あなたに続きを歩いて欲しいから   作:\︎☝︎☻︎☝︎/

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六道仙人周り、自信無さすぎるので多めに、こんなんやったっけ?とか思いながら見てください⋯。

時系列として、オビト(13)がマダラの元へ
▶︎リン、マダラ死亡(同日)
▶︎オビト、暁(本家)と接触▶︎弥彦死亡▶︎新生暁
▶︎四代目水影、やぐらがオビトの幻術へ(血霧の里)
▶︎ナルト爆誕(ここでオビトは14歳?)
の時系列で書こうと思ってます。なんとなぁくで。



救世

 

 

 

 時間が経ち、冷気によって固まった血が、パキパキと音を立てる。

 

 オビトが水影を突き刺し、殺されようとしていたクサビを助けた後、クサビとオビトは一言も喋らずに帰路に着いた。

 クサビに刺さっていた氷の千本は体温により溶け切り、体に突き刺された時に服には穴が空いた。今のクサビの格好は、血とボロ布となった服によって、みすぼらしくボロボロになっている。

 

 清潔な布がすぐに手に入る訳でもなく、苦肉の策としてオビトは返り血を浴びていない、ほんの切れ端の布をクサビに包帯として巻いた。止血をしなければ、小さなクサビの体では血が一瞬で無くなり、失血死してしまう。クサビの体に空いた穴からは、今も血が少しづつ出続け、オビトの服だった物には血が滲んでいた。

 

「大丈夫か?」

 

「うん⋯⋯ありがとう」

 

 オビトに背負われたまま、クサビは力を抜いてオビトへと体重を預ける。少しだけオビトの背中にかかる負荷が大きくなるが、些細なものだった。

 

 三代目水影、雪一族の蛍雪がマダラに操られていたであろうことは、クサビはオビトへは言っていない。もちろん、伝えた方がいいと何度も思った。だがクサビの形の良い口は、思ったように動いてはくれなかった。

 

 クサビの柱間細胞の手足は、千本の雨によって空いた穴が塞がり始めている。千本が小さな穴しか空けられなかったお陰で、その穴は薄く煙を上げながら、少しづつではあるが修復されている。クサビの出血の大部分である、水影による偽挿し木の氷での負傷も、止血をされたことによりほんの少しだが、痛みが和らいでいる。

 

(オビトはきっと⋯木の葉にはもう、帰らない)

 

 

―――――世界を幻術に堕として、新しい世界を造る。

 

 マダラがクサビとオビトに向かって、また帰ってくると言っていたのは、こういうことだったのか。クサビの中では、今までの明るく太陽のように笑う、オビトの顔が陰った。きっと、リンのお姉さんかカカシのお兄さんか、どちらかが。あるいは、()()()()()

 

 死んでいるはずだ。オビトは、自分が傷つくことは厭わない。

 だが仲間が、守るべき人が、自分以外の人間が傷つくことには、耐えられなかった。

 

 万華鏡写輪眼。その瞳は、親しい者の死を経験してしまったということの証明。激しい憎しみ、悲しみを伴って発現するソレを持っているということは。

 

――――――後悔はできない。

 

 クサビが後悔をしてしまえば、クサビはオビトを助けたことにまで悔やむことになる。違うだろう、後悔することは。

 楽しかった、今までの日々は。ゼツとグルグルが馬鹿をして、オビトはそれに付き合って、クサビはそんな三人組を見て、少しだけ口角を上げる。こんなことは、もうできそうにない。

 クサビは苦々しい気持ちを燻らせて、口を横一文字に結んだ。

 

 

 土煙が舞ったまま、瓦礫の山となっている、クサビの家とも言うべき場所。そこに、真っ白な肌をした人ならざるものが蠢き、1人の老人が鎮座している。

 

「オレが⋯⋯この世の因果を、断ち切る。そのために帰ってきた」

 

 ゼツの何人かが、クサビを背負ったオビトに近づく。ゆっくりとオビトの背中から引き剥がされたクサビは、ゼツ達の手によって、テキパキと包帯―――クサビがとっくの昔に着られなくなった服を再利用したもの―――を巻かれている。

 

「フッ…誰にも見られてはいないだろうな」

 

「見てたのはボクだけ。オビト…敵を皆殺しにしちゃったから大丈夫」

 

(皆殺し⋯⋯!?)

