ・システムは使えない。
俺はフェーベに向けて、ビームマシンガンを発射しようとし――、嫌な予感を感じて機体を反転させた。
直後、俺の進路方向に別方向からそれぞれ飛来した3本のビームが走った。
高出力のビームライフルだ。
ジムのスプレーガンではない。
ジム・スナイパーカスタムやジム・スナイパーⅡだろうか?
しかし妙だ。
今の攻撃、3つとも殺気を感じなかった。
フェーベからこちらに向けて放たれる殺意に紛れて気付かなかったとかではない。
殺意自体が希薄――まるで自動砲台から撃たれたような感覚である。
ビームの発射源、それぞれに1機ずつ、計3機のMSの反応がある。
ジムではない。
画像を拡大させる。
ガンダムとジムの中間をとったと言えるような独特なそのフォルム。
青を基調としたカラーリングに、赤く発光するバイザー。
俺は絶句した。
レビルめ、俺を消すためにここまでするのか。
奴の常軌を逸した選択に、俺はうめいた。
「……ペイルライダー」
そこには俺に銃口を向ける、3機のRX-80PR ペイルライダーがあった。
読んでいただきありがとうございます。
とりあえず、主人公にとっての1年戦争のラスボスユニット配置です。
グレイヴさんはレビル派の将校でしたね、という感じで引っ張り出してきました。
ちなみにこれに乗っているのはクロエではありません(パイロットは設定すらしてない)
最初はクロエ含めて4機で、マルコシアス隊に1機任せるとかいう形にしようと思ったんですが、シーン構成が猥雑すぎるので泣く泣く却下w
さすがに1機だと相手にならないので、3機登場。
グレイヴの一番上の上司だからできる、札束と権力の力。
ただ、こいつ3機並べても、多分天パのガンダム1機と戦う方がキツいと思う。
公式の主人公が一番おかしい。
なぜレビルがこれだけ主人公に敵意を向けてくるのかは、次話で描写できるかと。
最初のプロットではソーラ・レイで消し飛んでる予定だったのに……w
あと、申し訳ないですがレビルが実父説は採用が難しいです。
「誕生した時点で、父親が既に地球に逃げ帰っている」から、彼ら兄弟姉妹は、母親(とその実家)に「利用価値無し。むしろマイナス」扱いされて、孤児院に棄てられています。
でもレビルは『暁の蜂起』までジオンに駐留しているんですよね(オリジン設定採用)。
だからこそ、連邦のジオンへの弾圧を放置していた存在として闇が深いんですが……。
アムロはこの後、ノリノリのシャアとイチャイチャしていることでしょう。
「なぜララァを戦いに巻き込んだ」とか言ってる場合じゃない。
そもそもララァ死んでない。
「なぜエルンストを戦いに巻き込んだ」とか言うかもしれませんが、シャアは「ええ……」って反応しか返せない。
ソーラ・システムについては、レビルがソーラ・レイで焼かれていない展開にした際、ガンダム・ジオング戦線から主人公を引き離すギミックとして考えました。
本来なら推力的にも、ジオングがそっちに向かうべきなんですが、シャアがエンジョイモードに入っちゃっているから仕方ないね。
以前にも書いた気がしますが、主人公は「やっぱり白兵戦能力は欲しい」って立場なので、エルメスもジオングも「乗れるけど好き好んでは乗らない」というスタンスです。
アムロと同じく、高性能モビルスーツに乗せといた方が一番生き生きするんですよ多分。