頭脳と異能に筋肉で勝利するデスゲーム<Ⅱ>   作:もちもち物質@布団

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第五章:地獄の沙汰もバカ次第
ゲームフェイズ1:大広間1


「キューティーラブリーエンジェル建設ぅうううー!ああぁぁあぁあぁあぁああぁあぁああぁあ!」

 ということで樺島剛は元気に目を覚ました!おはよう!

「今日も元気に!ご安全に!ご健康に!うおおおおおおお!」

 元気に元気なバカはベッドから跳ね起きると、『あっ、まずはコレ、食わなきゃ!』と自分の異能の説明書をモッシャモッシャ食べた。燃やせばいいのに!

「それから……えーと、タックルじゃなくて、こう……」

 それから、前回ちゃんと学習した通り、ドアの下の方に自分の腕輪を翳して……ふぃーん、と、ドアが開いた!

 ……デスゲームをやっていて、タックル以外の方法でドアを開いたのは今回が初めてかもしれない!バカはなんだか嬉しくなった!

 

 

 

 何も破壊せずに(取説を食べたことは破壊にカウントされない!)部屋を出られて嬉しくなったバカは、るんるんとスキップしながら海斗の部屋へ向かった。

 そして、海斗の部屋のドアも開け……ようとしたのだが。

「あれ……?開かない……?」

 ……当然と言えば、当然である。だって、外からドアを開けられちゃったらセキュリティの意味が無いのである!

「……海斗ぉー」

 なので、バカはドアをこんこんノックしながら、海斗を呼ぶ。すると、ドアの向こうから、『……樺島?』と、海斗の声が聞こえてきた。

「あの、ドア、開けてほしいんだけど……」

「……タックルで破ればいいんじゃないか?」

 が!海斗は何やら、こちらを訝しんでいるようだ!それはそうである!バカがタックルじゃない方法でドアを開けようとしているのだから、不審なのである!

「いや、だって、ドア、壊しちゃうの申し訳ないしぃ……折角、タックルじゃないので開けられるようになったからぁ……あの、腕輪、模様に翳すと開くからぁ……」

 それでもめげずにバカが『頼むよぉ……』とやった結果、海斗はドアを開いてくれた。

「……本当に樺島だったのか」

「えええええ!?俺、疑われてたのぉおおお!?」

「そりゃあ……お前がタックルで破らずにドアをノックしてきた時点で、何か怪しいだろう……」

 バカは『俺だってなんでもかんでも壊すわけじゃないもん!』としょんぼりしたが、まあ、仕方がないのである。バカには前科が多すぎるのだ!

 

 が、まあ、とにかく海斗とは合流できた。できたのだが……。

「あ、じゃあ、デュオと七香とタヌキ連れてくるからちょっと待っててくれ!」

「あー……待て、樺島」

 バカがるんるんと部屋の外に出ていこうとすると、海斗が、ちょこ、とバカの手を掴んで止めた。

「お前が今、何周目で何を知っているのか、僕は知らないが……」

「5周目ぇ!」

「そうか。うん、頑張ってるな……それで、ええと、だな……結論から言う」

 海斗は、『僕がこういうことを言う側に回ってもいいんだろうか……』というような、ちょっと嫌そうな顔をしていたが……言った。

「恐らく、ドア越しに交渉するよりも、タックルして強制的に連れてきた方が、早いぞ」

 

 

 

 ということで、海斗の個室にはデュオとタヌキと七香が集まった。三者三様、それぞれに警戒や怯えを見せている。

 だが……早かった!バカが『ちょっと悪いんだけど来てぇええ!ごめんな!ごめんなぁあ!でも時間、無いからぁ!』と謝り倒しながら『ずどどどどどど』と走り回った結果、素早く3人を集めることができた!やったね!

「それで……君は、一体?」

「あ、デュオは海斗と知り合いだよな!じゃあここは説明しなくてもいいんだよな!」

「待て樺島!僕は彼のことは知らないが!?」

「あ、こいつ、陽だぞ!」

「なんだと!?」

 ……とはいえ、説明はやっぱり、大変である!バカは……というよりは、海斗が頭を抱えながら、なんとか、バカによる『今までのあらすじ説明会』が始まったのだった……。

 

 

 

 

「……成程な。つまり、後は『むつ』という人と『四郎』という人の情報が集まれば、全員の情報がある程度分かった状態になる、ということか。はあ、やれやれ……」

「そう!そういうことぉ!よかったぁー!時間内に説明できたぁ!」

 デュオと海斗の献身的なサポートによって、バカはなんとか、説明を終えた!おめでとう!

 だが。

「あ、時間みたいですねえ……」

 ……それでもやっぱり、時間ギリギリめいっぱいだったため、エレベーターが動き出してしまった!

「……俺、もっと頑張らないと、次はもう、間に合わねえよなあ、これ……」

「そう、だな……いや、お前が頑張るよりも、僕達が頑張る、というか……いや、もう、どう足掻いても無理、かもしれないな……」

 バカ達は5人、海斗の個室にみっちりと詰まった状態で下降しながら……この状況と、『次』への不安を感じるのだった。『今回』はまだ、始まったばかりだというのに!

