超人スペックで転生させられた俺はせめて正しい敗北を選びたい 作:正樹
ってなったので投稿します。
評価してくださった皆様、本当にありがとうございます。
もう少し場面進めたかったのですが思ったより字数ががが
暁の蜂起から数日が経ち――
ガーディアン・コロニー。
ジオン国防軍士官学校。
士官学校校長室。
「お前がガルマを焚きつけたことぐらいは察しがついているんだ。
だから身替りで割を食ったとは思うなよ。
何か言いたいことは?」
案の定というか、当然というか、シャアが詰め腹を切らされていた。
俺も呼び出しを食らっており、シャアと同時に入室したのだが、ドズル校長――いや、もう解任されるから大佐か、に部屋横のソファに座っていろと指示されて、その様子を静観している。
まあ、今回の蜂起についての話があるのはシャアと同じなのだろう。
シャアについては処分という形で、俺については別の――おそらく私的な形で、この後に話があるのだろう。
「ありません。大佐殿」
シャアのことだから、処罰されることぐらいは予想済みだろう。
連邦と
少なくとも、この事件が一年戦争へのターニングポイントであることは間違いなく、このまま俺が何も介入しなければ、一年戦争がザビ家崩壊への階段となることも間違ってはいない。
だから、現状においてその判断は妥当と言っていい。
「いい覚悟だな。どうする、これから?」
「地球へ行ってみようと思っています。この機会に」
しかしこの言い方よ。
戦争直前になれば、まず間違いなく再招集されると踏んでやがる。
ジオンの人材不足もきちんと計算に入れた上で、最初から『暁の蜂起』を起こしたのだとすれば、本当に恐れ入る。
真面目な話、能力
天才と言ってもいい。
問題は、本人がその方向性の生き方が嫌で嫌でしょうがないという点だ。
うん、政治家としては致命傷だな。
「では、シャア・アズナブル候補生。
兵卒として除隊します。
お世話になりました」
踵を返す直前、俺に向かって軽く手を振ったので、俺も右手を上げて返しておく。
どうせ1年ぐらいしたらまた会うだろうが、それまでは達者でな。
それにしても、本当に余裕あるなこいつ。
「あ、大佐殿。ひとつお願いがあります。
もしも再招集されることがあれば、その時はモビルスーツのパイロットの任にあててください」
「モビルスーツ?」
ドズル大佐が視線をこっちに寄越した。軽く頷いておく。
そうだよ。ガルマがぶっちゃけたんだよ。
俺もその場で聞いた*1んだよ。
「ガルマに聞いたのか。
分かった。留意しておく」
「ご配慮に感謝します」
そしてシャアは扉から出ていった。
「で……だ。
エルンストよ。
シャアが退席した後、ドズル大佐が聞いてきた。
「無理ですね。あいつは周到でしたよ。
俺が掃海艇の返却、補給、チェックをしている数十分の間に、ガルマを焚きつけ、3回生に周知し、総意を取りまとめた状態にまで持って行ってました」
やっぱシャアは怖いわと心底思ったよ。
精々30分程度だと、
手際が良すぎるわ。
「俺が戻ってきた時には、すでに決行する以外の選択肢があり得ない状況でした。大した手際です。
連邦軍基地の配置なども事前に調べていたのでしょう」
そうでないと、いくらなんでも作戦の立案が早すぎるからな。
即席で敵陣地攻略作戦の立案なんて、ルルーシュじゃないんだから
まあそれはともかく、さすがにこういった事態が起こると確信していたわけではないだろうが、もしも起こったときのためにとあらかじめ調べておいたのだろう。
「そうか……。
今回の件で、俺は校長を辞することとなった。
引責辞任。腹切りというわけだ」
「それは……残念ですね」
とは言ったものの、そもそも、ドズル大佐が校長の任についた主目的は、
ガルマがもうじき卒業する以上、ドズル大佐が今後も校長の任に就き続けることに意味があるとは正直思えない。
この人事は懲罰人事に見せかけた人員整理という側面もあると見た。
そうだとすれば、デギン公王も中々に食えない御仁である。
ドズル大佐はその思惑に気付かずに、若干本気で落ち込んではいたが。
仮にも息子なんだから、その意図を説明してやってもいいとは思うんだが、あの爺さん、ガルマ以外の子供に辛辣すぎやしないか?
