ダグバになっちゃった。   作:アゴン

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最近、呪術廻戦の虎杖君の今後が心配。

そんな訳で初投稿です。


Episode13

 

 

 

 “仮面ライダー”

 

 それは、東島丹三郎にとって魂にまで刻まれた不撓不屈にして永遠に色褪せないヒーロー。

 

 初めて仮面ライダーを眼にした時、子供だった頃の丹三郎は困惑した。

 

 異形な格好、まだ幼い頃の丹三郎には仮面ライダーが(ワル)なのか、正義(いいもの)なのか、判別すら出来ていなかった。

 

 だが、次に見せる仮面ライダーの活躍に丹三郎の思考は追い付かない程に魅了され、仮面ライダーは東島にとってこれ迄眼にしてきたどのヒーローとも違い、そしてごぼう抜きを果たしたブッチギリにカッコいいヒーローとなっていた。

 

 仮面ライダーに魅了され、仮面ライダーに憧れ過ぎて病院に運ばれた経験のある東島だが……。

 

(俺……仮面ライダーになってる)

 

 遂に、その夢が叶う。

 

 両手に嵌められた手袋。太く、硬く、けれど自身の手に良く馴染み、まるで自身の一部であるように違和感がない。

 

 他の部分もそうだ。鎧のような胴体も、ブーツも、そこいらの防弾性のあるモノより重厚そうなのに何一つ重みを感じることはない。

 

 視界も良好。仮面を被っているのに息苦しさもなく、様々な視覚情報が流れているが、どれも不思議と邪魔には思わない。

 

 ふと、蜘蛛男の背後にあるビルのガラスが視界に入る。

 

 ───仮面ライダーだ。あの時自分が憧れ、気絶する程にそのカッコ良さに痺れた、あの頃と同じ仮面ライダーがそこにいた。

 

 赤いマフラーが風に靡き、赤い複眼が光を放っている。

 

「─────」

 

 言葉が出なかった。感想とか、驚きとか、色々あった筈なのに……何一つ、言葉が喉奥から出てこない。

 

 いや、先ずは彼に……東島丹三郎を仮面ライダーにしてくれた魂の兄弟に一言伝えなければ……。

 

「白銀君!」

 

「!」

 

「ありがとう……!」

 

 ただ一言、それしか言葉が見付からなかった。本当はもっと色々と言いたかったのに、乏しい自分の語彙力が本当に恨めしい。

 

 けれど……いや、これで良かったのかもしれない。余計な言葉の装飾なんて無用、東島の一言に白銀白斗は笑みを浮かべて親指を立てる(サムズアップ)

 

(本当に、良い友達が出来た!)

 

 齢40を契機に叶った東島丹三郎の夢、そんな感激に打ち震える彼の背後で。

 

「何を呆けている」

 

 怪人蜘蛛男が、殺意を漲らせて腕を奮う。後ろに振り返り、背中を晒している所への不意打ち、文句など言わせない。全ては殺し合いの最中で隙を晒すお前が悪いのだと、蜘蛛男は容赦なくその剛腕を振り下ろすが。

 

「あぁ、済まない。完全に頭から抜けていた」

 

 仮面ライダー(東島丹三郎)は両腕を使って確りと防ぐ。

 

 苦悶の声ではない、力強く、自信に満ちた声音に蜘蛛男は息を呑んだ。

 

 改めて言わせてもらおう。

 

「行くぞ、ショッカー!!」

 

「ぬォッ!?」

 

 蜘蛛男の攻撃を防いだ両腕で、弾き飛ばす。これ迄とは違う東島の膂力に蜘蛛男の口から驚愕の声が溢れ出る。

 

(な、なんだこのパワーは!? こんな、俺達(怪人)と見間違う様な力を、何処から!?)

 

 あのベルトの所為か!? 東島の腰に装着しているベルトを見て、蜘蛛男は驚嘆する。たかがベルトを一つ巻いただけでこの力、そしてその出所は恐らく例の正体不明の白い怪人……!

