受け入れ先は幻想郷   作:無意識倶楽部

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新章突入!!
ありがたいことに思った以上に応援して頂いているのでちょこちょこ投げようかなと。


それではどうぞ。


episode3~目粉しい日常の中で
第29話 各々の評価


 

sideレミリア

 

 

 

「――という訳で、お前はスキマ()から暫くの間休息を与えられた」

「ふーん、暫くの間ね…。つーことは何?この間に幻想郷の見学でもして来いって事か?」

「知らん。…が、地底で起こった異変の後始末も終わったらしいから地底の奴らを含めて宴会をするって話だ」

「ほうほう」

 

 ………ふーーむ。

 

 こうやって油断しきった顔で私に頷き返しているのを見ているとやはり違和感を覚える。

 

 …何故だろう…どうにもこうして対面していると一進は全く強そうには見えない……。私を相手にあれだけ大立ち回りをしたというのに。

 

 ハァ……全く…。

 

「それでその宴会が紅魔館(ココ)で行われるからそれまでウチで自由にしていってくれ」

「へ〜い。…ってかこいしちゃん共々厄介になって良いのか?」

「ああ、遠慮は要らない」

 

 仮にもお前は私達姉妹を救ってくれたからな。そんな恩人に礼も出来なければ紅魔館の主の沽券に関わる…。

 

 ……関わるのだから…。

 

「あ〜その…一進あのな…」

「? 何ぞ…?」

「だからさ……その〜…な?」

 

『倒れてまで貴女達の仲を修復したんだから…感謝の一つでも言っておきなさいよ』

 

『いくら私共から感謝したところでそれは……やはり本人から伝えるのが礼儀かと…』

 

 ……パチェと咲夜の言う通りなんだろうけど…今更面と向かって言うのもなんだかな。

 

『ありがとう!一進のお陰でお姉様や、みんなと仲良くなれたよ♪』

 

 いやいや、フランだって言ってるんだから私が出来ないとか恥ずかしいとか言ってられないだろ!

 

「…一進…此度は本当に助か—「どうすんだろ…」――は?」

 

 くっ!またか!?またなのか!?

 

 折角私が礼を述べようとしてるのにいつもいつもなんてタイミングで口を開くんだお前は!!

 

「いや、は?って言われてもよ…地底と地上の妖怪は行き来出来ないんだろ?だったらさとりちゃん達は紫さんがなんとかするのかなぁ?って」

「…地上と地底の不干渉条約の事か?」

 

 ええい、どうせスキマが好き勝手にするんだから今はそんな事どうだっていいだろう!!全く…お陰で私はもう一度………ん?

 

………………。

 

「……ちょっと待て…地底…さとりちゃん…って古明地さとりの事か?」

 

 さとり……。さとりっていったらその名前はパチェと一緒に文屋の新聞で見たような気がするんだが…。確か地底に住む妖怪の主とかなんとか……。

 

 だけど何でその名前をこいつが?

 

「ああ、紫さんが初っ端に地底に落としてくれてさ。そん時にお世話になったんだよ」

「…………」

「初めての幻想郷で、右も左も分からない俺を歓迎してくれた人でな」

 

 ……初っ端に地底に落とされた?初めての幻想郷?

 

 オイ待て!!という事はもしや!

 

「…なぁ一進。お前は幻想郷に来てからどれぐらい経った?」

 

 スキマが一進を連れて来るのにアレだけ掛かったのは…。

 

「さぁ?地底に居たから感覚的に分かり辛いけど…そーだな…一ヶ月ぐらいは普通にいってるんじゃね?」

「…………」

 

 …フフッ…フフフフ。

 

「んで?それがどうしたレミリア?」

「……」

 

 何だそういう事か…通りで人間一人連れて来るのにやけに時間が掛かったかと思えば……。

 

「……聞いてねぇなこいつ…。んじゃ宴会まで世話になるぞ〜」

 

 スキマぁ!!!私が頭まで下げたというのにお前完ッ全に忘れていたなァ!?

