私が体験した町場の雀荘の一幕を共有します。
全部フィクションです。

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趣味の一つは麻雀。
実際に雀荘に行って遊ぶと、たまに面倒な事にも巻き込まれる。
今日は最近あった面倒な出来事を見知らぬ貴方と共有したく、筆を取りました。
町場の雀荘潜入レポートだと思って聞いてください。


場末雀荘潜入レポート 某T店編

 

 

 

某T店。

話には聞いていたT店に重い腰を上げて初入店

2.0とかの話しか聞いた事がなく、ビビっていたが仲間の話を聞いていざ潜入

 

3階建てのビルに車を止め店に入ろうとすると建物の入り口が見つからない。

あるのは経年劣化の止まらないひび割れたコンクリート階段と「フリーは三階へ」と言う看板

横風吹き込む外付け階段を登らされることになり、マジかよ、と言いいそうになりながらも、場末感への期待を胸に扉を開ける

 

「どすこい」

「〇〇さん弱いんだから〜それ」

など、とてもフリーとは思えない熱気と卓を囲む3人の男の視線がお出迎え

 

ニヤケそうになりながら何とか平静を装い、店内を見渡して待合席と思わしき年季の入ったソファーへ辿り着い

た。

 

ヤニで黄ばんだ壁を手書きの〇〇杯優勝〇〇様と書かれたB3用紙、場末にしかないマナー一覧ボード、レートをピンズで表した風営法ギリギリを攻める掲示物が飾りつける

広い店内には似つかわしくない寂れたフリー

 

私の所感としては素晴らしい以外になかった

 

その後は暫くしてからフリーへご案内

 

途中、ルー説をしてくれた金髪の店員がフリーに戻る時に布切れと見紛うダメージジーンズを纏っている事に気がつき笑いそうになる珍事もあったが割愛

印象的なルールはチョンボは出来るだけ流局チョンボとする事や、チョンボに本場が上家にだけ乗ることだった。チョンボ料もハネマン払いとサンマにしては結構珍しいルールだった。

 

 

後期高齢者1人とさっきの金髪と同卓

ジジイは遅い。

しかしルールが普段と異なりバランスが難しく考えることも多い為あまり気にならなかった。

また当然のように無発生リーチに始まり、鳴いている奴がまだ居るのにリーチを受けて

「いやー、スウアンコ降りるかー」だの、4巡目リーチを受けて「早すぎ」と言った次順、

「まあ私も早いけどね。リーチ」だのと言った言動をメンバーまで行っており、自由奔放な卓と言った所。

 

中々悪くなかった。

 

1枚4000点相当で2枚牌が2枚、1枚牌が2枚。金と赤が計2枚ずつ入っていると言うルールは中々どうして面白かったが、対面に座る後期高齢者がツキすぎている

 

卓自体は正直ヌルく、マジでうまうま卓だったが、卓上の上がりの50%を優に超える圧倒的な上がりを見せつけられていると不穏な出来事が

 

南2局、当然のように3着で俺の親番が回ってきた。

 

手配を開けて、点数を確認し、第一打を切ろうとすると対面のトップのジジイがメンバーに

「今東場か」と聞き出す

見るとジジイの手が東を向いているチーチャマークの上に乗っている。

 

俺は新規だ。卓にはメンバーが居てジジイの後ろにもスマホをいじっている金髪もいる

当然俺は無視して第一打を切ると同卓しているメンバーが

「うん。そうそう。   今ラス前やね」

と言い出す。

 

「うん。そうそう。」と言う肯定をした後に南家に座っていたメンバーは第一打を選ぶためにに小考。

その後「今ラス前やね」という否定語でない訂正。

 

タイミングも悪かった。

 

第一打、当然自動卓からジャラジャラと騒音を立てている中での発言。

若者ならいざ知らず、後期高齢者の耳に正確に聞こえたかどうか

面倒な事になる。うっすらと思った

 

案の定ジジイはチーチャマークを捲らない

東のままだ

 

新規の俺がわざわざ言う事でもない、しかし

 

心配は疑念へ

 

 

その局は俺が親ハネをつもり切り次局。

 

事件は俺が初めてトップ目で南2局一本場を迎えた、正にその局で起きた

初めてのトップ目。ここを上がり切れば初トップが見えてくる。高揚感は先程芽生えた疑念を簡単に吹き飛ばす。

非常に楽観的に字牌から切り出した。

手配はいい。勝つ流れか?

