二人の少年ハンターが異世界から来るそうですよ? 作:すてぃ~る
「…そろそろいいかな」
「あ"あ"?!何のことッ…?!」
飛鳥と耀が館に入る直前に、キルアはそう呟き、後ろから自身を捕まえにきたジンの首に手刀を打ち込み、気絶させた。
「悪いな、鬼ごっこはこれで終了だ。」
そして意識を失ったジンを軽々と脇に抱え、傍にあった木に掛けさせ、その場から去った。
「さて…もう出て来ていいぞー、俺以外は誰も居ないからー」
『…ふふふ、既にバレていたか。』
キルアは虚空に向かってそう叫ぶとどこからか女性の声が聞こえた。
「おいおい、こっちはわざわざお前が出てきても大丈夫なように
『?! …黒ウサギから聞いたのか?』
「いや?単純に自分で推理しただけさ。」
『そうか…何故わかったか、聞いてもいいか?』
「いいぜ」
キルアの挑発的な物言いと言動に、謎の声の主は驚きながら聞いた。
「まぁお前もずっと会話聞いてただろうから結構端折るけど、最初に疑問に思ったのは、この場所に来たときに黒ウサギが『まさか…彼女が…』とか言ってただろ?そのときに既に
『だろうな』
「それでも此処までの話だと"敵に操られて俺らを潰そうとしている"としか考えつかないし、それ以外思い付かなかった。でも、やっぱりどうしても納得出来なかったんだ。特に"何故こんな簡単なギフトゲームで俺らを潰せると思ったのか"が一番の疑問に思ってた。」
キルアは未だに姿を見せない虚空から聞こえる女性の声に向かって不敵な顔をして続ける。
「そしてジンを除いた俺らがゲームしている時にお前が俺らをどういう風に見ている"目"が何なのかわかった。そしてその目の意味を理解すると同時に全ての疑問点が解消され、お前の目的がわかった。理由は、その目と目的は全く同じだったからだ。」
『…』
「そして、その視線の正体は、ーーーーーーーーーーー"値踏み"だ。」
「つまり、お前は俺らを"潰しにきた"んじゃない。逆に俺らにあのコミュニティを託していいか"試しに来た"んだ。それがその"目"の正体であり、お前の目的だ。違うか?」
キルアは不敵な顔をしたまま自信満々に自分の推理を締めくくった。そして、謎の声の主はーーー
『…ふふ。目は口程に物を言うというが…まさにその通りだったな。』
ーーー嬉しそうに、そして儚く、見えない笑みを浮かべながら笑っていた。
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"ギィ…"という言葉と共に入り口の扉が耀の手によって開かれ、ついに二人はガルドの居る屋敷に踏み込んだ。
「……暗いわね。」
「うん。でもやっぱりこの屋敷にはガルド以外誰もいないみたい。」
「そう…。」
耀はもう一度その優れた五感で探るが、やはりガルド以外は見つからなかった。
「ガルドはそこの階段を登ったところの大きい扉の中みたい…飛鳥、どうする?」
「…そうね。悔しいけれど、一先ず剣を回収して、脱出しましょう。春日部さん、剣の回収をお願い出来るかしら」
「わかった。」
作戦が練り終わるとほぼ同時に階段を登り切り、ガルドのいる部屋の前にたどり着いた。
「……じゃあ、開けるよ」
「…ええ。行きましょう。」
ーーーーーーーーーーー"ギィ…"
ーーーこれは、誰もが酷く聞き慣れた音
ーーー金具が軋み、鈍い音を辺りに散らす
ーーーこれは当たり前の、何の特徴も無い無色な音色。
ーーーだがそれは、気分や体調、そして周囲一つで色が着き、全てが変わる
ーーー周りが賑やかであれば簡単に掻き消され、静かであればよく響く
ーーーそれ故に、色濃く目立つ時がある
ーーー"これ"は誰もが使い、誰もが鳴らす
ーーーそして、"これ"は今回のーーーーーーーーーーー
「…GYAAAAAAAAAAA!!!」
ーーーーーーーーーーー開戦の合図と言えるだろう。