呪われ男の先生代行譚   作:一般人参

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幕間の名を冠した設定開示です。つまりどういうことかって?めっちゃ短い。


幕間:黒服と先生による考察

「……うっわ」

 

「クックック。どうも」

 

本日、外部からの依頼があり少し外出をしていた。無事に依頼は終わり、シャーレに帰ってきたのだが……

 

玄関に黒服が立っていた。

 

「何でいるの?」

 

「少し、お話したいことができまして」

 

「意味わからん。帰れよ」

 

「少しは話を聞いてもいいのではないですか?」

 

「……はあ。話したいことってのは?」

 

こいつがこう言うってことは、多分俺は聞いておいた方がいいことだ。渋々用件を尋ねる。

 

「神秘と術式の関係について……少し解明できましたので、共有しておこうかと」

 

「は?何でそんなこと……あーいや、俺の知恵……力?とにかくそれを借りたいのか」

 

「そういうことです。私一人だと、少しデータが足りないものでして」

 

デメリットは……無い、か?少なくとも俺視点だと無いようには思える。向こうの事情がわからないから警戒はするべきだが……

 

「まあ、いいだろう。中に入れよ。生徒たちに見られれば色々まずい」

 

「これはこれは。ご丁寧にどうも」

 

そういうことで、黒服を招き入れることになった。

 

中に入り、いつものオフィスチェアに座る。一応黒服にも椅子を出してやった。

 

「ずいぶんお優しいのですね」

 

「報復とかされたら面倒だからな」

 

「心配せずとも、そのような真似は致しませんよ」

 

どうだか。

 

「で、神秘と術式の関係だったか。聞かせてもらおう」

 

「ええ……ではそうですね。まずは神秘についてわかったことを語りましょう。とはいっても少しだけですが」

 

「あんま勿体ぶるなよ。こっちにはまだ仕事があるんだ」

 

「クックック、それは申し訳ない……では率直に。神秘は、呪力と比較した際、一次元高位のエネルギーです」

 

「……つまり、呪力が下のエネルギーで、その上に神秘があると?」

 

「はい。これは確実なことです。加えて、これは推測ではありますが……あなたが体の治癒に使う正のエネルギーは呪力と同じ下のエネルギー。恐怖は神秘と同じ上のエネルギーだと思われます」

 

「ふーん」

 

実を言えば、それは何となくわかっていた。この話をするには、俺の術式を少し深掘りしなければならない。

 

俺が普段使うのは術式反転の「呪力の吸収」……それを縛りによって術式対象を拡張した「あらゆるエネルギーの吸収」だ。

 

肝は、「吸収」というところ。俺が吸収したエネルギーは、呪力に還元されて貯蓄される。この貯蓄は術式に関係することに出力可能で、俺が普段術式反転や、移動用の術式順転を使いまくっても呪力切れしないのはこれのおかげだ。

 

ただ、あくまで「術式に関係すること」のみなので、肉体強化や、反転術式による体の治療には使えない。

 

話を戻すと、エネルギーが呪力に還元される時、どれくらいの呪力が得られるかはエネルギーによって決まるのだ。電気とか運動エネルギー……というか、ほとんどのエネルギーは吸収してもそんなに多くの呪力にはならないが、神秘だけは違った。あれを吸収すると、とんでもない量の呪力が手に入るのだ。

 

だから、神秘は格が高い、もしくはすごい力を秘めたエネルギーであることは俺にはわかっていた。

 

「で、それが術式とどう関係するんだ」

 

「単刀直入に言いましょう。神秘を用いて術式を発動すると、術式が進化します」

 

「……ほう?進化とな?」

 

「ええ。あなたも身に覚えがあるはずです。あなたは過去神秘を持っていた時、術式はどうなっていましたか?」

 

言われて思い返す。とは言ってもあんまり変わらなかったような……今と同じように敵に触れて倒してたし、移動も呪力の放出を……ん?