 

「お前の仕業か! 未確認生命体第1号(・・・)!!」

 

「…………え?」

 

 蜘蛛男の言葉に白銀の表情が強張る。《未確認生命体》、その言葉の意味する事を逡巡する白銀を他所に仮面ライダーとなった東島が蜘蛛男へ肉薄する。

 

「行くぞ怪人! ライダー……」

 

「チィッ!!」

 

「パンチッ!!」

 

 繰り出される仮面ライダーの拳、その威力と迫力に自らの命の危機を察知した蜘蛛男は、己の全能力を防御に回し、蜘蛛の剛毛で覆われた両腕を交差する。

 

 瞬間、蜘蛛男は空を舞う。馬鹿げた膂力、まるで打ち上げ花火の様に空へ舞う蜘蛛男に誰もが驚愕に言葉を失う。

 

 だが、東島丹三郎(仮面ライダー)の飛躍は止まらない。

 

「まだまだぁっ!!」

 

 駆ける。脚に力を込め、地面を踏み抜きながら走る仮面ライダーは、屋上の縁へ両足を着けた瞬間───

 

「とうっ!」

 

 翔ぶ。両足を揃え、吹き飛ぶ蜘蛛男に向かって宙を翔ぶその姿は、彼が子供の頃からずっと夢見てきた憧れの姿そのままだった。

 

 捉えた。未だ吹き飛んだまま、体勢も整えられていない蜘蛛男に向かって………仮面ライダーはその身を回転させる。

 

 そして。

 

ライダー………キィィィック!!

 

「ガッ!!??」

 

 説明不要。仮面ライダーの代名詞とも呼べる必殺の蹴りが、蜘蛛男へと直撃する。遠慮はなく、容赦もない。ただ憧れの一撃をノリと勢いで放つ。

 

 その凄まじい一撃を受けた蜘蛛男は更に吹き飛んで行く。凄い飛距離だ、軈て蜘蛛男の姿が小さく見えなくなるまで飛んでいき、遥か遠い場所から何かの墜落音が響いてくる。

 

 土煙が遠くで上がっている。その光景を唖然とした様子で見つめていると、ライダーキックの反動で戻ってきた仮面ライダーが島村達の前に降り立つ。

 

 今一度、その姿を見る。曾て日本中の子供達を夢中にさせた仮面ライダー。その原初とも呼べる一号が、こうして自分達の前に立っている。

 

 その事実にワッとユカリス達が沸き立つ中。

 

(アイツ、言ってたな。未確認生命体って……)

 

 その言葉は、仮面ライダークウガから出てくるある種族を指した言葉。

 

 未確認生命体。その番号は0号から始まっている。

 

 つまり。

 

(まさか、本当にいるのか? ………グロンギが)

 

 皆が東島の仮面ライダーに沸き立つ一方、白銀白斗は蜘蛛男が吹き飛んだ方向をジッと見つめ続けた。

 

「ガボ、ガボボ、ガボ……!」

 

「おい、なんか変な音なってるぞ!?」

 

「コレ、おっさん自分の涙で溺れてるんじゃない!?」

 

「し、白銀くーん! ヘールプ!」

 

「あ、はーい。今行きまーす」

 

 もうホント、色々とシリアスが長続きしないなぁ。

 

 白銀は内心愚痴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、なんだか久し振りに帰ってこれた気がする」

 

 その後、バタバタと色々とあったが、俺達は一度その場で解散となり、俺は久し振りに自分のベッドの上で横になっていた。

 

「東島さん、喜んでくれて良かった。後は仮面ライダーの力を悪事に利用しないことだけを願うばかりだ」

 

 今回創造したライダーベルトは、主に耐久性と機動性を重視した所謂スタンダードな仕様となっている。

 

 平成ライダーの変身する様子とか、劇場版の奴を参考にして強化外骨格みたいな所謂鎧の様な仕上がりにし、その性能は変身する人間を数倍から最大数十倍に底上げするモノとなっている。

 

 しかし、その力を発揮するには変身する東島さんの身体能力に依存している為、生半可な人間には扱えない代物となっている。

 

 仮に東島さん以外の人が使用すれば、風を吸収するタイフーンに吹き飛ばされるだろう。それが、俺が変身ベルトに施した安全弁。

 

 他にも範囲100mに於けるショッカーの位置を割り出すセンサーやら、暗視ゴーグル、赤外線カメラなど多様な機能を搭載しており、一応マニュアルも用意したが……東島さん、ちゃんと目を通してくれたかな?