 

 あんなに優しかったオビトが、大勢いたはずの霧隠れの忍を全員殺した。それだけの絶望を、味わったということだ。身動きが取れず、ゼツ達にされるがままにされているクサビの顔に、驚愕が浮かぶ。

 

「ただカカシだけは殺る気なかったみたい。でも、カカシは何も見てないよ…⋯木ノ葉の増援が来た時、『誰が敵を!?』ってわめいてたし…」

 

―――――カカシは死ななかった。

 

(死んだのは、リンのお姉さん⋯?)

 

 オビトの好きな人。いつもオビトのことを心配して、見てくれていた人。クサビにとっての、オビトのような人だったと聞いている。そんな人が、目の前で死ぬ。

 

 

―――――考えたくもなかった。

 

 

「かつての仲間だけに、未練があったか…?」

 

「違う⋯⋯どうでもよかっただけだ」

 

 そんな悲しいことを、言わないで欲しかった。だが、クサビの口は動かない。オビトは変わってしまった。水影を仕留めた時の、オビトの無感情な目。指についたホコリを道端に捨てる様に、物になった水影を放り投げるオビト。それだけ、それだけオビトの中で、リンの存在は大きかった。

 

「この世にあいつが生きてようが死んでようが、もうどうでもいい...これから創る世界にカカシはいる…リンも。オレに、夢の世界の創り方を教えてくれ、マダラ⋯」

 

「それなら、クサビを連れ帰ってきたのは何故だ?」

 

 突如として話題に上がった自分の名前に、クサビの肩が跳ねた。クサビは自分の意思でこの場所に帰ってきたと言うのに、何かがマダラの気にかかったようだった。

 水影につけられた傷が痛み、満足には動けない。傷の処置を施され、まだ無事だったベッドの上に寝かされたクサビは、いつかのオビトのようにモゾモゾと、イモムシのように意味もなく動こうとする。

 

「じい様、私は…」

 

 自分でココに。そう発言しようとしたクサビの声を、ハッキリとした声が遮った。

 

「クサビはオレが守る」

 

 強い意志が込められた、力強い声。それが、マダラと真正面から向き合っているオビトから発せられている。

 

「二度と、オレの手からこぼれ落ちないように」

 

 

 その言葉を聞き、マダラはほくそ笑む。マダラにとって、全てが計算通りなはずだ。クサビはそれに気が付けなかった。風によってヒビ割れた血が赤い粉となり、空気中に線を描く。体の痛みよりも、後ろめたさで潰されそうな心臓の方が痛かった。

 

「もう礼はいらん…こっちへ来い」

 

 オビトは真っ直ぐに歩く。過去は振り返らないとでも言うように。

 クサビもゼツにより起こされ、ヨタヨタと歩かされている。ゼツにバランスを預けているせいで歩きづらく、中々進めなかった。

 オビトがこれから歩もうとする道は、暗くて冷たい、闇そのもの。クサビだけが歩くはずだった道に、オビトは自分から堕ちてきてしまった。

 

―――――本当ならその役目は、私の役目だったはずなのに。

 

 

 

「今日からお前が救世主だ」

 

 

 

「オレの目を見ろ」

 

 頭がまとまらないまま、ぼんやりとした思考で、クサビはマダラの真紅に染まった瞳を、言われるがままに見る。

 

 一瞬視界がブレるような感覚と、体内のチャクラの乱れ。

 真っ白な空間へと飛んだ。マダラの幻術空間の中だった。この場所の方が、イメージを共有しやすい。マダラの思うがままに造られる世界ならば、物体や映像を用いて理解させられる、ということだろう。

