PAINFUL HEARTS ージョジョの奇妙な冒険よりー   作:関野カエデ

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第4話 キャンド・ヒート

杜王自然公園。再開発によって新しくできた大型公園。林や池、遊歩道があり、カップルやファミリー層の憩いの場である。

丈浄と蟲原は丈浄がクレープを食べたいという理由でここに訪れていた。

 

「あのキッチンカーだぜ!最近噂になってるクレープ屋っつうのは!」

 

「お前甘いものほんと好きだよな」

 

そこに偶然東城が通りかかる。

 

「ああっ…丈浄と蟲原…なんだ?いい歳した不良がクレープを買いに来たのか?」

 

「…別にいいだろ…それよりお前…また悪さしてねぇだろうな?」

 

「し…してないよ」

 

丈浄と東城が言い合いをしていると、誰かが3人のもとに近づいてくる。

 

「あなたたちもクレープ食べるんですか?」

 

見た感じ、同じぶどうヶ丘高校の制服を着ていた。

 

「なんすか?あんた?」

 

「いや別に…俺もクレープ食べたいなと思ってさ…あそこのクレープすごいおいしいんだよね」

 

「だよな!あそこのクレープ…生クリームがくどくなくてフルーツも新鮮ですごくいいんだよ!」

 

そんな感じでたわいもない会話をする男子生徒と丈浄。すると、男子生徒が突然言い出す。

 

「あのさ…『缶蹴り』して遊ばない?」

 

「缶蹴り?」

 

「そう!缶を蹴って遊ぶ遊び」

 

「懐かしいなッ!昔よくやってたぜ!」

 

「じゃあ…やろうか」

 

その瞬間、丈浄達は不穏な気配を感じた。

 

「なんかよぉ…さっきまでいた人がいなくなってないか?」

 

「本当だぜ…クレープ屋の店員もいなくなってる!」

 

当然3人の注目は接近してきた男子生徒へ向かう。

 

「テメーッ!なにもんだッ!」

 

すると、男子生徒は悠々と自己紹介を始める

 

「俺の名前は秋関俊(あきせきしゅん)。17歳で2年生。陸上部短距離走のエースだ。」

 

そして背後に出した。『スタンド』を。人型で見た感じ近距離タイプのスタンドだ。

 

「テメーッ!スタンド使いかッ!」

 

そういって丈浄はペインキラーを出し、攻撃態勢に出る。しかし、秋関はどこからか缶を取り出す。

 

「おっと…俺を攻撃するのはやめたほうがいいぜッ!こいつがどうなってもいいのかな?」

 

その缶はトマト缶ほどの大きさだが、缶のラベルには人の顔のようなものと『平松』と書かれていた。すると、東城が声を上げる。

 

「この缶に描かれてる顔と『平松』という名前…僕知ってるよ。2週間くらい前から行方不明になってるサッカー部の部員だよッ!」

 

その言葉を聞いた瞬間凍り付く他2人。

 

「その通り!この中には人間が入っている。生きてはいるが窮屈な思いをしているだろうな。そして、この缶は俺のスタンド『キャンド・ヒート』の右手人差し指にある缶切りを使わないと絶対に開かない。どれだけこじ開けようとも破壊しようとも、この缶は絶対に開かない!こんな感じのコレクションがまだたくさんあるぜ!」

 

即座に攻撃を中止する丈浄。

 

「さらに君たちはすでに俺のフィールドに入っている以上、『缶蹴り』をしなければならない!」

 

「なんだとッ!」

 

動揺する蟲原と無言のままこの状況を理解する丈浄と東城。

 

「缶蹴りのルールはお前らが知っているとおりだ。」

 

缶蹴り。鬼と子が分かれて行う遊びであり、かくれんぼと鬼ごっこが合わさったようなものである。鬼は缶を守りながら隠れている子を探し、子は見つからないように隠れつつ、隙を見て缶を蹴ることで捕まった仲間を解放することが出来る。鬼が子を見つけた際は「〇〇みーつけた」と言い、子よりも早く缶を踏むことができれば、子は牢屋の中に入らなければならない。

 

「制限時間は30分。30分経つ、または子が全員捕まるとゲーム終了だ…」

 

ここで一呼吸入れる秋関。

 

「…そして、ここが重要なんだが、ゲーム終了時点で牢屋に入っていた者は『缶詰め』にされて閉じ込められる」

 

恐怖を感じる3人。缶詰めにされて閉じ込められる?つまり、開けられないと一生缶の中に入ることになるということだ。

 

