ありふれた職業で石の頭   作:作家名109

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深淵の職人と, 遺志를 継ぐ者(?)

バッシャーン!!

 

落下した挙句, 水に落ちたハジメ! ……よかった! 生きてたぜ!

 

「ぷはっ!! ゲホッ! ゴホッ! うわぁ……死ぬかと思った……鼻に水が入った……」

 

おい, その水のおかげで助かったんだぞ! まあ, 生きてたなら万々歳だ. 飲み水の確保もできたしな. 我らが主人公・ハジメは, こうして持ち前の強運(?)だけで生き延びてしまった. 彼はびしょ濡れのまま, ジャリの積もった岸辺へと這い上がった.

 

「ちくしょう……腰が……二度とあんな手抜き工事の橋なんか渡るかよ. マジで役所に民情入れるからな……」

 

普通なら絶望したり泣き叫んだりする状況なのに, この期に及んで燃え上がる職業精神. 恐るべ시 ww ハジメは地面に大の字になって荒い息を吐いた.

 

「俺のツルハシ! ツルハシはどこだ!」

 

彼は辺りを見回し, 水辺に流れ着いたバッグを見つけると駆け寄って抱きしめた.

 

「おお……よかった. バッグはセーフか……。ツルハシはどこ行った? 錆びたら困るんだよ」

 

くぅぅ. 己の骨よりも工具の安否を心配する真の技術者, 斎藤一(さいとう はじめ)……じゃなくて南雲ハジメ! ハジメはバッグの中を漁り, 周辺の水辺をくまなく探した. キョロキョロと, それはもう必死に! だが, 彼の手に馴染んだ, コーティングまで自作したあのツルハシは見当たらなかった.

 

「ない……俺のパートナーが……俺の分身が……」

 

絶망하려던 찰나, ハジメの脳内で作動する「存在しない記憶」. 彼は落下の直前の状況をスローモーションで回想した.

 

~~ 回想 ~~ 橋の上. ハジメが落ちる瞬間. 檜山が手を伸ばす. その手はハジメの服の裾を逃したが……なぜかハジメが持っていたツルハシの柄の方に向かっていた気がする! ~~ 回想終了 ~~

 

「あ……!」

 

ハジメがポンと膝を打った!

 

「檜山……あいつ……」

 

ニヤリ. ハジメは微笑んだ. すでに彼の記憶の中で檜山は, 「普段は愛想が悪いが, 実は自分を思ってくれていたツンデレな友人」程度に美化されていた ww さらには数々の記憶がフィルムのように駆け巡る. いや, 美化され始めた.

 

「それにさっきベヒモスから逃げる時も, 俺が魔力不足だったから, 大事なポーションを投げてくれただろ?」

 

ギュッ. ハジメは拳を力強く握りしめた.

 

「くぅぅ……檜山! ありがとう! おかげで生きる意志がメラメラと燃えてきたぜ! 必ず生きて戻るからな! そして、お前がくれたポーションの恩, 必ず返すぜ!」

 

ポロッ. その時, ハジメが持っていたバッグから発光石が一つ落ちた. その光に壁面が反射すると, 彼の口がぽかんと開いた.

 

「……マジかよ」

 

壁一面に埋め込まれた黒青色の鉱石たち. 地上ではお目にかかれない希少な輝きを放っていた.

 

「これ……深淵石? それにあっちで光ってるのは……高純度ミスリルか?」

 

チャリーン! ハジメの目が「金」のマーク($ _ $)に変わった. 青あざの痛みも忘れ, 壁へと駆け寄るハジメ. 彼は石に頬を擦りつけた. 石バカここに極まれり!

 

「はぁはぁ……この冷たい感触……この密度……これで装備を作れば耐久度ヤバいだろ. 檜山もこれを見ればきっと驚くはずだ! よし, 檜山に何かいいものを作ってやらなきゃな!」

 

その時だった.

 

ドシン. ドシン. ドシン.

 

暗闇の中から響いてくる足音.

 

グルルルルル……

 

全長3メートルを超える巨大な熊. 爪の一つ一つが凶器のように鋭い……「深淵のクローベア」が現れた!

 

しかし!

 

「あん? 熊か」

 

ハジメは怖がるどころか, 目を細めて熊をスキャンした.

 

「ちょっと待て……あの爪……金属光沢があるな? まさか生体金属か? あれで檜山にやる短剣の刃を作れば最高じゃねえか?」

 

グオォォォォ!!

 

熊が咆哮し, 前足を振り回した. パキッ! 岩が豆腐のように切り裂かれた. その姿にハジメが目を輝かせる.

 

「うわ……切削力パねぇ. あれだ. あれだよ! あれで俺のツルハシも作って, 檜山の短剣も作ってやろう. 檜山がこれを受け取ったらきっと感動するだろうな! あいつ……口ではツンデレみたいに毒づきながらも, 心の中じゃ喜ぶはずだ!」

 

生存本能より素材欲が勝った. ハジメは手を差し出した.

 

「おい, クマ公. それ俺にくれよ. 檜山にやるんだからさ」

 

グルル……?

