受け入れ先は幻想郷   作:無意識倶楽部

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紅魔メインの話は出来ているのでサックサク進ませます…。


それではどうぞ。


第20話 紅龍の門番

side一進

 

 

 

「は〜い!とうちゃ〜く♪」

「…う〜む……やっぱり近づいても不気味さは一向に変わらんもんだな」

「そう?わたしは血の色みたいで好きだけどな〜紅魔館」

 

 ……そういやこいしちゃんって死体収集を趣味にしてたっけ…。

 

 だったらスマンこいしちゃん…。少し前に配色について散々センス悪いって心の中で罵ってたわ。

 

「そうかいそうかい、けど賛同はしないよ」

 

 ま、理由はどうであれ好みは人それぞれだから文句を言うつもりも無いんだけどね。

 

 さてさて、妖精達に会ったお陰でかなり時間が掛かってしまったが、やっとの事で湖を越えた俺達は紅魔館入り口前まで来ていた。

 

「「…………」」

 

 湖を挟んでも遠くから見えていた事もあり、目の前に広がる紅魔館はかなり大きな建物(地霊殿よりもやや大きいぐらいかな)となっている。

 

 周りからは『入り口まで来ているのなら早く入れ』と思われても仕方が無いのだが……俺は紅魔館に足を踏み入れる事を躊躇っていた。

 

 確かに俺は窓も少なく、怪しさ満点の館に入るのは極力避けたいんだが……別にここまで来たらそんな事は気にしないさ。

 

 

 俺が躊躇う理由、それは。

 

「Zzz〜Zzz」

 

 中華風の服で身を包んで腕を組み、紅い長髪を下ろしている女性が……。

 

「Zzz〜」

「「…………」」

 

 門の前で、とても気持ち良さそうに立ちながら寝てるんだなこれが……。

 

 う〜ん、入ろうにもこれはどうしたもんか…。

 

「さ、お進早く入ろ♪」

「え!?無視!?アレを!!!」

 

 たとえ気になるものがあっても我が道を行くこいしちゃん…流石です。

 

「ん〜、お進は初めて来たからそう感じると思うけど…むしろいつも通りだよ?ていうか起きてる方が珍しいし」

「そうなの?いや、それで納得しないが…。だったら何であの人はわざわざ外―――ていうか立ったまま寝てんの?」

「え?だって、門番が門の前にいるのは普通だよ?」

 

 ……ちょっと今こいしちゃんがトンデモ発言したように聞こえたけど……多分俺の聞き間違いだな!うん聞き間違いだそうに決まってる!

 

「そっかそっか。じゃあこいしちゃん?俺が間違ってるかもしれないから一応聞くけど……門番って寝てていい仕事じゃ無いよな?」

「あはは〜♪お進は何を言ってるの〜そんなの当たり前じゃん♪」

 

 ああ良かった。そうか、そうだよな……やっぱり俺の聞き間違いだったわ。そりゃあ門番が寝ていたら仕事にならんわけだからそんなの居るわけ無いよな。

 

「まぁ、あの妖怪は正真正銘門番だけどね」

「ザル警備か!!!」

 

 散々不気味な館だと思ってたのが今の所為で吹き飛びそうになったわ!

 

「うわっ!?も、もちろん起きてますよ!」

「あ〜あ、起こしちゃった」

「知らんわ!」

 

 そんな風に言われたって俺の中では彼女を起こしてしまった罪悪感なんて微塵も無いからな。

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

「いや〜それにしても驚きましたよ〜。一進さんを咲夜さん―――私の同僚なんですけど、その人と勘違いして寝ている私を起こしに来たのかと思いました」

 

 饒舌に喋る目の前の中華風の女性―――紅美鈴と言うらしいが、彼女は名前の通り中国辺り妖怪でさらに拳法をやってる上『気を使う程度の能力』を保持していて体内エネルギーやオーラを使ったり感じたり出来るんだと。

 

 何でそんな事を知っているかって?言っただろう、()()()()()って。

 

「酷いと思いませんか?咲夜さんって私が少〜し寝ていたらすぐに起こしてくるんですよ!」

「へぇ~」

「門番さんはいっつも寝てるけどね」

「日課のようにナイフを刺してきますからね!」

 

 え、何それコワイ。

 

 こいしちゃんの言葉で『それは寝てるのが悪いだろ』って思わず言おうとしたけど…まさかナイフとは……。でも日課って事はお前も大概サボってるって事だよな?

