呪われ男の先生代行譚   作:一般人参

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妙だな。この話、どこかでみたことある……具体的に言うと1/14の23:30頃に誤投稿されてなかったか?

人の作品でたまに「誤投稿したごめん」っていう感じのものが前・後書きに書かれてるのを見て、「ほえーそうなんだ。まあまさか俺はやらかさないやろ」とか思ってました。

すぐ消したから見てる人もかなり少ないとは思いますし、何なら誰も見てない気もしますが……それはそれとしてすみませんでした。


20. 合宿に行こう

さて。簡単な自己紹介と補習授業部の説明を終えました。

 

「と、いうことでね。これからよろしく頼む」

 

特に返事はない。無言でこちらを見てくる。視線が痛いよー。

 

「何か気になる点、わからない点はあるか?」

 

「大丈夫。これからは普通の授業に加えて、毎日放課後に特殊訓練があるってだけでしょ」

 

そう言うのは、綺麗な銀髪を持った少女。白洲アズサ。いつの間にかガスマスクも外しており、その可愛らしい顔が露わになっている。

 

「まあそういうことだ。これから君たちが目指すのは、この先行われる特別学力試験にて全員同時に試験に合格すること。試験は全三回あり、そのうち一度でも条件を達成すればその時点でこの部活は終わり。解散となる。補習関連は俺がほとんど担当するが、仲間同士で教え合うのは問題ない。俺がいない時はヒフミが代理で統率を取る」

 

多分みんな理解してるはずだ。アズサなんかは口に出して噛み砕いて理解してくれてるし、問題はないはず……

 

ちなみにアズサは所謂転校生というやつらしい。普段なら珍しいなあとなるところだが、今回はそうもいかない。他所から転校して来たとか、裏切り者かの視点で見れば怪しすぎる。

 

……まあ、疑い続けてもしょうがない。一度切り替えよう。今はハナコがみんなを名前+ちゃん付けで呼び始めてる。仲良くするのは良いことだぞー。なお一人離れているコハル。

 

「言っておくけど、私は認めないから……!」

 

コハルが憎悪に満ちた声でそう言う。自分は正実のエリートだから、先輩だからと敬わない。こんな部活さっさと抜け出してやると。

意気込みはいいね。ところで話聞いてた?

 

あー……ホシノに会いたいなあ、なんて。普段は思わないことを思うほど、この時の俺はだいぶストレスが溜まっていた。

裏切り者の件は、正直だいぶ俺の精神を削ってる。あんま頭使いたくないし、そもそも俺のやり方で行くと言ったが……そんな綺麗事で解決できるのか?

 

あー。だめだこの感じ。不安が体の中にぐるぐる渦巻く。ホシノに会いたい……会っていっぱい体動か(バトル)したい……

 

この日は特に授業することもなく、みんなが仲良くなったところで解散した。

 

 


 

 

さて、それからは毎日放課後、同じ教室で自習をするようになった。

 

最初こそ、俺が頑張らないとなあなんて考えてたのだが、ハナコがすごい優秀で、みんなにわからないところを教えてくれてるのと、みんな思ったよりモチベがあって、俺がいなくてもなんかいい感じだった。

 

このまま上手くいけばいいなーとは思うが……果たして。

 

ちなみに一次試験……ナギサが関わらないと断言した、彼女の用意した最後のチャンスをふいにした場合、補習授業部は合宿しないといけないらしい。猛烈に嫌な予感がするので、みんなにはぜひ一次試験で合格してもらいたい。

 

更にちなむと、ヒフミは三回テストを不合格になると退学になることを知ってる様子だったが……どこまで知ってるかわからないし、情報共有はしないことにした。

 

そして迎えた一次試験当日。何故か俺が試験監督もやることになってるので、テスト会場でテストを行う。

 

問題用紙を配って、よーい始め。さてさて果たして。

 

……あれ、ハナコが試験開始十秒ぐらいでペンを止めたぞ。ハナコさーん?

アズサとヒフミはスラスラ解いてるように見える。コハルは……悩んではいるが、一応書いてる。

 

ハナコさーん?

 

……そうこうしてるうちに、試験が終わった。回答用紙を回収……うわ、何だこれ。ハナコのやつ空欄しかない……

 

……個人面談でもするか?でもなあ……まあとりあえず、これを採点する人に渡して、後は……寝て待つか。

 

 

 

ということで。あれから数日。一次試験の結果が返ってきました。合格点は、100点中60点以上。では発表していく。

 

まずはヒフミ。72点。まあまあまあ合格と。

 

「あ、ありがとうございます!何だか無難な点数ですが、良かったです!」

 

次はアズサ……32点。まあ……頑張ってたのは知ってるし、これからもっと頑張ろうということで。

 

「ちっ、紙一重だったか」

 

紙見たことある?

