ヤンデレ化したフブさんから逃げるお話   作:トントンミーFBK

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誤字あったらすんません


2日目(1)

2日目

「椋」ああ~、体育疲れた...

 

 椋は全身の力を抜き、机に突っ伏すように椅子へ沈み込んだ。

 朝イチの体育なんてただの拷問だ。

 しかもよりによってバレー。運動神経が普通レベルの椋からすると、あれは避けられな  い地獄だ。

 

「椋」なんで1時間目からこんなハードな授業持ってくるかな...しかも俺の苦手なバレーだし

 

「フブキ」お疲れさま!

 

 ぱっと横から明るい声。

 聞き慣れた声だ。

 

「椋」ん?ああフブキか

 

 白上フブキ。

 小学生の頃からずっと一緒にいる……たぶん幼馴染。

 気づけば隣にいる、そんな存在だ。

 

「フブキ」体育どうだった?

 

「椋」ああ、うんまあいつも通り。てかさっきの体育いなかったけど何かあったのか?お前が遅刻なんてしなそうだけど

 

「フブキ」ちょっと朝寝坊しちゃって...(笑)

 

 珍しい。

 フブキが寝坊なんて、ここ数年聞いたことがない。

 

「椋」お前が寝坊なんて珍しいな。寝坊なんて小学校以来じゃないか?

 

「フブキ」そうだっけ?

 

「椋」いやわかんないけどさ

 

「先生」おい、授業始めるぞー

 

 教室に教師の声が響く。

 椋は慌てて姿勢を正した。

 

「椋」あ、もうそんな時間か...ってYABE、準備してねぇ

 

 立ち歩いていた生徒たちもいっせいに席へ戻る。

 教室が一瞬で“授業モード”になるこの瞬間、いつも心臓に悪い。

 

「椋」教科書、教科書...これか、それと筆入れは...あったあった

 

「先生」じゃあこっからノートとっていくからな、しっかりとやれよ

 

「椋」シャーペン出してねえや...あれ、シャーペンどこやった?

 

 椋は焦りながらペンケースをひっくり返して探すが、どこにもない。

 

「椋」あれ?なんで?え?昨日あったよね

 

 すると隣からそっと声が降ってきた。

 

「フブキ」どうしたの?

 

「椋」ああいやちょっとシャーペンなくしちまって...

 

「フブキ」よかったら白上の貸してあげる?

 

「椋」いいのか?、すまんありがとう

 

「フブキ」いいってことよ

 

 フブキはにこっと笑って、自分のシャーペンを差し出した。

 それはフブキがよく使っている、青を基調にした細身のやつ。

 椋はそれを受け取りながら、胸の奥がなぜか少しだけ温かくなるのを感じた。

 

 

 

 授業後。

 

「椋」さっきはすまんな、助かった

 

「フブキ」ううん、大丈夫だよ!それに椋の役に立ててよかったし!

 

「椋」え?

 

 フブキは慌てて視線をそらす。

 

「フブキ」ああいやなんでもない!

 

「椋」そ、そうか今度お礼しなきゃだな。なんかあるか?

 

「フブキ」うーんいまは別にないけど...考えとくね!

 

 フブキの声はいつもと同じ明るさなのに、どこか照れが混じっていた。

 椋はそれには気づかず、ただ素直にお礼を言おうと口を開く。

 

「椋」それとあの...フブキさん、シャーペン一日お借りしてもよろしいでしょうか?

 

「フブキ」ん?あうんいいよ!ていうかそのシャーペンあげるよ白上別のペンあるし

 

「椋」え、さすがに申し訳ない

 

「フブキ」いいから、いいから!もらってもらって!

 

 無理やり押し付けてくるフブキ。

 椋は観念して受け取った。

 

「椋」わ、わかった、ありがとう

 

 

 

 

「椋」なあフブキ、昼飯一緒に食べないか?

 

「フブキ」あ、ごめん白上ほかの人と食べる予定あるからまた明日ね

 

「椋」そうか、わかった

 

「誠也」なぁ椋、一緒に昼飯食べようぜ

 

「椋」ん?ああ誠也か、いいぜ

 

「フブキ」椋は今頃学食かなぁ....

 

 フブキは自分の机に肘をつき、スマホの画面をそっとタップした。

 画面には小さな点が、学食の位置でぴたりと止まっている。

 

「フブキ」どれどれ、位置情報は...

 うんうん、しっかりと学食を示してる

 

 ぽつりと微笑むその表情は、

 椋が知る明るいフブキとは少し違っていた。

 

「フブキ」やっぱりペンとカバンにGPSつけといて正解だったみたい♡

 

 彼女の視線は、朝に椋へ渡したシャーペンへと向けられる。

 ほんの小さな違和感にも気づかれないように、

 内部に仕込んだチップは極端に小さく軽い。

 

「フブキ」……椋のこと、ちゃんと見てないとね?

 

 再びスマホの地図を見つめ、指がゆっくりと画面を撫でる。

 

「フブキ」今は学食……もちろん男友達と一緒だよね?

 

 その声は甘く、しかしどこか針のような鋭さもあった。

 

「フブキ」……もし、変な女子と一緒だったら……

 うーん……困っちゃうなぁ……どうしようかなぁ……?

 

 窓から差し込む日差しが、フブキの白い髪を照らす。

 その光に照らされた横顔は、美しいのに、どこか危うい。

 

「フブキ」椋の隣にいていいのは……白上だけ、だよ?

 

 少しだけ口元をつり上げて、フブキは立ち上がった。

 

「フブキ」……ちょっと見に行こっかな。

 アリバイ作りも兼ねてね?ふふっ♡

 

「フブキ」椋を私なしじゃ生きられなくしなきゃね♡

 

 椋のいる学食へ向け、

 フブキは軽い足取りで廊下へ出ていった。




よかったらうれしいです
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