 円滑にオビトへと自分の計画を引き継ぐためにも、クサビに計画を再確認させるためにも。

 

「ここはオレの幻術世界だ。まだ白紙だが、俺の意志を投影してなんでも造り出せる…コントロールすることも、魔像とつながり力を借りている分、広く細かくなんでもできる。こんな風にな⋯…」

 

 オビトの知っている白髪の老人姿から、黒髪の青年へと姿を変えたマダラは、オビトへの説明をこんこんと続けていく。「今だけだが、体を楽にしてやる」そうマダラが言うと、クサビの体の痛みが一瞬にして消えた。現実では治っていなくとも、この世界ではなんでも思った通りになる。

 クサビはグルグルと楽になった肩を回して、傾聴の姿勢を取った。

 

 

「この幻術でイメージ通りの世界を創造する。そこに全ての人を幻術に掛け、連れてくるだけの話だ…」

 

 クサビ達の目の前に、マダラのイメージを投影したことによって、ひとつの壁画のようなものが現れる。輪廻眼と写輪眼を掛け合わせたような目を持つ、一つ目の化け物。そしてその下には、一人の人間らしき絵―――六道仙人が描かれている。

 

「クサビには前話したが…この術の規模を、目の代わりに月を使って大きくしたものが夢の世界だ。説明するにはまず…六道仙人と十尾についてだな。復習だ、クサビ。話してみろ」

 

 1度や2度では無いほど、クサビはマダラからマダラの理想について語られている。それこそ、新たな自分として、今のマダラが思い描くまま、計画を遂行させられるように。

 

「…はい、じい様」

「六道仙人は忍宗を開く…つまり、忍の祖であり、チャクラを術として扱ったはじめての人間。そして十尾というのは、木ノ葉にもいる尾獣…一尾から九尾までの、全ての尾獣のチャクラを集合させて造る、最強の尾獣。そして、私達の最後の目標」

「六道仙人はこの十尾の人柱力で、輪廻眼を併せ持ったとされていた。私達の中から輪廻眼と十尾を宿す人間ができれば、じい様の理想…月の目計画は完成される」

 

 

「…フン、まあ良いだろう」

 

 擬似的な六道仙人、十尾の力を扱える、輪廻眼を持つ者。それを人工的に作り出し、幻術を発動させ、無理やり全人類を夢へと誘う。

 そうして創り出す()()()()()を是とし、マダラは話を続けた。

 

「オレが木ノ葉の里を追われたことは知っているな?」

 

「アンタと初代火影…千手柱間が終末の谷で戦った時のことだろ」

 

「そうだ。千手柱間の細胞を戦って手にした後、それを傷口に移植していたオレだが、当初は何も起こらなかった。そうして寿命で死にかけた時だ…輪廻眼を開眼したのだ。それは同時にある封印を解くことにもなった。口寄せできたのだ…⋯⋯十尾のぬけがらを、封印石からな…」

 

「十尾のぬけがら…?」

 

「じい様の後ろにあった、すごく大きな木の象みたいな⋯覚えてる?アレ⋯外道魔像の事だよ。呼び方は、私達が勝手に言ってるだけだけど⋯⋯」

 

 人があぐらをかいて座っているようにただ座し、動かない木像。もう崩れてしまったが、座った状態であの地下室の天井まで届くような高さだと言うのならば、本来の大きさはどのくらいなのか。

 

「そしてその封印石は月と呼ばれているものだ。その後すぐに魔像を触媒にして、柱間細胞を培養したのがコレだ」

 

 夜空に浮かぶ大きな満月と、その下には外道魔像の壁から実が生ったように吊り下げられている、ゼツ達人造人間が投影される。

 オビトが来てからはあまり造らないようにはなったが、本来であればゼツは止まることなく―――それこそ無限に、増え続ける。今でこそ各地にゼツを散らばらせ、マダラは情報収集を行っているが、それはゼツがクローンで自分自身とのテレパシーを扱えるからこそ、可能なことだった。

