呪われ男の先生代行譚   作:一般人参

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呪術のアニメ楽しみだな……


17. 「鏡」奪還作戦

あれから数日経ち、今俺たちはヴェリタスを訪れていた。

 

ヴェリタス。ミレニアムにある非公認部活で、ハッキングを主に扱っている部活。ミレニアム……どころかキヴォトス全体で見ても類を見ないほどハッキングの腕は高いのだが、部員のほとんどに倫理観が備わっておらず、度々問題を起こす問題児たちらしい。

 

とはいえ、前述した通り腕はあるので、普通のパスワードなら解けるとの見込みで、今回ファイルの解析を任せていた。そしてその結果が出たとの報告が入り、今回訪れた次第である。

 

凄腕ハッカー集団による、ファイルの解析結果。ヴェリタスの部員、ハレよりその結果が伝えられる……

 

「モモイ、あなたのゲームのセーブデータを復活させるのは無理」

 

「うわぁぁぁぁん!もうダメだーーーー!」

 

南無三。いやそうじゃないだろ。

 

気を取り直して、解析結果だが。まず、あのG.Bibleはオリジナルのものと見て間違いないとのこと。偽物である可能性は限りなく低く、そこは問題なさそうだ。ただ、パスワードの解除はほぼ不可能らしい。

 

じゃあ手詰まりか……と思ったが、一応手はあるらしく、「鏡」というツールを使って、セキュリティを取り除いたファイルをコピーすれば見られるかもとのこと。

 

どういうことかというと、要は金庫の扉が開かないから、金庫の扉だけ取り除いたコピーを作って中身を見ようということだ。

 

ただこちらも問題があり、「鏡」は元々ヴェリタスが持ってたけど、生徒会に押収されたらしい。「鏡」はヴェリタスの部長、ヒマリが作成した世界に一つだけのツールらしく、使用するには取り返さないといけないらしい。

 

ちなみに押収された理由はヴェリタスの部員が一人、コタマが俺のスマホのメッセージを確認しようとして……は?

 

「ちょっっっと待って?」

 

「はい?」

 

「俺って、君と何か接点あったっけ?」

 

「はい。以前、シャーレに盗聴器を仕掛けようと……」

 

「???」

 

初耳。「シッテムの箱」から『私が妨害しておきました!』という声が聞こえてきた。よくやったアロナ。

 

「……ちなみに、何で?」

 

「先生と気軽にお話ししたくて……」

 

「気持ちはわかった。今度一緒にご飯でも食べにいこうか。そうじゃなくて、何で俺のメッセージを……」

 

「先生と気軽にお話しするために……」

 

「うーん。そっかあ。とりあえず君が俺にやろうとしたこと全部犯罪だから、できるならやめよう」

 

「盗聴は犯罪ではありませんが?」

 

「 」?

 

おかしいな。今度キヴォトスの法律を一度読み返す必要がありそうだ。

 

とまあ、一悶着──これを一悶着の一言で流すのは誠に遺憾だが──あったものの、話は順調に進み、結論「鏡」を取り戻すため、ヴェリタスと組んで生徒会を襲撃する運びとなった。

 

この襲撃の問題点は一つ。ミレニアムの武力集団である「Cleaning&Clearing」……通称メイド部。もしくは「C&C」が「鏡」を保管している場所を守っていること。

 

「C&C」ミレニアム最大の武力集団で、メンバー全員がメイド服を着ている。要はゲヘナの風紀委員会みたいなものなのだが、最大の違いは少数精鋭の組織であること。人数は二桁いかないものの、それぞれがかなりの戦闘力を持つ凄腕エージェント集団だ。

 

その恐ろしさはミレニアムでは知られ尽くしており、モモイでさえヤツらと戦うなんて無理だよーーー!!となるレベルで恐れられてる。

 

そういうことで、計画する前から計画が頓挫しかけたのだが、ヴェリタスによれば勝算がないわけではないらしい。

 