 

 

 

 

 

フランside

 

 

 

「それでさ〜レミリアが俺に礼を言おうと頑張ってんだよ」

「も〜お進!素直に聞いてあげなよ、面白がって何度も遮ってたら可哀想じゃん」

「だが断る。やりたくてやってたとはいえ、あん時のレミリアの攻撃はマジでシャレになって無かったからな…」

 

 笑いながらこいしちゃんと喋ってるのは…藤代一進。

 

 私は今まで紅魔館で必要とされて無いと思ってたけど…それは間違いだって正してくれたのが一進だった。

 

 気が触れる私を少しも嫌がりはせず…自分の身を危険に晒してまで救ってくれた…。

 

 だから一進は、何も見えなくて…閉ざされてた筈の私を救い出してくれた恩人で、そして新たな道を示してくれた大切な人なの。

 

「ねぇ一進はさ、お姉様やパチュリーから一進って呼ばれてるよね?」

「ん?まぁそうだな…パチェさんは兎も角レミリアからはお前だの貴様だの言われてたけどなぁ。それが今やたどたどしいお子様吸血鬼に変貌よ」

「それは仕方ないんじゃない?演技とはいえお進は悪役になってたんだから」

「…そーさな」

 

 あ〜、そう言えばお姉様は恥ずかしがって、まだちゃんとお礼すら言えないんだったね…。

 

 まぁそんな事は置いといて……私もお姉様やパチュリーと同じじゃ味気無いから…やっぱりこうやって呼んだ方がいいのかな?

 

「それなら私はお兄様って呼ぶね♪」

「what?」

「ちょっと!?フランちゃんそれは——」

「え、お姉様は『何時でも私を頼りなさい。私は貴女の姉なんだから』って言ってたよ?だったら頼りになるお兄様(一進)は、お兄様って呼んでもいいんじゃないの?」

「それは……ええっと…」

 

 …? 変なの。大切な人なんだから別にいいと思うんだけどな…。こいしちゃんも急に慌ててどうしたんだろ?

 

「…何だろう、論点が違うんだけど何故か否定出来ない…」

「…I will be brother of Fran Maybe…In that case my name is IssinScarlet」*1

「お進…焦ってるのは伝わるけど焦りすぎて言語変わってるよ……」

「You're marrying my big sis?」*2

「え!?フランちゃんも乗らなくていいよ!」

「No thanks Having two such cute little sisters is enough for me」*3

「あぁ…もう当たり前のように当主まで妹にしちゃってるし……まあ別にいっか」

「よろしくね!お兄様♪」

 

 お兄様もお姉様も、こいしちゃんも咲夜も美鈴もパチュリーもこあも…みんなみんなだーい好き♪

 

 

 

 

 

sideパチュリー

 

 

 

「こあ〜!A区画の72番の棚から初級魔導書をいくつか持ってきて〜」

「――はーいただいま!」

 

 ハァ、初級の魔導書を手に取るのなんて何時ぶりかしらね。

 

 …そろそろ次のステップに進みたいのだけど……。

 

「だー分っかんねぇ!!ホントに俺ん中に魔力なんてあんのかよ!?」

「だ〜か〜ら〜、集中したらボワ〜ってしたエネルギーみたいのが自分の中にあるからそれを身体にジワジワ巡らせて!」

「フランもこいしちゃんと一緒か!!フィーリングで言われても意味分からんって!」

 

 彼とフランの会話を聞いていると頭が痛くなってくる…。まさか最初っから(つまず)くなんて思ってもいなかったわ…。

 

 こあの勘違いだったのかしらね……彼が魔導書が読んでいたと言うから魔法の適性があると思ったのだけれど。

 

「お持ちしましたパチュリー様!……それで如何です?一進さんの魔力の方は」

「全然ダメね…、フランはあっさり自覚出来たっていうのに彼は初歩以前の話よ」

 

 見た限りでは集中力が無い訳じゃ無さそうなんだけどね…。

 

 自分で言うのもなんだけど…、私は生まれた時から魔法の才能があった。だから物心ついた時には魔力なんて常に身近に感じていたのよ。

 

