個性『ウマ娘』でヒロアカ世界の最速を目指す 〜転生したらステータスが見えたので、限界突破してヒーローになります〜   作:雪乃 宿海

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続きました、
天馬について書いておきますね。

■基本プロフィール
名前:駿河 天馬(するが てんま)
所属:雄英高校ヒーロー科1年A組(出席番号21番)
身長:158cm(耳含まず)
好物:にんじんハンバーグ、はちみつドリンク
悩み:制服のスカートに尻尾の穴がないこと(自力で改造済み)

■個性:『ウマ娘』
人間離れした脚力と耐久力、持久力を有する。
最高時速は現時点で約70km前後だが、スキル発動時や「末脚」勝負ではそれを大きく上回る加速が可能。
聴覚・嗅覚も鋭いが、大きな音や強い匂いは苦手。
本人にしか見えない「UI」が存在し、自身のコンディションや他者のステータスを視覚情報として認識できる。
ウマ娘の魂と共鳴を起こすとウマ娘の力を継承しそのウマ娘の固有スキルを使用することができる。その際勝負服に変身する。

■基礎能力値【ランク】 ※雄英高校入試終了時点のデータ
スピード:448【C】
スタミナ:428【C】
パワー :462【C】
根 性 :513【C⁺】
賢 さ :591【C⁺】

■習得スキル
【集中力】(Lv5/習得済み)
スタートが得意になり、出遅れる時間が少なくなる。
天馬の場合、任意で「ゾーン(極限集中状態)」に入ることができる。

【シューティングスター】(継承固有スキル) 継承元:スペシャルウィーク
レース終盤に前の方で相手を抜くと勢いに乗って前に出てさらに加速力がちょっと上がる


No.7

 4月。

 桜の花びらが舞う通学路を、私は少し早足で歩いていた。

 真新しいグレーのブレザー。改造して尻尾を通したスカート。

 すれ違う人々が、私の制服を見て「おっ、雄英生か」と囁くのが聞こえる。

 悪い気分じゃない。

 

 雄英高校ヒーロー科。

 そこは、選ばれし者しか立てないスタートライン。

 私は今日、そこのゲートをくぐる。

 

     *

 

 校舎に入り、地図を頼りに教室を探す。

 1年A組。

 この物語のメインステージとなる場所。

 

「……あった」

 

 目の前には、見上げるほど巨大な扉があった。

 高さ4メートルはあるだろうか。異形型の生徒にも配慮した設計だというが、それにしたってデカすぎる。威圧感がすごい。

 

(さて、どんな顔して入ろうか)

 

 私は深呼吸をし、UIのコンディションを確認する。

 【絶好調】。よし。

 私は扉に手をかけ、一気に開け放った。

 

「――机に足を乗せるな! 雄英の先輩方や机の製作者の方々に申し訳ないと思わないのか!?」

 

「思わねーよ。どこの中学だよ端役(テメー)

 

 教室に入った瞬間、耳に飛び込んできたのは怒号だった。

 眼鏡の真面目くんと、脚を組んでふんぞり返る不良。

 飯田天哉と、爆豪勝己だ。

 

「あ」

 

 扉の音に気づいた飯田くんが、こちらを振り向いた。

 私と目が合うなり、彼の表情が驚愕と、そして敬意に変わる。

 

「君は……!」

 

 彼は爆豪との口論を中断し、一直線に私のもとへ歩いてきた。

 その動きは相変わらずロボットみたいにカクカクしている。

 

「おはよう! 俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ!」

 

「知ってるよ。……私は駿河天馬」

 

「駿河くんか! 入試の時は……君にしてやられたよ」

 

 飯田くんは悔しそうに、けれど清々しく言った。

 

「あの状況で、あの加速。俺は君より先に動いたというのに……俺は君の後塵を拝した。俺も足には自信があるが素晴らしい脚をもっているな!」

 

「買い被りすぎだよ。私はただ、走りたかっただけだよ」

 

「謙遜も美徳だが、事実は事実だ! これからよろしく頼む!」

 

 ガシッ、と熱い握手を交わす。

 実直で熱い男だ。彼のエンジンと私の脚、どっちが速いか競うのも楽しみだ。

 

「……おい」

 

 その時、低いドスの効いた声が割り込んできた。

 飯田くんの背後から、鋭い眼光が私を射抜いていた。

 爆豪勝己だ。

 