理由は主に二つ。一つは、今回の目的はあくまで「鏡」の奪取であって、「C&C」と真正面から戦わなくてもいいこと。

 

もう一つは「C&C」最大戦力……要はゲヘナにおける空崎ヒナのポジションにある、コールサイン・ダブルオー……美甘ネルが不在であること。何やら私情により現在ミレニアムに不在らしい。

 

これらの要素を加味すれば、ワンチャンはある……というのがヴェリタスの見解だった。

 

だけれど、危険が伴うことには変わりない。果たして、ゲーム開発部はどんな選択をするのか。

 

「……やってみよう、お姉ちゃん」

 

意外にも、肯定の意見を示したのはミドリだった。

 

でも、相手はあのメイド部だよ!?と怖気付くモモイに、ミドリが語っていく。

 

このままゲーム開発部を無くすわけにはいかないと。あそこはもう、ただゲームをするだけの場所じゃないんだと。

 

「……みんなで一緒にいるために、大切な場所だから」

 

だから、例え可能性が低くても、メイド部と戦うことになっても、守りたいのだと。

 

「アリスちゃんのために、ユズちゃんのために……私たち、全員のために!」

 

揺るがぬ決意を秘めた目が、モモイを貫く。

 

「私たちならできます」

 

アリスも、同じ目でモモイに語りかける。

 

「アリスは計45個のRPGをやって……勇者たちが魔王を倒すのに必要な、一番強力な力を知りました」

 

「一番強力な力……レベルアップ?あ、装備の強化?」「盗聴ですか?」「EMPショックとか!?」

 

「ち、違います……」

 

この大事な時に何を言ってるんだか……いやこれ全員本気で言ってるな。

 

それは置いといて。アリスが数々の冒険を経て学んだ一番大事な力、それは……

 

「一緒にいる、仲間です」

 

笑顔でそう言う、アリス。出会って僅か一週間程度。だというのに……この子は。

 

みんなからの、心のこもった言葉。それが、モモイの心を動かした。

 

「……うん、よし。やろう!生徒会に潜入して、「鏡」を取り戻す!」

 

改めて、「鏡」を奪取する方針で決まった。さて、そのための計画も一応ヴェリタスにはあるらしいが……いくつかの準備が必要とのこと。

 

「さっき言ってた盗聴もそうだし、EMPショックもそう……それに……あとはやっぱり……「仲間」、かな」

 

ハレが言った仲間という言葉に、アリスが目を輝かせている。新たなパーティーメンバーが楽しみなのだろう。

 

「でも、私たちとはそんなに親しい仲ってわけじゃないから……先生にお願いしないとね」

 

「了解。任せてくれ」

 

先生頼られた。ほどほどに頑張っちゃうぞー。

 

と、言うことで。俺は再びエンジニア部を訪れていた。一度計画を聞かせてもらったところ、確かに彼女たちの力は間違いなく必要だ。

 

そういうわけでお話をすると、即OKを貰った。正直、結構危ない話ではあるし、もう少し渋られるかと思っていたのだけど……何で?と聞いてみたら「その方が面白そうだから」との返答。

 

あとは、俺とも仲良くやっていきたいからとも言われたが……多分最初の方が本音だろうな。

 

そういうわけで、必要な協力も取り付けた俺たちは、計画実行を待つのみとなった。

 

 


 

 

ということで計画実行の時だ。今回、俺の役割は何か非常事態が起きた場合の対処として、「鏡」奪取を担うモモミド姉妹についていくことだ。

 

さて、「鏡」が保管してある場所……差押品保管所はミレニアムタワー最上階にあり、そこに行くためには、必ずエレベーターを使わなければならない。

 

しかし当然エレベーターに乗るとセキュリティが発動し、各セクターがシャッターで閉ざされる。要は隔離されるということだ。これを解除するには、特定の人物の指紋認証が必要である。

 

第一の関門であるこのセキュリティをどう突破するかについてだが……コンピューターウイルスを用いて突破する。

 

