呪われ男の先生代行譚   作:一般人参

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ようやく始まるよー。

ちなみに補習授業部編……というかエデン条約編全部、解説入れないといけないところが多いので大分読みづらい場所があるかも……できるだけ努力しているけど、そこは謝罪しておきます。


エデン条約編 1〜3章
19. 補習授業部


その場所は鎖で満たされていた。

 

本来あるべき空が全て無数の鎖に置き換わったような、そんな場所。

地面に当たる部分はまるで鏡のようで、空の鎖を反射している。

 

総じて、鎖に満たされた空間と言える場所だ。

 

その中で二つの存在が相対している。

 

片方は、明確に人間だと分かる。黒い短髪に夜空の瞳。九条カケルだ。

 

もう片方は……よく分からない。人間であることは確かだが……所々黒い何かに侵されていて、それが男なのか女なのかすら判別がつかない。

 

『生徒を守ってくれ』

 

「わかっていますよ。大丈夫です」

 

カケルが喋る。黒い人影は黙ったまま。

 

『生徒を守ってくれ』

 

「あの日。あなたから受け継いだ使命。必ず成し遂げます」

 

カケルが喋る。黒い人影は黙ったまま。

 

『生徒を守ってくれ』

 

「だから、どうか見ていてください」

 

カケルが喋る。黒い人影は黙ったまま。

 

「……ごめんね」

 

黒い人影が喋る。

 

カケルは黙ったままだった。

 

 

 

 

 

エデン条約編

 

 

 

 

 

今まで、俺はキヴォトス三大校のうち、二校に訪れたと言える。

 

ミレニアムには、ゲーム開発部の件で。ゲヘナには、ヒナに会いにいったり、色んな用事があったりして。訪れたことがあると言える。

 

では最後の三大校……トリニティ総合学園はどうなのか?

 

行ったことがないわけではないが……どれも少しの時間しか立ち入ってなかったり、主な目的ではなかったりと訪れたとは言えない状況だった。

 

だが、今回で俺は三大校全てに訪れたことになるだろう。

 

きっかけはいつも通り依頼。桐藤ナギサという、トリニティにおける生徒会長的な役割を持つ生徒……彼女から、トリニティに来て欲しいとの依頼があったのだ。

 

ということで、現在。俺はその彼女の前にいる。

 

「こんにちは、先生。こうしてお会いするのははじめまして、ですね」

 

「そうだね。はじめまして」

 

「ティーパーティーのホスト、桐藤ナギサと申します」

 

彼女は、丁寧な所作で紅茶を飲んでいる。一度口に含んだそれを飲み込むと、続けて隣に立っている、ピンク髪の少女を示して

 

「そしてこちらは、同じくティーパーティーのメンバー、聖園ミカさんです」

 

と紹介した。

 

この子たちが、トリニティにおいて生徒会を担うティーパーティー。そのメンバー。

 

噂では、あと一人いると聞いていたのだが……今追求することではないな。

 

「では、こちらも改めて。シャーレ所属の先生です。よろしくね」

 

自己紹介を互いに終えると、ミカがこちらに寄ってくる。

 

「へー、これが噂の先生かー。あんまり私たちと変わらない感じなんだね?」

 

「まあね」

 

さっきまでは神聖ささえ感じていたんだが、自己紹介が終わった途端変わったな。

 

「というか、何で仮面してるのー?」

 

「いや、理由はあったんだけれど……実は、それはもう解決してて」

 

「え、じゃあ余計つけてる意味なくない?何で?」

 

「その頃にはみんながシャーレの先生=この仮面って認識してたからさ……お望みとあらば、外してもいいけど」

 

「え!じゃあ外してくれる?」

 

「はーい」

 

ということで仮面を外す。

 

「おー、なるほど……うん、私は結構いいと思う!!ナギちゃん的にはどう?」

 

「……ミカさん、初対面でそういった話はあまり礼儀がなっていませんよ。愛が溢れるのは結構ですが、時と場所は選びましょうね」

 

「うぅっ、それはまあ確かに……先生、ごめんね?まあとりあえず、これからよろしくってことで!」

 

