サヴァイヴ〜ドルトムント財閥〜   作:一塔

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旅立ち

 ペルシアは次の日、思ったよりも寝起きが良かった。

 まるで全てを洗い流したかのように身体が軽く感じた。

 

 ――不思議なくらい。

 

 昨夜、泣いて、喚いて、笑って、酒をあおって。

 胸の奥に溜めていた泥みたいなものを、全部ひっくり返して吐き出したせいだろうか。

 目を開けた瞬間、空気が澄んでいる気がした。

 

「……あ、私……生きてる」

 

 独り言がふっと漏れる。

 自分の声がやけに明るく聞こえて、ペルシアは小さく笑った。

 

 だけど、その笑いはすぐに止まる。

 ベッドの端に座ったまま、シーツを握る指先が白くなる。

 

 軽い。身体は軽い。

 でも、心は軽くない。

 

 “決めた”から軽い。

 “決めたから、もう戻れない”って分かってるから、逆に軽い。

 

 ペルシアは深呼吸して、顔を洗って、髪をまとめた。

 鏡の中の自分を見つめる。

 

 目の下に少しだけ影。

 それでも、目の奥には――昨夜まで無かった火がある。

 

「よし」

 

 声に出して、自分に合図を送る。

 ドルトムント財閥の旅行会社へ向かう足は、妙に迷わなかった。

 

⸻

 

 会社に着くと、いつもの事務所の空気が出迎えた。

 端末の起動音。紙の匂い。空調の乾いた風。

 いつも通りなのに、ペルシアだけが“いつも通りじゃない”。

 

 扉を開けた瞬間、エリンがこちらを見た。

 目が合う。言葉はない。

 でも、その目が言っている。

 

――本当にやるのね。

 

 ペルシアは口角を上げた。

 大丈夫、という顔を作る。作ってしまう。

 

 リュウジは何も言わず、席を立った。

 タツヤは、少し遅れて顔を上げる。

 

「……おはよ」

 

 ペルシアが言うと、タツヤが眉を寄せた。

 

「おはよう〜。ってお前、その顔……何か決めた顔してるな」

 

「うん」

 

「うん、じゃない」

 

 タツヤの声が低くなる。

 エリンが一歩近づいて、タツヤの横に立つ。

 リュウジも自然にペルシアの後ろに回った。

 

 ――逃げ道を塞ぐようで、守るようで。

 

 ペルシアは笑って、ごまかすのをやめた。

 

「会議室、行こ」

 

「……は?」

 

 タツヤが目を瞬かせる。

 エリンが小さく息を呑む。

 リュウジは黙ったまま、視線だけが鋭くなる。

 

 ペルシアは歩き出した。

 止まらない。振り返らない。

 背後で椅子が軋む音がして、三人がついてくる足音が重なる。

 

⸻

 

 会議室の扉を開けた瞬間、空気がひやりとした。

 外の雑音が遠のき、ここだけ時間が遅くなる。

 

 ペルシアは椅子の背に手を置いたが、座らない。

 立ったまま、タツヤを見た。

 

「……それでどうしたの。急に」

 

 タツヤは眉間に皺を寄せたまま、けれど、目だけは真剣だった。

 嫌な予感を隠しきれない目。

 

 ペルシアは一度、唾を飲み込む。

 心臓がうるさい。

 

「私、辞める」

 

 一瞬、音が消えた。

 

 タツヤが固まる。

 エリンが目を見開く。

 リュウジの表情が、硬くなる。

 

「……は?」

 

 タツヤの声がかすれる。

 言葉を理解するまで時間がかかったみたいに、もう一度聞く。

 

「辞めるって……何を」

 

「ドルトムント財閥の旅行会社。辞める」

 

 言った瞬間、タツヤの顔色が変わった。

 怒りと困惑と、何より“守れなかった”みたいな痛みが混ざった顔。

 

 タツヤはエリンとリュウジに視線を飛ばす。

 

「お前たちは知ってたのか?」

 

 エリンが首を振る。声が少し震えた。

 

「昨日、初めて聞きました」

 

 リュウジも短く頷く。

 

「俺もです」

 

 タツヤは椅子に手をつき、天井を見上げるように息を吐いた。

 それから、目を戻してペルシアを見据える。

 

「ペルシア、本気か?」

 

「ええ。本気」

 

 即答だった。

 その即答が、タツヤの胸をさらに刺したのかもしれない。

 

「……理由を聞いていいか?」

 

 ペルシアは頷いた。

 そして、昨日のことを話した。

 

 十班のチーフパーサーが、エリンを潰すつもりだと動いたこと。

 “処罰”だの“解雇”だの、ありもしない罪を塗りたくるつもりだという話。

 プライドを傷つけられた復讐だということ。

 そして、ペルシアが――頭を下げて「自分が辞めるから見逃してほしい」と言ったこと。

 