 

次はコハ……うわあ。11点……?

 

「!?やっ、その……!か、かなり難しかったし……」

 

テストに出てた問題は基礎中の基礎であったことをここに記しておく。

 

で、最後。ハナコ……2点。

 

「……ちなみに、何か言うことは?」

 

「うふふ、ありません」

 

「そっかあ」

 

えー、改めて……改める必要あるか?とにかく改めて……合否としては、不合格×3、合格×1。当然不合格者がいるのでテストは失敗。合宿にレッツゴーだ。

 

あっヒフミがショックのあまり気絶した。生きろ。

 

 


 

 

ということでね。やって来ました合宿会場。トリニティからかなり離れた、しばらく使われてないらしい別館だ。

 

とはいえその割には……という感じだ。中は思ったより綺麗だな。なんだか寒いわ。お、おい、もう帰ろうぜ……

 

家具系も充実してるし、普通に生活可能な場所だ。アビドスよりマシだな、ヨシ!

 

これからここで、俺たちは一週間寝食を共にする。ということでホシノにメールを送っといた。一回俺が用事あって外いた時にホシノが来て、とんでもないことになったのを俺は忘れていない。

 

さて、一通り見て回ったところで、一度寝室に集まったのだが……アズサがいない。どこいったんだあの子。と思ってたら帰ってきた。

 

「お帰り、何してたの?」

 

「偵察をしていた」

 

「?」

 

聞けば、本校舎から離れてるから狙撃の危険はないらしい。それから入り口が二つしかないから、いざという時は片方を封鎖して敵を誘導して殲滅するとのこと。そっかあ。

 

「あの、アズサちゃん……私たちはここへ戦いに来たのではなく、勉強をしに来たんですよ……?」

 

見かねたヒフミから流石に注意が入った。

 

「うん、分かってる。一週間の集中訓練だろう?外出禁止、自由時間は皆無、24時間一挙手一投足まで油断することは決して許されないトレーニング」

 

「流石に24時間ではない。そこは安心してくれ」

 

「む、そうなのか」

 

24時間トレーニングは擬似的なのをやったことあるが死ぬかと思った。というかなんならあれ24時間超えてなかったか?

 

ちょっとしたトラウマを思い出し悶えてると、ハナコが合宿っていいですねみたいなことを言った。その際卑猥と捉えられるような単語が出たが俺は触れないものとする。

 

ただ、その言葉に同意したアズサが、いい笑顔をしていたのは良かったな。良かったね。

 

とはいえこの合宿はあくまで勉強のためのもの。次こそ絶対受かろうね。

 

「ということで改めまして。俺たちは一次試験に落ちたので、今日から一週間ここで勉強合宿をします。衣食住には困らないし、長い間使われてなかったみたいなんで存分に使いまくってやりましょう」

 

「せ、先生?」

 

「あーあと。みんながここにいる間は俺もここで寝泊まりするから。何が起きてもどうにかするよ」

 

「何が起きても……つまり、例えば一緒に寝てる時、一人でモゾモゾと動くコハルちゃんを見かけたら──「俺は通路挟んで向こうの部屋で寝ます。なんかあったら来てね」……残念です」

 

「ちょっと!?勝手に私をエッチな子にしないでよ!?」

 

「私は先生もここで一向に構わないけど?ベッドも余ってるし、無駄に部屋をいくつも使うこともない」

 

アズサがそう言ってくれる。アズサはめちゃくちゃいい子だなあ。

 

「いや、いいよ。みんなで交流を深めといてくれ」

 

みんなの前でホシノと電話するわけにもいかないしな。

 

部屋割りも決まったところで、早速勉強を……

 

「あら、でもその前にやることがあると思いませんか?先生?」

 

「え?なんかある?」

 

「なるほど、敵襲を想定してトラップの設置を?」

 

「そういうことか。アズサは天才だな」

 

「これぐらいの推測はできないとね」

 

「ち、違うと思いますけど……先生、どうしたんですか?」

 

「俺はいつも通りだけど?」

 

「絶対そんなことないと思いますよ!?」

 

まあ、実際いつもよりふざけている。理由はこの中に裏切り者がいるというストレスに耐えかねてっていうのと、ふざけることで人を観察しているのを誤魔化してるっていうのがある。

 

少し話が逸れたな。で、ハナコの言う、俺たちがやるべきこととは。

 

「お掃除、ですよ♡」

 

お掃除だった。

 

言われてみれば、ぱっと見綺麗だったこの館は、思ったより埃を被っているものが多い。これに気を取られるぐらいなら、確かに掃除したほうがいいかも。

 

ということで、この館の大掃除をすることになった。十分後に、汚れてもいい服を着て建物前に集合として、一時解散する。

 

汚れてもいい服か……なんかあるかな。持参した鞄を探る。入ってるのは書類、書類、書類……もはや書類で服作ったろかな。ほら、全身に書類を貼り付けて……は?