「テメェか。僅差で俺の次に点取った、馬女ってのは」

 

 その言葉に、教室内の空気がピリつく。

 他の生徒たちの視線も集まる。

 僅差という情報は、どうやら彼の中で相当気に入らないらしい。

 

「そうだけど? ……爆豪勝己くんでしょ。1位おめでとう。主席様は自分より格下には興味がないと思ってたけど?」

 

 私はあくまで平然と、余裕を持って返した。

 ここで怯んだら負けだ。

 彼は私の態度にピクリと眉を跳ねさせ、チッと舌打ちをした。

 

「余裕ぶっこいてんじゃねーぞ。……次はねえ。完膚なきまでに叩き潰してやる」

 

「奇遇だね。私も、次は負けるつもりないから」

 

 火花が散る。

 周囲の生徒たちが「うわぁ……」と引いているのがわかる。

 挨拶代わりの宣戦布告。上等だ。

 

 私は彼から視線を外し、自分の席を探す。

 指定された出席番号は21番。

 普通、1クラスは20人編成のはずだ。座席表を見ると……。

 

「……ここか」

 

 私の席は、教室の一番後ろ。

 本来なら通路であるはずのスペースに、一つだけ無理やり追加されたように置かれた机があった。

 窓際ではないが、教卓からは死角になりやすい位置。

 

(21人目の席……)

 

 周りの整然と並んだ机の列から、一つだけあぶれている。

 

(ま、特等席ってことでいいか)

 

 私は鞄を置き、椅子に座る。

 その時、教室の扉が再び開き、モジモジとした緑髪の少年が入ってきた。

 

(緑谷出久だ…)

 

 いまだ口論を続けている爆轟と飯田くんが緑谷くんに気づきそこに麗日さんが加わる。

 教室の前の方がまた騒がしくなった。

 

「お友達ごっこがしたいなら他所へ行け」

 

 冷ややかな声と共に、寝袋に入った芋虫のような男が廊下から転がり込んできた。

 教室が一瞬で静まり返る。

 

「……静かになるまで8秒かかった。時間は有限だ。君たちは合理性に欠くね」

 

 男は寝袋から這い出し、気怠げな目で私たち――そして、一瞬だけ最後尾の私を見て、言った。

 

「担任の相澤消太だ。よろしく」

 

「「「担任んんん!?」」」

 

 驚くクラスメイトたちを無視し、先生は体操服を取り出した。

 

「早速だが、体操服に着替えてグラウンドに出ろ」

 

「え? 入学式は? ガイダンスは?」

 

 麗日さんが尋ねるが、相澤先生は背を向けたまま冷酷に告げる。

 

「ヒーローになるなら、そんな悠長な行事に出る時間はないよ。……雄英は『自由』な校風が売り文句だ。そしてそれは先生側もまた然り」

 

 先生が振り返り、ニヤリと笑った。

 

「個性把握テストを行う」

 

     *

 

 グラウンドに出ると、すでに更衣室で着替えを済ませたA組の面々が揃っていた。

 みんな個性的な見た目をしているが、「ウマ耳」と「尻尾」を持っている私も十分個性的な部類に入るだろう。

 

「ソフトボール投げ……?」

 

 1位通過の爆豪勝己が、相澤先生からボールを受け取り、個性を使って705mという記録を叩き出した。

 「死ねええ!!!」という掛け声と共に。

 彼の実力と、相澤先生の「最下位は除籍処分」という理不尽な宣言に、クラス中が凍りつく。

 

「除籍……!?」

「せっかく入ったのに、そんなの理不尽です!」

 

「自然災害、大事故、身勝手な敵たち……。いつどこからくるかわからない厄災。日本は理不尽に塗れている」

 

 相澤先生は淡々と言い放つ。

 その言葉は、ナガンさんが教えてくれた「世界の裏側」の厳しさに少し似ていた。

 私は拳を握りしめる。  除籍なんてさせない。ここで一番を獲って、認めさせる。

 

     *

 

 第1種目:50m走。

 

 私の出番は、なんと最初の組だった。

 隣のレーンに立つのは、奇しくもあの男。

 

「奇遇だね、駿河くん。まさか入学して早々君と走れるとは」

 

 飯田天哉。

 ふくらはぎのエンジンを唸らせ、準備運動をしている。

 入試の時は私が追い抜いたけれど、直線での純粋なスプリント勝負なら彼は強敵だ。

 

「負けないよ、飯田くん」

 

「望むところだ!」

 

 私たちはスタートラインに立つ。

 ロボットの測定器が「位置について」と告げる。

 

(スキル『集中力』…!)