 

「それに私が寝てしまうのもしょうが無いと思いません?こんなにも平和な上暖かな日差しが凶器なんですよ。そうです私が悪いわけではありません…今日が陽気なのがいけないんです!」

「ありゃりゃ、開き直っちゃった」

 

 つっても本人が気にして無いなら良いんだろうけどさ、寝ていたら同僚にナイフで刺されるってどんな職場なんだよ……。

 

「まぁ、ナイフで刺されたぐらいでは私は頑丈ですので大丈夫なんですけどね」

 

 いや、さらっと言ったけど十分にそれもおかしいからな。頑丈の一言で済まされたら溜まったもんじゃない。

 

「そういえばどうして一進さんは紅魔館に来たんですか?言っちゃ何ですが紅魔館(ココ)って端から見ると悪趣味に見えますし、人里でも評判良く無い筈ですけど……ああ、悪趣味ってのは他の人には内緒にして下さいよ。私が怒られちゃいますから」

「え〜、良い趣味してると思うんだけどな〜」

 

 あ、良かった。俺以外にもこの館を悪趣味に思ってるのがいたんだ。こいしちゃんの例で俺が周りと違うのかと思いかけてたわ……。

 

 後、因みに俺については名前と人間である事ぐらいしか言ってないんだぞ?それにも関わらずこのコミュニケーション能力には脱帽する…。

 

 つーか美鈴ってホントに妖怪なんだよな?やけに人間味があるっていうか……人間と妖怪を差別しないっていうか。

 

「どうして来たって言われてもな、俺はそっちの当主に呼ばれてるって聞いたから来たんだけど」

「あれ?そうなんですか?私はレミリアお嬢様からそんな事言われ―――あ!」

 

 突然に何かを思い出したかのように美鈴は大きな声を上げる。

 

「一進さんってレミリアお嬢様が八雲紫に頼んでいらっしゃった外界の人間!?」

「ん、ああ多分そうだよ」

 

 そういえば紫さんもレミリアさんってのに頼まれてたって言ってたっけ。

 

 …つーか美鈴よ、急にあたふたし出してどうした?

 

「o(>_< *)(* >_<)o 」ジタバタ

 

 こいしちゃんも暇だからって後ろで真似せんでいいって。

 

「(…まさかこの人がレミリアお嬢様のお客様だったなんて…。気づかなかったとはいえやはり馴れ馴れしく接しすぎたような気がします…私怒られたりしませんよね?」

「いや、それは知らんけど」

「え?…私、声出してました?」

「ああ、がっつり」

 

 途中からだけど平然と心の声が漏れ出てたよ…。俺は頷きながら美鈴の質問に答える。

 

「……お」

「お?」

「お願いです一進さん!!館内の人達には私が失礼な事を仕出かしたのをどうか…どうか内密にして下さい!!」

「うわっ!?」

 

 なんて言って美鈴は俺の肩を掴んで前後にガックンガックン揺らしてくるでわないか……。

 

「待て!本気で待て!!」

 

 こいつ力強すぎねぇ!?し、視界が……強制的に上下に揺さぶられる……。そんな勢いで脳みそシェイクされてたらホントに首が逝く!!!

 

「分かった!分かったから落ち着け美鈴!」

「ヒィー!咲夜さんにまたお仕置きされるー!!」

「人の話を聞かんかいコラぁ!!」

 

 お前もか!お前も人の話を聞かないタイプか!!

 

 チルノちゃんもそうだったけど幻想郷(ココ)は人の話聞かないやつ多すぎだろ!?

 

「おい美鈴!秘密にするから手を放し―――強ぇって!!」

 

 あ、ヤベェ。これ力尽くでも振り解け…振りほどけ……ないわ……。

 

 ……意識が……。

 

「ねぇ!!門番さん!」

「ふぁい!?」

 

 するとこいしちゃんの声に驚いたのか、美鈴はピタッと止まり俺から手を放す。

 

 何でこいしちゃんの声は聞こえたのか分からないけど、取り敢えず解放された事に安堵して蹲り頭を押さえる。

 

 ふおぉぉ〜、気持ち悪り〜…視界がグワングワンしてるよ……。

 

「……助かったよこいしちゃん。もう少し遅かったら久々に気絶するとこだったわ……」

 

 欲を言えばもう少し早く助けて欲しかったなって。

 

「うん♪それより大丈夫だった?」

「ああ、なんとかな」

 

 頭振られた所為で吐き気を催したけど……意地でもそれはやってたまるか。無理でも我慢してやる!