「うん、よろしく頼む」

 

言いながら仮面を付け直す。もう騒動になるのはごめんなんだ。だったらもう素顔を公開すればいいと思う人もいるかもしれないが……それはそうなると仮面をつけられなくなるしなあ。

 

話が逸れた。どうやらこの場はトリニティの一般生徒も簡単に来れないすごい場所らしく、トリニティ外の人でここに入ったのは俺が初めてだと。そう言われると緊張するな。

 

さて、そろそろ本題に入るか……というところで待ったがかかった。ミカ曰く、ティーパーティーは社交界なんだしもっと世間話してからでも良くない?とのこと。俺としては別にそれでもよかったし、最終的にナギサも折れたので、少し世間話だ。少しトリニティの生徒会について語らった。

 

トリニティの生徒会についての解説だ。まず、トリニティには生徒会長が複数人いる。その原点を探っていくと……大昔、トリニティが無数の派閥に分かれ争っていた頃。パテル、フィリウス、サンクトゥスの三派閥の代表がティーパーティーを開き、和解をした。それから各派閥は仲良しになり、統合され……トリニティ()()学園ができた、というわけだ。

 

そしてその頃の名残で、現在も三派閥の代表たちが生徒会長をやり、そして最も権力があるホストを、順番にやる……という流れで成立しているのだ。

 

なお、この話の途中で横からぶつぶつ言ってたミカが、ナギサにロールケーキを口に突っ込まれそうになってた。これは人には見せられない、秘密の出来事だ。ついでに話の最中やっぱ早く本題に入らないかなあと俺がめっちゃ暇してたのも秘密だ。

 

ということでやっと本題。

 

端的に言えば、落第の危機にある生徒四人を救って欲しいというもの。なにやら成績が優れず、非常にまずいんだとか。

 

普段ならトリニティもちゃんとそっちに人手を割けたのだが……今の時期は、そうもいかない。なぜなら……近いうちに、エデン条約の調印式が行われるから。

 

前も説明したが、改めて説明。エデン条約は、要するに犬猿の仲のゲヘナとトリニティが仲良くするために、過去連邦生徒会長によって進められていた条約だ。ただ、連邦生徒会長が失踪してからはその動きも止まってたらしいのだが……なんとか立て直したらしい。

 

ちなみに犬猿の仲とは言ったが、その実そんな仲ではない。もっと仲が悪い。何でか知らないが、ゲヘナとトリニティは水と油以上に相容れないのだ。不思議。

 

で、そのエデン条約でトリニティがバタバタしてるので、今はそっちに手を回せない。じゃあどうしよう……というところで、シャーレに依頼したというわけだ。

 

ちなみにこれはトリニティにとっては面倒ごとらしい。ミカがはっきり言った。しかもめちゃくちゃ件の生徒たちを厄介者扱いしてるし……ナギサも、ほぼ同意見っぽい。まあ、こんな時期にそんなことになってるのは迷惑でしかないのはわかる。

 

ということで、補習授業部を俺が受け持ってくれと。尊敬できる──なお噂によって評価が割れてるらしい。何で?──先生なら、任せられると。そういうことらしい。

 

「もちろん。やらせていただこう」

 

当然快諾。喜ぶミカを尻目に、ナギサから対象生徒の名簿を受け取る。

 

おー。知らない子がひーふーみー…………なんか、知ってる子がいる。

 

まあ、一旦いいや。ナギサが気になる点は無いかと聞いてきたので、遠慮なく聞く。

 

「ティーパーティー。三人の生徒会長による、トリニティの生徒会……一人足りないけど、どうしたの?」

 

聞いてみると、病気で入院中とのこと。ふーん。

 

「じゃあもう一ついい?」

 

「ええ、もちろん」

 

「なに隠してるのかな?」

 

瞬間、空気が変わった……が、本当に一瞬だけだな。とはいえ確信を持つには十分だ。カマかけた甲斐があったな。

 

「……何のことでしょうか」

 

「一番違和感を持ったのは、明らかに君たちが件の生徒たちを厄介者にしてること。そんな厄介なら、救済措置はせずにそのまま放っておけばいい」

 

