二人の少年ハンターが異世界から来るそうですよ? 作:すてぃ~る
それでは本編へどうぞ
-黒ウサギ一行は箱庭二一〇五三八〇外門前の街道を歩いていた
「あ、お帰り黒ウサギ。そちらの女性3人と少年が?」
「はいな、こちらの五人が-」
クルリ、と振り返った瞬間固まった黒ウサギ。
「……え、あれ?もう一人いませんでしたか?ちょっと目つきが悪くて、″俺問題児!″ってオーラ放っている殿方が」
「ああ、十六夜のことか?あいつなら″ちょっと世界の果てを見てくるぜ!″とか言ってどっか行ったぜ。あっちの方だったかな?
キルアが指を指した先に上空4000mから見えた断崖絶壁だった。
「な、何で止めてくれな-」
「(静かにしろ!アルカが起きるだろ!)」
「(あ、すみません)」
そう、今アルカはキルアにおんぶされながら寝ていたのだ。何故ならここに来るまでに結構歩いたため、アルカは途中で疲れてしまったので、キルアがおんぶして運ぶことになったが、アルカはそのままキルアの背中で寝てしまったのだ
「…んん……zzz」
「(…ふう、危なかった)」
「(すみません、それで何で止めてくれなかったんですか!?)」
「(″黒ウサギには言うなよ″と言われたから)」
「(絶対嘘です! 実は止めるのが面倒だっただけでしょう!?)」
「「「(うん)」」」
ガクリと前のめりに倒れる黒ウサギとは対照的に、ジンは蒼白になりながら何か言おうとしていた。
「た、大変です!″世界の果て″にはギフトゲーム用に野放しにされている幻獣が」
「…ん、なんの騒ぎ?お兄ちゃん?」
眠そうに目を擦りながら起きたアルカが聞いてきた
「あ、ごめんなアルカ。起こしちゃったか?」
「ん、大丈夫だよお兄ちゃん♪」
完全に起きたアルカはそう返事を返して来たので全員心中では安堵していた
「…はぁ、取り敢えずジン坊っちゃんはこの四名の案内をお願い出来ますでしょうか? 黒ウサギはあの問題児を捕まえに参ります」
「わかった。」
「事のついでに″箱庭貴族″と謳われるこのウサギを馬鹿にしたこと、この上無く後悔させてやります」
するといきなり長く黒い髪が緋色に染まっていく
「一刻程で戻ります! 皆様はゆっくりと箱庭の生活を御堪能下さいませ!」
その言葉置き去りにして全力で跳躍した黒ウサギは弾丸のように飛び去っていった
「……。箱庭の兎は随分速く跳べるのね。素直に感心するわ」
(へぇ、意外と速く跳べるんだな)
飛鳥は心の底から感心しているが、キルアからしたら『まだ自分の方が速い』と思っていたので、感心こそしたが、それ程驚くことではなかった
「それでは黒ウサギも言っていたし、箱庭に入るとしましょうか、エスコートは貴方がしてくださるの?」
「あ、はい。コミュニティのリーダーをしているジン=ラッセルです。齢十一のかなりの若輩ですがよろしくお願いします。四人の名前は?」
「私は久遠飛鳥よ。」
「春日部耀」
「キルア=ゾルティックだこっちは妹のアルカ」
「よろしくねー♪」
「それじゃあ箱庭に入りましょう。軽い食事でも取りながら話をしましょうか」
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箱庭二一〇五八〇外門
ジンたち一行は噴水近くのカフェテラスで軽食を取ることにした
「あら?外から天幕に入った筈なのにお日様が見えるのだけれど?」
「箱庭を覆う天幕は内側に入ると不可視になるんですよ。そもそもあの天幕は太陽の光を受けられない種族のためにあるものですから」
「あら、じゃあ箱庭には吸血鬼でも住んでいるのかしら?」
「え、居ますけど」
「……。そう」
予想外の返しに困っていた飛鳥であったがちょうど店員が注文を取りに来た
「いらっしゃいませー。ご注文をどうぞ」
「えーと、紅茶を四つに緑茶を一つ。後軽食にこれとこれを」
「はいはーい。ティーセット五つにネコマンマですね」
……ん?と飛鳥とジンとキルアが首を傾げたが、耀はそれ以上に驚き店員に問いただす
「三毛猫の言葉、分かるの?」
「剃りゃ分かりますよー私も猫族何ですから。お歳のわりに随分と綺麗な毛並みの旦那さんですし、ここはちょっぴりサービスさせていただきますー」
『にゃー、にゃにゃーにゃー』
「やだもーお客さんったらお上手なんだから♪」
キルアたちからしたら全く持って何を話してるか分からなかった
「ちょ、ちょっと待って。貴方猫と会話出来るの?
