Q.最も優れた魔法とはなにか。   作:高田鷹VT

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俺が好きな作品はBLEACH、相州戦真館學園、呪術廻戦です。
パクりじゃないから!オマージュだから!後ただの厨二病なだけだから!対戦よろしくお願いします!


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「って来たのは魔唱閥のおまえだけかよ。アーガスタだっけ?」

喚き散らす国王が騎士たちに搬送されて退場すると、赤髪を逆立てた男アーガスタ=竹村が苛立ちを隠そうともせずに俺とアステラの前に来た。

たしかジジイの弟子にはこいつじゃない魔唱閥の所属が何人かいた気がするが、こいつが来たってことはこいつが一番下っ端なんだろう。

まあ、7年前に符術閥を抜けてから入閥したのなら妥当なところではあるが。

ていうか他の閥の連中はどこいったわけ?ジジイの弟子には相変わらず自分勝手な奴しかいねえな。弟子の人選ミスってんだろ。

「うるせぇな。長に届け物するだけならだれでもいいだろうが。さっさと渡すものを寄越せ」

「それもそうだな。他の閥には今度自分で投げ込んどくよ。じゃあこれ頼むわ」

提げていた鞄に手を突っ込んで羽ペンを一本取り出す。

これは簡単に言えば遠隔執筆が可能な魔道具だ。傀儡呪法の感応現象で片方の羽ペンで書いた文章をもう片方の羽ペンが自動でトレースする。っていう傀儡呪法の基本さえ齧っていれば大体誰でもできるものだ。まだ1本の羽ペンにつき5本の羽ペンにしか同調させれないのがネックだが。ちなみに魔道具の名称は【繋がり君】だ。可愛いな。欠点があるとしたら素材の入手難易度が高いところだが。

 

「羽ペンか?」

 

「そう、遠距離でも紙に文字が書ける」

手紙か狼煙か夜間照明、魔獣の伝令が現在の遠距離通信の花形だが、これなら遠ければ遠いほど他と比べて早く伝わるんだから、遠距離通信の革命だな。

本当はこんなものじゃなくて紹介状をまともに書くのが筋なんだが、閥の長ともなれば大抵奇人変人の集まりで興味の無いものに反応しねえからな。

面白い魔道具で興味を釣って読ませるのが一番だ。

 

「この羽ペンだけでいいのか?」

「ああ、普通に弱小閥が一つ潰れるくらいの価値はある魔道具だから気をつけて運んでくれよな。使い方は紙の上に置いて置けば夜にはわかると伝えとけ」

「はぁ!?1級魔道具なわけか……てか魔具宗にも出入りしてんのかよ」

「『万華』だからな多芸なんだよ」

「フン!次会ったときは魔法戦で正々堂々灰にしてやるから覚悟しとけや!」

肩で怒りながらも羽ペンはそっと運ぶ当りみみっちいというか、小物感がすごいな。

ジジイの弟子の一人ってことはどこかしらの面で才能があったんだろうけど、まだ開花には至ってない感じか?

魔導血戦までのあと半年でその才が開くと面白いんだが、あの調子じゃ高望みかな。

「さて、待たせたなアステラ。俺は5年ぶりに王都に来ててな、細々とした地理に疎い。まずは君オススメの飯屋に案内してくれよ。そこで少し、魔導談義といこうぜ?」

 

「ご飯たべながら魔導談義!いいですね!じゃあ私の行きつけにご案内します!」

音符が語尾につきそうな上機嫌さでスキップしながら先導するアステラについていく。

その後姿は一瞬油断を誘うほどのんきだが、一切ぶれない体幹はそこらの辺境貴族の騎士よりよほど強いのだろうと窺える。

王城を抜けて一等地を抜けた2等地の入り組んだ路地に入る。

やけに入り組んだというか人目のつかないところにアステラの案内する目的地はあった。

「安くて美味しくて常連たちはいい人ばっかり!おすすめ料理はマーダートラウトのゴーレム焼き!宿屋シルバースリープにようこそ!あ、普通に脱法ポーション飲んでる人いるんで注意してくださいね!」

その宿は少し煙たかった。

カード賭博してる連中がやってる葉巻や見たことない色をしているポーションの湯気のせいか?

