未来改変〜本編開始前から始めるダンまち生活〜 作:と、くめい超かぐや姫ロスにより執筆不可中
少女の育った村は人目につかない場所に存在していた。
村は、ほとんど外との関わりを持たなかった。外に行くことがあるとすれば、年に数回、山を越え、森を抜けたところにある町に必要品を買いに行く程度のものだった。
その村は、一族の堅苦しい矜持に嫌気が差し、穏やかな暮らしを求めて、村を起こしたエルフが村長だった。村長は様々な種族を歓迎した。
小人だからと迫害されてきた者、人間関係に嫌気が差し静かな暮らしを求めたものが人目につかない場所に行き、この村にたどり着いたのだ。
村人達はひっそりと、静かに、幸せを噛み締めてその時間を生きていた。
村の大人たちはここで静かに一生を終えると考えていた。それが大人たちの望みだった。
だが、そんな望みは突如として打ち破られた。
始まりは、見覚えのない黒ずくめの集団が村に入ってきたことだった。
年に数回訪れるか訪れないか、という旅人たちを住人が無下に扱う筈がなかった。まず村長が歓迎の挨拶をしようとした。その時だった、先頭に立つ黒ずくめの者が村長の首を掻っ切った。
村に一瞬の静寂が訪れる。が、それも長くは続かずに1人の小人が叫び声を上げた。
「キャーーーー!!」
次々に走り出し、逃げ出す村人たち、その悲鳴を聞いて異変に気づく遊んでいた子どもたち、そのなかに少女、エフィナはいた。
まだ十二歳だった、同い年の子どもたちと遊んでいた、そこで遠くから悲鳴が上がり、少ししたあと両親が走ってきた。
「どうしたの?」
必死の形相でこちらに向かってきた両親に聞く。
「子どもたち!黒ずくめの人たちに見つからずに村を出て、村から一番近い町に今すぐ向かってくれ!」
エフィナの父親は子どもたちを見回しながら叫ぶ。
「なんで?」
「エフィナ、時間がない!早く!」
「お父さんたちは?」
「すぐに追いつく、エフィナなら町にみんなを案内できるな?」
屈み、エフィナの肩に両手を置いて聞く。
「うん!」
父親に頼りにされたことが嬉しくて元気よく答える。
「その後は馬車を見つけてオラリオに向かうんだ!」
「分かった!みんな、行こう!」
エフィナは、子どもたちを引き連れて走り出した。
エフィナの両親が少し離れている間に村は地獄と化していた。
2人の手には黒ずくめの集団を掻い潜って、家に取りに行った剣と杖があった。
父親の額には青筋が立っている。母親の顔には悲しみが浮かんでいる。
二人はとある神の眷属だった。二人は神と共に世界中を旅していた。そこで村にたまたま訪れたところ、居心地の良さを感じてこの村に住むことにした。
神は「こういうのも下界ならではだよね!」なんて言って了承してくれた。
二人はレベル1だが、そこそこ腕の利く眷属だった。村にたまにやって来るモンスターも二人が撃退していた。
だが、今回はわけが違う、おそらく黒ずくめの集団は全員が眷属、リーダーとその補佐役二人は物陰から動きを見るにレベル2、もしくはそれ以上、はっきり言って勝ち目はない。
だが二人はこの村を、村人たちを見捨てるわけにはいかなかった。二人は誇り高きエルフ。理由はそれだけで十分だった。
二人は物陰から飛び出し、父親はすぐ近くにいた黒ずくめの者の心臓を一突き。そこに襲いかかってくる者は母親が魔法で迎撃した。それからも美しい連携で敵を葬ってきた二人もすぐにリーダーらしき者たちに見つかった。
「何だぁ?こんな辺境の村にもいるんだなぁ眷属は、それに、エルフかぁコレクションに加えてやってもいいなぁ」
フードを外し口を歪め、目を弓なりに細める。男は思わずぞっとしてしまう、気持ちの悪い笑みを浮かべた。
だが、そんな気持ちの悪いものを見ている暇はない、今すぐにこの悪党を倒さなければならない、そして、町に向かっている子どもたちに追いつかなければならない。そんな思いを胸にひめて母親は詠唱を始めた。
【森の風よ刃となり】 【我が敵を穿て!】
『ウィンド・スラッシュ!』
数多の風の刃が敵に向かって飛来し、直撃する。が、男は無傷、それを見て父親が男に斬りかかる。だが、男は剣を引き抜き父親の剣を弾いた。父親の体が揺らぐ、そこで感じた圧倒的なステイタスの差。やはりこの男はレベル2、勝ち目は薄い、だが妻と協力すれば!
そう思った瞬間だった、背後から悲鳴が響いた。妻のものだった。慌てて振り向く。そこに映るのは、右腕右足の無い妻の姿だった。後ろからもう1人近づいていたのだ、慌てて妻の後ろの男に斬りかかろうとした直後、妻の首がはねられる。
それと同時に視界が反転した。
「ケヒッッケヒャヒャヒャッ!」
男の笑い声が響く。男が浮かべるのは無邪気な子供のような笑顔、そこにあるのは体と首が離れ離れになった父親の体と、右腕右足が無く、父親と同じく、首と体が離れ離れになった母親の姿だった。
そして男は二人のエルフの耳を、丁寧に、丁寧に切り取った。
エフィナは走った村を出入りできるのはたった一つの門からだけ、親の言うとおりに黒い人たちに見つからずに村の入り口近くまで来た。
そこはまさしく『地獄』だった。
燃える家屋、荒れた畑、焼かれ、貫かれ、斬り刻まれる村人、逃げるのは獣人、人間、小人、ドワーフ、エルフ様々な人種、それに対して追う者たちは漆黒のフードを被り、少し黒みがかった短剣を振り回している。
弱肉強食、自然の摂理である。力を持たないものは逃げ惑い、奪われる。
力を持つものは蹂躙、虐殺の限りを尽くした。
耳に届くのは思わず耳を塞いでしまうような魂からの悲鳴、視界に映り込むのは脳がそれを事実として処理するのを拒むほどの惨劇。
少女は涙を流した、自分の村が生まれ、育ってきた故郷が、破壊されていくという事実に耐えられなかった。
村を破壊する者たちは歓喜の声を上げ、気味の悪い笑みを浮かべて次々に村人達へ斬りかかり、魔法を放った。
少女は呆然と立ち尽くした。その目には、光など存在しなかった。
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