 

 私は意識を研ぎ澄ます。

 入試の時と同じ感覚。世界がスローになり、スタートの合図を待つ。

 

『用意――パンッ!』

 

 銃声と同時。いや、思考よりも速く。

 私の体は弾かれたように飛び出した。

 隣の飯田くんも速い。エンジンの爆発音と共に加速する。

 だがスタートダッシュは私の方が上だ!

 

「――はっ!」

 

 風を切る。

 たった数秒の決着。

 

『3秒02』

『3秒04』

 

 測定器の音声が無機質に響く。

 私がゴールラインを駆け抜けた直後、飯田くんがそのすぐ後ろを通過した。

 

「……ッ、速いな!」

 

 飯田くんが悔しそうに眼鏡を押し上げる。

 コンマ02秒差。

 鼻の差(ハナサ)だ。

 

「危なかった……」

 

 私は息を整える。

 さすがはエンジンの個性。中盤からの加速力は脅威だ。距離がもっと長ければ危なかったかもしれない。

 クラスメイトたちから「すげぇ……」「3秒台って車かよ」とどよめきが起きる。

 

     *

 

 その後も、私は順調に記録を伸ばした。

 握力、立ち幅跳び、反復横跳び。

 「ウマ娘」のフィジカルは、あらゆる運動能力において高水準だ。

 スキルヒントLv上昇のログは流れない。やはりヒントLvを上げるには実戦が一番なのかもしれない。

 

(順調。このままいけば総合1位も狙える)

 

そして迎えた第5種目、ボール投げ。

 

「次、駿河」

 

 相澤先生に名前を呼ばれ、私はサークルの中に入る。

 ボールを受け取る。ずしりと重い。

 

(ただ投げるだけじゃ、爆豪の700m超えには勝てない)

 

 私はステータス画面を開く。

 パワーの値は十分だが、それだけじゃない。

 確実に力を伝えきるための、完璧なリリースポイントを見極める必要がある。

 

(スキル『集中力』…!)

 

 私は意識のスイッチを入れた。

 思考が加速し世界がスローモーションになる。

 風の音も、クラスメイトの話し声も、すべてが引き伸ばされだんだんと聞こえなくなる。

 何かを投げるとき一番重要なのは最初に踏み込む足だ。

 力強く踏み込み地面から得られる反動のエネルギーをロスなくボールを持った手に伝える。その点ウマ娘の脚力はこのボール投げという種目で実は意外と有用な力だ。

 

(ここだ……!)

 

 ドンっと力強く踏み込み、大きく振りかぶり、全身の筋肉を連動させる。

 時間の流れが遅い世界の中で、私は自分の身体を精密機械のように制御し、リリースの瞬間を待つ。

 

 あとコンマ1秒。

 そこで指を離せば、ボールは彼方へ飛んでいく――はずだった。

 

 ザザッ……!!

 

 不意に、視界にノイズが走った。

 スローになっていた世界が、唐突に「早送り」されたように元の速度へ戻る。

 

「……え?」

 

 感覚の急激な変化に、脳の処理が追いつかない。

 リリースポイントを見失う。

 指にかかるはずだった力が、スカッと抜ける。

 

「あ、っ!?」

 

 身体が泳いだ。

 タイミングが狂ったまま放たれたボールは、情けない放物線を描いて――。

 

 ポスッ。

 

 46メートル。

 

 もっと飛んだはずなのに、フォームが崩れたせいで平凡以下の記録に終わった。

 

 私は呆然と自分の手を見る。

 UIがない。『集中力』が切れている。

 何が起きた? スキルの不発? それともバグ?