とは言っても、流石のヴェリタスと言えども簡単に突破できるセキュリティではない。ということで、作戦はこうだ。

 

まず、アリスが真正面から攻め入り、セキュリティをできるだけ破壊する。そうすると、当然セキュリティを修理しないといけない。彼女たちがどんなセキュリティを代替にするかはエンジニア部であればわかるらしいので、そこにウイルスを隠す。ウイルス入りのセキュリティを使った向こうのシステムは改竄され、なんかいい感じになるらしい。

 

ちなみにこの際アリスは捕まってしまうが、彼女には保険も兼ねてもらう予定だ。

 

アリスが攻め入ってから数時間後。俺たちがミレニアムタワー内に入る。

 

では、第二の関門。「C&C」について。まずは爆破を得意とするエージェント、室笠アカネの対処から。率直に言えば、セキュリティを悪用する。

 

まず、ダミーの映像を用いて、アカネを誘き出す。この際、囮役としてマキとコトリに行ってもらう。

 

そして、アカネが階下に降りてきたあたりで、俺たちがエレベーターに乗ると、セキュリティ発動。本来なら認証を突破できるはずの彼女も、ウイルスで認証可能な人物が変えられてるので、そのまま隔離されてしまうというわけだ。

 

ということで、エレベーターに乗った俺たちは現在、最上階にいる。後はエレベーターの真反対にある保管所に辿り着ければいいだけだ。通路の途中にいる防衛用ロボットどもを蹴散らしながら進んでるのだが……ここでもう一人の「C&C」が出てくる。

 

遠くより飛来した銃弾が、モモイの頭上を掠めた。通り過ぎた弾丸は、壁に穴を作ったことからその威力を推測できる。

 

「お姉ちゃんの背があと5cm高かったら、おでこにクリーンヒットだったよ……」

 

「ヒューっ、確かに。小さくて良かっ……じゃないよ!」

 

「こんな状況でコントしないの」

 

「C&C」の狙撃手(スナイパー)、角楯カリン。彼女は凄腕スナイパーで、二、三回試し撃ちされた後は、全部クリーンヒットさせてくるだろうとのこと。何それ怖い。

 

と、いうわけで彼女にも対策が必須だった。彼女の相手は、エンジニア部のウタハとヒビキだ。

 

ウタハが正面から攻撃機能を持つ椅子である「雷ちゃん」(?)と主に正面から撹乱し、遠方からヒビキが曲射砲で援護をする……とのことらしい。狙撃が止んだので、多分うまくいってるのだろう。

 

さらにダメ押しで、ヴェリタスの秘密兵器を用いた停電も行い、司令系統も麻痺させる。

 

さて、ここまでセキュリティ、アカネ、カリンと三つの関門を突破してきたが……問題はここからだ。「C&C」には一人、全く行動の読めないエージェントがいる。

 

一之瀬アスナ……美甘ネルに次ぐ戦闘力を持つエージェント。噂では、異常な「直感」があるらしく、それも相まって全く行動が読めないそうだ。

 

そして……その彼女が、今俺たちの目の前にいる。

 

「ようこそ、ゲーム開発部!それに、えっと……先輩、だっけ?」

 

「先生、な」

 

「あ、そうだった!ずっと会えるのを楽しみにしてたんだよ〜?」

 

天真爛漫に笑ってはいるが、銃を構えてずーっとこちらを見ている。後一歩ではあるが、中々遠いな。

 

「あ、アスナ先輩!?どうしてここに!?」

 

「どうしてって言われても〜……何となく?ここで待ってたら先生にも、あなたたちにも会えるんじゃないかなー、って」

 

……なるほど。直感ね。言い得て妙だ。

 

恐らくは……彼女も、自覚してないだけで能力(術式)を持つ一人なのだろう。

 

さて、最初に俺の役割は「非常事態が起きた時の対処」と述べたが……それ即ち、実質アスナを対処しろと言われてるようなものだった。

 