各机には確かに旨そうな肉や魚が並んでる辺り、飯が美味いのは本当なんだろう。

厨房と客席を仕切るカーテンが揺れ、そこから出てきた頭を刈り上げたガタイの良い男が両手に料理を持ちながらこちらに声を上げた。

「ようアステラ、帰ったか!魔導卿の相続説明はどうだった?」

「ただいまお父さん!大した事言われなかった~!国王様から形ばかりの説明があっただけだよ。でもでも、他の閥に学びに行ける足掛かりになってくれそうな人は捕まえてきたよ!」

「そりゃいい!後で料理をもってくから適当に座っとけ!そこの兄さんもまずは俺のおすすめ食ってけよ!」

「ああ、そいつはどうも?」

元気爆発!とばかりな接客に圧倒されながらアステラに手を引かれて店の角席につく。

見たところ容姿は欠片も似ていないが親子らしい。メニュー表が席にはあるがおすすめとやらが出てくるらしいし、一旦はいいだろう。

アイスブレイクがてら自己紹介からだな。

「改めて、魔法名『万華』のマキナ=エンジだ。年齢は24歳、男。扱える魔は奇蹟以外の1級までだ」

「わわわ、これはご丁寧に!『黎明』アステラ=パンドラです。年齢は15歳、女。扱える魔として術理の1級なら大体できます!」

「へぇ?」

アステラの言葉に思わず声が漏れる。

俺が1級の魔に手が届いたのは7年前の17歳。その頃でさえ天才なんだと持て囃されたものだが、それより2年早くそこに至っているのか。

基本的にセンスのないやつは2級、あるいは1級の魔を1つ覚えてその生涯を終えるとされる。

普通のやつは所属する閥の1級を網羅するのに生涯を費やすとされる。

センスがあるやつになって初めて魔閥の抱え持ちや、新たな魔の開拓をするわけだ。

「アステラ、ジジイと同じパンドラを名乗ってるのは自称か?」

「いえいえ!元はただのアステラだったんですけど、魔法使いなら名前が長くないとな。と師匠が名乗ることを許可してくれたんです!」

「ジジイは相当君に期待してるらしい。他の弟子でそういう扱いを受けたやつを聞いたことが無いからな」

「えへへ、期待に応えれるように頑張らないとです!」

 

こんだけ素直で真正面から物事に向かう度量もある。そりゃああのジジイが気にいるのも頷ける。

『術理』っつうのは『魔唱』と並んで最も汎用性が高い魔法だ。

起こしたい現象という解を外魔力(マナ)内魔力(オド)という万能の代入数を用いて求める。

故に優れた魔法使いは術理の魔法陣を見ればどんな魔法が飛んでくるか分かるし、優れた術理はそれを悟らせないほどに複雑で難解だ。

 

その性質から術理閥の人間は感覚派は少ない……はずなんだが、大体の奴には魔法陣を見て何となくで覚えて何となくで術理を発動させるせいで、一歩間違えれば暴発するので危険だと思うんだが、この幼い段階で1級術理修めてるアステラはそのあたりも理解している本当に天才なんだろう。

 

「じゃあそもそもなんで他の閥の魔法が学びたいんだ?理論の完成とか言っていてたが」

 

「よくぞ聞いてくれました!」

キララーン!とアステラの目に星が輝いたのを幻視した。

こりゃ長話になりそうだ。親父さんが運んできた料理群を会釈しながら受け取って、一緒に届けられた酒を呑む。

未完成の理論は酒呑ながら聞くのが丁度いいと相場が決まってるもんだからな。

 

「マキナさん!大前提として最強の魔法ってなんだとおもいますか?」

 

「……魔導卿の究極魔導、真髄顕象(しんずいけんしょう)神の杖(ロッズフロムゴッド)』個人から国家を含む団体におけるあらゆる闘争の最強はソレだ」

 

クソジジイことキリエスト=ルーク・パンドラ魔導卿が最強になれた理由。 視界外の上空遥か彼方から降る光柱。

魔導の起動から着弾まで1秒未満にもかかわらず、その光柱に触れたものはこの世に存在を許されず、世界との繋がりが解け、消滅する。

 

空間か時間、あるいは現実干渉の魔が使えない限り、そもそも勝負の舞台に立つことが出来ない唯一無二の究極魔導。

 

あのジジイが出場した魔導血戦では対戦相手の大半は戦死してるらしいしな。魔導卿っていうのはただ3連覇したから得た称号じゃない。

【お前はもう出てくるな】という魔導血戦殿堂入りにして世界中が個人に降参した証明だ。

 