 会議室の空気が、ぴりぴりと張り詰めていく。

 エリンは唇を噛み、目に涙を溜めた。

 リュウジは拳を握り、机の縁がきしむ。

 

 最後に、ペルシアは小さく付け加えた。

 

「……約束もした。私が辞める代わりに、エリンには手を出さないって」

 

 タツヤは黙って聞いていた。

 顔を伏せたまま、長い沈黙が落ちる。

 

 沈黙の間、ペルシアは自分の指先が冷えていくのを感じていた。

 “言い訳”をしたいわけじゃない。

 ただ、“決めた理由”を、ちゃんと見せたかった。

 

 タツヤが顔を上げた。

 

 目が――怒っている。

 

「……ペルシア」

 

 呼び方だけで分かる。

 冗談で流す空気じゃない。

 

「正直、そういうやり方は嫌いだ」

 

 ペルシアの胸が、きゅっと縮む。

 

 タツヤは続けた。

 

「何のために俺がいると思ってるんだ。お前が一人で頭下げて、一人で条件飲んで、一人で片付けるために、俺が班長やってると思ってるのか」

 

 声が荒くなるわけじゃない。

 でも、抑えている分だけ怖い。

 

 ペルシアは視線を落とした。

 言い返せない。

 

「……ごめんなさい」

 

 頭を下げた。

 本当に申し訳ないと思った。

 タツヤの怒りが正しいことも分かっていた。

 

 エリンの嗚咽が小さく漏れる。

 涙をこぼさないようにしているのが、逆に痛い。

 

 リュウジはペルシアを見たまま、低い声で言った。

 

「……勝手すぎる」

 

 その言葉に、ペルシアの喉が詰まる。

 “勝手”だ。分かってる。

 でも、勝手でしか守れない現実があった。

 

 タツヤは一つ息を吐いた。

 怒りを吐き出すための息。

 そして、ほんの少しだけ声の温度が落ちた。

 

「……で。ここを辞めて、どうする」

 

 ペルシアは顔を上げる。

 覚悟を作る。

 

「宇宙管理局に行きます」

 

 エリンがハッと息を呑んだ。

 リュウジの眉が動く。

 

 タツヤは目を細めた。

 

「宇宙管理局……」

 

「宇宙管理局で、私が守りたいものを守る」

 

 ペルシアは言った。

 言いながら、胸が熱くなる。

 

「私は……リュウジもエリンもタツヤ班長も、ククルもエマもカイエも守りたい。そのために私の耳が活かせる場所で、みんなを守る」

 

 言ってしまうと、涙が出た。

 我慢できない。

 口にした瞬間、痛みと愛しさが同時に溢れて、視界が滲む。

 

「ペルシア……」

 

 エリンの声も涙で揺れている。

 エリンは一歩前に出た。

 手を伸ばして、ペルシアの腕を掴む。

 

「……いいの?やっぱり今ならまだ、間に合う。私のことはいいから、ペルシアは――」

 

「ダメ」

 

 ペルシアは首を横に振った。

 涙がぽろぽろ落ちる。

 

「戻ったら、また同じ。変わらない、変わらないどころか、十班のチーフパーサーがまた何かするかもしれない」

 

 その言葉に、リュウジの目が鋭くなる。

 怒りが剥き出しになる寸前で、タツヤがリュウジを見て首を振った。

 今、爆発しても守れない。

 

 タツヤは肩を落とした。

 落とした肩が、今日はやけに重く見えた。

 

「……そうか」

 

 短い言葉。

 そこに諦めと、悔しさと、理解が全部詰まっていた。

 

 タツヤは少し間を置いて、ふっと眉を上げる。

 

「宇宙管理局には、いつから誘われてたの?」

 

 ペルシアは鼻をすすりながら答える。

 

「……前に、タツヤ班長に付いていったパーティで、局長が、声かけてきた」

 

「そんな前からかよ」

 

 タツヤは苦笑した。

 苦笑なのに、目は泣きそうだった。

 

「……まぁでも」

 

 タツヤは、もう一度息を吐く。

 怒りを飲み込む息。

 そして、決める息。

 

「……いいんじゃない?」

 

 ペルシアが目を見開く。

 

「え? いいの?」

 

 エリンも驚いた顔でタツヤを見る。

 リュウジも、ほんの少しだけ目を細めた。

 

 タツヤは肩をすくめた。

 

「俺としては反対だよ、当たり前だろ。お前が辞めるのなんて、嫌だ」

 

 その言葉に、ペルシアの涙が増える。

 胸が痛い。

 

 タツヤは続けた。

 

「でも……お前の顔見れば分かる」

 

「顔?」

 

 ペルシアが頬を触る。

 涙で濡れているだけなのに、何か変わって見えたのだろうか。

 

 タツヤは、少しだけ笑った。

 

