PAINFUL HEARTS ージョジョの奇妙な冒険よりー   作:関野カエデ

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第2話 転校生が来た

ぶどうヶ丘高校。今年で創立105年の私立校であり、丈浄が通っている高校である。丈浄はおとなしく、教室の端のほうの席であくびをしながらホームルームが始まるのを待っていた。

すると、教室の中からひそひそと女子たちの噂話が聞こえた。

 

「ねえねえ知ってる?今日このクラスに転校生が来るんだって!」

 

「ええ!嘘ぉ~!そんな話聞いてないよ~!」

 

「なんでも、急な転校だから事前に知らされてなかったらしいよ」

 

(転校生か。どんな奴だろう)

 

と心の中で思う丈浄。

しばらくして、教師が入ってきて、ホームルームを始める。

 

「今日は、新しいクラスメイトを紹介する」

 

そういって、廊下に続くドアを開けて、生徒を中に入れる。そして、黒板の前に立たせて自己紹介させる。黒板に書かれた文字は

 

蟲原蓮(むしはられん)

 

身長は180cmはある。服装は学校指定のブレザーの下にパーカーを着込み、髪型は剃りこみが入ったスポーツ刈りと言っていいのかツーブロックと呼べばいいのか。見た感じ典型的な現代風の不良である。昔ながらの不良っぽい丈浄とはあまりソリが合わなく感じる。あまり目立った自己紹介をするつもりもないらしく。そのまま席に座る。

 

ホームルームが終わり、皆が蟲原に群がり始める。皆「どこからきたのか?」や、「何が好き?」などの質問責めを行うが、蟲原は鋭い眼光を浴びせながら、無視(・・)する。皆引いてしまい離れていく。明らかに浮いてしまっている。陰気臭く、無口な男だなと丈浄は感じた。

 

しかし、その後の生物の授業でのことだ。皆が退屈そうに教科書を見ながら先生の話を聞く。先生は虫の交尾の話をする。丈浄は(おえぇ)と思いながら適当に話を聞き流していると、蟲原が入り込んだ。

 

「先生!『ゴキブリ』のメスって、交尾した後数カ月間精子を体内に保存できるって知ってましたか?これによって生殖能力を大幅に上げてるんです!」

 

さらに食い入るように質問責めをする蟲原。

 

「あと先生、『ゾウムシ』の幼虫って木の種類によって消化酵素の組成を変えるんですよ!これ、腸内細菌が関係してて――」

 

今まで全くしゃべらなかった蟲原がまるで水を得た魚のように先生に話を持ち掛ける。質問責めにされた先生も困ったようで、

 

「え…そ、そんな話まで…」

 

と明らかに動揺している。この蟲原の虫のマニアックな知識にクラスの皆は蟲原ってこんなにしゃべるんだと驚いた。

 

また、別の授業中のことだった。クラスみんなが眠そうに先生の話を聞いていると、突然一人の女子が叫びだした。

 

「きゃあああ~ッ!!ゴキブリよ~ッ!!」

 

なんと教室の中にゴキブリが出たのだ。慌てて、教科書やほうきで叩き殺そうとする生徒たち。しかし、

 

「待て!そいつはまだ生きてる!潰す必要なんてねえだろ!」

 

と止める蟲原。蟲原はそっとゴキブリに近づき、素早く動くゴキブリを素手でつかんだ。

 

「ええ!?素手で!?」

 

と引くクラスメイト達。そして、窓を開けてそっと外へ逃がした。さすがにドン引きするクラスメイト達。完全にアウェイになってしまった蟲原であった。

 

掃除の時間中、蟲原は丈浄と同じ、中庭を掃除していた。丈浄は蟲原に声をかけてみる。

 

「よぉ!お前って虫好きなんだな!」

 

しかし、特に反応は帰ってこない。気まずい雰囲気が流れ、丈浄も下がってしまい、掃除に戻る。

すると丈浄は中庭に死んだスズメバチの亡骸を見つける。そっとほうきで掃き、ちりとりに乗せ、ゴミ箱に捨てようとすると、

 

「おいッ!お前ッ!何やってんだあ~ッ!!」

 

と蟲原が急に怒鳴ってくる。丈浄は冷静に答える。

 

「嫌…虫の死骸があったから捨てようと…」

 

しかし、蟲原はそれに対し感情を高める。

 

「テメェ!虫の亡骸をゴミ箱に捨てようってのか?虫の命を何だと思ってんだッ!」

 

丈浄は少しカッとなり、

 

「いいじゃねえかよ!別に『虫の死骸ぐらい』!」

 

と言い返してしまう。

 

「ああん?『虫ぐらい』ってなんだよ?テメェ!」

 

怒り出す蟲原。すると突然蟲原の背後に何かが現れる。

 

「まさか!?スタンド!?」

 

「テメェに俺の気持ちがわかるかあああ~ッ!!」

 

そういいだして、スタンドで殴りかかってくる。それをとっさにかわす丈浄。

 

「テメェ!?俺のこれが見えるのか!?」

 

「…まあな。そいつは『スタンド』って言って。精神エネルギーの具現化らしいぜ」

 