「うん。生きてる動物なら誰とでも話は出来る」
「マジかーいいな~その能力。いやギフトだっけ?」
「そう……春日部さんは素敵な力があるのね。羨ましいわ」
「久遠さんは」
「飛鳥でいいわ。キルア君もアルカちゃんもそうお願い」
「ん、わかった」
「はーい♪」
「う、うん。飛鳥はどんな力持ってるの?」
「私?私の力は…-」
「おんやぁ?誰かと思えば東区画の最底辺コミュ″名無しの権兵衛″のリーダー、ジン君じゃないですか。」
するといきなり品のない声でジンを呼んだ
「僕らのコミュニティは″ノーネーム″です。″フォレス・ガロ″のガルド=ガスパー」
「黙れ名無しが。聞けばまた新しい人材を呼び寄せたらしいな」
「失礼ですけど、同席を求めるのでしたら名乗って、一言添えるのが礼儀では?」
「おっと失礼。私は箱庭上層に陣取るコミュニティ″六百六十六の獣″の傘下である」
「烏合の衆の」
「コミュニティのリーダーをしている、って待てやゴラァ!!」
悪いがジンが入れた横槍でかなり吹いてしまった
「ハッ、自分のコミュニティすらまともに保つ事の出来ない名無し風情が俺に口答えするんじゃねえよ」
「はい、ちょっと落ち着け」
今まで黙っていたキルアが二人の制止に掛かる
「そっちの事情はまた今度ということで、取り敢えずジンに質問したいことが多々あるんだが-聞いてもいか?」
「そ、それは」
ジンはそのまま黙って俯いてしまった。するとキルアががため息をつき
「はぁ、じゃあ当ててやるよ。お前らのコミュニティは何らかの事情により壊滅、又は解散せざる負えない状況までに追い込まれ、今ではここら一帯の最弱コミュニティになるまでの崖っぷちに追い込まれた、そして戦力を補強しようにも誰も最弱コミュニティに何か入る訳がない、だから異世界から人材を呼び、事情を知らないうちに自分のコミュニティに入れて、人材を確保しようとした訳だ」
キルアが推測終えるとジンは更に俯き、ガルドはキルアに賞賛の拍手を送っていた
「いやぁ素晴らしい。ほぼ貴方の言う通りです。ではその詳しい捕捉は私からさせていただきましょう」
「じゃあ宜しく」
「ジン君のコミュニティは数年前までこの東区最大手のコミュニティでした。最もリーダーは違います。ジン君とは比べようもないぐらい優秀な男だったそうですよ。ギフトゲームの戦績も人類最高の記録を持っており、南北の主軸コミュニティとも親交が深かった。南区画の幻獣王格や北区画の悪鬼羅刹が認め、箱庭の上層に食い込むコミュニティは嫉妬を通り越して尊敬する程に凄いのです。まあ、先代は、ですが」
「名と旗印ってのは?」
「コミュニティは箱庭で活動する際に、“名”と“旗印”を申請しなくてはいけません。
特に旗印は、コミュニティの縄張りを示す重要なものです。この店にもあるでしょう。」
「話を戻しましょう。人間の立ち上げたコミュニティではまさに快挙と言える数々の栄華を築いてきたコミュニティはしかし!…彼らは敵に回してはいけないモノに目をつけられた。そして彼らはギフトゲームに参加させられ、たった一夜で滅びた。ギフトゲームが支配するこの箱庭の世界、最悪の天災によって」
「「「天災?」」」
俺たち3人は同時に聞き返した(尚アルカは”俺の目の届く範囲でなら自由に遊んでもいい”といってあるので、今ここにはいなかった)