「ハイ!確かに最強の魔法はキリエスト師匠の神の杖です。では、神の杖を打ち破るにはどうすればいいと思いますか?」

 

新たな問題提起。アステラもジジイの神の杖が最強なことに異議はないようだが、打ち破る方法か。

 

「それはジジイに神の杖を撃たせる前に倒すというわけではなく、撃たれた神の杖をどう対処するかということか」

 

「そうです!私はもう答えを得ています。まだ未完成ですけどね。」

 

「君の理論は実に気になるが、そうだな、もし俺が神の杖を撃たれた場合、取れる択は3つある」

 

「おお!多芸ですね!どうやるんですか?」

 

「1つ目は1級次元術理『天網干渉』を他の魔でアレンジすることで瞬間移動で避ける、あるいは神の杖を逸らす」

 

『天網干渉』は次元術理の中でもトップクラスに難しい魔法だが、複雑な法陣を使うからこそ現実への干渉による拡張性が非常に広い。予め刻印型魔術として相応のモノに刻めれば、神の杖の回避が見てから出来る筈だ。

 

「2つ目は詠唱破棄をした魔唱の97『逆時反界』で時間を撃たれる前まで戻す」

 

『逆時反界』は簡単に言えば時間の巻き戻しをする魔法。

90番台の魔唱は強力だけど詠唱が馬鹿みたいに長いので、詠唱破棄できるのが大前提だが、コレが唱えれるならいわゆる後の先が取れる。まぁ、ちょっと時間を戻すだけでアホ見たいな内魔力(オド)を消費するので魔法戦で使うのは得策ではないが。

 

「3つ目はこちらも神の杖を撃つことで相殺する。 現実的かどうかを置いておいて実現可能性が高いのはこんなところだな」

 

「え~!マキナさんも神の杖が撃てるんですか?」

 

「あくまで俺なりにジジイの神の杖を解析して再現した擬きだ。実際に打ち合ったことはねえから本当に相殺できるかはわからないけどな」

 

魔法使いには代名詞となる得意魔法が人によっては存在する。

実際にジジイが魔導卿となる前までは『神の杖』が魔法名になっていた時期もあったらしい。

だが、代名詞となる魔法は固有魔法ではない。奇蹟閥の連中がつかう固有精霊の力を借りたりする魔は、実質的に扱えるのが一人しかいなかったりするモノの、神の杖はその限りでない。

ジジイが術理の法陣や詠唱の詳細を公開していないだけで、理論上は、使い方が分かれば誰でも発動できるものだ。

俺が神の杖擬きが使えるのがジジイが起こしている現象から詠唱と法陣、その他の要素を逆算して導き出しただけで、魔としての強度では本家本元には負けている可能性も大きい。

俺の開発した魔導はまだ究極と認められるだけの実績はない。だからこそ俺の魔導が神の杖さえ再現可能と知られてはいないわけだ。

 

「まあ俺の神の杖擬きは置いといてだ。アステラはどう攻略する気なんだ?」

 

「よくぞ聞いてくれました!私の『理論』は、魔法を両断できますので、神の杖もぶった切ってやろうかと考えています!」

 

「はい?」

 

俺の妹弟子はバカかもしれねぇ。

フフン!と鼻を鳴らし、腰に差しているレイピアとして使えそうな杖を示しながら胸を張る姿から、さぞや自信があるんだろうというのはわかるが、どう考えても現実的じゃない。 そもそも神の杖は傍から見れば、文字通り光の速さで天から災害が降ってくるのだ。斬れる斬れないどうこう以前に人間が剣を触れる速さを超えているわけだ。剣を着弾に合わせる事も出来んだろうに。

 

「アステラ、君の理論はどこ行ったんだよ。実は脳筋バカなのか?」

 

「なぁ!馬鹿じゃないですよ! 私の魔は最もスマートで、最もクールで、最もインテリジェンスなんですぅ!」

 

うわぁ、喋れば喋るほどにバカっぽい。

確かに衝撃力や破壊力を伴う高エネルギー体の魔法であれば、中心を穿ったり両断することで魔法の維持を終了させることは出来るだろうけど、そんなことが出来るのはせいぜい騎士団の中でも上位層位だろうし、アステラがその腕を持ってたとしてもとてもじゃないが1級以上の魔を切り捨てるのは難しいだろう。