 

 ただ、最初に使用した機能が外付けの排水機能とは………流石東島さん、期待を裏切らない。

 

「次は一葉さんのV3かぁ。三葉さんからも頼まれちゃったし、やることが増えたなぁ……」

 

 東島さんの完成度の高い仮面ライダーのスーツを前にして、島村兄弟の圧のある懇願には流石の俺も苦笑いだ。

 

 だって真顔でお願いしてくるんだもの、普通に怖いし、断ったら何されるか分かったモノじゃない。

 

 多分、今頃東島さんは何度も変身しているんだろうなぁ。一葉さんを煽ったりしなきゃ良いけど……。

 

「でも、俺の方もちょっと不味い事が起きてるんだよなぁ」

 

 蜘蛛男の語る未確認生命体。その言葉の意味する所もそうだが、目下の悩みは俺のバイクだ。

 

 愛車であるパンペーラ250は、仮面ライダークウガに出てくるトライチェイサーやビートチェイサーのモデルとなったバイクだ。

 

 それが、数時間前に襲ってきた蜂女から逃げるためにモーフィングパワーを注入した所………少々面倒くさい事になってしまった。

 

 一般的なパンペーラ250だった我が愛車、それがどういうわけかクウガに出てくる《ビートチェイサー》そのままになってしまっていた。

 

 多分、俺が急造のゴウラムを創る時に一緒に当時のビートチェイサーを強くイメージした事が原因なのだろう。ゴウラムの方は瓦解し、唯の土塊と化したのに対し、ビートチェイサーとなった俺のバイクはその後も元に戻るような素振りはなく、以前よりも数倍増した馬力に戸惑いながら、俺は違法改造車で捕まらないか戦々恐々の思いだ。

 

 ただ、ビートチェイサーはやっぱり格好いい。トライチェイサーからノウハウを受け継いだだけあって、格好やら性能やら何もかもが桁違いになっている。

 

 去り際に島村兄弟が狡いと叫んでしまうのも分かる。これは、狡い。

 

(明日、また見せびらかしにいこ)

 

 明日も皆と会う予定だし、その時に少しだけからかってやるとしよう。此方は複雑怪奇な変身ベルトを創らされるのだ、それくらいのお返しは会っても良いだろう。

 

 なんて、そんな事を考えといると俺の携帯(スマホ)が鳴り出した。相手は……東島さんだ。

 

「なんだぁ? 一葉さんを煽って喧嘩したか?」

 

 あの二人、理由が合ってなくてもフィーリングで殴り合うからなぁ。何て考えながら電話に出てみると……。

 

「はい、白銀です。東島さん、どうしました?」

 

『あぁ、白銀君! 済まない、世話ばかりなっている君に頼むのは忍びないが………ちょっと俺の家にまで来てくれないか?』

 

(なんか、声が沈んでいる? 珍しい、あの東島さんが……)

 

 何時もは快活で、いっそサイコ的な一面も見せる東島が、通話の向こうでは分かりやすい位落ち込んでいる。

 

 まさか変身ベルトが早速壊れた? 嫌な予感が俺の脳裏を駆け巡っていく中……。

 

『実は……なんか俺に弟がいたっぽいんだ

 

「ちょっと待とうか」

 

 なんかって何ぞや。ぽいって何ぞや。

 

 相変わらず、ツッコミ所が満載な御仁である。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ぐぁ……」

 

 薄暗い路地裏にて蜘蛛男が呻く。仮面ライダーの蹴りによって抉られた胸元を抑え、血を吐きながら這いつくばるその姿は、致命傷を負った蜘蛛そのものだった。

 

「あの、人間……何なんだ。仮面ライダーとは、一体……」

 

 初めて会った時からそうだ。自らお面を被り、仮面ライダーとして自分と戦うあの人間は、普通の人間と何が違うのか。

 

 分からない。分からないのであれば対処するしかない。だが、今の蜘蛛男には自ら立って歩くことすら難しい。

 

 このまま死に絶えるのか? ショッカーの悲願を叶えられず、ただ無駄に死ぬだけなのが自分の運命なのか。

 

(あぁ、それは……嫌だな)

 

 ふと、蜘蛛男の脳裏に過る一人の女性。ラーメンに狂い、ラーメンに心底惚れ込んでいる………良く分からない彼女。

 

 何故、あの女の顔が脳裏に過るのか、不思議に思う蜘蛛男の前に影が複数舞い降りる。

 

「あ~あ、だから言っただろうが。奴と戦うには時期尚早だってよ。蜂女といい、やる気があるのは結構な事だがな」

 

 それは、人間と言うには剰りにも圧があり、人間味があり、そして不敵であった。怪人と言う自分を前にしても一切崩す事のない不遜さ、蝙蝠男がいれば「見下ろすな!」と喰って掛かっていた事だろう。

 

 何より……。

 

「俺を、笑いに来たか。0号(・・)……!」

 