「さて、じゃあ俺が相手しようかな?」

 

「え!?先生が戦うの!?ヘイローも無いのに、無理しちゃダメだよ〜」

 

「あー、あんまり気にしないでいいよ。俺めっちゃ強いからさ」

 

「本当!?じゃあ、いっぱい楽しめるね!」

 

「どうだか……モモイ、ミドリ。先に行っといて」

 

「「わかった!」」

 

「そう簡単には──」

 

アスナの目がモモイたちにいった。隙ありだ。急加速して、顔面に右手で触れる──

 

「──ははっ、すっごーい!速いね!」

 

「マジか!?」

 

はずだったのだが、間一髪上体を反らされた。癖で顔面狙ったのが仇になった!

しかも右腕を掴まれてる。どうなってんだマジで!?

 

「よーし!今度はこっちから!」

 

彼女の武器、「サプライズパーティー」FA-MASというアサルトライフルを基としたそれが、俺の至近距離で銃弾をばら撒く!

 

何発かは俺に当たったが、特に問題はない。問題があるなら、()()()()()()()だ。直感の噂が正しいならば、外れた銃弾にも何かあるのではと考えるのが普通だ。

 

外れた弾は、跳弾を繰り返し続ける、そして──

 

「いた!?」

 

「うわ!?」

 

こっそり進もうとしていた、モモイとミドリにぶつかった。

 

「こんな近くで撃ったのに、傷がついてない!先生って本当に強いね!」

 

「っ、」

 

「わ、危ない!」

 

左腕で触ろうとしたが、その瞬間投げ飛ばされた。一気に後方までぶっ飛ぶが、呪力を放出して勢いを抑える。

 

「……、モモイ、ミドリ!作戦変更!多分この子倒さないと進めない!」

 

「「了解!」」

 

「あれあれ、三対一になっちゃった、ちょっとまずいかも!」

 

再び急加速して、アスナに迫る。直線で行く……と見せかけて、直前で上昇。上から頭部に触れる──はずが、またしてもひらりと避けられる。

 

「先生、速いね!全く見えないや!」

 

「嘘つけ!」

 

直感とはここまで凄まじいものか!こんだけの力なら、何か代償があるべきだが……多分、アスナの場合はその病気が代償だ。

 

「C&C」を調べている時知ったことだが、彼女は暇な時間が続くとだんだんと意識や記憶が途切れ途切れになり、日常動作すらまともに行えなくなることもあるらしい。

 

これは推測だが……彼女はその病気を代価として支払うことで術式を扱っているのではないだろうか。だとすれば、突破は不可能に近い。

 

何度も、攻撃を繰り返すが全く当たらない。向こうも火力がない故に膠着状態だが、それは良いとは言えない状態だ……!

 

今まで行なってきた「C&C」対策は、全て突破される可能性がある。アカネを隔離しているシャッターも、彼女の爆弾なら壊せるだろうし、カリンも足止めしているだけで、いつか限界が来る。

 

一応、無視して強引に行く方法も試してみたが、その度にアスナが俺の体を掴む。千日手だ。ここは一度退くしかない……!

 

「二人とも、一度──」

 

刹那、窓の外が光った気がした。咄嗟に頭と光の間に手を割り込ませる。

 

「っ、大口径弾……カリンか!」

 

足止めが限界まできたらしい。この威力の狙撃は、俺はまだしも二人が受ければ数発で戦闘不能になりかねない……!