 

冗談は置いといて、一応体操服があったので、それを着る。アビドスで使ってたやつだ……とは言っても、キヴォトスに普及してるのをちょっと改造したぐらいで、特に変なところはない。

 

あんま使わなかったなーと懐かしさに浸りながら、建物前に向かう。ヒフミが既に待っていた。

 

「あ、先生」

 

「ん、ヒフミか。そっちも体操着なんだな」

 

「はい、服装から入るのも大事ですからね。体操着の方が動きやすいですし、汚れた時に洗濯もしやすいですし」

 

「だよねー」

 

「それにしても……先生、体操着似合ってますね」

 

「それ褒め言葉か?ヒフミもよく似合ってるよ。かわいい」

 

「ふぇっ!?」

 

……ん、人の気配を感じる。見やると、誰かが扉の裏にいる。

 

「女の子を赤面させるなんて……し、死刑よ!死刑!!」

 

「その語彙はコハルか」

 

「語彙って何よ!?」

 

ひょっこり出てきたコハル。同様に体操服を着用してる。

 

「おー。コハルもかわいいね」

 

「ばっ、かわ……し、死刑!!絶対死刑なんだから!!溺死して!!!」

 

「なんでそんな苦しい死に方?」

 

溺死は嫌だなあ。殺すなら一瞬で殺してくれー。

 

「お待たせ……?どういう状況だ?」

 

「お、アズサ。そっちも体操服か。これまたずいぶんかわいいな」

 

「……ありがとう……?」

 

なんだか首を傾げてしまった。

 

さて、あとはハナコだけか。

 

「お待たせしました、みなさん早かったですね?」

 

「ハナ──」

 

ハナコの体操服姿ってどんなだろうなーと思いながら振り返ると、スク水姿のハナコがいた。ん?幻覚?

 

「アウトーーーーーー!!!」

 

コハルが叫んでる。幻覚じゃないなこれ。幻覚であって欲しかった。

 

そんなハプニングもあったが、コハルに叱られたハナコは、その後ちゃんと体操着を着てきた。

 

無事全員準備万端ということで、大掃除が始まった。まずは建物外の雑草抜きから。途中に転がってたガラクタとかも片付けつつ、一通り抜いた。

 

それから各自分担して、色んな場所の埃を掃いたり、古びた品は交換したりして……無事一ヶ所を除いて掃除が完了した。

 

一ヶ所、というのは屋外プールのこと。使う予定も無いし、掃除するつもりはなかったのだが……プールで遊ぶの楽しそうだし、一ヶ所だけ放置するのもアレだし、ということでここも掃除することになった。

 

なお、その際ハナコの提案でなぜか濡れてもいい服……要するに水着に着替えることになった。なんだか目が怖かったことだけは記述しておく。ということで、みんなが水着に着替え──

 

「先生も着替えてきてください♡」

 

「……いや、俺はいいよ。別に体操着は濡れていいし」

 

「でも、みんな水着になるのに、一人だけ仲間外れというのも寂しくないですか?」

 

「それはそうかもだけど……俺の水着姿とかなんの得にもならないでしょ」

 

「わ、私は見てみたいです!」

 

「ヒフミ???」

 

「私も、興味があるな」

 

「アズサ?????」

 

「もちろん私も見てみたいです。となれば、後はコハルちゃんですが……」

 

みんなの視線がコハルに集中する。コハル、君だけは俺の味方だよな?

