白影の足掻き   作:よひらぁぁぁぁぁぁ

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調子が出てきました


『黒き眼差し・参』

非公式大会が行われた、翌日。

 

 

学校…というか、ポケモンバトル研究会では、とても大きな騒ぎになっていた。

 

 

「ズルズキンとオンバーンでガブリアスとサイドンを倒したんだって!」

 

「無傷でタコ殴りにしたって聞いたな」

 

「タイプ相性簡単にひっくり返すって…ジムリーダーか四天王級でしょ」

 

「つかズルズキンて小柄っしょ?なんでガブリアスと殴りあおうと思うんだろ」

 

「試合時間も短かったんだろ?状況判断も早い、さらには指示も短く、ポケモンにすぐ伝わる。とんでもない才能だな」

 

「サンドパンも使ってたらしい。手持ち、揃いも揃って…可愛い?というのも変か?強者の意図を感じるぜ…」

 

「オンバーンのばくおんぱでフィールド壊れちゃってさ、行政が頭抱えてるって今朝のニュースで」

 

部室の中でも様々な噂や実力に関する情報が飛び交っているようだ。だが、1歩離れて見ている者もいる。

 

今部室に入ってきた、俺…ツルギとツムギ。

 

そして

 

ユウト。

 

あいつは、少し離れた場所で相槌を打っているだけだ。

 

その姿はどこか無関心のようで、シラを切っているようだった。

 

 

「よ、ユウト」

 

「…やあ、ツルギ。すごいトレーナーが現れたらしいね。部室はそれの噂で持ち切りだよ」

 

「凄かったぜ。なんせ俺は間近で見たんだからな」

 

「…っ!…間近で見たのか…」

 

「ああ、間近でな。爆音波の時は塾の前に居たんだけどさ、塾の窓ガラス割れるんじゃねーかってくらいの音量でさ」

 

「たしかに凄かったよね。父さんもビビってた」

 

「…へえ」

 

「そういやそのトレーナーの異名聞いたんだよ。『白影』っつーんだってさ」

 

「…『白影』」

 

「ここいらじゃ誰も勝てねーんだとさ。名前の由来はいつも白パーカー着てるから」

 

「…異名が付くくらいすごいトレーナーが近くにいるんだね。すごいや。」

 

 

…会話中、こいつはずっと。

 

探りを入れさせないような、何も反射しない目をしていた。

 

 

 

 

____________________________________

 

 

 

「ねぇねぇツルギ」

 

「…んだよ」

 

「あんなに強い人ならさ、プロのトレーナーだったりするのかな?」

 

「あー、有り得なくはない…のか?」

 

「ちょっと調べてみよ!」

 

活動中、ツムギに話しかけられたので応えると、なんとも鋭い考察が飛んできた。確かに、この視点は盲点だったかもしれない。プロトレーナーという形式であれば、『白影』の正体も探りやすいかもしれない。

 

「最近はパソコンでどこのジムを誰が制覇したのか見られるのがいいね!ジムバッジにはID付きだから盗まれても大丈夫だし、便利な世の中になったね」

 

「便利で助かるよ…っと、待て待て、プロトレーナーの資格を得られるのはジムバッジ6個以上のトレーナーだぞ」

 

「…あれ?そうだっけ?」

 

「ああ。ジムバッジ6個集めて、ポケモンリーグに申請するとプロのポケモントレーナーを名乗れるんだ。特に学生とか社会人がこの制度使いがちだな…そこまでたどり着ける人間あんまいねーけど」

 

「…公式ホームページで調べるといっぱい出てくるけど、ジムリーダーに勝てる人ってひと握りだからねぇ…」

 

そんな事を言い合いながら調べていたのだが。

 

「…出てこねーな」

 

「出てこないね」

 

…出てこないのだ。データベースに、ズルズキン、サンドパン、オンバーンを使い、プロトレーナーになった者が。

 

この中の一体を使っているトレーナーなら出てくる。特にサンドパンはカントー地方では多いポケモンだし、初心者向けポケモンとしても重宝されているから。

 

だが、2体以上被るトレーナーが一切居ないのだ。それに、白影の身体的特徴と一致する人間も誰一人としていない。

 

「…プロトレーナー、じゃないのかな」

 

「…ありうる。プロトレーナーになれないからここで戦って、鍛えているってことなのかもな」

 

 

「…そういえば、1年生の子が何か知ってるって言ってたかも!聞きに行こ!」

 

「おう、正体突き止めてやろーぜ!」

 

…お互いの目的は少しズレているかもしれないが、手段…「白影の正体を突き止める」というのは一致している。

 

だからこそ、今ここで探し当ててやる。

 

奴の…『白影』の正体を。

 

 

「曰く、とある四天王の一番弟子」

 

「曰く、カロスからの刺客」

 

「曰く、バトルに負けたことがなかった人間の怨念が死後も一人歩きしている」

 

「曰く、手持ちに伝説のポケモンがいる」

 

「曰く、彼は伝説のポケモンそのものだ」

 

「曰く、ポケモンからの逆襲だ」

 

「曰く…」

 

「…噂、一人歩きしている気がするなぁ…」

「同感」

 

役に立たない噂しかない。何これ。

遠ざかっている感じしかしないが。

 

少し呆れながら窓の方を向いた時。

 

ユウトも同じように、窓の外を眺めていた。

 

 

ふと、俺はユウトに話しかける。

 

「なあ、ユウト」

 

「近いうちにマチスさんのとこ行こうと思うんだよ、クチバジム。練習してーからさ、おまえのパモットと戦わせてくれよ」

 

「…俺の、パモット?そりゃまたどうして?」

 

「…電気タイプだろ、パモット。体型もライチュウに少し似てるし相手になるかなって」

 

「相手をする…と言いたいところだけど、また今度でもいいかな?パモット、やる気ないみたいでさ」

 

「やる気がない、か。なら仕方ねーな…ところで、だけどさ」

 

「…?」

 

ユウトが首を捻る。とぼけた顔をするユウトに、ひとつ突き付けてやろうと思った。

 

「昨日見たズルズキンの動き、お前のパモットに似てたんだよな」

 

「…へぇ?そうなんだ。強いトレーナーに似ているというのなら、それは光栄かな?」

 

「…お前の立ち姿も、影の感じも。あいつに…『白影』にソックリだぜ」

 

少し吐き捨てるようにして、部室を去る。

 

ツムが何か言っているが、無視して帰る。

 

 

 

…あの日、『白影』が見せたものは

 

 

ガブリアスを圧倒し、タイプ相性を超越するような強者の姿ではなく。

 

 

俺たちの関係に落ちた、『影』だったのかもしれない。

 

 

そんな事を考えながら、帰路についた。

 

 

「…ユウトの厨二病、移ったかな。アイツ、髪伸ばし始めたし…」

 




毎話毎話短いですよね。分かります。
僕は短いのしか書けないんです…
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