Q.最も優れた魔法とはなにか。 作:高田鷹VT
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アステラを魔唱閥を紹介すると約束をした翌日、王都の一等地にある歌劇街に向かっていた。
一等地の中でもガヤガヤとした賑わいを見せるこの場所は、貴族子弟の吟遊詩人や、田舎から一旗揚げようと一念発起してきた若者が道の端で各々の芸を披露している。
「マキナさんは歌劇街に通う趣味はあるんですか? 結構目を惹かれる芸をしてる方も居ますけど」
「手品とかの大道芸は技術的に見てて面白いから偶に来てたぞ。魔唱閥に通ってた時期は毎度通ってたからな、ある程度のレベルは見飽きたよ」
「技術的にですか? なにか『魔』の修練に繋がる感じでしょうか」
「何でもかんでも『魔』に繋げようとするのはやめた方がいいぞ。確かに手品師の視線誘導や、大道芸人の道具の扱い方辺りは術理閥と符術閥の人間は魔法戦に活かせるだろうけど、本質的な『魔』の習熟には関係ないからな、ただの嗜好だよ」
勉強になります! と懐から出したメモに書き込みをするアステラを先導し、魔唱閥学舎に併設されたコンサートホールに入り受付を通れば、歌劇街の中でも有数の大きさのホールがある。
「ああそうだ、アステラは歌うのは得意か?」
「え? いや、人並みだと思いますけど……」
魔唱閥の連中は基本的に『歌唱』を聞きに来る人間を拒まない。
魔唱の習熟には歌の上手さが必要と閥の長が考えているから生じた理屈だが、そのせいか、音楽に対する無知があると閥に加入はおろか、『魔』に対する対談すらする気が起きんらしい。
「上手く適応しろよ。気に入られれば魔法戦すりゃ閥への出入りも認められるだろうよ」
ホールの空いてる席にアステラと並んで座れば、丁度楽団員達の歌唱と楽器の練習が始まる。
低音から高音まで、気持ちよく身体を抜ける感覚がある。音楽に関しては興味が薄いから門外漢だが、なんでも綺麗な発音で詠唱出来れば魔唱の効果も上がるとか。
しばらく音を聴いていれば、アステラがソワソワしてきたらしい。
「あの、私今まで門前払いされちゃってたんですけど、魔唱閥の人って、というか今日紹介してくださる方ってどんな人なんですか?」
「魔唱閥の連中は簡単に言うと、ナルシスト歌手集団だよ」
「失礼しちゃうわぁマキナちゃん、ワタクシ達は全員自分に自信があるだけよ?」
ヌルりと、後ろから俺の肩に手を回して声をかけてくる巨女。
アステラの3倍ほどの身長があるんじゃなかろうか。失礼しちゃうとは言ってるものの、ナルシストと呼ばれるのを嫌ってないのかむしろ嬉しそうにしてるあたり、生粋のホンモノだ。
「どーもナルシス
「本当よぉ、マキナちゃんが
「そりゃご迷惑をおかけしましたね。生憎と、ナルシス
「まあワタクシも楽しませてもらってるから良いのだけれど。指導する気がないなら
「今日見たく便利に使える日があるので無理です。『魔唱』の実力と音楽の役割離せばいいじゃないですか」
「あ、あのー」
チョイチョイとローブの裾を引くアステラが借りてきた猫見たく緊張していたが、そういえばまだ魔唱閥の詳細を話してなかったな。
「悪いなアステラ。この人? まあ人か、この人が魔唱閥の長のナルシス=コロラチュラ•サンタクロスだ」
「ナルシスよぉ。
「承知しましたナルシス
「魔唱閥はこの人が率いる音楽団を兼ねててな。この人が
「じゃあ
ナチュラルに失礼をかましてきたなこの妹弟子は。
まあ実際上手かった訳では無いから、アステラが俺に抱く印象は正しい訳だが。
「彼はクソミソに音痴よぉ。
「別にいいでしょ。聞く音と発する音の高さがなんか合わないんですよ。ソレに俺が今の地位にいるのは、前首席が俺より『魔唱』への理解が低かったからでしょう? 俺のせいじゃなくて貴女の仕組みのせいですよ指揮者」
コチラの指摘にもクスクスと笑うだけで、何も気にも止めていないらしい。まぁ、閥の長をやってる連中はどこかしら他人の話を聞かないところがあるからな。今更だろう。そろそろ本題に入るべきか。
「さてナルシス指揮者、本題ですが、昨日【繋がり君】で連絡した通り」
「ホントにダサい名前ね」
うるせぇな可愛い名前だろうが。
「……本題ですが、このアステラを魔唱閥への出入りを認めてください。少なくとも人並みには歌えるらしいですよ」
「あらぁ? ワタクシになんのメリットがあるのかしらねぇ」
「『魔導血戦』において
「ふぅん? その
「おや、魔導血戦に出る暇があるんですね。時間の無駄になるということをご理解いただくために模擬魔法戦でもしましょうか?」
バチバチと、お互いの
この巨女も、本気でやり合うとなるとホールがぶっ壊れるから出来ないだろうによくやるものだ。
「あ、あの! 普通にこう、なんか、試験的な? のに合格したら
気まずさに耐えきれなかったか、はたまた他人の争いが苦手なのか、割り込んできた
ナルシス指揮者もこの提案を受けて思う所があったのか、少し考える素振りをする。彼女からしてもこういう真っ直ぐな提案は好みらしい。
「そうねぇ、そこまで言うなら入閥試験みたいなのをやってみちゃおうかしらねぇ。普段は私のスカウトだけなんだから特別よぉ?」
「わぁ、ありがとうございます指揮者! 嬉しいです!」
体格差に物怖じせずに彼女の手を握りブンブンと振るう。少しばかりはしたない所はあるが、子供のやることに怒るほどこの巨女の器は小さくないから大丈夫だろう。問題はアステラに課されるのはどういう試験になるかだが。
「じゃあ3級魔法にあたる魔唱をどれか1つ使えるようにしてきなさぁい。基礎ならマキナちゃんでも教えれるでしょう?