 

「……ふむ」

 

 不意に、背後から布が擦れる音がした。

 振り返ると、相澤先生がじっと私を見下ろしていた。

 その髪が不自然に逆立っているように見えたが、すぐに元に戻った。

 

「変な投げ方だったな。……どうした、ボールが手につかなかったか?」

 

 先生の声は平坦だった。

 叱責でもなく、ただ事実を確認するようなトーン。

 

「は、はい……急に感覚がズレて……」

 

「……そうか」

 

 相澤は、私の目を見つめたまま、心の中で独りごちた。

 

(……やはりそうか)

 

 彼は確信していた。

 今、彼女は確実に「何か」を発動しようとした。

 異形型の個性ならば、抹消しても外見的特徴や基礎的な身体機能は消えない。

 だが、彼女は抹消した瞬間に「感覚のズレ」を起こして自滅した。

 これは発動型の特に増強系個性を抹消した時に見える現象に近い。

 つまり、異形型とは別に、発動型を併せ持っている証拠。

 

(複数個性の疑いは濃厚……か)

 

 あとは、彼女の「最大値」を測るだけだ。

 

「もう一度だ」

 

 相澤先生が、新しいボールを私に放った。

 

「ミスは誰にでもある。だが、次は言い訳無用だ。……お前の全力を出してみろ」

 

 先生の言葉に、私は頷く。

 さっきのは何だったんだろう。一瞬のバグ?

 でも、ここで縮こまってちゃダメだ。

 

(もう一回……集中!)

 

 私は恐る恐る、再びスキルを発動する。

 今度はノイズが走らない。UIも正常に作動している。

 

(よし、今度こそ!)

 

 大きく振りかぶる。

 大地を蹴る。その反動を腰へ、背中へ、そして指先へ。

 スローモーションの世界で、私は完璧なタイミングでボールをリリースした。

 

「――ふんッ!!」

 

 ドォォン!!  空気を裂く音と共に、ボールが彼方へと吸い込まれていった。

 

『708メートル』

 

 爆豪の記録をわずかに超えた!

 クラス中から「すげぇ!」「女子で700越え!?」と歓声が上がる。

 

「……ふん」

 

 相澤先生は満足げでも不満げでもなく、ただ数値を記録した。

 私は列に戻りながら、首を傾げる。

 

(……変なの。なんで1回目は失敗したんだろ?)

 

 2回目は普通に使えた。

 私の集中力が足りなかっただけ? それとも、システムの気まぐれ?

 釈然としない気持ちのまま、私は次の人の番を見守ることにした。

 

「次、緑谷」

 

 サークルには緑谷出久が立っていた。

 彼は何かを決意したようにボールを構え、全身に力を込める。

 来る。あの入試の時のような、凄まじい風圧が――。

 

 しかし。

 

「――とやっ!」

 

 彼の手から放たれたボールは、46メートル。

 さっきの私と同じような、半端な記録だった。

 

「え……?な…今確かに使おうって…」

 

 困惑する緑谷少年。

 その時、私は見た。

 彼を睨みつける相澤先生の姿を。

 

 髪が逆立ち、首に巻いた布が浮遊し、そして何より――その瞳が赤く発光していた。

 

「個性を消した。つくづくあの入試は…合理性に欠くよ、お前のような奴が入学できてしまう」

 

「消した…!あのゴーグル…そうか!」

 

 緑谷くんが驚いて声を上げる。

 

「見ただけで個性をかき消す抹消ヒーロー……『イレイザーヘッド』!!」

 

「個性を……消す?」

 

 その言葉を聞いた瞬間、私の頭の中でパズルのピースがカチリと嵌まった。

 今、先生は緑谷くんの個性を消した。だから彼は不発に終わった。

 

 じゃあ。  さっきの私も?

 

(1回目が失敗した理由……バグじゃなかったんだ)

 

 私は戦慄しながら相澤先生を見る。

 彼は緑谷くんに説教をしているが、その横顔は冷徹そのものだった。

 

(先生は、私のスキルを『消した』んだ……)

 

 あの時、私のスキル使用を察知し、意図的に妨害した。

 そして私が自滅したのを見て、何かを確認したあと、2回目はわざと解除して全力を出させた。    私の「中身」を探るために。

 

(……この人、食えない)

 

 雄英高校。

 ここはただのヒーロー養成所じゃない。

 教師ですら、生徒を値踏みし、丸裸にしようとしてくる。

 私は改めて、自分が飛び込んだ世界の厳しさを思い知らされた。




天馬「くそ、なんだよ(スキル)全然出てこねーな」
天馬「イレ先に顔見られたらさ」
天馬「(スキル使えないから)悪い、やっぱ辛えわ」
イレ先「ちゃんと言えたじゃねえか」

続く?
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