 

「えっ、わ、私……!?」

 

「コハルちゃん。自分の気持ちに正直になっていいんですよ……?」

 

「わた、私は、そんなこと……」

 

押し黙ってしまったコハルだったが、しばらくして……ポツリと呟いた。

 

「……見たい、かも」

 

「決定ですね♡」

 

「……はあ……流石に持ってきてないから、取りに帰る。その間に掃除進めといてくれ」

 

「わかりました!」

 

というか逆にこの子たち持ってきてるの?何を想定してたんだよ……まあ、ぐだぐだ言ってもしょうがない。一度飛んで、シャーレに帰った。

 

これまたアビドス時代に数回しか使った覚えのない水着を引っ張り出して……上半身を曝け出すのはなんか嫌だなということで、上着……というかラッシュガードも持ってくことにした。

 

それからまた合宿所まで戻りまして、部屋で着替える。

 

暗い青色をしたぶかっとした水着。そして上に水色をした、半袖のラッシュガードを着る。チャックは閉じた。

 

これでいいだろうということで、屋外プールに向かう。

 

「着てきたよー」

 

「おお、爽やかな感じ、とってもいいですね」

 

「ありが──待て、なんでハナコは制服なんだ?」

 

ヒフミたちはちゃんとスク水を着ている……のに、なぜかハナコは制服着ている。スク水じゃないのかよ。

 

理由を聞くと、制服の方が濡れた時に「良い感じ」になるからとのこと。

 

 

一応中にビキニは着ているらしい。そっか。じゃあいいか。

 

特に問題なかったので、改めてプールの掃除を始めた。とは言っても半分ぐらい遊んでたけど。水をかけたりかけられたり……なかなか楽しかった。

 

そのうち掃除もし終わって、プールに水を入れ始めたのはいいものの……思ったより時間がかかって、入り切る頃には日が暮れてしまった。

 

最初にプールを掃除しようと提案したハナコが謝るが……

 

「別に謝らなくてもいいよ。掃除の過程でいっぱい楽しめたし。それに……」

 

かがみ込んで、プールの水に触れる。真夜中のプールは夜空を映し出していて、いつもの夜空とはまた違う美しさがあった。

 

「こんな綺麗なものも見れたしな」

 

「……ありがとうございます」

 

俺としては見飽きてるから、そこまで綺麗とも思ってないんだけどね。毎日鏡で見てれば飽きもする。

 

最初こそ、みんな見入っていたものの。そのうちコハルが疲れからうとうとし始め、そっちに意識が持っていかれた。

 

「今日はそろそろ寝ようか。部屋に戻ろう」

 

 


 

 

一人部屋に戻り、明日以降の予定を立てたり、勉強用の教材を作りつつ考える。

 

残り二回。ここからは、ナギサも手を出してくる。考えうる妨害全てを考慮して、対策しなければいけない。

 

それにしても変なところであの子は甘い。全員退学させることなんて、もっと簡単にできるだろうに……かなり優しい子だ。それとも、この中に大切な子でもいるのか……

 

……あー、本当にしんどい。今日はこっちから電話かけようかな……と考えていると、コンコンとノックが聞こえた。

 

「どうぞー?」

 

声をかければ、扉が開く。入ってきたのはヒフミだった。

 

「どうしたの?」

 

「その、なんだか眠れなくて……あれこれ考えていたら、その……あうぅ……」

 

「……まあ、とりあえず座りな。ベッドならいっぱいあるし」

 

「は、はい」

 

ヒフミが適当なベッドに腰掛ける。その隣に、俺も座った。

 

「せ、先生……?その、近くないですか……?」

 

「え、そう?ごめん、離れるよ」

 

「い、いえ!大丈夫ですけど……」

 

「?まあ、それならいいけど……」

 

よくわかんないけど、よくわかんないね。

 

「とりあえず、今日はお疲れ、ヒフミ」

 

「先生こそ、いっぱい動いてて……お疲れ様です」

 

「ありがとう。で、何か不安なことでもあるの?」

 

「はい。明日から、本格的にお勉強が始まるわけですけど……その。私たち、このままで大丈夫なのかなと……」

 

顔を俯かせ、不安そうな声で話すヒフミ。

 

「一週間後の二次試験に落ちれば、三次試験で。万が一三次試験にも落ちてしまったら……」

 

「全員、退学か」

 

「やっぱり、先生も知っていたんですね」

 

「まあね。他のみんなは知ってるの?」

 

「いえ、恐らくは私たちだけだと……」

 

まあそりゃそうだよな。むしろヒフミに伝えられている方が謎だな。

 

「ちなみに誰から?」

 

「ナギサ様から……」

 

ふーん。なるほどね……ヒフミは決して頭が悪いわけじゃないし、となると……

 

「……もしかして、裏の目的も聞いてる?」

 

「!?も、もしかして先生も……」

 

「うん。聞いてるよ」

 

「やっぱり……私も、裏切り者を探せと言われてて」

 

違う目的が伝えられてる訳でもない、と。じゃあやっぱあの考察であってたな。しかしヒフミまで巻き込んだ意味は……

 