 そういう訳で魔法の教え方は兎も角魔力の感じ方なんて私は知らない…。

 

「くふふ…」

「?どうしたのよ?」

 

 ふと気付くと、こあが下卑た笑みを浮かべて私と苦悩の声を上げている一進を見比べている。

 

「いや〜だってパチュリー様は何かと文句言っておきながらも、一進さんの為に初期の魔法について調べてるじゃないですか」

「……そういえばそうね」

 

 言われて気付いたけど…私だって自分の研究があるのだから、それをほっといてまで一進にここまで時間を費やす必要も無いのよね。

 

「基本的に魔女は自分達にメリットが無いと動かない筈です!そんなパチュリー様が他の人の為に動くなんてもはや感動ですよ!!」

「普段貴女が私をどのような目で見てるかはっきりと分かったけど……この際それは置いときましょう。……それで?」

 

 全く…確かに私は必要最低限にしか行動しないけど…、普通使い魔がそこまで言うかしら?

 

「ンフフフ、メリットデメリット関係無く人の為に動きたい!そんな気持ちがあるという事はコレはもうズバリ恋ですよッ!!」

「……下らないわね。レミィ達が世話になったから私なりの恩返しのつもりよ。まぁ、本音を言ったら魔法に精通する者が増えれば新たな議論を見つけられるかもってだけよ」

 

 こあがはしゃいでる様だけどコレは本当の事よ、いくら幻想郷が無くしたモノが集う場所といっても現状魔法の関係者が少ないからね。

 それにたとえ魔法が未熟だとしても観点の違いから新たな発見があるのだし。

 

 って言ってもアリスならいざ知らず魔理沙みたいなのが沢山居ても困るだけなのだけど…。

 

「ちっちっち、嘘はいけませんよパチュリー様〜。そんな事言っといて実は一進さんに気があるんじゃないんですか〜?」

「…バカ言ってないでいいから次の持って来なさい。…あの様子だとフランだけ次のステップに進ませた方が効率いいわ」

「…ちぇ……折角面白くなりそうだったのに…」

「早く行きなさい」

「はーい今行きまーす」

 

 ……さて、こあが帰って来るまでに魔力を見つけられればいいんだけど…。

 

 

 

 

 

side小悪魔

 

 

 

 ふ〜むパチュリー様も素直じゃ無いですね〜。口ではあ〜んな事言ってますがアレは絶対に気があると思いま――。

 

「ねぇ?」

「こあッ!?……ってこいしさんですか、脅かさないで下さいよ」

 

 ビックリしました〜、いきなり表れるんですから一瞬変な声が出てしまいましたよ。

 

 ……そういえばいつも一進さんと一緒に居ると思ってましたが先程から姿が見られなかったですね。

 

「え〜とそれで…何の用ですか?」

 

 私もパチュリー様から頼まれ事を受けてますが…まぁ客人が優先ですよね?

 

「んーとね〜、ココの図書館って外の本もいっぱいあるでしょ?だから料理の本があればいいんだけど……」

「はぁ…料理の本ですか…。大体ですが何処にあるかは見当はついてますよ?」

「ホント!?じゃあ教えて!何処にあるの!」

「ふふふっ、慌てなくてもちゃんと案内しますよ」

 

 フラン様もそうですけど…やっぱり小さな子に喜んでもらうと嬉しいですね。こちらも元気が出てくるような気がします♪

 

 ……紅魔館って職場に不満は無いんですけどいかんせん癒しが少ないんですよ…。私ってなんだかんだ立場が一番低いですから(妖精メイドは居ますがあの子達を含んだら負けな気がします)使いっ走りがしょっちゅうですし…。

 

「それでは着いて来て下さい」

「うん♪」

 

 

 

 

 

 

 

「それで?料理の本が見たいという事は…こいしさんは料理をするのが好きなんですか?」

「ん?ん〜ん、やった事も無いよ」

 

 えっ!料理をやった事が無い!