 

「つまり、これら人造人間は柱間のクローンだとも言える…かなり劣化はしているがな。輪廻眼はうちはと千手、両方の力を持っていなければ開眼せん。さらに魔像もうまく扱えん」

 

 マダラが軽く手のひらを地面に向けながら、何かを握る動作をする。すると次の瞬間には、クサビの真横程にいたオビトの顔が、クサビの視界に映る。

 パチクリと目を瞬かせ、頭にクエスチョンマークを浮かべ続けるクサビの首元の布は、何も無かったはずのマダラの手の中へと収まっていた。首根っこを掴まれ、母猫に持ち運ばれる仔猫のように、クサビは混乱と日頃のマダラからの教育―――とりあえず言うことは聞く―――によって、身動きが取れなかった。

 

「お前には右半分…クサビは四肢に千手の細胞がくっついている…。輪廻眼は開眼せずとも、魔像は扱えるようになるだろう。お前達には、うちはの禁術と六道の術…そして陰陽遁の術を教えておく」

 

 クサビは片手で首根っこを持たれたまま、マダラを見上げる。現実のマダラならば、今の小さく軽いクサビの事を片手で―――両手ならギリギリいけるかもしれない―――持つことはできないだろう。だが今の若いマダラならば、軽々しくクサビを持つことができた。

 下から見上げたマダラの顔は、普段は髪の毛で隠れている顔半分や涙袋の出っ張りまで、はっきりと見える。まじまじと見続けるクサビの視線が伝わったのか、マダラがクサビに目線を向けた。そして思い出したかのように、妙に芝居がかかったふうにして話し始める。

 

 

「あぁ…そうだ、クサビ。調()()は上手くできていたか?」

 

 その言葉を聞いた瞬間、クサビの体中の毛がよだつ。

 やはり、やはりだ。クサビの推測の通り、やはり三代目水影は。

 

 

―――――操られていた。

 

「途中で()()()しまったようだが…生きていればいい。傷の心配はするな。お前は治りが早い」

 

「…何の話だよ」

 

 黙りこくったクサビと、饒舌に反応を返さないクサビに向かって話し続けるマダラ。オビトが不審に思うことも、仕方の無いことだった。

 だがマダラには、オビトへと事情を説明する義理もない。クサビも、わざわざ今のオビトに負担になるようなことを言うはずがなかった。

 

「お前には関係の無いことだ。そうだな…修行の手応えについて、とでも思っておけ」

 

 元からクサビたちに話を合わせる気は無いのだろう。一人で事務的に、淡々と話すべきことだけを話して、マダラはクサビのことを手放した。

 クサビの呼吸が荒くなる。今からオビトが行く道は、マダラによる幻術を解かれた後の水影のような、人生を狂わせた人間に向かって、憎悪の炎を燃やす人を増やすことだ。

 どんな犠牲を払ったとしても、理想に向かって足を止められない。あんな憎悪を、オビトが向けられていいはずはない。

 

 荒い呼吸はそのままで、床に着地したクサビは、少し離れた場所にいるオビトの元へと走った。足にしがみつくクサビを邪険にはせず、そのままオビトの腕の中に収められて、怪我が無いかを確認される。

 

 優しいオビトに、こんなことをさせられない。させられるわけがなかった。

 

 

(それなら、私が全部を)

 

 独り合点し、クサビはひとりで決意した。元々は自分だけで行うはずの月の眼計画だった。そこにオビトが加わったとしても、軸として動くのは自分にすればいい。

 それを上から見下ろすオビトの顔は、感情が伺えないような―――オビトと初めて出会った頃のクサビのような、能面に似た顔をしていた。

 