 

「……なるほどな」

 

「理解できたようですね」

 

「ああ。あの時、俺は神秘しか持っていなかったにも関わらず、()()()()()()使()()()()()()()。そしてこれだけじゃない」

 

「続けてどうぞ」

 

「過去、俺は当然縛りのことなんて何も知らなかった。だというのに俺は術式反転で敵の神秘やエネルギーを奪えていた……つまりだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……そういうことなんだろ?」

 

「……クックック、きっかけを与えたとはいえ、一瞬でそこまで辿り着くとは」

 

「なるほど。進化か……だが言い過ぎじゃないか?確かに力は向上しているが、進化と言えるほどのものではない気がする」

 

「そう。まさにそこなのです。あなたのケースでは、進化と呼ぶには微量な変化で、神秘が術式に与える影響がわかりづらい……そこで、あなたにお願いがあるのです」

 

「……まあ、聞こうか」

 

「そう身構えなくとも……お願いしたいのは、能力持ちの生徒……彼女たちの術式を調べて欲しいのです」

 

「なるほど……けど俺には人の術式を確認する術なんて無いぞ」

 

「なので、こうすれば確認できるのでは無いかという策を用意して参りました」

 

用意周到すぎる。

 

「つまりは……相手の了承があること、を縛りとして組み込めばできるのでは?」

 

「……!なるほど……」

 

呪術における縛りは基本等価交換だ。これを失うから、これを得させてくれ。そんな感じ。だからこそ、他者間の縛りはなかなか難しいのだが……これは、どうだ?

 

「……やってみる価値はあるかもな」

 

「そうでしょう。ということで、行ってきてください。最低でも二人のサンプルは欲しいですね」

 

「よかろう。パッと行ってくる」

 

気づけば、だいぶ乗り気になっていた。思い通りって感じがして腹立つけど、実際役には立つし……何より興味がある。

 

ということで、術式持ちを探す旅へ、俺は出たのであった。

 

 


 

 

「帰ったぞ」

 

「おや、思ったよりも早かったですね」

 

術式持ちを探す旅は案外早く終わった。というわけで結果発表だ。

 

「まず、黒服の策だが……悔しいが、お前のいう通りだったよ。互いの了承があることを縛りに組み込んだら、術式について情報を得られた。しかも変化前と変化後どっちもだ」

 

「ほう……?それはよかったですが……何故どちらも見えたのでしょうか」

 

「多分、術式って機構の情報と、その術式を使った時の情報が表示されたんだと思う。神秘で術式が進化したのか、呪力で術式が退化したのかについては結論づいたよ」

 

「どちらだったのですか?」

 

「神秘が術式を進化させた、だ。呪力を用いて発動するのが本来の術式。神秘を用いた時の挙動は……何だろうな。過剰に電力を供給した家電みたいなもの、とでも」

 

「なるほどなるほど……では、早速結果の方を聞かせてもらいましょう」

 

心なしか黒服が前のめりな気がする。まあいいか。

 

「じゃあまず一人目。一之瀬アスナについて。彼女が持っていた術式は、「奇跡を蓄え、命の危機で都合のいい事象を起こす」術式だった。これが進化すると……「神秘を支払い、任意のタイミングで都合のいい事象を起こす」術式になっていた」

 

「それは……なかなか、とんでもないですね」

 

「まさに進化と呼べる劇的な変化だな。おまけに彼女は天与呪縛により、支払うべき神秘がゼロだ。クールタイムこそあったけど、何度でも奇跡を起こせるとんでもないものになってたよ」

 

「なるほど……では、次の方は?」

 

「二人目は、鷲見セリナ。彼女の術式は「見える範囲のどこかに任意で瞬間移動する」もの。進化すると……「座標を確認できた地点に瞬間移動する」術式」

 

「座標を確認、と言いますと……?」

 

不思議そうな顔で聞いてくる黒服。

 

「俺もわからん」

 

「は……?」

 