「どんな生徒であれ、落第の危機に陥っているのなら救うのが道理ではありませんか?」

 

「まあ、否定はしないよ。ただ、それだけなら俺に頼む必要はないんじゃないかな?」

 

「……どういう意味でしょうか?」

 

疑問の顔をするナギサ。

 

「最近の勉強は基本的にBDで行われる。要は先生がいなくても勉強はできるわけだ」

 

「しかし、個人での勉強には限界があります」

 

「そうだな、当然そんなことは常識だ。だからこそ、いまだに人に勉強を教える職業がある。別に俺に頼まなくても、こういう専門の人たちに頼めばよかったんじゃない?」

 

「それは……世間では評判の、シャーレの先生の方がいいと思い……」

 

「さっき言ったよね。俺の評価は結構割れてるって……そんな不確定な人物を、エデン条約関連でピリピリしている現状、わざわざトリニティに招く必要はないと思うんだけど」

 

「……」

 

黙り込むナギサ。この様子なら、多分推理は合ってるかな。

 

「じゃあ何故俺を招いたのか?その大きな理由は……()()()()()()()()()だったんじゃない?」

 

「っ……まさか、そのようなことが」

 

「シャーレは超法規的機関……要するにあらゆる法を無視することが可能な力を持ってる。君たちはそれを利用したかったんじゃない?じゃあそれを利用して何がしたいんだろう?」

 

プラスの方に何か行いたい可能性はない。それなら、根回しだとか、もっといい方法がある。つまりもたらしたいのはマイナスの方のこと。そして落第より更に下のことで、その上法を無視することにメリットがあることといえば……

 

「君たちさ。四人の生徒のこと退学させたいんでしょ」

 

「「!?」」

 

退学という行為は、大きな学校であればあるほど様々な面倒な手続きが伴う。だが、シャーレのあらゆる法を無視できる性質を使えば、それを無視することも可能だろう。

 

俺の言葉に二人がかなり大きな反応を見せる。驚きの顔。とはいえ推理はここからだ。

 

「ただ、それだけなら今じゃなくていい。こんな忙しい時期に何もそんなことを合わせる必要はないからね……じゃあ何で今なのか?」

 

二人とも無言で俺を見つめてくる。そのご期待にお応えしよう。

 

「何で今なのか……それは単純、今だからこそ起こったことだからだ。今退学させないといけない生徒……このエデン条約で忙しい時期に、退学させないといけない生徒。つまりは……エデン条約の締結を妨害しようとする生徒。その子が、四人の中にいるってことだ」

 

「……四人全員ではなく、四人の中にいる、と言う理由は何でしょうか?」

 

「単にシャーレの効力を使いたいなら、名前を貸してくれと依頼するだけでいい。なのに俺を呼んだってことは、何かさせたいってこと。ぶっちゃけ全員妨害者だと確信できてるなら、大手を振って退学にできるだろうし……こんな裏技を使うってことは、多分まだ見分けられてなくて、俺に見分けさせたいのかなってね」

 

「……素直に、お見事と。まさか見破られるとは……」

 

ナギサがお手上げといったふうにそう言った。

 

「……すごいね、先生。今のはちゃんと尊敬できたよ」

 

「今の、は余計だよ」

 

合いの手ミカを流す。

 

「推理のほぼ全てがあっています……強いていうなら、私たちは妨害しようとする者をトリニティの裏切り者、と呼んでいることぐらいでしょうか」

 

ということで、もう大体わかってるけど改めて話を聞けば、トリニティ内にエデン条約締結を阻止しようとしている裏切り者がいて、その容疑者を四名まで絞ったはいいもののそれ以上は分からなかったのだと。

 

エデン条約は、くどい様だがゲヘナとトリニティの仲を深めるための第一歩で……そしてそれは史上初の試みゆえに、絶対に失敗してはいけないのだ。

 

もう少し詳しく掘り下げると、エデン条約ではETOという組織が作られる。これはゲヘナとトリニティの連合軍で、どちらかの領地で問題が起こった時、それを解決するために動く、完全に中立な軍隊。これを抑止力として、成立させる……それがエデン条約。