「それから、ゲーム中に鬼を攻撃すると即缶詰めにされる。また、鬼が指定したフィールド、つまりこの公園から出た時点でも缶詰めにされる。よくいるだろぉーッ…かくれんぼしてて鬼に黙って帰る奴。ゆるせねぇーよなぁ!」

 

冷や汗が出る3人。やらざるを得ない。

 

 

「それじゃルール説明は終わりだ。丈浄、蟲原、東城」

 

「お前なんで俺たちの名前知ってんだよッ!?」

 

「名前がわからなきゃ、缶蹴りはできないからね。事前に全員の名前を調べさせてもらったよ」

 

動揺する3人。こいつは缶蹴りのためにそこまでする人間なのだ。

 

「制限時間のカウントダウンは最初に缶を蹴った瞬間から始まる。さあ…缶を蹴り給え!『鬼』は俺、君たち3人は『子』だ」

 

秋関が持ってきた缶はなんの変哲もないただのジュースの空き缶だ。

 

3人で話し合った結果、最初に缶を蹴るのは丈浄に決まった。丈浄はペインキラーのパワーで思いっきり缶を蹴り上げる。蹴った瞬間一斉に走り出し隠れる3人。始まるカウントダウン。

 

「あんだけ遠くに飛ばしたら帰ってくるのには5分くらいかかるなッ!」

 

そう思った丈浄。しかし、秋関は驚異的な俊足で缶を取りに行った。

 

「なんだ!?あの足の速さは?」

 

かなり遠くに蹴り飛ばしたはずなのに、たった1分弱で取ってきてしまった。ここから、秋関の鬼が始まる。

 

「1分程度では遠くまで逃げられてはない。かつこの公園は隠れられるような場所は少ない。おそらくこの近くに隠れているはずだッ!」

 

丈浄は林の中に隠れながら視覚、聴覚、嗅覚で隠れる。蟲原は草むらの中に、東城は『見つめていたい』(エブリィ・ブレス・ユー・テイク)を使って鬼の視界を見ながら逃げる。

 

「クソ―ッ!30分もここで隠れるのはきついぜ」

 

すると丈浄に秋関が接近してきているのがわかる。焦る丈浄。

 

(やべーぜッ!こっちに来てる!いったんここを離れて別の場所に移動するか)

 

そう思い見つからないように慎重に行動する。しかし、足元から『ポキッ』という音が鳴る。木の枝を踏んでしまったのだ。

 

「丈浄くんみーつけたッ!!」

 

見つかった丈浄。急いで缶のもとへ走る。しかし、秋関の俊足に追いつけない。缶を踏まれてしまう。

 

「おやおや…もう捕まってしまったのかい…捕まった子は『牢屋』に入らなきゃなぁーーッ!」

 

そういった途端、缶の近くに牢屋が現れた。鉄格子と壁でできた牢屋。スタンドの牢屋だ。そして、丈浄は牢屋の中に瞬間移動した。

 

「おいッ!出しやがれッ!こらーーッ!」

 

叫ぶが外には聞こえない。外から中、中から外は見えても、中は完全防音であり、声は聞こえないのだ。スタンドで叩き壊そうとしても、一切壊れない。捕まった人間は外を見ていることしかできないのだ。

ここで戦術を変えた秋関。缶を守る戦術に出る。缶の周辺を見渡しながら子を探す。

 

「やっぱり缶蹴りはいいねぇーーッ!この捕まった奴が無様に牢屋に入ってる姿は実に清々しいッ!」

 

「やべーぜッ!捕まっちまったッ!このまま牢屋の中に入って時間切れになったら缶詰めにされちまう!誰かが缶を蹴ってくれないと!」

 

秋関は缶の周りを完全にマークしながらグルグルと周囲を探索する。丈浄は気づいた。

 

「こいつッ!相当缶蹴りをやりこんでやがるッ!全く隙がないッ!こんなんじゃあ誰も缶を蹴れねえ!」

 

秋関は缶に接近してくるであろう残りの2人を迎え撃つつもりだ。自分の俊足なら走ってきても負けはしないだろうと自信満々だ。

しかし、草むらから急に何かが爆音とともに高速で、地面スレスレを飛んできた。蟲原だ。蟲原は自分の脚を『バッタ』に変え、バッタの跳躍力で超低空を高速で飛んだのだ。そして、缶を蹴ることに成功した。

開かれる牢屋。丈浄は急いで走り出し、できるだけ遠くへ逃げた。

不意を突かれて缶を蹴られた秋関。急いで缶を拾いに行くが、感情的になる。

 

