男主人公
悪夢枕
曇らせ……?
キャラ崩壊
独自設定
独自解釈
上記のタグが大丈夫な方はごゆっくりお楽しみください
「“アヤトの様子が最近おかしい……?”」
シャーレでの当番中、ホシノから気がかりな事を相談された。
「うん、最近アヤトが妙にしおらしくってさ。普段はもうちょい威厳があるというか、厳しい事を率直に言う筈なのに最近はそれが無くってさ〜。」
「“アヤトが……ね。それだけ聞くと素が出ているだけなんじゃないの?”」
アヤトの素は何度か見ているが、少々天然な所もあり普段の威厳は全く感じなかった。
それだけを聞けば後輩の前でも素を見せれる程に頼れているとも思うのだが、どうやらホシノからすれば違うらしい。
「そうだったらよかったんだけどね〜。ユメ先輩が亡くなっちゃった以降、何があってもあの性格になりきる事をしてたからさ……何かあったんじゃないかって思ってね。」
「“だから私に相談してきたんだね”」
「うん、多分私たちが聞こうとしてもはぐらかされるからさ、お願いしてもいい?」
「“いいよ、明日の当番の時にでも聞いてみるよ”」
「うん、お願いね〜?それじゃあおじさんはちょっと頑張っちゃおうかなー!」
そう言ってホシノはやる気を見せる様に、書類の方へと向き直った。
気がかりな事が解決しそうということでやる気が上がっているのだろう。こちらとしても有難いものだ。
「あ〜、やっぱりそうでしたか。俺個人としては気をつけていたつもりなんですけどね〜」
「“ってことは、やっぱり何かあったんだ?”」
翌日の当番、仕事を始める前にホシノから聞いた事を率直に聞いてみた。
するとアヤトはやっぱりかぁと言った困った様な表情を見せた。
「まぁ、そうですね。何かあったといえばあったし、なかったといえばないですし。」
「“そっか……アヤトがよかったらなんだけど、話を聞かせてくれる?”」
「……聞いて気持ちのいいものじゃないっすよ。それでも聞きたいですか?」
「“生徒が悩んでいるんだから当然だよ。それに、話してみたら気持ちが軽くなるかもしれないよ?”」
「確かにそうっすね……と言っても、そこから話せばいいのか……」
どこから話せばいいのかとアヤトは頭を悩ませている。
そりゃそうだ、原因にもよるが誰しも話しにくいことはあるだろう。それが、自分を強く見せようとしていたアヤトなら尚更。
「“アヤトの話せる所からでいいよ?”」
「そうっすねぇ……それじゃあまぁ最近の悩みから。ここ最近、よく悪夢を見るんですよね。」
「“悪夢……?”」
アヤトを悩ませているのは、どうやら悪夢を見ている事らしい。ただ、アヤトなら……
「俺ならそんなの見ても平気そうって思いました?」
「“……うん、アヤトならそれを見ても平然としてそうだなって。”」
「確かに一週間程度なら俺もなんとかなってましたよ。」
「“アヤト……その言い方はもしかして、”」
「そうっすよ、俺は1ヶ月近く悪夢を見続けてるんです。内容も豊富なんすよ?先生に見せれたらどれほど良かったか。」
そう言うアヤトの顔はどこか辛そうだった。悪夢を見続けているからそりゃそうだろうが、恐らくそれだけじゃない。
「“もしかして、みんなに嫌われる夢も見ちゃったとか……?”」
「……正解ですよ、先生。それも何種類も見せつけられましたからね〜、辛いなんてもんじゃないっすよ」
「“……辛い事を思い出させる様で悪いけど、その内容を聞いてもいい?”」
「大丈夫ですよ。どの道、先生にしか話せないと思いますし、先生のことは信頼してますから。」
そこからどんな夢かを聞いていけば、正直言って戦慄した。
ただでさえ毎日の様に見させられる悪夢の中には、信じていたみんなから暴言を浴びせられたり、殺されかけたり……いじめとも言える行為をされたり。
はっきり言って、常人なら耐えられる訳がない。
それに、見た悪夢はそれだけじゃない。そのまま聞いていると、目の前でアビドスの皆んなを殺されたり、手遅れだったりなどの状況も見せられたらしい。
「“アヤト……”」
「まぁ、そんな訳ですよ。こんな中で普段通りしろって言われても中々にきついんですよね」
そう言ったアヤトの表情はとても苦しそうなのに、それを押し殺して笑顔の様だった。
「“アヤト……辛いなら泣いてもいいんだよ?”」