 

熊が戸惑ったように動きを止める. 今まで自分に対してこんな態度を取る生物はいなかったからだ. 餌になろうと悲鳴を上げる生物はいた. だが, 「お前の爪をよこせ」と目を爛々と輝かせる奴はいなかった. 当たり前だ, 誰がやるかよ. なのに, そんな奴が一歩近づいてきた.

 

「あ, 人間の言葉は分からないか? その爪, 長すぎて不便そうだからな, 俺がメンテナンスしてやるって言ってるんだよ」

 

その気迫に, 熊が鼻をヒクつかせた. フンッ……クンクン?

 

熊は本能的に感じ取った. この人間……ヤバい. だが同時に, 妙に惹かれる. あの圧倒的な自信! あんなに堂々とカツアゲする態度! 野性の本能が囁いた. 「こいつがアルファだ!」と.

 

「よこさないなら強制的に削るぞ. お座り!」

 

一方, 迷宮内の安全地帯では…….

 

「……全員, 怪我はないか?」 「はい……」 「よし. 今日はここで野営する. みんなショックは大きいだろうが……ゆっくり休め. 特に香織さんは雫がよく見てやってくれ」

 

隅っこで香織が失神したように横たわっていた. 雫は濡れタオルで彼女の額を拭いてやっていた. その反対側の隅, 檜山大助は膝を抱えて顔を埋めていた.

 

「くっ……くくく……くはっ……」

 

このイカれた野郎, 何やってんだ!

 

(あの野郎, なんでまた死んでやがる……俺の計画は……俺の怨みはどこへ行けばいいんだよ!)

 

行き場を失った怒りが彼を苛んでいたその時, 誰かが彼の肩を抱き寄せた.

 

「檜山……泣くなよ」

 

光輝だった.

 

「?! ……あ? いや, おい光輝. 俺, 泣いてねえぞ?」 「嘘をつくな」 「いや, むぐっ! だから, そうじゃなくて!」

 

彼が何か言い返す前に, 龍太郎が加勢した.

 

「男のくせに何を隠してやがる! 友達が死んで泣くのは恥ずかしいことじゃねえぜ! 南雲の野郎, 最後までお前の名前を呼んでただろ? ……違ったか? お前が南雲の名前を呼んだのか? まあとにかく!」 「おい! 痛えよ! それに俺がいつあいつの名前を……」

 

檜山が抵抗すると, 光輝の温かい視線が彼に向けられた.

 

「檜山. さっき橋の上で見たよ. 南雲くんが落ちるあの瞬間, 君が伸ばしていたその手. そして届かなかった時のあの絶望的な表情. まるで……」

 

檜山は口をあんぐりと開けた.

 

「はぁ? おい, 小説でも書いてんのか? 俺が狂ってあいつの代わりに落ちるかよ? 俺はあいつを突き落とそうと……」

 

檜山が否定したが, それが逆に火に油を注いだ.

 

「嘘だ. 罪悪感で苦しんでいるのは分かっているさ!」 「あぁクソ……話が通じねえなマジで」

 

そこへ, 近藤がそろりそろりと近づいてきた. 檜山は救世主に会ったような表情で視線を送る.

 

(おい, 近藤! お前は知ってるだろ! 俺があいつを殺そうとしてたこと! 早く来て説明しろよ! 雰囲気が変な方向に流れてるじゃねえか!)

 

しかし近藤は, またこっそり後ろに下がりながら顔を背けた.

 

(……すまねえ, ダイスケ. 俺は, 今のこの雰囲気の方がいいと思うんだ. お前のためにも, 俺のためにもな) (この裏切り者がぁ……!)

 

パチンッ. 拍手の音が騒がしい空気を切り裂いた. メルド団長だ.

 

「さて, みんな落ち着け. 南雲くんの犠牲は……我々に大きな教訓を残した. 彼は最後の瞬間まで, この迷宮の危険性を警告していたんだ」

 

彼はゴソゴソと何かを取り出した. ハジメが落としていったツルハシだった.

 

「これが崖の縁に引っかかっていた. 彼の遺品だ」 「ああ……南雲くん……」 「あれ, 毎晩夜通し手入れしてたやつだよね……」

 

生徒たちが涙ぐむと, 光輝が立ち上がって手を挙げた.

 

「団長. その遺品……僕たちが預かってもよろしいでしょうか?」 「む? 光輝, お前がか?」 「いいえ. 僕ではありません. この物を持つ資格がある人間は, 別にいます」

 

光輝が悲壮な決意で後ろを振り返った. そしてスタスタと歩み寄り, 檜山の胸元に道具を押し付けた.

 

「……?」 「受け取れ, 檜山. 南雲の『遺志』だ」

 

受け取れ檜山ww

 

彼は毛嫌いするように腕を振った.

 

「おい! これを何で俺が受け取るんだよ?! この……何で俺にゴミを渡すんだ?!」 「檜山! 言葉が過ぎるぞ! ゴミだなんて! これは南雲の魂も同然なんだぞ!」

 

龍太郎が怒鳴ると, その隣に雫がやってきた. 彼女は落ち着いた口調で口を開いた.