「くそおおおーーーッ!!このムシカスがーーーッ!!なめやがってッ!!」

 

元の位置に缶を置く秋関。再び子を探しに行く。

一方、丈浄は林の中は危険だと考え、公衆トイレの屋根の上に隠れることにした。

 

「ここなら、さすがに気づかれないだろう」

 

丈浄は屋根の上に伏せながら周りを見渡した。すると、秋関が来た。トイレに近づいてくる。丈浄は急いで身を隠してばれないようにする。

 

「こういうよぉ…トイレの中に隠れるってのは素人の発想なんだぜ…トイレの中に隠れたら逃げられないからな」

 

秋関はしゃべりながら一瞬トイレから離れる。

 

「だがよぉ…トイレの屋根に隠れるっていう盲点を見透かすほど…俺は馬鹿じゃねえぜッ!!」

 

そういってトイレの屋根をのぞき込む秋関。

 

「丈浄くんみーつけたッ!!」

 

丈浄を見つけた途端、一直線に缶に走る秋関。走るも追いつけない丈浄。そして再び、缶を踏まれる。またも牢屋の中に瞬間移動させられる。焦る丈浄。

 

「グレートだぜッ…この缶蹴り勝負…俺のスタンドをうまく活用しきれねえぜ…」

 

秋関は先ほどの低空飛行による高速接近を防ぐため、できるだけ缶から離れない戦法に出た。すこしでも草むらから音がしたらすぐに缶を踏める態勢だ。固唾をのんで外を見る丈浄。

すると、またも蟲原が助けに来た。地面から。地中を潜って缶のすぐ近くまで接近し、缶を蹴った。蟲原は自分の腕を『オケラ』に変えることで地中から接近したのだ。

再び開けられる牢屋。逃げる2人と缶を拾いに走る秋関。

 

「くそ蟲原あああーーーッ!!また蹴りやがってえええーーーッ!!もう蹴らせねぇぞッ!!」

 

再び缶が元の位置に。

丈浄は今度は土管型の遊具に隠れることで身を隠そうとする。残り時間はあと7分程度。

 

「ここでやりきってやるッ!!」

 

丈浄が土管の中に入った瞬間、何かタコ糸のようなものに引っかかった。その瞬間、防犯ブザーが鳴り響く。

 

「なにーーーッ!!」

 

罠に引っかかったと理解した丈浄はすぐさま離れようとする。しかし、

 

「丈浄くんみーつけたッ!!」

 

すぐさま秋関に見つかる。そして缶を踏まれる。またしても牢屋送り。

 

「俺…不甲斐ねぇ…」

 

そういいながら外を眺める。秋関は再び缶を守る戦法に出る。少し離れたところで周りを見渡す。すると丈浄は池のほうに何かを見つける。蟲原だ。蟲原が自分の脚を『アメンボ』に変えることで池から接近するという心理的盲点を突いた作戦で来た。

牢屋の中から秋関の様子をうかがって蟲原に合図を送る丈浄。秋関に気づかれないように慎重に様子をうかがう。

 

「そこにいるんだろう蟲原、池の上によーッ!」

 

「蟲原くんみーつけたッ!!」

 

ばれた。缶へ向かって走り出す秋関。急いで羽を生やして缶を蹴りに飛ぶ蟲原。両者とも缶に向かって急ぐ。勝ったのは……

 

秋関であった。蟲原が蹴るほんの一瞬手前で秋関が缶を踏んでしまった。牢屋に送られる蟲原。

 

「…面目ねぇ…」

 

「いや…お前は十分頑張ったよ」

 

「でもよお…東城は俺たちを助けになんか来ねえぜ…絶対…あいつ身勝手な奴だからよお…自分だけ助かるに違いねえだろ…」

 

「だよなぁ…」

 

2人は絶望していた。制限時間は残り3分。東城は助けに来ない。2人はそう確信してしまった。

 

東城は今まで自分のスタンドを使って見つからないように移動しながら1人で行動していた。2人が捕まっても、絶対に助けない。そう思っていた。しかし、彼は迷っていた。2人を助けたほうがいいのでは?自分としてはリスクしかないし、なんの得もない。好きでもない、どちらかと言えば嫌いなほうの奴らを助ける意味はない。しかし、なにか『借り』のようなものがあるのではと心の中で思ってしまっている。東城は葛藤していた。

そこに、秋関が接近してきた。スタンドを見てこちらに向かっているのがわかる。東城はこのままでいいのかという考えが頭から離れなかった。草むらの中に隠れながら、あいつらが缶詰めになったら胸糞悪いのではないか、そう思った。