「話を戻すぞ。陰陽遁は火、水、土、雷、風のチャクラとは別にあるチャクラのことだ。木ノ葉の秋道一族や奈良一族の秘伝忍術を扱う時に使うチャクラで、うちはの禁術も六道の術も、この陰陽遁ふたつが揃わんと話にならん」

 

 例えば、奈良一族。奈良一族の秘伝忍術である『影縛りの術』は、陰遁のチャクラを利用して発動する術だ。影の形を変えるために陰遁を使用し、影を実体化させて敵を縛る。

 秋道一族であれば、身体を大きくさせることのできる、倍化の術に陽遁が使われる。無から何かを生み出すことが陰遁、既にあるものをどうこうするのが陽遁の性質だと、クサビはマダラから教えられていた。

 

―――――つまりじい様の難しい話を短くすると、陰陽遁というものは原理のよく分からない術に使われるよく分からないチャクラ、ということになる。

 

「うちはの禁術は2つある。運命をねじ曲げる『イザナギ』と、対となり運命を定める『イザナミ』。どちらも使えば眼を犠牲にするが、使い所を間違わん限り強力な術だ」

 

「イザナギは必ず勝利しなければならん戦いにおいて使われる…。うちはの者が、後に引けん時にな。己にとっての不都合を幻とし、上書きするうちはの究極幻術…これを使えば、死でさえも無かったことにできる。陽遁が無ければ使えんせいで、千手の力が必要不可欠だがな」

「そして対のイザナミ…幻術として使えば弱いが、イザナギを使う術者に対しては絶大な効力を発揮する。幻術をかけられた者が無限に同じ結果に行き着き、その事実を受け入れなければイザナミに囚われたままになる」

 

「それなら…どうしてイザナミはどうして弱いって言うんだ?」

 

 オビトから質問が飛ぶ。確かに、無限に同じ結果を受けさせ続けられるなら、長い間足止めができる。幻術を受けさせている最中に命を絶つことも可能なはずだ。そこまで動きを止められるなら、強い幻術と言っていいのではないのだろうか。

 

「言っただろう。イザナミは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()術だ。言うなれば、かける相手を間違えれば簡単に解かれてしまう」

 

「…イザナギを使うほど、望んだ結果に行き着きたい人間には事実が受け入れられない。だから、イザナギとイザナミは対になっている」

 

 ぽつりとクサビは呟いた。イザナギを使う程にまで追い詰められた人間を止めるために、イザナミは存在する。うちは一族としての眼を使ってまで、止めなければならない事が生まれた場合に使うのだろう。

 

「六道の術…地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人間道、天道、そして外道が六道の術だ。お前達にとって重要なのは外道…この術によって、輪廻眼を持つ者にオレを甦させろ」

 

「そんなことが…!?」

 

「死者を甦らせる術はあるにはあるが…この術は、扉間の穢土転生のようなものなどとは違う。完璧な蘇生だ。オレを完璧な状態で甦らせた後、夢の世界を造る幻術…無限月読を行う」

「お前達には今からうちはマダラを名乗ってもらうが…クサビだけならうちはマダラがひとりで良かったが、今はオビトと2人⋯⋯…ふむ、どちらがどちらを名乗ってもいいが……オレを名乗らん方は、イズナを名乗ることを許す」

 

 

―――――うちはイズナ。

 戦乱の世、里などというシステムがまだ確立されておらず、それぞれの一族が血で血を洗う争いを繰り広げていた時。うちは一族の長として、うちはを率いていたマダラの右腕とも言うべき活躍をしていた、マダラの実の弟だ。

 初代火影の弟にして二代目火影、千手扉間によって若くして殺されてしまった。そして、イズナは自らが開眼していた万華鏡写輪眼を、マダラの万華鏡写輪眼を永遠とするために、差し出した。

 

 

 突然、空間に歪みが生じる。白く塗られた世界が黒くブレ、瓦礫が山のように積み重なった場所が白い世界の隙間から、チラチラと見えた。足元が揺れ、大きな衝撃がオビトの足元に来たのか、オビトの両足が震える。