 

この大事な条約を絶対に阻止するわけにはいかない……それが、彼女たちの意見だった。

 

「そうか……とりあえず、裏切り者は探すと公言しておこう」

 

「!先生、わかって──「ただ、一つだけ」

 

喜ぶナギサを制止する。

 

「……何でしょうか」

 

「俺は、シャーレの先生だ。全ての生徒に味方し、支える存在。裏切り者であっても、生徒であるなら……俺は、限界まで救う道を模索する」

 

「……」

 

「君は賢い。であるなら、万が一のために、全員退学させるようなシステムも作ってあるんだろう。別にそれを否定はしない、けれど……」

 

力強い声で、宣言する。

 

「俺は俺のやり方でやらせてもらうよ……ごめんな」

 

「……何を謝る必要が……ただ、双方共に自分のやり方を貫くだけでしょう」

 

目を伏せて、ナギサは言う。きっと、今の君に何を言っても響かないだろうから……ただ、もう一度だけごめんと、心の中で謝る。

 

「それじゃあナギサ。また、いつか会えることを祈っているよ。ミカもね」

 

「……うん。それじゃあね、先生」

 

「……先生。これは独り言なんですが……」

 

この場から去る直前、ナギサの声がよく聞こえた。

 

「補習授業部には三回、テストを用意しています。彼女たちが退学を逃れるには、その三回のどこかで、全員で合格点を取らなければなりません」

 

ただ黙って聞く。

 

「最初の一回は、何も起こらないでしょう。ですが二回目以降は……もしかすると、何か障害が起きるかもしれませんね」

 

「そっか……ありがとう」

 

そう言い残して、今度こそ去った。

ナギサは……合理的と言うには、あまりにも情に溢れすぎているな。

 

 


 

 

気を取り直して、補習授業部の部員探しだ。まずは……見覚えのある名前から行こう。

 

名簿には、その生徒がいるだろう場所も書かれていたので、それに従って行ってみる。

 

「……とりあえず……何だ。会えて嬉しいよ、ヒフミ」

 

「あ、あはは……こんにちは、先生」

 

と言うわけで。補習授業部一人目はヒフミだ。何したんだお前。ファウストであることがバレたのか?

 

なにやらやむを得ない事情があったとのことで……まあ、聞いてみよう。

 

「ペロロ様のゲリラ公演に参加するために、テストをサボってしまって……それで」

 

「」

 

普通に絶句した。ナギサの口ぶり的に、補習授業部メンバーはどうにか集めたみたいな印象を受けたが、ヒフミだけは普通に入って来たんじゃ無いのこれ。ファウストの片鱗出てるって。

 

「そ、そんな冷たい目で見ないでくださいぃ……!ちゃんと試験の日程は確認していたはずなんですっ。何かの間違いと言いますか、手違いと言いますか……」

 

よかった。ちゃんと嵌められてた。マジでよかった。

 

話を聞くと、ヒフミは一応補習授業部の部長らしい。ナギサ直々の任命だ。となると、裏切り者の可能性は一番低そうかな。

 

そのうち、他のメンバーも集めにいきましょう!ということになったので、次は正義実現委員会の牢屋まで向かう。

 

牢屋の前に部屋があり、そこに入るとピンク髪の少女がいた。

 

ヒフミが必死に話しかけているが、ジッと睨みつけたまま何も言わない。これは……

 

「人見知りかな」

 

「……だ、誰が人見知りよ!?た、ただ単純に知らない相手だったから、警戒してるだけなんだけど!?」

 

「世界はそれを人見知りと呼ぶんだよね」

 

喋ってくれた。久しぶりにツンツンしてる感じの子だな。

 

どうやらこの子も正義実現委員会のメンバーらしい。何か用かと聞いてくる。

 

正義実現委員会。端的にいえば、ゲヘナの風紀委員会と同じポジションのもの。委員長である剣先ツルギは、空崎ヒナや美甘ネルに並ぶ強者と聞いている。

 

で、そんな場所の牢屋に来たのは、ここに収容されてる人物がいるかららしいのだが……

 

「こんにちは。もしかして、私のことをお探しでしたか?」

 

「!?!?」「!?」「……」

 

……名簿にも書いてあったが……マジかあ……マジか……

 

気づけば目の前にいた少女は、ピンクの髪……ピンクの髪多すぎる!ええいとにかくピンクのロングで、服装はなぜかスク水一枚!その格好で学校を徘徊して捕まったという変質者!その名は浦和ハナコ!