 

保険ならばある。さっきの停電を合図に、捕まっていたアリスが動き始めているはずだ。アリスが「鏡」を確保すれば、後は密かに回収するなり何なりできる。

 

ここでの一番の問題は、モモイとミドリが捕まることだ。今回の件の罰として停学や拘禁を食らえば、二人はゲーム開発に一時的に関われなくなる。そうなれば、開催まで一週間を切ったミレニアムプライスにゲームを出すことは無理と見ていい。

 

狙撃が二人に当たらないよう防ぎつつ、アスナからの追撃も捌いた上での撤退……いけるか?いや、やるしかない。

 

「二人とも!撤退だ!」

 

「逃がさないよー!」

 

飛来した銃弾を、できる限り掴み取る。そしてこれを狙撃の軌道上に投げて、盾にする。タイミングがシビアだが、目を重点的に強化すればできなくはない。

 

窓の外を見つめ続けて……今。呪力を込めた銃弾を投げた。モモイから数cm離れた場所で、カァン!という金属音。

 

これならいける、そう考えたところで……

 

「逃がさないわよ」

 

「うっ、ユウカ!」

 

逃げ道にユウカがやって来た。まっずい。

 

前にはユウカ、後ろにはアスナ。おまけに横からカリン。連続王手だな。詰みが近い。

 

下手に動くこともできず、全員の動きが止まる。

 

ユウカが話し始める。今まで結構見逃して来たが、流石に今回はやり過ぎだと。罰は無条件の一週間停学or拘禁くらいは覚悟しないといけないらしい。

 

このまま捕まれば、人手不足で「テイルズ・サガ・クロニクル2」は作れない。だから突破しなければならない。しかし、詰みはどんどん近づいてくる。

 

「ふぅ、やっと着きました……」

 

ユウカに続いてアカネまでやって来た。しかも大量の戦闘ロボットのおまけ付きだ。リサイクルさせてくれ。

 

「先生も、シャーレに抗議文くらいは送らせていただきますので。ご承知おきくださいね」

 

「モモイたちを見逃してくれるなら、何してもいいよ」

 

「えっ……いやいや。流石に見過ごせません」

 

なんか今悩まなかった?

 

「ううっ……ここで、本当に……?嫌だ……っ!」

 

「お姉ちゃん……っ!」

 

「ごめん、ごめんね先生……先生は色々助けてくれたのに、私たちの力不足で……私たちのせいで……!!」

 

モモイが、泣いてしまった。

 

「……まだ、終わっていないだろ」

 

「……え?」

 

「先生。気持ちはわからなくはないですが、いい加減……」

 

「それはどうかな」

 

要は、モモイとミドリを安全に逃がせればいい。その後俺がアリスを回収して、逃す。それだけでいい。

 

おまけにこの子たちは俺を殺すことはないだろう。なら、防御を捨てれば……何なら、血でも出たほうが動揺して逃しやすいかもな。

 

二人を抱えて強行突破。二人をエレベーターに入れたら、即アリスを回収して逃げる。俺とアリスだけなら、窓から飛び降りても大丈夫だろう。狙撃も何故か止んでるし、いける。

 

俺がまだ諦めてないことを感じ取ったのか、全員俺に銃口を向けてくる。来いよ。俺にそれは──

 

突然、ウィーーン……という、何かをチャージするような音が鳴った。この音は、まさか……

 

後ろを向く。光が、見えた。

 

「全員、伏せろーー!!」

 

「光よ!!」

 

俺の言葉にアスナ以外が反応した。それから、俺たちの頭上を眩い白が通り抜けていく。

 

間違いない、今の光は……!

 

「モモイ、ミドリ、先生!今です!」

 

「二人とも、俺の方に!」

 

アスナは今の一撃でユウカたちの方にぶっ飛ばされ、そのおかげでアリス側……後ろの、保管所方面の道が開いた!

