白影の足掻き   作:よひらぁぁぁぁぁぁ

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私は旅をしていると、

ときどき考えることがある。

もしもあの頃、

もう少しだけ素直だったら。

もしもあの頃、

負けることを恐れずにいられたなら。

私は、

今とは違う場所に立っていたのだろうか、と。

ポケモンバトルは好きだ。

ただ、あの頃の私は生き急いでいた。

これは、

私がそれに気づくまでの話。

ユウト、という男が
長い回り道に身を委ねてみる、
小さな冒険譚だ。 


『黒き眼差し・壱』

俺は強いトレーナーだった。

そう、思っている。

 

少なくとも地元では負けなしだったし、

勝てば嬉しかった。

 

……..けど。

 

いつの日からか

 

俺は勝つことに、

喜びを感じなくなっていった。

 

 

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カントー地方、クチバシティ。

その街の中でも少し内陸の方にあるとある私立高校の「ポケモンバトル研究会」

 

それが俺、ツルギの居場所だ。

 

今日も今日とて、相棒のルカリオたちと共に特訓を積み重ねている。

 

 

「ピカチュウ、もっと強く踏み込め!!ルカリオのバレットパンチに怯むようじゃマチスさんのライチュウには敵わないぞ!!」

 

「ルカリオ!もっとキレを保ち続けるんだ!持久力だってないといけないんだからな!!」

 

模擬戦をするパートナーたちにそう呼びかけ、休んでいるムクバードにもオレンの実をあげ、労わってやる。

一緒に戦ってくれるパートナーなんだ、労わらないなんてことはできない。

 

 

ルカリオたちの模擬戦も終わり、全員で一回休憩タイムに入る。

 

みんなが休んでいる間にグラウンドを見渡していると、一つの人だかりができていた。

 

「誰かが、バトルしてんのか」

 

そう呟き、手持ちと一緒にコートへと向かう。

試合は、俺の知り合い同士のものだった。

 

「ユンゲラー、サイケ光線っす!」

 

「ぱ、パモット!かわして!!」

 

ユンゲラーを使い、攻勢に立っているのは一年のリク。期待の新人と言われていて、最近大会でもよく見かける顔だ。

 

対して、この地方では珍しいパモットを使用しているのは同じ二年のユウト。普段は落ち着いている優しい男だ。一年半の付き合いで、人生経験が豊富ということに気づいてきた。気がする。

 

...あ、パモットにサイケ光線が命中した。抜群取られたしユウト負けかなあ...などと考えているうちにユウトはすでに降参、試合は終わっていたようだ。勝者であるリクとユンゲラーは勝利を喜び合ったのち、コートから去っていった。

 

相変わらず、ユンゲラーだけでよくやる男だ。

ユンゲラー以外の手持ちをバトルでまるでみたことがない。

 

いつか俺もユンゲラー以外の手持ちを引き出してみたいものだ。

 

ユウトは何も言わず、パモットを抱き上げてコートを後にした。

 

負けたのに、悔しそうでもなかった。

言い訳もしない。

ただ、静かだった。

 

……気に入らない。

 

負けを受け入れているあいつが。

 

あいつは『もっと強い』はずだ。

 

あの夜、俺は確かにみたんだ。

 

白いパーカーの下に、アイツと同じ明るい茶色の髪を。アイツと同じ黒い眼差しを。

 

『強者の眼』だった。

 

本当にアイツなのかはわからない。

 

今のユウトとは似ても似つかないから。

 

けど、いつかあのときみたいな鋭い目を見せるようなことがあったら。

 

俺はそれを見逃さないだろう。

 

 

ユウトの優しくも内心を悟らせない眼差しの向く先を、

俺は無意識に追っていた。

 

 

 

 

 

その日の夜。

 

 

疑惑は形を成していく。

 

 

 

 

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来る日も来る日も

月夜の中

戦いに明け暮れる。

 

勝ちを積み重ねる度に

俺は考える。

 

なぜ、弱い奴らにまで気を遣っているんだ。

 

 

 

 




ステイゴールドさん、サブ垢でしか出てくれない。
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