「これは比喩にあらず、ですよ。彼らは箱庭で唯一最大にして最悪の天災……俗に"魔王"と呼ばれる者たちです-」
-そしてキルア達はガルドが今の”ノーネーム”の状況を教え終わると飛鳥がまとめるように言った
「なるほどね。大体理解したわ。つまり“魔王”というのはこの世界で特権階級を振り回す神様などを指し、ジン君達のコミュニティは彼らの玩具として潰された。そういうことかしら?」
「その通り。理解が早くて助かります。それに名も、旗印も、主力陣も失ったコミュニティに入る価値などありません」
「………」
「話は変わりますが、もし、ここを自分のコミュニティ下に置きたければ
あの旗印のコミュニティに両者合意でギフトゲームをすればいいのです。
実際に私のコミュニティはそうやって大きくしました。」
確かに町中に飾られている旗印とガルドの胸元にあるマークは一致している
「そして今私が所属しているコミュニティは、現在この地区を支配下に置き残ってるのはここの店みたいに本拠が他区にあるコミュニティや奪うに値しない名もなきコミュニティぐらいですよ」
「……!…」
ジンは言い返そうにもガルドの意見は筋が通っているので、何も言い返せずただ俯くことしかできなかった
「そう、事情は分かったわ。ではなぜ私たちにそんな話をそれほど丁寧に話してくれるのかしら?」
飛鳥は大体察しているので含みのある声で問う。ガルドもそれを察して笑う
「単刀直入に言います。もしよろしければ黒ウサギ共々、私のコミュニティに来ませんか?」
「な、何を言い出すんですガルド=ガスパー!?」
ジンは怒りのあまりテーブルを叩く
「黙れ、ジン=ラッセル。そもそもテメェが名と旗印を新しく改めれば最低限の人材はコミュニティに残っていたはずだ。」
「何も知らない相手なら騙せるとでも思ったのか?その結果、この状況になったんだろうが」
「そ……それは」
ジンはガルドの発言に一切反論出来ず、また俯いてしまった
「……で、貴方達はどうしますか?返事はすぐにとは言いません。コミュニティに属さずとも貴方達には箱庭での三十日の自由が約束されています。一度、自分達を呼び出したコミュニティと私達″フォレス・ガロ″のコミュニティを視察し、十分に検討してから-」
「結構よ。だってジン君のコミュニティで私は間に合っているもの」
は?とジンとガルドは飛鳥の顔を窺う。
彼女は何事もなかったかのようにキルア達に話し掛けていた
「春日部さんは今の話をどう思う?」
「別に、どっちでも。私はこの世界に友達作りに来ただけだもの」
「あら意外。じゃあ私が友達一号に立候補していいかしら?」
飛鳥はこの様な発言に慣れていないのか、気恥ずかしそうに言った
「……うん。飛鳥は私の知る女の子と違うから大丈夫かも。…キルアとアルカはどう?」
「俺はどっちでも」
「じゃあ私は三番目だねー♪」
そう楽しそうに喋っていた四人だが、それを見て顔をひきつらせりが、なんとか平静を保っていた状態で飛鳥に問う
「失礼ですが、理由を教えてもらっても?」
「だから間に合ってるのよ。春日部さんは聞いての通り友達作りに来ただけだから、ジン君でもガルドさんでもどちらでも構わない。そうよね?」
「うん」
「ね?そしてキルア君とアルカちゃんはどうするの?」
「キルアでいいぜ。じゃあ俺達もジンと同じコミュニティでもいいか?」
「うん!楽しそうだし、勿論いいよー♪」