「久しぶりに、やる気に満ちた顔してる……腹立つくらい、前向いてる顔だ」

 

 ペルシアは声にならない笑いを漏らした。

 泣きながら笑う。最悪だ。

 でも、嬉しい。

 

 タツヤはエリンとリュウジに視線を向ける。

 

「だから、エリンもリュウジも……見送ることに決めたんでしょ」

 

 エリンは、涙を拭いもせずに頷いた。

 

「はい。辞めるきっかけはどうであれ……ペルシアがやりたいことなら、応援したい」

 

 リュウジも短く言った。

 

「……行かせるしかない」

 

 その言葉が、刃みたいに胸に刺さる。

 “しかない”――そうだ。

 選択じゃない。現実だ。

 

 ペルシアはもう一度、深く頭を下げた。

 

「ありがとうございます」

 

 タツヤは手を振った。

 

「やめろ、そういうの……何かあったら、いつでも相談しろ。辞めても、お前は十四班の仲間だ」

 

 エリンの涙が、ぽろっと落ちた。

 声が震える。

 

「……勝手にいなくならないで、いなくなるなら、ちゃんと戻ってきて……戻ってこれる場所、作っておくから」

 

 ペルシアは顔を上げた。

 涙だらけの顔で、笑った。

 

「……うん」

 

 リュウジが、拳をほどきながら言う。

 

「宇宙管理局でも、お前はお前だ。だから……無茶はするな」

 

「誰に言ってんのよ」

 

 ペルシアが鼻をすすって言い返すと、リュウジの口元がわずかに緩んだ。

 

 タツヤが最後に、少しだけ声を強くした。

 

「じゃあまず、退職の手続きと、引き継ぎの段取りだ。やるなら、綺麗に辞めろ……俺が班長として、最後まで面倒見るから」

 

 ペルシアは胸がいっぱいになって、言葉が詰まった。

 泣きながら何度も頷く。

 

「……ほんと、嫌い。でもこういうとこ、好き」

 

「どっちだよ」

 

 タツヤが苦笑する。

 会議室の空気が、ほんの少しだけ温かくなる。

 

 でも、終わりじゃない。

 始まりでもない。

 

 ただ――決まった。

 

 ペルシアがここを辞めること。

 そしてそれを、四人で受け止めること。

 

 ペルシアは、涙を拭いて、もう一度深呼吸した。

 

 逃げないための呼吸。

 守るための呼吸。

 

 そして、静かに言った。

 

「……じゃあ、行くよ。私、守りに行く」

 

 エリンが泣きながら笑った。

 

「ええ。行ってらっしゃい」

 

 リュウジが短く頷く。

 

「行け」

 

 タツヤが、少しだけ照れくさそうに言った。

 

「……行ってこい。バカ」

 

 ペルシアは、泣きながら笑って、頷いた。

 

ーーーー

 

 その後のペルシアは早かった。

 

 会議室を出た足で事務室へ戻ると、いつもなら机の上に転がっているペンやメモ、飲みかけの缶が――今日は一つもない。

 ペルシアは自分の席に座るなり、端末を立ち上げ、指を走らせた。

 

 カタ、カタ、カタ……。

 

 打鍵の音が、妙に乾いて響く。

 速い。迷いがない。

 まるで“今この瞬間だけ”は、泣くことも悩むことも禁止だと決めたみたいに。

 

 画面には「引き継ぎ」「担当業務一覧」「定期便対応フロー」「非常時報告の提出先」――見慣れた項目が次々と並ぶ。

 端末の隅で、ペルシアの名前が、何度も何度も入力される。

 

 周りは、ひそひそと視線を送った。

 何があった。

 どういう風の吹き回しだ。

 サボり癖の塊みたいなあいつが、なぜ今そんなに真面目に。

 

 ペルシアは気づいていないふりをする。

 気づいていても、気づかないふりをする。

 

 ペルシアの背中は、いつもより少しだけ細く見えた。

 その背中を、エリンが黙って見ている。

 リュウジも横目で追っている。

 声をかければ崩れると、二人とも分かっていた。

 

 ――そのとき。

 

「ペルシア」

 

 タツヤの声が、事務室の空気を切った。

 ペルシアの指が止まる。

 ほんの一拍遅れて、椅子が軋む音とともに、ペルシアが立ち上がった。

 

「はーい、班長」

 

 いつもの軽口。

 だけど、笑っていない。

 

 タツヤは目だけで告げた。

 

「……役員室。提出に行く」

 

 ペルシアは一瞬だけ瞬きをして、すぐ頷いた。

 

「私も行く」

 

「……お前が?」

 

「当たり前でしょ。私の退職届だもの」

 

 その言い方が、あまりに真っ直ぐで。

 タツヤは苦い顔のまま、短く息を吐いた。

 

