今更ですが、本作品のメインは【仮面ライダーになりたい】
となっております。
そんな訳で初投稿です。
────ン・ダグバ・ゼバ。
通称ダグバと呼ばれるその怪人は、【仮面ライダークウガ】に登場する敵対怪人グロンギと呼ばれる敵対勢力の
頭領と言ってもグロンギなる超古代の先住人類はドイツもコイツもスタンドプレーを是とし、場合によっては身内同士でも殺し合う事も辞さない非常に危険な連中だ。
ダグバはその中でも最たるモノで、クウガ本編でも登場する回数はホンの僅か。数回しかない登場回数でありながら、当時の………俺を含めた子供達の記憶に深く根付いた印象深い怪人だ。
その性格は残忍にして冷酷。クウガが《究極の力》を手に入れる為に3万人もの人々を
白と金を併せ持ち、アルティメットフォームのクウガを【黒き光】と呼ぶなら、ダグバは【白き闇】と称されている。
原作で行われたゲゲルという殺しのゲームも、条件を満たして自身に挑む同族と殺し合うのも、クウガに【究極の力】をもたらすのも、全て自分が笑顔になる為のスパイスでしかない。
殴られるのも、殴るのも、殺すのも、殺されるのも、全てを受け入れる究極の戦闘狂。もしかしたらある意味では誰よりも純真な奴なのかもしれない。白いし。
そんでもって……。
「俺が、そのダグバになってるんだよなぁ」
鏡の前に立つ白い肌に金の角を生やしている人型の異形、今まで俺が熱弁していたン・ダグバ・ゼバがそこにいた。
「ちくしょー、朝起きたら全部夢でした~ってオチを期待してたのに、全然元に戻ってねぇの!」
アレから俺は茫然自失の状態でアパートに帰り、今の今まで気を失うように眠っていたようで、現在昼の12時。
大学も休みで、バイトも休みな稀有な時間。そんな貴重な一日の半分を寝て過ごしても、今回ばかりは仕方がないと受け入れた。
………てか待って、俺このままベッドで横になってたの? ダグバの格好のまま?
こう言うのって、意識が飛んだら元の姿に戻るものじゃないの?
(アカン、ファンにバレたら殺されそうな事をしてるぞ俺)
何せダグバはその存在からドの付くシリアスキャラ。某イマジンの赤鬼達の様なギャグ枠とは異なり、出てきただけで場を震撼させる圧倒的恐怖を司る恐るべき怪人なのだ。
それが、茫然自失だからとはいえダグバのまま布団被りながらスヤァってお前………やらかしが過ぎるだろ。
「………いや、そもそも俺ダグバじゃねぇし! グロンギでもねぇし! ゲゲルとか、殺戮とかするつもりも微塵もねぇし!」
堂々巡りの現実逃避を止めて、改めて鏡の前の
角だけでなく肩や腰巻き、背中のジャラジャラする奴、あの日テレビで見たダグバそのものが目の前にいるのは、受け入れざるを得ない事実だ。
避けようのない事実だと言うのなら、俺はこのダグバの力を十全に知り、使いこなさなくてはならない。
何せダグバはアルティメットになったクウガと比肩する膂力と仮定するのならば………パンチ力だけで80tもの衝撃を与えるガチの化物なのだ。
加減を誤れば撫でるだけで人をミンチにしてしまう。キックに至っては100t、人の形をした奴に持たせて良い力じゃねぇ。
そんな闇の力を持ったクウガと普通に殴り合うダグバ……同格ではあっても以下は有り得ない。
素のステータスだけでも充分化物なのだが………このダグバ、クウガと同様にヤベー能力も持ち合わせている。
それが、“モーフィングパワー”という反則能力。分かりやすく言うなら、質量保存の法則を度外視した物質の変換能力だ。
グロンギが普段人間の姿をして、人間社会に溶け込んでいるのもこの能力の応用だと思われる。他にも周囲の原子、分子を操って対象をプラズマ化させて発火させたりと、ダグバはこの能力を思う存分に行使し、3万人という未曾有の人的被害を生み出している。
クウガもこの能力を使って戦況や相手の怪人に合わせて武器を作ったり、その汎用性は広い。
そんなモーフィングパワーを使い、元の姿へ戻るのを試みる。
「こう言うのは、やっぱイメージを強く持つのが一番だよな」
と言うか、そういう手段しか思い付かない。一か八か、ダメもとでもやることにした俺は鏡の前で目を閉ざす。
(お願い! 元の人間に戻してくれ! このままじゃあ外に出られん!!)
