アビドスに三年生がもう1人いる世界線   作:最葛餅

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「うへ〜……ごめんね?わざわざ」

「いいんだよ。お前は今日ぐらいゆっくり休んでろ」


推定タグ
男主人公
風邪ネタ
キャラ崩壊
独自解釈
独自設定
多分愛されもある


最強が風邪を引いたお話

「……まじで?」

 

通話越しに聞こえた言葉に呆けた面で俺はそう答える。

当たり前だろう。これまで病気のびょの字もなかったやつがいきなり風邪を引いたと言うのだ。まぁなんとも呆けるなと言うのは無理な話だろう。ってか俺は無理だ。

 

「うん……なんでだろうね〜?」

 

「明らかに普段の生活習慣だろ。馬鹿かお前。」

 

「馬鹿って……も〜相棒は酷いな〜」

 

確かに馬鹿は失礼だ。お前は阿呆だ。っと口に出すのを胸の内に収めて、これからどうするか悩む。

いやまぁ、看病に行けと言われるのは至極真っ当だ。

でも、これを見て欲しい。

 

「シロコ先輩!?また銀行襲ってきたの!?」

 

「ん、でも今回の銀行はしょぼかった。」

 

「……シロコ、返してきなさい。」

 

「あはは……まぁ、シロコ先輩も悪意があったわけではないでしょうし……」

 

……そう、またシロコが銀行強盗をしてきたのだ。しかも謝罪をしにいくにはこれまた時間がかかりそうな遠めのところである。

さて、正直に言うと面倒なので本来ならホシノに任せているのだが、当の本人は寝込んでいる。

 

「ん……」

 

「そんな耳を垂れさせても駄目。ホシノに言われてるだろ?」

 

ため息を吐きながら、再び通話していた端末に意識を向ける。

 

「……ということだ。また後で電話するからそれまでに何が欲しいか決めておいてくれよ」

 

「えっ?それって相棒がお見舞いに来てくれるってこと?なーんだ相棒もやさs」

 

ホシノが何か余計なことを言ってきそうな気がしたので即座に通話を切る。

そうそう、ノノミに関してだが今日は居ないらしい。だからシロコのかいぬ……保護者は俺しか居ないというわけだ。

 

「3人とも、俺はとりあえず菓子折りを持って謝りに行くから先にホシノのところにお見舞いに行ってやってくれ。なんだかんだ言って寂しがってるだろうからな。」

 

……本当はシロコも連れていくべきなのだろうが、なんだかんだ言ってホシノの方に連れて行ってもらうことにした。シロコも心配だろうからな。

 

 

ホシノの自室 ホシノ視点

 

「んぅ……?」

 

情けない声と共に私は目を覚ます。どうやら、相棒に連絡した後に寝てしまっていたようだ。

そのままぼーっとしていると部屋に呼び鈴の音が鳴った。相棒かなとも一瞬思ったが、時刻を見るとそれほど時間が経っていないので違うだろう。ってことは、アヤネちゃんたち来てくれたということだろう。

 

「入っていいよ〜……」

 

あまり後輩にこんな姿を見せたくはないが、せっかく来てくれた手前追い返すというのも気が引ける。

だから、ベットの上から入っていいよと声をかけた。

 

「失礼します……ホシノ先輩、大丈夫ですか?」

 

「入るわよ〜。ホシノ先輩、とりあえず果物と冷えピタ持ってきたわ。」

 

セリカちゃんとアヤネちゃんが最初に入ってきて、アヤネちゃんが冷えピタを頭に貼ってくれる。

頭にあった熱が冷えピタのおかげで引いてきた。そのおかげか、項垂れているシロコちゃんを見つけた。

 

「うへ……どうしたの?シロコちゃん」

 

「ん……銀行強盗しちゃった……」

 

あらぁ……まぁなんとなく察していたけどね。相棒の通話からも少し聞こえていたし。

本当は叱らないといけないんだろうけど、きっと相棒がしてくれてると信じて、ここは慰めてあげよう。

 

「シロコちゃんはそれを反省してる?」

 