そう思っていると対面のジジイが「ポン」

俺の手配は高い好形2シャンテンだ。気にしない。しかし、ジジイが手から赤を切り出す。テンパイ気配。

役はなんだ?染めでも無さそうだし、役バックか?そう言えば鳴かれた字牌って

見るとそこにはチーチャマークと同じ漢字が三つ

気がついた時にはツモの声が

開けられた手配には当然役らしき部分は見当たらない

思わず喉の奥から「あっ」と漏れてしまった。

 

 

これは揉める。まず間違いなく揉める。

 

 

当然今は南場で役は無いことを言う同卓メンバー。

 

当然先程のやり取りから東場のはずだ。少なくともお前は言った。確認した。肯定の言葉だった。というジジイ

 

俺は間違っても肯定語は使ってない。ラス前。これが俺の言った言葉だ。そう語るメンバー

 

言った言わないの舌戦は当然のように場が燃え上がる

俺の2回りも3回りの上のはずの男二人が口端に白い泡を携えて、時には飛沫が宙を舞う

 

初めのうちは静かに二人の主張を聞いていた金髪も途中からジジイが悪い。少なくとも確認したからといって卓の表示を見れば南場だと分かる筈だ。

そう言って参戦

 

当然だが、フリーでは新しいゲームに変えようとして誤って南場からスタートすることは珍しくないし、チーチャマークの捲り忘れも珍しくない。

無茶な主張だ。

 

しかし1:2の言い合いはシンプルに声量が大きい2の方に有利に移行していく。

客とメンバー。こう言った差も関係したか。

 

こう言った面倒ごとに巻き込まれた今までの経験から私には心に決めていることがあった

 

それは口を閉ざすことだ。

 

特に言った言わないの水掛け論なんて関わるだけ損しかない。

信頼できる第三者の言い分で納得して楽しく世間話に移行するなんてことはあり得ないのだ。

 

メンバー二人の声量で押されいたように見えたジジイだったが彼の納得いかない気持ちは落ち着かない。

メンバー優勢の話し合いは思うように早期の決着はつかない。

 

遂にはメンバーの一人が勢いよく立ち上がり、目の前の山を壊し、ジジイの手配を叩き出す

荒っぽいことは特にやめてほしい。

 

そう思っているとなんとこの話し合いにけりを付けようとしたメンバーから

「俺はうん。なんて言ってないよね?今ラス前ってちゃんと言ったよね?」

と同意を求められてしまった。

 

この時の俺の心情はマジでやめてくれ。本当にふざけんな。

といった所だった。俺と言う静かに麻雀を打っていただけの客、しかも面識なんて当然なく、名前すら知らない新規の客までこの不毛な争いに引きづり出そうとしてくるメンバー。

 

流石にドン引きである。

 

自分の正しさと相手の間違いを白日の元に晒したいだけの他人の迷惑を一切顧みないその浅はかで醜悪な根性を晒してくる罪深さは、測りし得ない

 

私へ向くその汚らしい二つの視線には耐えられない。このままダンマリを決め込めば、興奮している男の標的が今度は自分に変わりかねない。

 

もう正直チョンボだろうがこのままフリーが終わろうが何でもいい。一番丸い返答は何か。

考えをまとめる時間なんてない。思わず口を開きかけた時に救世主は意外な所からやってきた

 

濃密な舌戦の間隙を縫う静寂。

 

俺の返答を待つ為にこちらを向いていた二人は水掛け論において一番大切な声量が0になったそのコンマ何秒。

 

押し出されそうだったジジイの勢いが回復するには十分な時間だった。

「いや、うん。のあとは絶対にそんな長い言葉は言ってないだろ」

ジジイ渾身の咆哮により舌戦第二ラウンドが開幕した。

声量は本日の最高到達点を更新し続け、もはや騒音だ。

 

助かった。しかしどうしようか。

 

 

既に争いはフリー1本分は続いている。

もうフリーのやめ時がわからない。このままジジイがキレて帰って。その後1本で帰るか。どこで止めるのが丸いか。

3人の無益な争いを眺めながらそんな悠長なことを考えていた俺の油断は思わぬ形でそのツケを払わされる事となる

 

ジジイが二人に向かって

「一緒に座ってる兄ちゃんは全部見てたはず。見たことを全部言えばいい。黙っとらんと」

と言い出した。

 

終わった。もう助けは来ない

 

この開放的で閉鎖的な空間に人間は4人いて3人の目線の先には1人の男

さっきまでけたたましく自身の正当性を訴えたいた男達は蜘蛛の糸を見つけたとばかりに俺を見つめていた

 

「明確なやり取りは覚えてません。ただ今が南場だと思って進めてました。」

 

出来るだけ誠実にそして反感を買わないように。

考えた先の結論は真なる馬鹿を演じる事だった。

二人が納得している出来事以外は何も知らない。

今まで黙っていたのは口を出せないほど目の前の情報を持っていなかったからだ。

しかし、議論の決着は現状数的優位をとっているメンバー側へ

頼む。どうにか通ってくれ。

 

願いを込めて恐る恐る辺りを見渡すと

 

あれほどまでに大声で捲し立てていたジジイは何処へ。

 

どこか納得げなジジイ。

未だ興奮冷めきらず自身が壊した山を理由に即チョンボの裁定をするだけして裏に引いていくメンバー。

 

何故かは分からないが願いは通じた。

 

チョンボはハネマン払いだが上家には本場が乗る。

 

子供のジジイが差し出した12000に俺はもう1000点ください。などとは口に出せるわけもない。

メンバーが変わって再開したフリーは普通すぎて違和感が逆にすごくあったが、今回の騒動は思わぬ静かな幕引きとなった。

当然ながらジジイのツキも収まらずチョンボの点数を払った次局に数えを上ってその半荘もトップをとった事をここに記しておこう。


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