 

「申し訳ありません一進さん!私焦ってしまい思わず!!」

「あ〜、別にいいよ。気にして―――無くは無いけど悲しい事にこういうのに慣れているから」

 

 主に人の話を聞かないやつやワガママが多いやつが知り合いにいる所為でな。

 

「え!?」

 

 俺の内心を理解したのであろうかこいしちゃんが反応する。

 

 そんな不安そうに見てこなくても大丈夫だよ。大部分はこいしちゃんの事じゃ無いから。

 

「あの〜」

「? どうした?」

 

 俺がこいしちゃんの頭を撫でていると…まだ俺に対して罪悪感があるのか、美鈴が少し控えめに問いかけてくる。

 

「そちらの妖怪の方はお知り合いでしょうか?」

「はぁ?そうだけど…」

 

 一体美鈴は何を言ってるんだ?俺は来た時からずっとこいしちゃんと一緒に居たではないか。

 

 まさか気づかなかったわけじゃあるまいし……それを今更知り合いかどうかなんて…………ん?

 

 ()()()()()()()

 

 そういえば、美鈴って一度でも良いからこいしちゃんに話を振ってたか?いや、おそらくだけどそれは無い。

 

 そしてトドメに『お願いです一進さん!館内の人達には私が失礼な事を仕出かしたのをどうか…どうか内密にして下さい!』と言っている。

 

 そう。『お願いです()()()()!』と言っているのだ。

 

 いくら美鈴が焦っていたとしても、口止めをしたいんだったら普通は聞いたやつ全員にしなきゃいけないだろう。

 

 だからつまりだ……。

 

「また、無意識を操っていたと」

「えへへ〜♪つい癖で♪」

 

 そんな癖聞いたこと無いけどな。まぁ、でもこれで納得出来たわ。

 

 美鈴がこんな事言うのも、こいしちゃんの声で美鈴が止まったのも説明出来るようになる。

 

 こいしちゃんに気づかなかった事は説明不要として、美鈴が止まったのは美鈴の能力によるものだろう。

 

 要するに、彼女はこいしちゃんの声に驚いたわけでは無く、『気を使う程度の能力』でいきなりすぐ近くに現れて感じ取れるようになったこいしちゃんの気に驚いたってわけだ。

 

 けどまぁ…人の話を聞かないのも、寝ているのも決して褒められた事では無いが、常に自分の守る紅魔館に何かが来ていないか能力を張り巡らせているなんてな…思っていたより仕事をしていた事に驚いたよ。

 

「ふふっ、何だよ。気が緩んでそうに見えて実は美鈴は真面目キャラだったのかよ」

「いや〜そんな事を言われると嬉しいんですが…実のところ私は眠気が優っている時はいつ誰に侵入されたか〜なんて把握してても問題無さそうなら止めて無いんですよ」

「へぇ、そうなの美鈴」

「はい。館内には私より怖い方が居るので何回かやってますけど一度も大事になった事も無いですから」

 

 ……。

 

 …なぁ美鈴、ちょっと問いたいが…お前本当に気で気づいているのか?

 

「それなら貴女は門番として役に立たない訳ね」

「そんな〜酷いですよ一進さん〜」

 

 あ、確定したわ。絶対にこいつ今のこの状況に気づいてない。

 

「……美鈴、悪いけど俺は何も言ってないぞ…」

「え?」

 

 呆けている美鈴を他所に俺は門の内側にいる銀髪メイドに指を向ける。するとどうだろう、美鈴の顔色がみるみる悪くなっていくではないか。

 

「えっ!?咲夜さん!?」

「それじゃ美鈴元気でね。私はお嬢様に貴女の解雇申請を出してくるわ」

「待って下さい!!行動に迷いが無さすぎ……って咲夜さん止まって!?咲夜さぁん!!!」

 

 大慌てで門をガッシャンガッシャンさせてるけどお相手さんは全く意に介さず…。まぁ身から出た錆だ、解決は自分で頑張ってくれ。

 

「ね!面白いところでしょう♪」

「どっちかっていうと呆れたよ……」

 

 どうでも良いけど、何時になったら俺達は中に入れるのだろうかね?

 

 

 




レミ公とフラン嬢が全ッ然出ないまま色々と顔合わせばっかしてるから一段落着いたらキャラのやり取り掘り下げようかなと。


それではまた次回。
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