「うん、反省してる……」

 

「なら、おじさんから言うことは何もなし!ほらほら、そんな顔しないで笑顔笑顔〜!」

 

ちょっとだけ無理をして体を起こしたら、シロコちゃんの頭を撫でる。てっきり怒られると思っていたのかシロコちゃんは目を見開いていたけど、すぐに目を細めて私の手に身を委ねている。その様子が可愛くって、そのまま3分ぐらい撫で続けた。

 

「それでホシノ先輩、体調はどうなの?」

 

「アヤト先輩との通話の声聞いてましたけど、少し辛そうでしたよ?」

 

「あはは……聞かれちゃってたか〜」

 

「アヤト先輩がスピーカーにしてたから、今日は家に戻ってるノノミ以外全員聞いてたよ」

 

「うへ〜……後で相棒に怒らないと……あと、おじさんの体調は大丈夫だよ!可愛い後輩が3人もお見舞いに来てくれたからね〜」

 

まだ大丈夫とは言い難いが、心配そうな後輩の手前そんなことを言い出せるわけもなく、多少空元気な感じはあるが元気であると見せる。

そんな私の姿に安心したのか、セリカちゃんたちはお大事にと言ってから帰って行った。まぁ、もうそろそろ日も落ちる時間帯なので仕方ないだろう。

だとしても……はぁ……

 

「結局相棒は来なかったな……」

 

「そりゃ悪かったな。」

 

「……うぇ!?」

 

その日、私は人生で数回もあるかと言うほどの驚きが声に出た。

 

 

「……うぇ!?」

 

「……うっさい、俺の鼓膜を破壊する気か」

 

顔を思いっきり赤くして驚きの声を出したホシノに対して耳を塞ぎながら、悪態をつく

……いやまぁ一言しか発してないのにそれでうるさいと言う方にも問題はあるのかもしれないが。

 

「ごめ、そんなつもりは……」

 

「分かってるっての。だから寝てろ馬鹿」

 

ベットから無理矢理体を起こそうとするホシノを宥めつつ、近くから椅子を取り出してそばに座る

セリカが持ってきてくれたのであろうりんごと果物ナイフ、小皿を持ってきて。

 

「それで?体調の方は?」

 

「……だいぶ良くなっt」

 

「嘘つくな。まだ辛いんだろうが」

 

「……うへ、相棒にはばれちゃうか〜」

 

笑って誤魔化そうとするホシノに鋭い視線と指摘をすれば、すぐに正直に話してくれた。

ある意味脅していると言えるが、悪化させないため致し方ないだろう。と言うか許せ。

 

「これでも2年だ。2年もありゃ日常生活の癖やらなんやらは暗記しちまうだろ」

 

「そんな特技を持つのは世界でも相棒だけなんじゃないかな〜?」

 

絶対にそんなわけないと言いたいが、この世界はよくわからんので口に出さないでおく。

それとりんごの皮を剥いて切り分け終わった。そのうち一片のりんごを爪楊枝で刺してから持ち上げ、

 

「はい、あーん。」

 

「……うへ???」

 

「いや、『うへ???』じゃなくて早く食えよ。どうせ今日殆ど食べてないんだろ?」

 

「いや……えぇ……??」

 

なんか困惑しているが何故だろうか。風邪で弱っているから親切に食べさせようとしているだけなのだが。

 

「もしかしてサイズがまだ大きかったか?」

 

「いや……そう言うわけじゃないけど……」

 

「……?だったらどう言うことだよ」

 

「いや、あーんさせようとしてたって分からないの???」

 

「は?病人に食べさせるんだからこれくらいは当たり前だろ?」

 

何言ってるんだこの病人はという目でホシノを見る。病人なんだから優しくするに決まっているだろ。流石にそこまで非情なわけがないだろ。

 

「いや……はぁ、どうせ何言っても変わんないでしょ。」

 

「当たり前だ。」

 

当然、と言うように呆れているホシノにドヤ顔をする。それに対しても呆れているようだが、そんなことは知らん。

 