と、扉にノックが響く。
「ゼナ・ミア候補生入ります!」
時間差で呼び出されたゼナ嬢が到着したようだ。
すると、ドズル大佐が途端に挙動不審になって、髪型を整えだした。
この辺り本当に面白い人である。
俺は静かに気配を消して、ドズル大佐の意識の外に潜る。
ソファの裏側へと回り、身を潜めた。
この後、護衛兵を大佐が外に叩き出すんだろうが、俺の話はまだ終わってはいないので、俺もろとも叩き出されても困るのだ。
入室したであろうゼナ嬢を視認しない位置で息をひそめ、しばし事態を静観する。
ドズル大佐の弱音の吐露の後――
「ドズル・ザビの子を産んではくれまいか?」
ド直球な告白が来ましたね。
ここまで直球なら「お前が好きだ、お前が欲しい」ぐらい言っても良かったと思う。*2
アホなことを考えつつも、ドズルの一世一代の告白に対し、ゼナ嬢が同意を示したタイミングで、俺は拍手した。
ハッとして、驚愕と共にこちらを振り向く2人。
気配を消していたのでゼナ嬢は最初から気付かなかったとしても、大佐、あなたはゼナ嬢しか目に入ってなさすぎです。
精一杯のでかい声で祝わせてもらおう。
扉の外の警備兵どもも聞くがよい。
「ご婚約、おめでとうございます!」
「エルンスト、貴様ぁ!」
羞恥に顔を真っ赤にして怒鳴るドズルというのも新鮮だ。
本気で怒っているわけでもない以上、こちらも恐れることはない。
「照れる必要もないでしょう。素直に祝わせてくださいよ」
「う、うむ……」
元より理不尽なことが性に合わない人だ。
こちらが心からの祝福を送っていると分かれば、照れながらもそれを受け止めてくれる。
「ゼナさんも、ご婚約おめでとうございます」
「あ、ありがとう」
あ、これは、俺がいることが予想外だったのもあるが、いきなりの結婚申し込みからの即婚約成立という怒涛の展開で、頭が整理しきれていないな。
まあいいか、このなんとも言えない雰囲気の中だが、さっさと話自体は終わらせてしまおう。
「大佐、このタイミングで言うのもなんですが、私からも一つお願いがあります」
「ん?
……なんだ?」
さすがというべきか、浮かれていた顔から一転、ほぼ軍人の顔に戻る。
少しにやけているのと顔が赤いのは見なかったことにするのが人情というものだろう。
「私の卒業後の配属先ですが……
モビルスーツの開発に携わらせていただきたい」
「お前、この場で!?」
まあ、何も知らないゼナ嬢がいるからな。
告白前だったら俺もこの話はしなかったよ。
「ここには私と大佐、そしてあなたの
元より高い機密レベルの話でもないですし、問題ないと判断いたします」
ガルマが友人に世間話でポロっと漏らしてしまい、そしてそれが問題とはならないレベルなので、仮にマズかったとしても機密漏洩に問うには無理筋である。
最悪でも怒られるだけで済む。
話が飲み込めていないゼナ嬢と、渋々といった様子で納得する大佐が対照的だ。
「しかし良いのか?
貴様の席次なら参謀勤務でもなんでも望むことはできるぞ」
確かにそうであるが、参謀本部だと出世はできても戦場そのものには関われない。
俺は『敗戦の形』を変えたいのであって、特に『ジオンの勝利』そのものを求めているわけではない。
むしろ、
ならば一年戦争は回避するよりは、起こってもらった方が俺としてもありがたい。
「人類の半数以上が死ぬであろう史上最悪の戦争を止めようとしないことに罪悪感はないのか?」と言われるとちょっと返答に困るが、そもそも立場として、俺は未だ孤児出身の任官前の軍人で、この後、任官されたとしても新米少尉からのスタートだ。
止められるわけないだろう。
上層部の暗殺といった、
俺にとって最優先は
だから俺は、戦況を大きく変えうる『指し手』ではなく、ある程度自由に動ける『駒』であることの方が都合がいいと判断した。
それに、
「ガルマに聞いてから、私はミノフスキー博士の過去の論文を一読しました。
モビルスーツの機動性と、無線誘導兵器を無効化する手段の確立。
これが揃った時、戦場の様子は一変すると確信しています」
実際そうなるしな。
しかもこの変化は
この世界が繋がるのかは未知数だが、下手したら
「まぁいいだろう。
本格的な辞令は後日になるが、貴様をランバ・ラル付けの少尉として配置できるように取り計らってやる」
「ありがとうございます!」
これで俺の要件はすべて終わった。
敬礼をした後、扉に向かって歩いていく。
「それでは――」
振り向いて
「後は若いお二人の時間ということで!」
凍り付いた2人を尻目に、即座に退室する。
数瞬遅れた後、背後から聞こえる叫び声――俺には何も聞こえないな。
それと部屋から追い出された護衛の兵士2人、笑いすぎだ。
さてと、ようやくモビルスーツとのご対面だな。
読んでいただきありがとうございます。
ダーク・コロニーまで行けませんでしたごめんなさい。
開発チームに配属を希望する以上、このシーン削れませんでした。
次からあの兵隊ヤクザどもとの初遭遇です。
ちなみに
若干情けないですがエルンストの拠り所は、
たまに己の肉体への信頼をちらつかせるのはそのせい。
『致命的な下手を打たない限りは、何しても自分
成長していけばこの思考も徐々に改善されていく……はず。