「…ほう。他の奴は見えねえのにお前には見えるってことは、お前も似たようなの持ってるってことか!」

 

向かい合う2人。蟲原のスタンドはバッタのような顔をしながら、体は人型という奇怪な外見をしていた。丈浄も自身のスタンド『ペインキラー』を出す。

 

「…ほう。それがテメェのスタンドってやつか」

 

「ああ…ペインキラーって呼んでるぜ」

 

「なるほどな…じゃあ、俺の『パパ・ローチ』に挨拶しなッ!!」

 

そういった瞬間、蟲原のスタンド『パパ・ローチ』は自身の腕をまるでカマキリの鎌のような形に変形させ、丈浄を攻撃する。

 

「ジジジジジジ!」

 

とラッシュを繰り出す蟲原。

 

「ドラララアアア~ッ!」

 

それをペインキラーのラッシュで相殺する丈浄。

 

「ほう…なかなかやるじゃあねえか!だったらこれはどうだい!」

 

そういうと、スタンドを引っ込んだ途端、蟲原の体からトンボの羽のようなものが生える。

 

「こいつ!自分の体も虫にできんのかッ!」

 

蟲原はトンボの羽を使い、宙に浮く。さらに高速で飛行することができる。

 

「どうだい!俺の『パパ・ローチ』は?『昆虫』の能力なら、何でも体の一部にしちまうことができるんだぜ!」

 

高速飛行でぐるぐると飛び回る蟲原についていけない丈浄。

 

「…やばいぜ…こいつぁよお」

 

すると、蟲原の姿を見失った。どこだ?と周囲を見渡す丈浄だが、後ろから何か針のようなもので刺された。丈浄は倒れる。

 

「どうだい?スズメバチの毒針は?さぞ『痛かろう』!まあ死ぬほどじゃねえから安心しな、数時間は『痛み』で動けないだろうがな」

 

と油断をし、後ろを向く蟲原。しかし、

 

丈浄は立っていた。蟲原のすぐ後ろに。丈浄は自身のスタンド『ペインキラー』を使うことで、毒による激痛を消した。

 

完全に油断していた蟲原。気づいたときにはもう間合いの中、驚いた蟲原は無意識的に丈浄を手で突き飛ばした。

しかし、突き飛ばされた先に蟻がいることに2人は気づいた。このままじゃ潰れる。そう思った矢先…。

 

丈浄は体をのけぞり、ペインキラーの腕で地面を持ち上げ、そのままバク転して蟻を潰すのを避けたのだ。すかさず質問をする蟲原。

 

「なんでお前…たった一匹のありんこを助けたんだ?」

 

「なんでって…蟻一匹だろうと命は大事だろ…潰したら後味悪りぃしよお」

 

そういった途端、蟲原は自身のスタンドを消す。

 

「…負けたよ…テメェの勝ちだ」

 

「え?」

 

「…もう…しまいだ」

 

そういって、潰しそうになった蟻を植木のそばにつまんで放す。それから、スズメバチの亡骸を土に埋めて埋葬する。

 

「…ちょっと…俺の話を聞いてはくれねえか?」

 

 

2人はベンチに腰掛ける。

 

「俺の親父はよお…昔から『転勤族』だったんだ」

 

蟲原蓮、15歳。彼は幼少期から父親が転勤族だったため、友達ができなかった。彼にとっての友人は常に虫であり、しゃべり相手も虫であった。様々な虫の細部、動き、特徴を観察することで知った。これにより、彼は虫の知識について博識になる。中学の時にスタンド能力に目覚めたが、これは彼の虫への情熱の表れであった。

 

「…っと、俺の身の上話はこんなもんだ。要は人と関わるのが怖くて、虫としか関わろうとしない軟弱ものさ」

 

「でもよぉ。お前ってすげえ優しいんだな」

 

「?」

 

「だってよお…全ての生き物の死を弔うことは俺にはできねぇ…でも、お前はしようとする…そこんところはすげぇと思うぜ…俺はよ」

 

丈浄の目をまっすぐ見る蟲原。この目は今まで人に向けたことのないような、熱のある目であった。

すると、掃除の時間終了のチャイムが鳴る。2人は急いで掃除用具を片付け、教室へ向かう。

 

帰りのホームルームの前、クラス中の皆が蟲原について冷たい視線を送っていたが、丈浄だけは違った。そして、蟲原は立ち上がり、歩き出した。その先には…。

 

「…丈浄…もしよかったらよう…放課後…この町のことを教えてくれねえか?」

 

「いいぜッ!どこでも好きなとこ連れってってやるぜ!」

 

嬉しそうに笑みを浮かべる蟲原。生まれてこの方、初めて人間の友人に向けた笑顔だった。

こうして、丈浄と蟲原はダチとなった。

 

←To Be Continued


 

スタンド名-「パパ・ローチ」

本体-蟲原蓮(15歳)

 

破壊力-B スピード-A 射程距離-D

持続力-B 精密動作性-B 成長性-C

 

蟲原自身の肉体、またはスタンドの体の一部を昆虫の器官にすることができる。

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