「泣けないんですよ。泣きたいほど辛い筈なのに、顔から笑顔が剥がれないんです。わざとか無意識か、果たしてどうなんでしょうね?」
このままではまずい、本当にアヤトの精神面が限界を迎える。
でも、何をすればいいかを考えても中々いい案が……
「“ ………………あっ!いいこと思いついた!!”」
「うるっさ……なんですか先生、何を思いついたって言うんですか。」
少し怪訝そうな顔をするアヤトにニコニコした笑顔で近づき、肩を掴む。
「“自室で寝たら悪夢を見るんでしょ?だったら、アビドスの誰かの家でお泊まり会をすればいいんだよ!”」
「……先生、ついに働き過ぎで頭でも壊れました?」
そんな提案をすれば、アヤトからゴミを見る様な目で言われた。
なぜだろうか、とても良い案だと思うのに。
「どこが良いんですかどこが。なんであいつらの部屋に悪夢見るから泊めさせてって言うんですか。」
「“アヤト、悪夢を見る理由はいくつかあるけどその中の一つに強いストレスがあるんだよ。
そこでみんなと……最悪ホシノを抱きしめながら寝たら落ち着くんじゃないかなって!”」
「分かりました先生、先生も疲れてるんですよ」
「“確かにここ最近徹夜しかしてない気がするけど、疲れてないからね?”」
「先生、疲れの原因丸分かりです。早く寝てきてください。」
「“わ、私のことはいいの!ほら、早くホシノに伝えるよ!”」
そう言って私はすぐにホシノに連絡を取り始めた。
アヤトは慌てて止めようとするが、所詮アヤトの速度だ。送信した直後に取られてしまった。
「あんまり変なこと言わないでくださいよ、ただでさえここ最近変な扱われ方し始めているって言うのに」
「“それはアヤトが悪いんじゃ……”」
「何か言いましたか先生」
いえなにも、とアヤトに言って仕事の方に取り掛かる。
そうすればアヤトも当番の仕事を始めてくれた。あとは、夜にどうなるかだろう。
「“疲れたぁ〜……あれ、もうこんな時間?”」
「ほんとですね〜。やっぱ業務をしてたら時間が経つのは早いですね」
あれから昼休憩を挟んだり、ちょっとした雑談を交えつつ業務を進めていれば、いつの間にか当番終了の時間になっていた。
と、言うことはそろそろ……
「アヤト、迎えに来たよ〜!」
「はっ?なんでホシノが??いやそもそも迎えなんて頼んで……」
何かを言おうとした直後で言葉が止まった。恐らく、ホシノが来た理由がわかったのだろう。
「“そうだよ、私がホシノに頼んだんだ。”」
「やっぱり先生ですか……ホシノ、俺は別に大丈夫だから1人で帰っていいぞ」
「え?嫌だけど。お泊まり会するんだから連れて帰るに決まってるじゃん」
満面の笑みで言うホシノに、頭痛がするとでも言いたげなアヤト。
2人の温度差が面白く、ついつい微笑んでしまう。だが、それをアヤトに見られていた様で……
「先生、ニマニマしないでください。ただでさえ頭が痛いのに……」
「“まぁまぁ、偶には後輩たちとゆっくり夜も過ごすってのはいいと思うよ?せっかく学生なんだからそれらしいことしなきゃ!”」
「そうそう、せっかくなんだから一緒に寝ようよ!大きい方のシロコちゃんも誘ったんだからさ」
「分かった、分かったから揺らさないでくれ視界が気持ち悪い……」
ホシノに体を揺らされ、首がガクガクとしているアヤトを見守りながら、さてさて業務に戻ろうかといった所で、ホシノからまったをかけられた。
「先生も行くんだよ?」
「“え?!私も!?”」
「当たり前じゃん、先生が始めたことなんだよ?だったら先生もいないとね〜?」
「“いやでも仕事が……”」
「終わらせているに決まっているじゃないですか先生。俺を当番にしたのが運の尽きです。大人しく行きますよ先生も」
「“そ、そんなぁ……”」
どうやらアヤトは私も道連れにするらしい。いやまぁ、私は別に参加自体はいいのだが……
アヤトとホシノの空間に居るというのがちょっと……
「知らないですそんなこと。早く行きますよ。」
「“……アヤトって時々私の心読んでるよね?”」
「読んでませんよ。ほら早く準備してください。」
「“いや読んで━━”」
「読んでません。ほら早く、気絶させられてから行きますか?」
「“いえ、素早く行かせていただきます。”」
ものすごい圧を掛けられたので、これ以上は追及しないことにした。
それはそれとして高校生のお泊まり会に本当に参加していいのやら……