それこそ、その魔法の理論の詳細を理解してないと……

 

「まさかとは思うがアステラ、『魔』の式を観測することが出来るのか?」

 

「え?ああ、はい!でもそれは『万華』のマキナさん、貴方もですよね?」

 

さも出来て当然なんて顔をしているが、普通は出来ることじゃない。

この世界の魔法使い達に感覚派が多いのは、そもそも『魔力』の観測を体感で行ってるからに起因する。

 

ジジイがアステラを面白いと思うわけがようやくわかった。

どういう手段かは知らんが、俺と同じくジジイの魔眼に頼らず『魔』の観測が出来るんだろう。

自信のデカさから外魔力(マナ)内魔力(オド)だけでなく、魔法を使うのに必要な式までも。確かに理論上式のウィークポイントを乱せば、神の杖も斬るということは可能だろう。

 

「アステラ、君はジジイから俺のことを聞いていたな? そして、俺に頼めば他の閥の魔も容易く見れて、君の理論の完成に貢献されるということもお得意の卜占でそう告げられていた訳だ。

察するに、君はジジイの神の杖を見たことが無いんじゃないか?」

 

「流石ですね。

確かに師匠の占いでは王城で争いを起こした人間のうち、勝者が私のライバルになる可能性が最も高く、私の手本になると聞かされました。 手本と聞いていまいちピンと来ていませんでしたが、観測する『魔』のことを式っていうなら、マキナさんも私と同じでなんらかの方法で『魔』を観測してるんですよね?

 

いわゆる先達というのも納得です!

 

あと、マキナさんの言う通り、私は神の杖を見たことがありません。

師匠にどんなにせがんでも見してくれませんでしたから。

けど、ようやく理由が分かりました!

 

マキナさんが見せてくれるってことですね!」

 

「いや、見せないけど」

 

「なんでですかぁ!!」

 

キュルルン!とまあ可愛らしい渾身のおねだりだとは思ったが、見せれんものは見せれんからな。 大体神の杖なんてそうポンポン撃ってたら地形変動が起こりすぎて国にしょっ引かれるわ。 やるにしても敵国との戦争か、撃たなきゃ死ぬ状況か、魔導血戦中くらいじゃないと大義名分が足りなさすぎる。

あと、アステラら既に術理の大半を修めてるらしいが、神の杖の構成要件はそれだけじゃ足りないから今のアステラが見たところで理解できないだろうしな。

 

「まあ半年後に俺の試合観戦してりゃみれるだろうよ。どうしても見たいなら魔唱閥、傀儡閥、符術閥この3閥の1級魔法を1つずつは習得してこい」

 

「っ!それが構成要件ということですね!私、やります!半年で少なくとも魔唱閥はマスターして見せます!」

 

こいつ、本当にやりかねないとは思うが、いつか感覚派の天才たちに嫉妬で殺されるんじゃねえか。

アステラみたいな理論派の天才は初めて見るが、鍛えがいがありそうだ。適切な試練を与えてやらねえとな?

 

「じゃあ、明日の昼過ぎに魔唱閥に連れて行ってやる。魔唱の基礎を復習しておけ」




マキナ=エンジの研究手記

・魔法の等級
1~3級の等級に分かれる。
3級を基礎、2級を応用、1級を特異として扱われることもある。
閥にいる魔法使いの99パーセントが感覚派の為、全員が自分の感覚で説明するため、師から弟子、兄弟子から弟弟子への技術の伝達が非常に低精度。
説明を擬音でしかできない奴が多いせいで2級の魔法すら難しくなっている。

実際の魔法戦で使われるのは大体2級以上からになるが、実力差がある場合は3級魔法も使われることがある。

2級魔法以降は相手に傷をつけることに特化した魔法を戦術級と戦略級に分類されたりもするが、大体の魔法使いは影響範囲が狭いものを戦術級、影響範囲が広いものを戦略級と大雑把な分類をしている。

魔唱でいえば1~30番台が3級で、40~70番台までが2級。80番~90番台までを1級とされる。

・神髄顕象(しんずいけんしょう)
その人物が修めている『魔』の集大成のようなもの。
理論上は可能でも他人による再現性が乏しく、非常に強力な魔法。

神髄顕象まで至る人物は数が少なく、現在王国が把握している人数は魔導卿を含めて、各閥の長のみらしい。管理する気もないのだろうということが窺える。

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