 この男は、ショッカー(我々)と手を組んでいる。物質を違う物質へ変換させるその特異な異能を以て、我々ショッカーに戦力の貢献をしてくれると言う、世界征服の共犯者。

 

 鬣のような髪を靡かせて、男は笑う。

 

「まだ殺る気が萎えていないようで安心したぜ? でなければお前さんを別の蜘蛛男に(・・・・・・)変えなきゃ(・・・・・)ならねぇからよ(・・・・・・・)

 

 それは面倒だからなと、笑う男に蜘蛛男は答えない。

 

「おい、何時まで無駄話をしている」

 

 軍服を来た長身の男、彼の重く厳格な雰囲気に場の空気が支配されていく。

 

「さっさとこの男の傷を癒せ」

 

「へいへい、相変わらず無愛想なこって」

 

 圧倒的威圧感を放つ軍服の睨みも意に介せず、鬣の男はニヤニヤと笑いながら蜘蛛男の傷に手を伸ばす。

 

 途端に痛みは消え、意識がハッキリした蜘蛛男は立ち上がり、人間態となって二人に頭を下げる。

 

「………助かった。礼を言う」

 

「いーって事よ。お前さんは蝙蝠のバカと違って冷静だ。今回の敗北の件で、色々と思うところが出てきたんじゃねぇのか?」

 

 敗北。そう、自分は敗北した。怪人である自分が、触れれば壊れる唯の人間相手に……。

 

 認めない、認めたくない。けれどどんなに現実を否定した所で、自身の敗北は覆らない。腸が煮え繰り返るような苛立ちと焦燥感、それを呑み込んで見せた蜘蛛男は二人にある問い掛けをする。

 

「……仮面ライダーとは、一体何なんだ」

 

「「敵」」

 

 間髪入れずの即答。そこに疑問を挟む余地はないと、一貫としてそう答える二人に蜘蛛男は息を呑んだ。

 

「さて、やること終わったし、飯でも喰いにいくか」

 

 立ち上がり、その場から立ち去る鬣の男。軍服の男もその場から去ろうとして……。

 

「蜘蛛よ、己の意思と目的を見誤るなよ」

 

 一言だけそう告げて、彼も暗闇の中へと消えていく。

 

 残された蜘蛛男は自身の敗北を噛み締めながら……彼女の住むあのマンションに向けて脚を進めるのだった。

 

「─────キキキ」

 

 遥か遠くの空で、蝙蝠の羽ばたきが聞こえた気がした。

 

 





Q.東島の仮面ライダーはどんな性能?

A.平成や令和のライダーを参考にしていますので、盛れる所は盛ってます。

Q.主人公のバイク、変わったん?
A.見た目がまんまビートチェイサーにバチクソ変わりました。
 色合いは白と赤と金、ビートチェイサーダグバ仕様です(笑)





オマケ

ダグバさんぶらり旅。軌跡シリーズ編


 先日、銀のカーテンに包まれてから数日。現在私こと白銀白斗は【身喰らう蛇】なる秘密結社に身を置いております。

 何やらこの秘密結社の長っぽい美人のお姉さん曰く、俺は外からの御客様らしいので、家に帰れるまで保護してくれるとの事。

 あら優しい。この世界の事なんて右も左も分からないのに、随分と優しい人がいたもんだと感激したのも束の間。やはりというかなんというか、【身喰らう蛇】に属している人達はその悉くが個性的で、俺はそんな彼等に振り回される羽目になった。

 なんか武術の達人やらマッドなお爺さんやら、ピエロな性別不明な子とか、魔女さんとか、色んな人達に声を掛けられては絡まれ、振り回されてきた。

 極め付きは……。

「なぁ~、良いだろシロガネェ~、タマには俺の相手もしろや」

「嫌だよ。あんたの炎バチクソ熱ぃんだよ。危うく火傷する所だったわ」

 このマクバーンなるファンキー兄ちゃんに絡まれてから、特にその傾向が強くなった気がする。

 やれ兜のお姉さんに槍を向けられたり、蠍の女の子から素敵な笑顔と物騒な得物を向けられたり、挙げ句には帝国って国の羅刹なんて物騒なオバ………お姉さんからぶっとい大剣向けられたりと、割りとひどい目にあっている。

 いやこの世界の女性、おっかなすぎない? 絶対結婚適齢期逃すだろ。言わんけど。

「ねぇクロウ君、俺と変わってくんない? 500ミラあげるから。リィン君でもいいよ?」

「いや、全力で遠慮させて貰うわ」

「俺もです」

 所で、この飛行船何処に向かってるんですかねぇ?

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