……ああ、俺への人質みたいなものか?ヒフミとは過去繋がりがあったし……ナギサは俺を信じてる訳でもないだろうしな。ついでに俺への協力もさせられるし……

 

「……まあ、ヒフミは気にしなくていいよ。その件は俺がどうにかする」

 

「そ、そうですか……」

 

一瞬ホッとした表情をするヒフミだが、すぐにまた顔がこわばる。

 

「……その、先生は……もしも裏切り者がいたとして、どうするつもりなんですか?」

 

「説得するよ。どうにか、エデン条約を壊さないようにとお願いする。それでも変わらないなら……少なくとも、拘束することにはなるかな」

 

「そうですよね……」

 

また俯いてしまうヒフミ。

 

……この子は本当に優しいな。裏切り者に関しても、「裏切り者を見つけたら」じゃなくて「裏切り者がいたら」だったし……本当に、純粋な子だ。

 

安心させるように、優しく頭を撫でる。

 

「大丈夫。俺を信じてくれよ」

 

「先生……」

 

「ヒフミは、ヒフミにしかできないことをやってくれ」

 

「私にしか、できないこと……」

 

噛み締めるように呟くと、ヒフミは立ち上がる。

 

「……はい!分かりました!それじゃあ、早速なんですが……」

 

と、ヒフミが何かを出した。

 

「これなんですけど……昨年トリニティで行われた試験の問題と解答です。これを、何かに使えないでしょうか……?」

 

「これは……かなりありがたいな。上手く使わせてもらうよ。ありがとう」

 

これを使えば、問題作成はだいぶ楽になるだろうな。本当にありがたい……

 

「後……その。先生のお仕事を、私にも手伝わせてくれませんか?」

 

「……え?」

 

完全に予想外の言葉に、つい素の反応が出た。

 

「私、上手く言えないんですけど……その、補習授業部を絶対に合格させたいとは思ってて。そのために、できることをしたいんです」

 

「気持ちは、わかるけど……でも、ヒフミがそこまでする必要は……」

 

「お願いします!先生が言った、私にしかできないことって……きっとこれだと思うんです」

 

頭まで下げるヒフミ。そこまで言われては……仕方ないか。

 

「……無理はしない範囲でな」

 

「!はい、分かってます!それでは、よろしくお願いします!」

 

「うん。よろしく。それじゃあ早速なんだけど……」

 

さっきまで作業をしていた机の前まで移動して、資料を見せる……ところで電話が鳴った。

 

「ん。悪い、しばらく電話する」

 

「?はい……?」

 

電話に出る。

 

「もしもし」

 

『カケル?一週間いないってどういうことかな?』

 

「ただの仕事だよ。そんな凄まなくても……あっそうだ。ヒフミ、おいで」

 

「えっ?」

 

『……ヒフミちゃんがそこにいるの?』

 

「えっ、先生の電話相手ってホシノさん……あっえっえっ???えっもしかして先生とホシノさんって……!?」

 

「ほらホシノ見て。ファウスト」

 

『久しぶりだねえ、覆面水着が趣味のファウストちゃん?』

 

「はい?」

 

「あっやべ」

 

そうして、合宿初日は終わりを迎えるのだった。




後書きに書きたいことが多すぎる……!①カケル(水着)の補足②最近作品が伸びてることの感謝など③今週の呪術アニメの感想、の順でお送りします。

カケルくん(水着)のラッシュガードはホシノ(水着)が上に来てるやつを半袖にしたものだと思っていただければ。
水着の方は普通の半ズボンっぽく見えるやつ。ついでに今回は仮面つけてる不審者ですが、仮面つけない時はホシノ(水着)と同じくサングラスをつけてるでしょう。



何か急にUA数とかお気に入り数伸びまくってるなーと思ってたらデイリーランキングでそれなりに上の方来てたんですね。いつも読んでくれてる方、新しく読んでくれてる方、本当にありがとうございます。
自分で言うのもすごく恥ずかしいですけど、多分そろそろ面白くなる……と思うので、これからも見てくれると嬉しいです。



今週の呪術アニメ。情報しかない。
とはいえ視覚的にめちゃくちゃわかりやすくなってて良かった。あれも結界術なのかねぇ……ケンコバさんの声優がちゃんとケンコバだったのは笑った。後天元様が結構感情的だったのは意外だったな。
見てて思ったけど結界術ってバリアを作るものってよりかは分けるものって感じだよね。だからといって俺の頭脳では応用できませんけど。
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