 

「檜山くん. そうやってあえて突き放そうとしているのは分かるけれど……今は受け取ってあげるのが礼儀よ. 南雲くんは, きっとあなたのことをパートナーだと思っていたはずだわ」 「パートナーなわけねーだろ! これどけろ! どけないか?!」

 

すると光輝が檜山の手を両手でぎゅっと包み込み,

 

「檜山. 頼む. 南雲が成し遂げられなかったことを……君が継いでくれ」 「成し遂げられなかったこと? 何だよそれ」 「安全点検だよ」 「……はあ?」

 

不安げに檜山の目が泳ぐと, 釘を刺すように光輝が目を見開いた.

 

「南雲はいつも壁を叩き, 床を調べていた. おかげで僕たちが何度罠を避けることができたか分からない. だが, もう彼はいない. 僕たちの中で, せめて南雲を一番近くで見守り, 彼の行動原理を理解しているのは……彼に絶えず突っかかって関心を示していた君だけなんだ」 「……はあ?」

 

檜山はもう言葉も出なかった.

 

「……デタラメだ. 喧嘩売ってたんだよ! いじめてたんだよ! この難聴患者どもめ!!」 「まあまあ, 照れなくていいから! ちょうどこの区域の壁も少し不安そうだしな. 今夜は俺たちが不침번(ふちんばん)を立つから, 檜山, お前は壁を叩いてみてくれ」 「俺が狂ったか?! なんでこの夜中にツルハシを振らなきゃならないんだよ! 俺は魔法適性だぞ! 火を放つ魔術師なんだよ!!」

 

そこへメルド団長が割って入った.

 

「うむ. 一理あるな. 南雲の穴は大きい. 檜山, お前に一肌脱いでもらうしかないようだ. 我々の命がかかっているんだ」 「団長まで?! いや, これ職権乱用じゃないですか?!」

 

彼が否定すればするほど, ツンデレが無駄に渋っているように見えた. 女子たちまでキラキラした目で檜山を見つめてきた.

 

「檜山くん……お願い. 私, 怖くて眠れないの. あなたが壁を確認してくれたら安心できると思うわ」

 

檜山は呆れ果てた.

 

(あぁクソ……断ったら俺だけクズ扱いじゃないか. 南雲の野郎, 死んでからも俺にクソを撒き散らしやがって)

 

結局, 檜山は投げやり気味にツルハシを手に取った.

 

「あぁもう! 分かったよ! やればいいんだろ! やれば!!」 「さすが檜山だ! やってくれると信じてたよ!」

 

満面の笑みの光輝を背に, 檜山は肩を怒らせて洞窟の壁へと歩み寄った. そして怒りを込めてツルハシを叩きつけた.

 

カギィィィン!

 

「これでも食らえ! 南雲!!」

 

カギィィィン!

 

「死ね! 死ね! 死んじまえ!!」

 

檜山が壁を叩くたびに火花が散った. その殺気立った槌音を見つめ, 光輝が神妙な目をした.

 

「聞こえるか, 龍太郎……?」 「ああ. 聞こえるぜ……ツルハシが泣いてやがる. まるで『なんで死んだんだ! なんで俺を置いてったんだ!』って叫んでるみたいだ……」 「激情的だね……悲しみを労働へと昇華させているんだ」

 

カギィィィン! カギィィィン! バキッ!

 

その時, 檜山が叩きつけた場所から岩の塊がスポッと抜け, 奥から微かな光が漏れ出した.

 

トクトクトク……

 

「え? 何だこれ?」 「おおおっ! あれは! 隠された回復の泉か?! 檜山がやったぞ! 飲み水を確保したんだ!」

 

メルド団長の目も輝いた. 生徒たちの歓声が空洞に響き渡る.

 

「わああああ! すっごい! 檜山くん天才!」 「さすが南雲の弟子!」

 

予想外の事態に, 檜山はツルハシを投げ捨てた.

 

「弟子じゃねえぇぇぇぇぇぇ!!!! ただ運が良かっただけだ!!」 「謙虚さまで……檜山, 君は本当に最高の男だよ」 「神様……お願いですから俺を殺してください……じゃなきゃあいつらの耳と脳みそを直してください……南雲……この野郎……」 「くぅ……この期に及んでも手柄を南雲に譲るというのか……」

 

一方, 深淵の底では…….

 

「錬成:鉱石採取」

 

ウィィィーン! カカッ! ティン!

 

軽快な音とともに, 生体ミスリルの爪の破片が地面に落ちた. 熊は生まれて初めて経験するスッキリした感覚に, じっと目を閉じた.

 

グルルルル……

 

熊が猫のように喉を鳴らし始めた.

 

「な, お前も爪を切ったらかなりスッキリしていいだろ?」

 

グルルン……

 

熊はハジメの腕前に完全に魅了されたようで, お尻を振りながらハ지メの足に頭を擦りつけてきた.

 

「おっと, こいつめ. 獣のくせに恩義を知ってるな. よし, お前も俺と一緒に来るか?」

 

グルルゥッ!

 

熊が嬉しそうに鳴いた.

 

「名前は……うーん, 『熊山(クマヤマ)』でどうだ?」

 

クオォォォン!

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