 

 更に、バカ達の困難は続く。

「ああー、着きました着きました。いやあ、もう私、頭パンパンなんですけど……これから始まるんですよねえ。はあよいしょ、と……」

 タヌキがちょっと疲れた様子でエレベーターから降りると……そこで、やはりエレベーターから出てきた四郎と目が合った。

「……は?」

 そして四郎は、慄くのである。

「お前ら……何なんだ?なんで、5人も……?」

 ……そう!バカの説明が遅かったせいで!

 バカ達5人、一緒のエレベーターから出てきちゃったのである!不審!圧倒的に、不審!

 

 

 

 ……ということで、今回仲良くなりたい四郎に、早速不審がられている。それどころか、五右衛門やヤエやむつにまで、不審がられている!バカは泣きたくなってきた!

「あ、あの……あのな、俺、その、怪しいものじゃ、ないんだけれど……」

「怪しいでしょ。どう見ても……」

 五右衛門にしっかり警戒されているのを見て、バカはしょんぼりするしかない。ああ、しょんぼり……。

 ……だが。

「悪いけれど、俺達5人、もう組んじゃったんだよね」

 ……そんな中へ、デュオがとんでもないことを言い出したのである!

 

 バカが『そんなこと言っていいのか!?』と目ん玉をまん丸にしていると……デュオは、残り4人に笑ってみせた。

「そういう訳で、俺達は今回デスゲームは誰も死なない解決方法を目指す。共闘したい人は是非、共闘してほしい」

 ……成程。

 どうやら……今回は、こういう方針で行くことになるらしい。

 

 

 

「ちょ、ちょっと……どういうこと?」

「そのままの意味だ。俺達は、悪魔の言いなりにはなりたくない。よって、悪魔のデスゲームは解体させてもらう。それで、全員無事に脱出したい」

 五右衛門は戸惑っていたが、デュオは堂々と言葉を並べていくものだから、『そ、そう……?』と、何とも言えない顔になってきてしまった。やはりデュオは強い!

「あの……ちょ、ちょっと待ってね。つまり、『5人組んだ』っていうのは……『残り4人を消す』っていう意味……?」

 一方、むつはまだまだ警戒している様子である。が、それにはタヌキがぽんぽこぽん!と近づいていく。

「大丈夫です!私はそんなことしたくないです!叶えたい願いはありますが……誰かを殺したくはないんです!」

 タヌキが尻尾をぽこぽん、と立てて堂々と宣言するものだから、むつは『そ、そう……?』と戸惑いつつも、『そういうものなのかもしれない……』という顔になってきてしまった。

「お、おい。じゃあお前ら、何のためにこのデスゲームに来やがったんだ」

「勿論、願いを叶えるためです!だから、誰かが死んじゃったらしょうがないから願いを叶えるけど!殺したくはない!そして、全員無事に脱出できたなら、それはそれで気分がよろしい!そういうことです!」

「あー……まあ、そういうこと。それで、まあ、幸いにして初手で5人、組めちゃったからね。『全員無事に脱出する』のが、実現できそうなんだ。ははは……」

 ……タヌキは実に正直なので、四郎はあからさまに警戒した。が、その後にデュオがそっとフォローに入ったので、四郎も『そういうもんか……?』という顔になってきている!

「そういう訳で、俺達は全員無事に脱出したい。勿論、あなた達4人も含めて。……けれど、あなた達の誰かが『誰かを殺したい』と考えるのであれば……悪いけれど、無力化させてもらう」

 更に、デュオはそう言って……じっと、四郎、五右衛門、むつ、ヤエの4人を1人ずつ見つめた。

「宣言する。俺の異能は『相手を指定した時間、動けなくする異能』だ。そして、俺のことはこちらのタヌキとこちらの女性……七香さんが護衛する。2人とも戦える異能だから、真正面からやり合うなら覚悟しておいてね」

 デュオの言葉に、七香はちょっと不服そうな顔をしていたが、こく、と小さく頷いてはいた。一方タヌキは、『わ、私は戦えます!ものすごく強いです!対戦よろしくお願いします!』と、緊張しながら言っていた。……実に嘘っぽい!でも四郎や五右衛門は、『嘘に見せかけて油断させつつ、本当に強いのかもしれない……』と警戒している!

 

「勿論、俺達の邪魔をする相手でも、殺しはしたくない。無力化させるだけだ。圧倒的な力で制圧して、そのまま全員無事に脱出する。そのつもりでいるからよろしく」

 ということで、『5人が同じエレベーターから出てきた』という問題については、いい具合に納得してもらえたのだが……。

「……信じられっかよ、んな話!」

「そう言うなよぉ……」

 ……戸惑うむつと五右衛門とヤエを他所に、四郎はやっぱり、警戒モードである。

 

 ……だがバカは、『でもこれはチャンスだよな』と思った。

「あの、じゃあさあ、とりあえず、俺と組むか?」

「……は?」

「確かに、そうだよな。5対1だったら、怖いよな。でも、俺と1対1だったら、怖くないだろ?な?」

 バカは、今回、四郎と仲良くなる。

 そして、彼が何を知っていて、何を思っているのか、ちゃんと聞く。

 ……そのためには、これはきっと、チャンスなのである!

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