 

寄って来た二人をそれぞれ片手で抱え、走り出す。

 

「アリスちゃん、どうしてここに……!?」

 

「生徒会も差押品保管所に向かう途中に、考えていました。アリスが今までプレイしてきた、ゲームの主人公たちは……決して、仲間のことを諦めたりしませんでした。なので、アリスもそうします。試練は、共に突破しなくては!」

 

「……うん、どうせこのまま捕まったら全部終わり。だったら、できることは全部やってやる!」

 

みんなの思いに、再び火がついた。実際、これならまだワンチャンはある。

 

「アリス。確認なんだが、まだ「鏡」は確保してないんだな?」

 

「はい!先にこちらに来ちゃいました!」

 

「おっけ。じゃあ……このまま三人は、保管所に向かって「鏡」を回収してくれ。そして取ったら即座に撤退だ。追手は俺が対応する」

 

「ええ!?でも、さっきだいぶアリスが削ったけど、まだロボットたくさんいるし、アカネ先輩もいるんだよ!?」

 

「大丈夫。アスナがいないなら、多分いけるはずだ。俺を信じてくれ」

 

「アリスは先生を信じてます!」

 

「わ、私も……先生のこと、信じます!」

 

「うぅ……絶対、先生も無事に帰って来てよ!」

 

「任せろ。それじゃあ行ってくれ」

 

二人を下ろし、全員行ったのを確認してから、追手に目を向ける。

 

「……先生。モモイちゃんとミドリちゃんは……」

 

「逃したよ。ここを通りたいなら、俺を倒してからいくんだな」

 

無数のロボットと、アカネ。ここで全員止める……いや、何なら倒すか。

 

「なるほど……残念です、先生。私たちとしては、あなたとも良好な関係でありたかったのですが……」

 

「いや、それとこれは別でしょ。これが終わったら、また仲良くやろう」

 

「あら、優しいのですね……なら、ここであなたのことを倒してしまってもいいのでしょうか」

 

「できるならね」

 

その瞬間、微かにアカネの感情がブレた。挑発でちょっと怒ったのかな。まあどうでもいいことか。

 

その隙をついて、いつも通り高速で近づき、顔に触れる。この一瞬でアカネの神秘を奪り尽くした。

 

「、なっ、」

 

崩れ落ちるアカネ。流石にアスナみたいに術式がなきゃ、反応は無理だよな……よかった。

 

ロボットたちも接近に反応して弾丸をばら撒いてくるが、まあ俺には効かない。そのまま適当に触れて、全部無力化した。

 

「っ、これが……噂の」

 

「噂になってるの?」

 

「はい……シャーレの先生の手には、不思議な力があると……」

 

「まあ、もう隠してるわけでもないしな。そりゃ広まるか」

 

とりあえずこの子たちは放って、三人の元に向かおうか……いや、今行ったら逃げてないことがバレるかもな。心配だが、みんなを信じてみるか。

 

「じゃあ、俺はここらで帰らせてもらうよ。また会おうね」

 

「……はあ……次は、味方として会えることを祈っています……」

 

「嬉しいこと言ってくれるね。それじゃ」

 

窓を割って、外に身を放る。こうして、「鏡」奪還作戦は終了した。




今日のゲーム開発部

「なにこれ」

「ス●ラトゥーン。先生知らないの!?」

「この流れ見たことあるような……」

「アリス知ってます!こういうのを天丼っていうんですよね!」





「これ初代ス●ラだから二人対戦できるんだよね。バトルドージョーってやつ」

「なるほど。またモモイをボコせばいいのか?」

「言い方ぁ!?」

「でも、今回はお姉ちゃんじゃなくて……」

「アリスがやります!」

「ふっふっふ……先生にアリスが倒せるのかな!?」





「……」

「……」

「二人とも無言なのはガチじゃん……」

「しかもアリスちゃんチャージャーだし。本気で殺しにかかってるよね」

「一応俺初心者なんだけど」

「アリスはどんな獲物にも全力を尽くします」

「それはギリカッコ悪くない?」





「あ、終わった」

「二人ともずっと潜伏してたから全然塗れてない……」

「やりました!アリスの勝ちです!」

「やるな……もう一回やろう」

「ふっふっふ。次もアリスの勝ちですね」

「めっちゃ煽るじゃん。誰から教わったのそれ?」

「モモイです」

「知ってた」

「お姉ちゃん?」

「ユズ。私がロッカー籠るから交代しよ?」

「えっ……!?」
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