眼を瞑り、普段の自分の姿をイメージしながら待つこと数分。ゆっくりと視界を開ける俺の眼に映ると、そこにはもう見慣れたパンピー顔、俺自身が立っていた。
「よ、よかったぁ……」
刺々しい部分や金ピカな装飾品も消え、服装もいつも通り。そんな自分がいることに俺は心底安堵した。
一生ダグバな姿のままなのかと内心脅えていた為に、この結果は素直に喜んだ。
同時に、俺がダグバの能力───少なくとも、並みのグロンギと同じ力を持つことの証明でもあるのだが……。
「今はそんな事はいい! それよりも先ずは昼飯だ」
安心し、緊張もほどけた事ですっかり空腹になっていた。買い貯めしておいたカップラーメンに手を伸ばし、俺は簡単な昼食をとることにした。
◇
「昨日の騒ぎは………何処にも載っていない。このご時世にそんな事有り得るのか?」
昼食後。カップラーメンを食べ終え、気持ち的に余裕が出てきた俺は、昨日の出来事について調べる為、携帯からネットの海で検索していた。
だが、どれだけ調べても昨晩の出来事はまるで書かれていない。あっても『○○にて小規模の火災が発生、周辺住民への避難勧告』みたいにちょっとした注意書きしか載せられていない。
やはり、あの出来事は夢? ………いや、違う。
「いる。ショッカー軍団は、間違いなく存在している」
疑惑ではなく、確信。あの日、あの時俺が受けた痛みと恐怖は、間違いなく実在したもの。だって、そうじゃなきゃ
恐らく、知らない間に俺はショッカーに連れ去られ、ダグバとなるように改造したのだろう。目的とかは知らん、ショッカーにダグバの複製が出来るのかと言われても知らん。
そんなのは専門家に聞け。いるのかは当然知らんが。
兎も角、俺がショッカーに要求する事は一つ。
「何とかして元の身体に戻して貰わないと!」
幾ら好きな怪人とは言え、それはあくまでテレビ越しの情景。実際に怪人なってもそれは最悪世界の敵になる事に他ならない。
そんな人生なんてお断りだ。白銀白斗はこの日から、元の人間に戻る事を目的にショッカーを探すことを決めた。
「なんか他に情報は………ん? なんだこれ? 『ショッカー強盗に仮面ライダーと電波人間タックル参戦!?』 …………愉快な人達もいたもんだ」
◇
「────流石に、闇雲に探しても手掛かりは得られない、かぁ」
ショッカーの手掛かりを探すべく、街に繰り出してあちこち探し回って見たものの、やはりと言うか当然と言うか、暗くなるまで探し回っても、ショッカー軍団の痕跡は影も形も見当たらなかった。
ネットで検索しても、出てくるのはパチもんによるショッカー強盗と、それを退治する仮面ライダー(お面)のおっさんとタックルのコスプレをした女性の乱闘騒ぎだけ。
俺を襲ったショッカーの戦闘員の集団は凡そ10人程、それだけの数の人間が街中で暴れたとあればニュースにもなりそうなものなのに、テレビもネットもその事に関する情報は何一つ出されてはいない。
連中の隠蔽工作はかなりのモノと見て良いだろう。それこそ社会に溶け込み、普段は人間として活動しているなら、その“表”の力を使って情報を隠蔽する等然したる苦労はしないだろう。
あくまでも仮定の話だが、もし事実だとするとこの世界に蔓延るショッカー軍団は相当な慎重派で、且つ厄介な組織になっているだろう。
それこそ、もしかしたら警察官僚にまで潜んでいるなら、最悪な場合連中は法律すら武器にして襲ってきそうだ。
「流石に其処までの規模は無いと思いたいけど………ショッカーだしなぁ」
他のライダー作品でも、ショッカー軍団は割かし無法な事をしていたりするし、有り得ないと言い切れないのが辛いところだ。
「腐ってても仕方ない。何としてもショッカーの情報を手に入れないと……それにしてもこのタックルの人、何処かで見たことあるような」
携帯の画面に映る女性のレイヤーさん、動画での動きや立派な恵体からして恐らくは格闘技の経験者だと思うが………何となく、俺は既視感を感じていた。
いかんいかん、鼻の下を伸ばしている場合ではないと、携帯をしまって今日はそろそろ切り上げようとした所に……。
「出たなショッカー!!」
「────え!?」
聞こえてきた怒声、その言葉の内容に瞠目した俺が見たモノは……。
大勢のショッカーを相手に大立ち回りをしている、複数人の男女がいた。
と言うか、その内二人は噂になっている仮面ライダーのオッサンとレイヤーさんだった。
◇
(いた! 怪人いた! 本当にいた!!)