 後ろで、椅子が引かれる音。

 エリンとリュウジが立ち上がろうとしたのが分かる。

 

 ――ペルシアは振り返らない。

 ただ、視線だけを後ろへ流して、二人を止めた。

 

 “来なくていい”

 

 声にしない。

 目だけで伝える。

 

 “大丈夫。ちゃんとやれる”

 “ここは私の仕事”

 

 エリンの眉がわずかに寄る。

 リュウジの唇がきゅっと結ばれる。

 それでも二人は、立ち上がるのをやめた。

 

 ペルシアはそれを確認して、タツヤの横に並んだ。

 

「行こ」

 

 タツヤは頷き、歩き出す。

 廊下に出た瞬間、事務室のざわめきが背中に刺さった。

 

 でも、ペルシアは止まらない。

 

⸻

 

 役員室の前は、いつも空気が重い。

 廊下の照明まで、ここだけ白く冷たく見える。

 

 タツヤがノックをする。

 中から「入れ」という短い声。

 

 扉が開いた瞬間、甘い香りがした。

 香水だ。

 それが余計に鼻につく。

 

 部屋の奥には、大きな机。

 背もたれの高い椅子に座る役員が二人。

 片方は眼鏡の奥で目を細め、もう片方は指で机を軽く叩いている。

 

「……十四班の班長。何の用だ」

 

 タツヤが一歩進み、背筋を伸ばす。

 

「失礼いたします。提出がありまして」

 

 タツヤの声は落ち着いている。

 だが、その横で、ペルシアは――少しだけ顎を上げた。

 

 役員の目がペルシアを捉える。

 

「……お前は?」

 

「十四班、ペルシアです」

 

 役員が鼻で笑う。

 

「お前がここに来る理由はない。退室しろ」

 

 タツヤが口を開こうとするより早く、ペルシアが言った。

 

「あります」

 

 短い。

 きっぱり。

 その場の空気が一段と凍る。

 

 タツヤが横目で“やめろ”と止める。

 ペルシアは横目で“任せて”と返す。

 

 役員が机を指で叩く音が止まった。

 

「……何だ」

 

 ペルシアは、胸ポケットから書類を取り出し、机の上に置いた。

 退職届。

 その文字が見えた瞬間、役員の眉が動く。

 

「ふざけているのか」

 

「ふざけてません」

 

「お前は“耳”がある。替えが効かない人材だ。辞めるなど認めない」

 

 その言葉に、ペルシアの口角がほんの少し上がった。

 笑みではない。

 “嗤い”に近い。

 

「替えが効かないなら、今まで大事に扱えばよかったじゃないですか」

 

 タツヤの肩がわずかに揺れる。

 息を呑むのを、ペルシアは聞き取った気がした。

 

 役員の片方が、低い声で言う。

 

「……口の利き方を――」

 

「事実だけ言います」

 

 ペルシアは被せた。

 エリンに言われた言葉を、わざと口に出す。

 自分への鎖にするために。

 

「私は現場で、規則と数字で命を踏む人間を見てきました」

「安全を最優先にするべき場所で、優先順位が“体裁”になっているのを見てきました」

 

 役員が目を細める。

 

「具体的に言え」

 

「具体的に言うと、あなた方は“現場を見ていない”」

 

 言い切った。

 

 机を叩く音が戻る。

 役員の指が苛立ちを刻む。

 

「……十四班が偉そうに」

 

「偉そうにしてるんじゃない」

「偉いなら、責任を取ってくださいって言ってるんです」

 

 ペルシアの声は震えていなかった。

 震えないように、喉の奥に釘を打っている。

 

 タツヤが静かに口を挟む。

 

「失礼いたします。ペルシアの退職は本人の意思です。引き継ぎは――」

 

「黙れ、班長」

「お前は操縦もしないのに籍を置けている分際で、何を――」

 

 その瞬間、タツヤの目が細くなる。

 怒りが、表面に出る前の怖さ。

 

 ペルシアは、タツヤを守るみたいに一歩前に出た。

 

「班長を侮辱するなら、私の話はここで終わりです」

 

「……脅すのか?」

 

「脅してません」

「選ばせてるだけ」

「私の退職を受理するか、現場があなた方を見限るか」

 

 役員の片方が鼻で笑った。

 

「現場が見限る? 現場は従う。従わせる」

 

 ペルシアは、笑わなかった。

 その代わり、刺すように言った。

 

「従わせるだけなら、誰でもできる」

「あなた方がやってるのは、指揮じゃなくて“恐怖”です」

 

 役員の顔が歪む。

 

「……言い過ぎだ」

 

「言い過ぎじゃない」

「“やる気がある人間”ほど消えていく会社って、普通ですか?」

 

 タツヤが小さく息を吐いた。

 止めるか迷っている息。

 でも止めなかった。

 ペルシアに喋らせると決めた顔だった。

 