「ってことで、さっさと食べろ。」

 

「はいはい……あーん」

 

「美味しいかって聞いてもりんごだし美味しいだろ。何も手つけてないし」

 

観念して食べたホシノにそう話しかける。ホシノは相変わらずだが、美味しそうにりんごを食べている

……あんまりこう言うことを言うべきではないのだろうが、小動物みたいに見えてきた。

 

「……ねぇ、相棒。なんで頭を撫でてるの?」

 

「……あ?あっほんとだ。すまんすまん」

 

そのままりんごを食べているホシノをみていればいつの間にかホシノを撫でていたらしい。

いやはや、小動物に見えてきているとこういうことをしてしまうのか。

 

「それじゃあ、俺は帰る。しっかり寝て体調を治すんだぞ」

 

「うん……ねぇ、相棒……もう、帰っちゃうの?」

 

「まぁ、こんな時間だしな。」

 

部屋の窓から外を見ればもう外が暗い。最近は時間が経つのが早くて困るものだ。

そう思いながら、椅子から立とうとすれば、袖を掴まれる。

 

「お願い……寝るまで一緒にいて……」

 

「……はぁ、寝るまでだぞ。」

 

俺はホシノに向かってそう言った後、ホシノが眠るまで隣に座っていたのだった。




後日談 ノノミ視点

私がネフティスから帰ってきた日、学校には先輩たちがいませんでした。

「あれ?ホシノ先輩とアヤト先輩は来てませんけどどうかしたんですか?」

「え?あぁ、あの2人ならホシノ先輩の家にいると思うわ、ノノミ先輩」

私の質問にそうセリカちゃんが答えてくれました。訳を聞けば、ホシノ先輩が風邪になってしまったようでそのお見舞いに行ったとかなんとか。
その2人が未だ学校に登校してないとなると……

「セリカちゃん、アヤネちゃん。私はちょっとホシノ先輩の家に行ってきますね〜⭐︎」

「分かりました!気をつけてくださいね!」

「分かったわ。あ、ついでに写真もお願いね?」

セリカちゃんは何か察したのか、少しニヤついた笑顔で私にそう言ってきました。まぁ、当初の目的はそれだったので、断る理由もありませんけどね!

「えぇ、勿論です⭐︎」


ホシノの自室 ノノミ視点

「さて……あんまりこうやってお邪魔するのは気が引けるんですけど……」

そう言ってわたしはホシノ先輩の自室へ入りました。目の前にあるベットには起きているホシノ先輩がいました。

「あっホシノせんぱ」

「しーっ……♪」

起きていたホシノ先輩に声をかけようと思えば、すぐに自分の口元に指を当てて、静かにするように促しました。
それでわたしが静かになった後、ホシノ先輩はアヤト先輩の頭を撫で始めました。その表情はどこか愛おしそうで、微笑んでいました。
そんな2人の姿が愛らしく、手に持っていたスマホでパシャリ……と一枚だけ写真を撮りました。その写真を見ると、写真の中のホシノ先輩はこちらを見て、はにかんだような笑顔をしていました。

「ノノミちゃん、写真を撮るなら一言言ってよ〜」

「えへへ……2人の姿がちょうどよく収まったのでつい……」

照れたように頬をぽりぽりと掻けば、写真をホシノ先輩に送りました。
送られた写真を見て、うへっている先輩は少し可愛かったです。

「さて、私はお邪魔でしょうしもう帰りますね!ホシノ先輩とアヤト先輩は今日も休みますよね?」

「うん。ノノミちゃんから伝えてもらってもいい?見ての通り、おじさんの両手は大変でさ〜。」

そう言うホシノ先輩の手は片方をアヤト先輩が握っていて、もう片方はアヤト先輩の頭を撫でるのに勤しんでいました。

「ふふっ。ええ、勿論です⭐︎」

「うへ、ありがとね〜ノノミちゃん」

「こちらこそ、アヤト先輩で遊ぶネタがまた入ったので」

それでは学校で、と言い残し、わたしは学校への道に着きました。
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