男、東島丹三郎は目の前の存在にただただ歓喜していた。
夢に夢を重ね、寝ても覚めても夢見ていた光景、自身が仮面ライダーとして立ち、ショッカーを相手に戦う今日という日を、涙を流して歓喜していた。
苦節40年。バカにされても、貶されても、笑われても! それでも貫き続けてきた仮面ライダーへの憧憬、その想いが、その信念が、今! 真の意味で試されようとしていた。
渾身の力を込めて放ったライダーパンチ。2mを優に超える目の前の蜘蛛の怪人は、クックッと笑みを溢して立ち上がる。
「俺に尻餅を着かせたのは褒めてやる。認めよう、そして惜しい。お前程の男ならば良い怪人の素体になれたものを」
「え!?」
まさかの蜘蛛怪人の言葉に東島の顔が綻ぶ。仮面ライダーとはショッカーに改造された改造人間、唐突に降って湧いてきた可能性に東島はお面越しでも分かる程に喜悦に歪む。
しかし、この場にいるのは彼だけではない。
「ふざけるなー! なに自分だけ改造されようとしてんだ!!」
「僕も! 改造するなら僕もお願いします!!」
「ミツバ!?なに言ってんの!?」
後ろから騒ぎだすのは、自称仮面ライダーV3と自称ライダーマン。自分がいち早く改造されたいとギャーギャー喚く二人に東島はチッと舌を打つ。
「悪いが、勧誘はしていない────死ね」
そんな東島達に再び蜘蛛怪人の豪腕が奮われる。大人五人掛かりでも止められない怪人の一撃。
マトモに受けたら死ぬ。直感的に東島は防御の姿勢に入るが……。
「?」
「なにっ!?」
唐突に現れた白シャツの青年、東島よりも一回り細いその青年は大人五人掛かりでも止められない怪人の腕を、
「────お前は」
「よぉ、久し振り」
蜘蛛怪人も青年の登場に驚いている。誰だ? 東島も、他の面々も呆気に取られる中、目の前の二人の会話は続く。
「まさか、生きていたとはな」
「お陰さまで、元気ピンピンだよ」
アレ? なんか因縁があるっぽい? 二人の会話に何となく関係性を察した東島は何だか少しだけモヤッとした。
「俺が聞きたいのは一つだけ。ショッカー、お前達の拠点はドコだ」
「────答えないと言ったら?」
「ブッ潰す」
「やってみろ」
………何だろう、今ここで割って入ったらいけない気がする。東島も、自称V3もライダーマンも固唾を呑んで見守っている。
理屈はない。これから起きることを眼に焼き付けろと、彼等の
「ガァッ!」
奮われる蜘蛛怪人の豪腕、爪も鋭く、受ければ死は免れない本気の怪人の一撃を青年はまるで予知した様に避けて見せる。
蜘蛛怪人の攻撃をやり過ごした青年は、間合いを取ると両手を腹部に添える。
すると、彼の腹部から悪魔のような顔をしたバックルが浮かび上がる。
まさか、と誰もが思った。そしてそんな東島達の思いに応えるように、青年はあのポーズを取って見せた。
右手を前に、左手をバックルに添えて引き絞るように両手を動かし……。
「変身ッ!!」
変身。確かにその青年はそう口にした。
「お前もか! 揃いも揃ってバカな真似を!!」
怪人が迫る。握り締めたその手には、これ迄の手加減とは違う本気の殺意が込められている。受けては駄目だ、そう東島が叫ぶよりも早く、怪人は青年に腕を振り下ろし……。
防いだ。あの細身の青年が、当然の如く怪人の一撃を防いで見せた。
そして……。
「───お返しだ」
変わっていく。青年の、怪人の一撃を防いだ腕から順に、青年の体が変異していく。
その様子はまさに────変身。
返しの拳を怪人に見舞う。がら空きとなった脇腹目掛けて放たれた青年の一撃は、熊よりも大きい怪人の体を、空高く打ち上げて見せた。
「「「「「!?!?!?」」」」」
ショッカー相手に大立ち回りをしていた東島達も、その光景に唖然となっていた。
いや、誰よりも驚いているのは怪人の方だろう。抉れた脇腹を抑え、地を這うその姿、その三つの複眼には深々と恐怖が刻まれていた。
月明かりが彼を照らす。街の人々の喧騒も鳴りを潜め、ただ佇む彼に視線が向けられる。
そこにいるのは白と金。神々しくも何処かおぞましい、洗練された人型の怪人がそこにいた。
言葉がでない。何故、どうしてと混乱する思考が東島達から言葉を奪う。
だが、一つだけ言えることは……。
「さぁ、お前の罪を数えろ」
あ、コイツも仮面ライダー好きなんだ。東島達は少しだけ心が暖かくなった。
Episode02【見参】
Q.白銀白斗君って
A.天然だよ♡
Q.なんか主人公、性格変わってない?
A.グロンギの性分が少しだけマロビ出てますね(笑)
Q.東島達って平成ライダー知ってるの?
A.島村兄弟は知ってそう。
その辺りは自己解釈で。
次回【狡い!!】