 

「なんだ…!?」

 

「これは…」

 

 マダラの幻術世界が崩れ去ろうとしている。普段であれば、マダラの幻術空間はマダラのチャクラが尽きぬ限り、永遠とも言えるほどには続かせることができる。

 だが、今回は短時間のみの継続だった。つまり、マダラは術になどへと回すチャクラが少なく、生命維持に回すチャクラの方が多くなっているのだろう。

 

「もう時間か…潮時だな。まあいい、まだ伝えていないことは全て伝えた。クサビ」

 

「……はい、じい様」

 

「使えるようにするのは、お前の仕事だ」

 

「………はい」

 

 オビトの腕に抱かれたまま、クサビは答える。オビトを鍛えることは、クサビに任せる、ということだ。

 クサビは生まれてから、ずっと修行をしてきた。幻術世界で現実の年齢より、長い間鍛錬を積んでいる。そのおかけで、並大抵の忍など一捻りできるとマダラからも太鼓判―――「これで満足できると思うなよ、小砂利」と言われはしたが―――をされている。

 そして、三代目水影をクサビへと差し向け、()()()()()という実績。マダラはクサビに強敵をぶつけることで、クサビの更なる成長―――写輪眼を開眼させるということを図ろうとしていた。用済みになったコマを始末する、という意味合いもあるだろうが。

 

 武器の扱いも完璧だ。足りないのは、体力と身体だけ。オビトはまだ、木ノ葉隠れの里では中忍だと言っていた。中忍レベルであるのなら、クサビでも技術や忍術を教えることができる。

 

 パリン、と何かが割れるような音がして、クサビ達は現実世界に戻ってきた。瓦礫によって巻き上がるホコリを吸い込むと、咳が出る。ゴホゴホとベッドに寝かされたまま咳き込むクサビは、咳による体の反動で肩が傷んだ。

 

 

 現実のマダラの隣には、ゼツが一体立っていた。マダラがシワだらけの手をゼツにかざすと、マダラの手から黒い()()()が這い出して来た。侵食するようにしてゼツの白い体に、寄生するようにしてまとわりつくソレは、得体がしれなかった。

 

「こいつにオレの意志を入れた…半分はオレだと思え。これも劣化はしているがな…⋯⋯陰陽遁で造ったこやつらは、お前達のコマとして使える」

 

 そしてマダラが黒と白、半々になったゼツから手を離し、印を結ぶと、外道魔像から生える柱間に似た顔をした何かーーーゼツ達クローン体の大元ーーーから、黒い棒が生えてきた。横にまで伸びた棒は、枯れ切って葉が1枚も無い枝のようだった。

 

「その黒い棒は、ワシの意志を形として作ったものだ。これは六道の術の時に使え」

 

 そう言い終わるや否や、マダラと外道魔像を結びつけている根が千切れる。ブチりと音を立て千切れた根は、タラリとなんの汁か分からない汁が垂れていた。

 

「じい様…!?」

 

 つんのめりながら、オビトの腕から飛び出して、クサビはマダラの元へと走った。身体を掴んで支えようとすると、いつもよりもさらに痩せ細った、骸骨同然の身体をしている。

 

 

―――――死人の体だ。

 

 悟ってしまった。寿命はとうに迎えていたのだから、生命線である外道魔像との接続を絶ってしまえば、死ぬのは必然。自然の理には逆らい続けられないのだから。

 

「クサビ…お前には…⋯⋯オレの、全てを託した…」

 

「…さあ、動け……オレが、復活する…までの間……」

 

「お前が、お前達が……」

 

 

 

「うちはマダラだ」

 

 

 

 





前書きで書いた感じでいこうとすると、クサビちゃんの偽名あとが2つ(霧隠れ潜伏用、暁潜伏用)出てくることになるんですけど、分かりづらいですか⋯?
アンケ取らせてもらうので、投票お願いします!

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