 役員が冷たく言う。

 

「お前が辞めたところで、何も変わらない。お前一人が消えるだけだ」

 

 ペルシアは、わずかに瞼を伏せた。

 

「変わらないなら、なおさら辞めます」

「私はここで“守る”仕事がしたかった」

「でもここは、“守る人間”を守らない」

 

 部屋の空調の音だけが、しばらく聞こえた。

 

 役員の片方が、ゆっくりと椅子にもたれかかる。

 

「……宇宙管理局に行くという噂がある。そうか」

 

 その言葉に、タツヤが眉を動かす。

 役員室には、情報が回っている。

 当然だ。ここはそういう場所だ。

 

 ペルシアは動じないふりをして、頷いた。

 

「はい」

 

「なら、なおさら好都合だ。裏切り者は早く切れる」

 

 その言い方が、あまりにも軽くて。

 タツヤの拳が握られる。

 ペルシアの胸の奥で、熱いものが弾けた。

 

 でも――約束がある。

 

 ここで暴れて、余計な火種を残したら、守れない。

 エリンを守るために辞めると決めたのに、エリンの足元を燃やしたら意味がない。

 

 ペルシアは唇を噛んで、言葉を選んだ。

 

「裏切り者で結構」

「ただ一つだけ、言っておきます」

 

 役員が目で促す。

 

 ペルシアは、まっすぐ見た。

 

「現場は、あなた方が思ってるほど愚かじゃない」

「誰が命を守って、誰が命を数字にしてるか――ちゃんと見てる」

 

 役員の片方が、苛立ちを隠さず言った。

 

「……もういい。退職届は受理する」

「ただし、守秘義務は徹底しろ」

「余計なことを喋れば――」

 

「喋りません」

 

 即答だった。

 “約束を守る”という意味でも、

 “あなた方に餌をやらない”という意味でも。

 

 タツヤが深く頭を下げる。

 

「失礼いたします」

 

 ペルシアも、最低限の礼だけはした。

 頭を下げながら、最後に一言だけ落とす。

 

「……役員室って、息が詰まりますね」

 

 それは挑発じゃない。

 本音だった。

 

 扉が閉まる。

 

 廊下に出た瞬間、ペルシアの肺に空気が流れ込んだ。

 生き返るような感覚。

 

 タツヤが、歩きながら小さく言う。

 

「……お前、刺しにいったな」

 

「刺したよ」

「約束守りつつね」

 

「エリンに怒られるぞ」

 

「もう怒られてもいい」

「怒られても、守れたならいい」

 

 タツヤは何も言わなかった。

 その沈黙が、ペルシアには救いだった。

 

⸻

 

 事務室に戻ると、視線が一斉に集まった。

 戻ってきた二人の空気が、いつもと違う。

 何かが“終わった”空気だ。

 

 ペルシアは、笑って手を振ろうとして――やめた。

 今笑ったら、崩れる。

 

 タツヤが周りに向かって短く言う。

 

「……業務に戻れ」

 

 その一言で、視線が散る。

 散ってくれる優しさに、ペルシアは喉が熱くなった。

 

 ペルシアは自分の机に向かい、最後の引き継ぎデータを送信する。

 送信完了の表示が出て、画面が静かになる。

 

 業務終了のチャイムが鳴った。

 

 ペルシアは立ち上がり、タツヤの前に行く。

 椅子の足が床を擦る音が、やけに大きく響く。

 

「……私はこれで帰る」

 

 タツヤが顔を上げる。

 

「皆に挨拶は?」

 

 ペルシアは、少しだけ口元を歪めた。

 

「さよならは嫌い」

 

 その声が、かすかに揺れた。

 肩が、微かに震えている。

 

 タツヤはそれを見て、眉を寄せる。

 次の瞬間、荒っぽくペルシアの頭を撫でた。

 

「……バカ」

 

 ペルシアは笑おうとして、笑えない。

 涙が出そうで、出ない。

 喉の奥が痛い。

 

 ペルシアはタツヤを見上げて、早口で言った。

 泣く前に言い切るために。

 

「タツヤ班長、私の空いた穴は十班のミラを入れてあげて」

「あの子、磨けばきっと戦力になるから」

 

「分かった」

 

「それと――」

 

 ペルシアは続けた。

 息を吸って、吐いて、それでも声が湿る。

 

「エリンとリュウジは、一人で背負い込む癖があるから、ちゃんと見ててあげて」

 

「分かってる」

 

「ククル、カイエ、エマは真面目だから、ちゃんと息抜きさせてあげて」

 

「ああ」

 

 淡々と返すタツヤの声が、少しだけ掠れていた。

 ペルシアはそれがたまらなくて、視線を落とす。

 

「……それと、それと……」

 

 言葉が詰まる。

 ここが、一番言いたいのに、一番言えない。

 