 

秋関は東城を見つけに、捕まえに来た。隅々まで探す。すると、東城の背中が草むらからでているのを見つけた。そして言う。

 

「東城くんみーつけたッ!!」

 

そういって草むらを手でどかすと、そこにあったのは彼の『上着』だった。東城だと思ったものは、彼の上着、そう、ダミーだ。

その瞬間、横の草むらから東城が飛び出し、缶めがけて全力で走り出す。

 

「なに―――ッ!!ダミーだと――ッ!!」

 

東城は視界を盗み見ることで、きちんと目で子を確認してから発見を宣言しないと捕まえられないとわかっていたのだ。

 

「こんな…こんな『古典的』なやり方に騙されるとはああ―――ッ!!」

 

狼狽する秋関だが、すぐに我に返り、缶を踏みにいかなければと冷静になり走り出す。その一瞬の判断の遅れが、大きく影響を与える。

東城は走った。缶をめがけて。目的は缶を蹴ること。ただ、それのみ。

 

2人は走った。ただ1つの缶をめぐって。そして勝ったのは……。

 

『東城』だ。東城が缶を蹴った。

 

牢屋は開けられ、2人はすぐさま逃げる。東城の活躍によって全滅は免れたのだ。しかし、東城は全力で走ったため、体力の限界だ。これ以上走ることができない。

そして、缶を戻す秋関。

 

「東城くんみーつけたッ!!」

 

そういって缶を踏み。東城は牢屋に入れられる。

そしてその瞬間、『タイムアップ』となる。『ゲーム終了』だ。

牢屋の中に入っていた東城は『キャンド・ヒート』によって缶詰めにされてしまった。缶には東城の顔が印刷されていた。その新しくできた東城の缶を手に取る秋関。

 

「やっぱできたてホヤホヤの『缶詰め』はいいねぇ―――ッ!!まさしくのこの快感こそ至福ッ!!早くペンで名前を書かないとッ!!」

 

そういって自身の体からペンをとろうと探るが、ペンが見つからない。

 

「『ペン』はどこだったかな?」

 

「ほらよ、『ペイン』(・・・)だッ!」

 

秋関の背後に立つ丈浄と蟲原。秋関が振り返った瞬間、秋関の腹部にペインキラーで一発拳を入れて空中に浮かせる。そして、

 

「ドラララララララララアアアアアア―――ッ!!」

 

思い切りラッシュを叩きこむ。最後に重いのを一発喰らわせて吹っ飛ばす。秋関は池の柵にもたれかかる。

 

「あれ?痛くない!」

 

体はボロボロなのに痛みがない。すると丈浄が、

 

「東城の缶を開けろッ!さもないと今まで喰らわせた痛みを一気に解放する!痛みってよぉ、蓄積させて一気に解放するほうがすげー痛えんだぜッ!」

 

「ひいッ!や、やめて!」

 

「だったらとっとと缶を開けろッ!こらぁ――ッ!!」

 

そういわれて、キャンド・ヒートの缶切りで東城の缶を開ける。開け切った瞬間、解放される東城。

 

「開けたからさぁ!許してよ!」

 

土下座して謝る秋関。

 

「俺は一言も『許す』なんて言った覚えはないぜ」

 

そういうと、親指を上に立てる動作(goodのサイン)から、親指を下に下げる動作(badのサイン)に変える。

 

「あああああああーーーーッ!!!」

 

その瞬間、秋関にショック死寸前の激痛が走り、悶え苦しむ。そのまま池の柵にもたれながら、池に落下する。

 

秋関俊 激痛を浴びたことにより、再起不能(リタイア)。病院行き。

 

すると、公園は元の人がいる普通の公園へと戻る。安堵する3人。

 

「東城。お前、なんで俺たち助けてくれたんだよ」

 

「なんでって、お前らが缶詰めにされると胸糞悪いから?」

 

「ありがとな!ほんとお前のこと見直したぜ!」

 

少し照れる東城。

3人が帰ろうとすると、缶ジュースの炭酸の『プシュッ』という音が鳴る。

 

「ひいぃッ!!」

 

とビビる3人であった。

 

⇐To Be Continued


 

スタンド名-「キャンド・ヒート」

本体-秋関俊(17歳)

 

破壊力-D スピード-D 射程距離-B

持続力-B 精密動作性-B 成長性-D

 

能力-缶蹴りを具現化してプレイできる。また、缶蹴りで負けた人間を缶詰めにすることができる。

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