「そう、じゃあキルアって呼ばせてもらうわ。 そして私-久遠飛鳥は裕福だった家も、約束された将来も全て捨ててこの箱庭に来たのよ。それがこんな小さな一区画を支配しているだけの組織の末端に入るとでも思っているの?自分の身の丈を知った上で出直して欲しいものね、このエセ虎紳士」
(おーおーよく言うねぇ~)
とキルアは心の中で素直に感心していた
「お……お言葉ですがレデ[黙りなさい]……!?…」
ガチン!とガルドは不自然な形で勢いよく閉じて黙り込んだ
「私の話はまだ終わっていないわ。貴方からはまだまだ聞きださなければいくないことがあるのだのも。貴方は[そこに座って、私の質問に答え続けなさい]」
すると今度は椅子にヒビが入るほど勢いよく座り込む。ガルドは自分に何が起こってるのか全く分からず、パニック状態に陥っていた。その様子に驚いた先程の店員が急いで飛鳥達に駆け寄る
「お、お客様、店内での揉め事は控えて-」
「ちょうどいいわ。猫店員さんも第三者としてきいてって」
「貴方は両者合意でギフトゲームにい挑み勝利してこの地域を治めていると言ったのだけれど、…ねぇジン君コミュニティをチップに賭けゲームをすることはそうあることなの?」
「や、やむを得ない状況なら稀に」
「そうよね?その辺をどうやったのか、[教えて下さる?]」
ガルドは必死に抵抗するが口は意を反して言葉を紡ぐ。そしてその様子を見ていたキルアは大体どんな事のしたのか察しているので他のことを考えていた
(おそらく飛鳥の能力は『相手を強制的に従わせる』ってところか。だがこの能力のデメリットは十中八九かなり極端なデメリットで、このデメリットで合ってたらかなり扱いづらくなるな)
「-[黙りなさい!]」
そう考えていたキルアだが、隣にいる飛鳥がいきなり叫んでガルドの話を強制的に終わらせた。やはりガルドはキルアの推測通りのやり方だったらしい
「素晴らしいわ。ここまで絵に描いた外道は見たことがないわ、流石人外魔境の箱庭といったところかしら……ねぇジン君、今の証言でこの外道を法で裁けるかしら?」
飛鳥はその冷たい視線をジンに移すとジンは暗い表情で答えた
「厳しいです。確かにガルドのしたことは違法ですが…裁かれる前に箱庭の外に逃げられれば、それまでです。それに彼の様な悪党はそうそういません」
「そう。なら仕方ないわ」
飛鳥は指をパチンと鳴らし、ガルドの拘束を解いた
「こ……この小娘がァァァァァ!」
その雄叫びと共にガルドは人狼らしきものに激変させ飛鳥に襲いかかろうとした-
「うるせぇよ」
-とガルドが襲いかかろうとした瞬間、キルアが殺気を出し威嚇した
「-……ぁっ…ぅ…」
キルアの殺気にやられ、ガルドはまともに喋ることすら出来なくなってしまった。
そして暫く静寂に包まれていたが、再びキルアが話を続けた。
「なら手っ取り早くこいつを罰せられるぜ。なに、あんたにもメリットがある話だ、箱庭だからこそ出来る単純明快なやり方-」
そこで皆はキルアがどんなやり方でガルドを裁くのか理解した
「-俺達と『ギフトゲーム』で勝負しようぜ。あんたの″フォレス・ガロ″の存続と俺達″ノーネーム″の誇りを賭けてな」
はい、いかがでしたでしょうか?今回は作者がどこで切るか迷った末、ここまで長く書いてしまいました。
それと次回の更新は遅くなると思います。それではまた次回でお会いしましょ~。