 喉が震える。

 目の奥が熱い。

 

 ペルシアは、とうとう涙を堪えきれなくなった。

 

 ぽろ、と落ちる前に、言った。

 

「タツヤ班長……ありがとうございました」

 

 声が泣いていた。

 泣かないつもりだったのに、泣いていた。

 

 タツヤは一瞬だけ目を閉じて、また頭を撫でた。

 さっきより優しく、乱暴に。

 

「……行ってこい」

「守るなら、守り抜け」

 

 ペルシアは頷く。

 涙が落ちる。

 それでも、笑った。

 

「うん」

 

 そしてペルシアは、振り返らずに歩き出した。

 振り返ったら、最後になってしまうから。

 

 扉の前で一度だけ立ち止まり、背中のまま言う。

 

「……またね」

 

 さよならじゃない。

 またね。

 

 そう言って、ペルシアは事務室を出た

 

ーーーー

 

 ペルシアが出ていった扉が閉まったあとも、事務所の空気はしばらく戻らなかった。

 いつもなら誰かの軽口や、椅子を引く音、端末の通知音が混じって“いつもの仕事場”が勝手に動き出すのに――今日は、誰も動き出せない。

 

 タツヤは、ペルシアの席を一度だけ見た。

 そこには何もない。

 いつもなら、あの子が座って、笑って、毒づいて、あくびしていたのに。

 机は綺麗すぎるほど整っていて、逆に胸が痛くなる。

 

 タツヤは咳払いをひとつして、事務所の中央に立った。

 

「……みんな、ちょっといいか」

 

 その声で、全員が視線を上げる。

 リュウジは手元の資料から目を離し、エリンはペンを置き、ククルとエマは立ち上がりかけたまま止まる。

 カイエは、まだ理解する前の顔で、タツヤを見た。

 

「ペルシアの件だ」

 

 タツヤの声が、少し掠れている。

 それが余計に嫌な予感を呼んだ。

 

「……今日で、辞める」

 

 言葉が落ちた瞬間、事務所全体が“ざわ”ではなく、“どよめき”に揺れた。

 

「え……?」

「辞めるって……」

「今、何て……?」

 

 ククルが目を見開き、エマが口元に手を当てた。

 十四班の誰もが一度は想像して、でも見ないふりをしてきた結末が、いま現実になった。

 

 タツヤは短く続けた。

 

「本人は『さよならは嫌い』ってさ。だから……これでさよならだ、って言って帰った」

 

 冗談みたいな言い方なのに、笑える空気じゃない。

 むしろ、その言い方がペルシアらしすぎて、胸の奥が苦しくなる。

 

 そして――。

 

「……ちょっと、待ってください!」

 

 声を上げたのはカイエだった。

 驚きと怒りと、追いつかない悲しさが混じった顔で、タツヤに詰め寄る。

 

「どうしてペルシアさんが!? そんなの、聞いてません!」

 

「本人の希望だ」

 

 タツヤは静かに言った。

 静かすぎて、カイエの苛立ちが余計に浮き立つ。

 

「宇宙管理局で、皆を守りたいそうだ」

 

「……本当ですか!」

 

 カイエの声が震える。

 

「もしかして、まだ十班の件が――!」

 

「カイエ」

 

 エマがカイエの腕に触れて止めた。

 ククルも慌てて頷く。

 

「カイエ、落ち着いて……」

 

 けれどカイエは止まらない。

 止まれない。

 胸の中に溜め込んでいたものが、いま一気に溢れそうだった。

 

「だって……! ペルシアさんが辞めるなんて!」

 

 タツヤは一度だけ目を閉じ、ゆっくり首を振った。

 

「十班の件は関係ないよ。ペルシアが決めた道だ」

 

「本当に……本当に本当ですか!?」

 

 カイエが食い下がる。

 その視線が、タツヤだけでなく、エリンへと向く。

 

 エリンは、何も言えなかった。

 言えば余計に傷つけると分かっている。

 でも黙れば黙るほど、“隠してた”が事実になる。

 

 カイエの唇がきゅっと噛み締められる。

 そして、鋭い声が飛んだ。

 

「……私が気づいてないと思ってましたか!」

 

 事務所の空気が張りつめた。

 エリンの肩が小さく揺れる。

 返事を探すように口が開きかけて――閉じる。

 

 それが答えになってしまった。

 

「……っ、くそ!」

 

 カイエは机を軽く叩き、踵を返した。

 

「カイエ!」

 

 ククルが追いかけようとする。

 けれど――リュウジが、低い声で止めた。

 

「行かせてやれ」

 

 ククルが立ち止まる。

 エマも息を呑む。

 リュウジは、拳を握りしめたまま、視線だけを扉の方へ向けていた。

 

「……あいつは、今、一人だ」

 

 その一言が、背中を押した。

 