あと、コレを覚えてきなさぁい。期間は3日よ」
ナルシス指揮者は自身の鞄から1枚の楽譜を差し出す。
チラと見れば国歌の合唱用
歌だけなら誰もが1度は聞いたことがあるだろうから、合格させる気がないことは無さそうだが、問題はこの指揮者の合格ラインは遥かに高いということだ。
「ナルシス指揮者、流石に3日でアンタを満足させるレベルは厳しいんじゃないか」
「100%受かる試験なんて、やる意味が無いでしょう?」
「マキナさん大丈夫ですよ、私やります!
ただナルシス指揮者、私に見本を見る機会が欲しいです!」
「ふふ、当然ねぇ。今舞台にいる面々にやらせるわぁ」
舞台に居る連中を見遣れば、まだ歳若く成熟している訳では無いらしい、確かに合格することは不可能では無さそうには見えるが……。
忘れちゃいけないのはこの楽団のメンバーは、1人残らずナルシス指揮者のスカウトによって所属しているところだ。そこらのガキ共か歌うのとは訳が違うはずだが、大丈夫なのかね。
「
指揮者から急に大声で声を掛けられたのに肩を震わせていたが、
国歌ということもありそれほど長い曲じゃない。モノの1分半ほどで歌い終わり、軍隊さながらのキビキビとした動きで一礼まで完璧だった。
少なくとも音程ミスは0だな。急に歌わされてビビったのか少し声が震えてるところはあったが、一般人からしたら十分以上に上手い歌だ。
「ふぅん? 少し荒いところがあるから合格点はあげられないけど、まぁ、そうね、アステラちゃんが合格するならこれくらい歌ってくれればいいわよぉ」
「……はい、わかりました」
眉間にシワが寄ってるあたり、期待よりは下だったらしい。ラッキーだな。
アステラの方を見れば自信が無いのかと思ったが、不安そうな顔というより真顔だな? まあコイツなりに考えがありそうだからどうとでもなるか。
「じゃあマキナちゃん、魔唱どれかひとつとお歌の指導しっかりしてあげなさぁい。3日後にまたここで待ってるわぁ」
「ハイハイ、またお願いしますよ指揮者。アステラ、行けそうか?」
「秘策がありますので大丈夫だと思いますが、マキナさんにも随時確認していただいて修正していきたいので、ご協力お願いしますね!」
こいつの秘策とやらには期待しておこう。最悪俺が魔唱閥にいた頃やってた
「天才様の手札を見せてもらおうか」
「もう! おだてても何も出ませんよ〜!」
マキナ=エンジの研究手記
•魔唱閥
ナルシス=コロラチュラ•サンタクロスを長とする詠唱型魔法の最大派閥。王国御用達の楽団も兼ねている為、基本的に魔唱が上手くなる為の師や先輩から教導してもらうには、歌や楽器等の音楽が上手くなる必要がある。
•ナルシス=コロラチュラ•サンタクロス
魔唱閥の長にして、ナルシス楽団の代表件指揮者。
巨人の血を継いでおり、高音から低音まで出せる生ける楽器と言える。
詠唱時に音一つ一つに魔力を上手く込めるには、歌が上手くなれぼなるほど上手く込めれると考え、今の魔唱閥のスタイルを作ったらしい。
好きなモノは音楽、嫌いなモノは音痴
※SEKIROのクリア耐久するので4日間更新ないです