「進化が複雑化しすぎているのと、複数の縛りがあったせいでそれしか分からなかった。一応本人の話的に、”名前を呼ばれる” “セリナが位置を確認する” あたりが条件っぽいけど……結論よく分からん。さらに言えば術式範囲も異常だ。範囲に一切の制限がなくて、条件を満たせばどこにでも行ける。ただ、これ自体も色んな縛りが絡み合ってるっぽくて、完全な解読はできなかった」

 

「縛り、ですか?」

 

「言いたいことはわかるんだが……そこら辺はこれまたわからん。術式持ってるだけでも呪術的には関係があるって判定されるっぽくて、縛りができる理屈はそれだ。ただ、あの子無意識下で縛り結んでるっぽいんだよなあ……マジでわけわからん」

 

呪術複雑すぎるよー!

 

というか、俺がこれらを呪術として認識できるのも、多分何らかの縛りが絡んでるんだよなあ。それも俺が結んだものじゃなくて、世界が勝手に結んだやつ。世界が勝手に結んだやつって何だよ。は???

 

「……ひとまず、術式の進化について新しい情報を得られたことを喜びましょうか」

 

「ああ。それはよかった」

 

「そしてこれらから推測するに……進化は一定の割合ではなく、そこにも運が絡む……といったところでしょうか」

 

「それもわからん。もしかしたら割合は一定だけど、進化する対象がランダムなだけの可能性もある。アスナはガッツリ術式効果自体が進化してるけど、セリナは範囲も伸びてるし」

 

今日「わからん」って何回言った?

 

「なるほど……いやはや、頭が痛くなってきました」

 

「俺も疲れた」

 

ガチで頭痛すぎる。とりあえず、ここまでのことをまとめてみよう。

 

①神秘や恐怖は上の次元のエネルギーで、呪力や正のエネルギーは下の次元のエネルギー。

 

②上の次元のエネルギーを使うと術式が進化する。

 

③進化がどうなるかは完全ランダム。

 

「クソでは?」

 

「この世の中、思い通りに行くことの方が少ないものですよ」

 

あー本当に頭痛い。

 

「……ひとまず、こんなところでしょうか。また何かあれば、やって来ます」

 

そう言って黒服が立ち上がった。

 

「おう……まあ、今回のことはなかなか興味深かった。毎回こんな話題なら、手を貸してやらんこともない」

 

「それはありがたい。また何か協力して欲しい時は、必ずここを訪れると約束しましょう」

 

そして黒服は恭しく礼をすると、闇に包まれて消えていった。




次の日の黒服

「クックック」

「あれ、またいる。なんか分かったのか?」

「いえ、本日はコーヒーでも頂こうかなと」

「帰れ」





「結局中に入れてしまった……」

「では、本題に入りましょうか」

「何だ、やっぱなんかあるのかよ」

「こちらをご覧ください」

「……?なにそれ?」

「最近ゲームを趣味にしていると聞いたので、マ●オカートを持参いたしました」

「なんなのお前」





「クックック。失礼、アイテムはどのようにして使うのでしょうか」

「上上下下左右左右BA」

「なるほど……ゲームというものは複雑ですね」

「そうだな。こっち終わったぞ」

「おや、お早いことで。ちなみに私は今何位なのでしょうか?」

「最下位」

「クックック(泣)」

「キッショ」





「ところでさっきホシノからこっち来るって連絡あったんだよね」

「クックック(焦)それはまずいですね。貴方とこんなことをしていると知られたら身体中に穴が開いてしまいそうです」

「そうだな。じゃあ帰れ」

「少々お待ちください。後少しで全グランプリ優勝できそうなのです……」

「CPUと接戦してるのカッコ悪すぎる……」





ちなみにアスナの術式は重面春太の術式、セリナの術式は憂憂の術式をそれぞれモチーフにしています。多少は違いますが、ほとんど同じです。

それじゃあ、今夜は呪術廻戦のアニメということで。楽しみましょう。
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