 カイエは、事務所を飛び出した。

 

⸻

 

 廊下の空気が冷たい。

 足音が響く。

 自分の呼吸がうるさい。

 

 エレベーターは遅い。

 カイエは階段を選んだ。

 制服の裾が揺れ、息が切れる。

 

 ――間に合え。

 間に合え。

 

 心臓が喉まで上がってくる。

 こんなに走ったのはいつ以来だろう。

 それでも、止まったら、追いつけなくなる気がした。

 

 ロビーへ出る扉を押し開けた瞬間――見えた。

 

 ガラス扉の向こう、外へ出ようとする後ろ姿。

 ハイヒールの音。

 いつもの歩き方。

 いつもの、ペルシア。

 

「……ペルシアさん!!」

 

 声が裏返った。

 恥ずかしいほど必死な声。

 

 ペルシアが足を止める。

 振り返った顔は、いつもの“からかう顔”ではなかった。

 

「……カイエ?」

 

 驚いたように目を丸くして、それから少しだけ眉を下げる。

 

「なに、走ってきたの? 息、死んでるじゃない」

 

 軽口。

 でも、その声は優しい。

 

 カイエは息を整える暇もなく、真っ直ぐ詰め寄った。

 

「……どうして、何も言わずに辞めるんですか」

 

 ペルシアの笑みが、ふっと消える。

 視線が一瞬だけ揺れて、それでも逸らさない。

 

「言ったら止めるでしょ」

 

「止めます!」

 

 即答だった。

 

「止めるに決まってます! だって……だって、ペルシアさんがいない十四班なんて……!」

 

 言葉が詰まる。

 涙が出そうで、出ない。

 それが余計に苦しい。

 

 ペルシアは小さく息を吐いた。

 その吐息の音すら、カイエには痛い。

 

「……十四班は、私がいなくても回るよ」

 

「回りません!」

 

 カイエは強く言った。

 強く言ってしまったせいで、声が震えた。

 

「回るとか、回らないとかじゃない。私たちは……ペルシアさんがいるから、“十四班”なんです」

 

 ペルシアの目がわずかに潤む。

 でもペルシアは笑おうとする。

 

「なにそれ、口説いてんの?」

 

「ふざけないでください!」

 

 カイエの涙が、ついに零れた。

 ぽろ、と頬を伝う。

 

「……私、悔しいんです」

 

 言葉が震える。

 胸がぎゅっと潰れる。

 

「あなたが十班で、私たちの代わりに戦って、ボロボロになって。それでも最後まで、現場を守って……」

 

 カイエは拳を握った。

 

「なのに、辞めるのはペルシアさんで残るのは、私たちで……そんなの、納得できない」

 

 ペルシアのまつ毛が震える。

 目の奥が赤い。

 それでも、ペルシアは一歩だけ近づいて、カイエの肩に手を置いた。

 

「……カイエ」

 

 呼ばれただけで、カイエの喉が詰まる。

 

「あなた、真面目すぎ」

 

「……うるさいです」

 

「うるさいのは私の役目だったんだけどね」

 

 ペルシアの声が、少し掠れた。

 “泣いてないふり”が崩れかけている。

 

「ねぇ、聞いて」

 

 ペルシアは、カイエの目を真っ直ぐ見た。

 

「私が辞めるのは、逃げじゃない」

 

「……じゃあ、何ですか」

 

 ペルシアは、ゆっくり言った。

 

「守るため」

 

 カイエの眉が寄る。

 

「守るって……十四班を?」

 

「うん。十四班を。それと――この会社にいる限り、守りきれないものを」

 

 ペルシアは、自分の胸のあたりを指で軽く叩いた。

 

「私の耳ってさ、便利なんだよ。嫌な噂も、危ない兆しも、嘘も、焦りも、全部、拾う」

 

 カイエは息を呑む。

 ペルシアは淡々と続けた。

 

「でもこの会社じゃ、その耳は“道具”として扱われる。守るための耳じゃなくて、上の人間が自分の立場を守るための耳」

 

 ペルシアの唇が、ほんの少し歪む。

 

「そんな場所で、私が守りたいものを守れると思う?」

 

 カイエは答えられない。

 答えたくない。

 

 ペルシアは、視線を落とし、少しだけ笑った。

 

「だから宇宙管理局に行く、そこなら、私の耳は“守るため”に使える」

 

「……それで、皆を守るって言うんですか」

 

「言う」

 

 ペルシアは頷いた。

 その頷きが、強い。

 

「リュウジも、エリンも、タツヤ班長も、ククルもエマも……カイエも。私が守りたいのは、そういう“人”だから」

 

 カイエの涙が止まらない。

 

「……だったら、ここにいても守れます」

 

「守れない」

 

 ペルシアは即答した。

 冷たいのではなく、決意が硬い。

 