 

「あら。大人の方、ということは……先生、ですね。あらためまして、こんにちは。なるほど、もしかして補習授業部の?」

 

「ああ。シャーレの先生だよ。まあ、よろしくね」

 

何というか、うん。何も言わないでおこう。

 

おまけにこの子、頭が結構回るようで何で水着で徘徊するのよ!?と至極真っ当な疑問を呈した、正義実現委員会の少女……下江コハルを、屁理屈で黙らせている。

 

そのままキレたコハルによって、ハナコは再び牢屋に戻っていった。

 

コハルによれば、「エッチなのはダメ!死刑!」とのことなのでハナコは死刑(デスペナルティ)だ。ナギサが知れば喜ぶかな。

 

思わず遠い目をしてしまうが、とりあえず補習授業部メンバーを集めなければ。次は白洲アズサという子で……と考えていると、正義実現委員会のメンバーが戻ってきて、白洲アズサを捕まえたと……なんて?

 

見れば、ガスマスクをつけた、銀髪の少女。ここでピンク髪じゃなくてよかったとか思った俺は手遅れだろうか?

 

なんか軍人みたいなことを言っているが、一旦無視して正実メンバーに事情を聞くと、校内で暴力行為の疑いがあるとして追いかけてたら、催涙弾をいっぱい爆破させたり、いろんな(トラップ)を使って被害を出しまくったりと大暴れだった模様。元気が良くていいですね……

 

一応正実の管理下に置かれている人が(何故か)二人もいるので、正実の副委員長であるハスミに許可を取る。ちなみに呪い*1は発動しなかった。

 

さて、問題児がすでに半分いってる補習授業部だが、最後の一人は……あっ。

 

凶悪犯二人がいなくなると思って、めちゃくちゃボロクソに貶してるコハルに目を向ける。

 

「あははっ!良いんじゃない、悪党と変態の組み合わせ!そこに”バカ”の称号だなんて、私なら一緒にいるだけで羞恥心で死んじゃいそう!」

 

「あの、コハル。今の発言の手前、非常に言いづらいんだけど……補習授業部最後の一人、君だね」

 

「……え、私っ!?」

 

えー、下江コハル。三回連続で赤点を叩き出し、留年目前……普通だな。

 

一度別の教室に移動してから、改めて錚々たるメンバーを眺める。

下江コハル、白洲アズサ、浦和ハナコ、阿慈谷ヒフミ……ここに、補習授業部が全員揃った。

 

羞恥心で死にかけてるコハルを憐れみつつ、声をかける。

 

「さて。これで補習授業部は全員揃ったわけだが……」

 

……凄い子達だなぁ。この場合の凄いは文字通りの意味ではなく、どちらかというと"ヤバい"の意だ。

 

「私たちは、何をすれば良いのでしょうか?先生?」

 

「ああ、それは今から「放課後にひと気のない教室で、素行の悪い女子高生と大人が集まって……ふふ、始まってしまいそうですね」

 

「始まる……?まあ、何だって構わない。ちなみに私は本気を出せば、この教室で一ヵ月は立てこもれる」

 

「死にたい……本当に死にたい……」

 

……

 

「え、っと……先生……その、よろしくお願いします……」

 

「まあ、そうだね。よろしく」

 

……裏切り者とか以前の問題だろ、これ。

 

あまりにも個性豊かすぎるメンバーを前に、俺はこれからの苦難を想像してしまうのだった。

*1
カケルと最初に出会った生徒は、カケルに再会した際「こんなところで出会いたくなかった」という旨の発言をする呪い(ジンクス)




かくして歯車は狂いはじめた。

あるいは、狂っていたのは初めからか。
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