個性『ウマ娘』でヒロアカ世界の最速を目指す 〜転生したらステータスが見えたので、限界突破してヒーローになります〜   作:雪乃 宿海

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No.

空から、騒がしい地上を眺めている。

 

眼下に見えるのは、首から上が消失した少女の死体。 あれは私だ

駿河天馬の成れの果てだ。

青山くんのレーザーをよけきれず頭を吹き飛ばされてしまったようだ。

あれを私は「見てから」避けようとした。

【集中力】を発動し、世界が止まって見えるほどの加速の中で、私は動いたつもりだった。

 

なぜだろうか。

 

あー光速不変の原理か。

 

質量を持つ私が、光より速く動けるわけがなかった。

漫画のような奇跡も、都合の良い物理法則の無視も、この世界にはなかったらしい。

 

私はただの意識だけの存在となり、空を漂う。

空を漂う私を残して世界の風景は加速していく。

 

「ハァ…信念なき正義はただのガンだ…だから死ぬ…」

 

無残に切り刻まれる競い合った仲間たち。

 

「僕はもう生きてはいけない。僕にキラメキなんてなかった。USJ 襲撃を手引きしたのは僕さ。僕は最低最悪の敵だ」

 

そういって飛び降りるクラスメイト。

 

「俺を助けんじゃねェ…!」

 

黒い霧の渦に飲み込まれるライバル。

 

「ハハハ、どうした笑えよオールマイト」

 

敵に嗤われても起き上がることのない瘦せこけた平和の象徴。

 

雄英体育祭での死亡事故。

ヒーロー殺しステインによる職場体験中の雄英生殺害事件。

雄英高校の内通者の発覚とその生徒の自殺。

合宿所襲撃による雄英生誘拐。

オールマイトの敗北。

 

立て続けに起こる雄英の危機管理体制やヒーローへの信頼が揺らぐ事件。

世間はこれ見よがしに雄英高校へ石を投げ、ヒーロー社会は音を立てて崩れ去った。

私はその風景をただ空から眺めることしかできなかった。

 

世間は雄英高校を糾弾した。

雄英高校は閉校せざるを得なかった。

 

雄英高校が無くなってしまったのが原因なのかそれともほかに原因があったのかそれはわからない。

しかし確実に敵発生率、犯罪率は上昇し魔王の手が世界を蝕んでいく。

混迷していく世界をただ一人瓦礫の玉座に座り眺めるもの。

 

オール・フォー・ワン

 

世界に希望は無く、ヒーローと呼ばれる存在はもう現れない。

 

「もっと賢く戦えればよかったねぇ」

 

誰かのそんな声が聞こえた気がした。 ええ、その通りにしましたよ。 だから私は死んで、世界も終わりました。

 

「ナガンさんごめん、私輝けなかったや」

 

声が届くことはない。

私は死んでしまったのだから。

 

私はその燃え落ちる灰色の風景を、ただ空から眺めることしかできなかった。

 

灰色の世界を見下ろす私の意識は徐々に薄れていく。

私という存在が消えていく中で、存在しない記憶が過る。

 

音楽に包まれた文化祭で、下手くそなダンスを踊る私。

寮の談話室で、みんなと鍋を囲んで馬鹿スカ笑い合う私。

そして、大観衆の声援の中、見たこともない競技場で誰よりも速く先頭を駆け抜ける私。

 

ああ、そっちの道もあったのかな。

ほんの少し、理屈を無視して、泥臭く足掻いた先には、そんな「ご都合主義」なハッピーエンドがあったのかもしれない。

 

でも、もう遅い。

物理法則は絶対だ。現実は非情だ。 奇跡なんて起きないからこそ、この世界は「正しい」。

 

「……つまんない世界」

 

私は目を閉じた。 正しくて、理屈通りで、そして誰も救われないこの世界に、もう未練はなかった。

 




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