 

 ……なんて驚きましたが、別に妖怪なら必ず調理を必要とする訳では無いですからね。それに暮らしによってはレミリア様、フラン様同様ならば作った事が無くても頷けます。

 

「すみませんが案内する所はレシピや工程が載ってる本ですよ?流石に品の絵だけが並んでるものは無いかと…」

「わたしそこまで食いしんぼじゃないよ!?いつかお進に作ってあげる為なんだから!!」

 

 ははっ…そりゃそうですよね。流石に料理の本って言われて絵だけを求めている者は……ってええ!?一進さんに!?

 

「は〜…優しいんですねこいしさんは、一進さんの為に手料理ですか」

「いや〜、実際はわたしも魔法が分かってたらそっちに行ったんだけど…何書いてあるかさっぱり読めなかったもん」

「それは仕方が無いですよ、魔法なんて元々適性があるか魔導に身を染めるかしない限りは使えませんから。それに紅魔館でも美鈴さんと咲夜さんは読めませんよ」

 

 と言っても普通は適性のある者に限られてくるんですがね。…無理に魔力を当てられる事によって開かれる者も居ますがそんなのは極僅かです。…当てられて尚開かなかった者達は察して下さい。

 

 そんな訳で魔法使いに至るまでには先ず自分の魔力が分かる事、制御出来る事が必要なんです。果たして一進さんは大丈夫ですかね~。

 

「それではこの辺りの棚が料理となっています。因みに案内しといてなんですが…咲夜さんが時間のある時にお願いしてみるのもいいと思いますよ?」

 

 生憎私は料理が出来ない訳ではありませんが、人に教えられる程上手くも無いもので……。

 

 それに比べて咲夜さんはこいしさんも食べた通り一流の腕ですからね、教わる相手には十分過ぎる人でしょう。

 

「う〜ん…それもいいんだけど〜。お進は一人で頑張ってるからさ、一先ずわたしも自分で頑張ってみようかなって♪」

 

 …一人で頑張ってるって言っても、ただ単純に現状こちらは手の貸しようが無いだけなんですけどね…。

 

「…そうですか。それでは頑張って下さい」

「うん♪」

 

 さて、あまり遅くなってもパチュリー様に小言を言われるので少し急ぎましょうか。

 

 

 

 

 いくら魔法の才能があっても所詮はピンキリです。

 

 だから、より高みを目指すのであれば魔道具や環境によって後発的に魔力に慣れるしかありません。

 

「それにしても一進さんはおかしいですよね〜…普通魔導書が読めたら少なからず魔力を持ってる筈なんですが……」

 

 些か不安になってきました…。偶然にも一進さんが魔導書を開いてそれっぽい事言ってましたから慌ててパチュリー様の下にお連れしたんですが…やはりちゃんと確認を取るべきでしたかね……。

 

「おや?」

 

 っとそういえばここら辺で一進さんが魔導書を読んでいたのを見つけたんでしたね、こうやって魔導書開いて炎やら風やら……ってあれ?

 

「……ココに置いてあるのって私が持って来た魔界の魔導書じゃないですか…」

 

 顔を上げると、そこには棚に広がる普通の魔導書とは危険度が格段に違う魔界の魔導書の数々。

 

 あれあれッ?魔界の本っていくら魔法に精通してても文字を知らなきゃ読めなかったような……。

 

 …いや、だけどパチュリー様はお会いした当時から読めてましたし私の覚え違いでしょうか?私は初めから読めますし…ん〜?まぁ別にどっちでもいいですね。

 

 

 

 

「こあ~!!!」

 

 

「あ、はーいすぐ持って行きますー!」

 

 ヤバいヤバい、懐かしい物を読んでたら思ったより時間が……!急がないとパチュリー様に怒られてしまいます!

 

 

 

*1
『フランの兄だったら俺は一進・スカーレットになるやんね』

*2
『じゃあお姉様と結婚するの?』

*3
『勘弁してちょ。かわいいお姫様が2人も出来るだけで十分だね』




途中にあった英会話はそれっぽい単語並べた後に削ってフランクにしまくった所為で間違っているような気がするの…恥ずかしいので調べないでください。


それではまた次回。

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