「ここにいたら、いつか私が壊れる。壊れたら、誰も守れない」

 

 カイエの肩が震える。

 

「……私が、もっと強かったら」

 

「違う」

 

 ペルシアが首を振る。

 

「カイエは強いよ。強いから、こうして追いかけて来た。強いから、悔しいって言えた」

 

 ペルシアの声が、急に優しくなる。

 

「それに……、お願いがある」

 

「……お願い?」

 

 ペルシアは、カイエの手を取った。

 指先が少し冷たい。

 それが“今まで我慢してた”証拠みたいで、カイエの胸が痛む。

 

「私がいない間、エリンを守って」

 

 カイエが目を見開く。

 

「エリンさんを……?」

 

「うん」

 

 ペルシアは笑いかける。

 でも、その笑みは泣きそうだった。

 

「エリンってさ、完璧に見えるでしょ。でも、完璧なふりをしてるだけ。本当は、誰よりも背負い込む」

 

 カイエの喉が詰まる。

 思い当たる。

 何度も。

 

「リュウジもね。あいつも同じ。強いふりが上手すぎて、壊れるまで誰も気づけない」

 

 ペルシアは息を吸う。

 目尻に涙が溜まる。

 

「だから……カイエ、頼む。あなた、真面目で、優しくて、気づける人だから」

 

 カイエは唇を噛み締めた。

 泣きながら、頷く。

 

「……そんなの、当たり前です」

 

「当たり前って言えるの、ほんと強い」

 

 ペルシアの涙が一粒、落ちた。

 それを見た瞬間、カイエの胸が壊れそうになる。

 

「……ペルシアさん」

 

「なに」

 

「……私、ペルシアさんみたいにはなれません」

 

 ペルシアが首を傾げる。

 

「なれなくていいよ」

 

 優しい声。

 

「カイエはカイエでいい。あなたの真面目さ、私、結構好きだし」

 

 カイエは泣き笑いになる。

 

「……ずるいです」

 

「私、ずるいの得意だから」

 

 ペルシアは、笑って、涙を拭う。

 でも拭いきれない。

 

 カイエは、震える声で言った。

 

「……行くなら、絶対に戻ってきてください」

 

 ペルシアは一瞬黙って――それから、ゆっくり頷いた。

 

「約束はしない」

 

「……え」

 

 カイエの顔が崩れる。

 その瞬間、ペルシアが慌てて続けた。

 

「違う違う、そういう意味じゃなくて」

 

 ペルシアは苦笑いして、泣きながら言う。

 

「“戻ってくる”って言ったら、さよならになっちゃうでしょ!私はさよならが嫌いなの」

 

 カイエは目を見開き、また涙が溢れる。

 

 ペルシアは、カイエの額に自分の額を軽く当てる。

 子どもみたいな距離。

 でもそれが、今は一番温かい。

 

「だから言うのはこれ」

 

 ペルシアは小さく、でもはっきり言った。

 

「――あとは任せた」

 

 カイエの肩が震える。

 その言葉の重さに、泣きながら頷く。

 

「……任されました」

 

「うん」

 

 ペルシアは一歩離れて、いつもの顔に戻ろうとする。

 でも戻りきらない。

 

「カイエ、笑って」

 

「……無理です」

 

「じゃあ泣いてていい。でも、ちゃんと息して」

 

 その言い方が、ペルシアらしくて。

 カイエは苦しくて、愛しくて、泣きながら笑った。

 

「……はい」

 

 ペルシアも泣きながら笑う。

 

「よし」

 

 そしてペルシアは、踵を返した。

 行ってしまう。

 

 カイエは、最後に叫んだ。

 

「ペルシアさん!!」

 

 ペルシアが振り返る。

 

「――私、ペルシアさんのこと、尊敬してます!」

 

 言った瞬間、カイエの顔が真っ赤になる。

 でも引っ込めない。

 

 ペルシアは目を丸くして、次の瞬間、ふっと笑った。

 涙が頬を伝ったまま。

 

「……知ってる」

 

 そして、いつもの調子で付け足す。

 

「だからちゃんと守りなさいよ、十四班。私の好きな場所、壊したら許さないから」

 

 カイエは泣きながら、力いっぱい頷いた。

 

「……はい!」

 

 ペルシアは手を振った。

 軽く。

 さよならじゃない合図。

 

 カイエはその場に立ち尽くし、扉が閉まるのを見送った。

 

 胸の奥が痛い。

 でも、同時に――背中に、火が灯る。

 

 “あとは任せた”

 

 その言葉が、重いからこそ。

 カイエは涙を拭き、息を吸って、立ち上がった。

 

 守る。

 ペルシアが守りたかったものを、ここで守る。

 

 彼女がいなくなった穴は、埋まらない。

 でも――崩さない。

 

 カイエは、事務所へ戻るために歩き出した。

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