受け入れ先は幻想郷   作:無意識倶楽部

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気付けば嬉しい事にお気に入りして下さった方が50名を超えていました!!こんな稚拙な作品にありがとうございます!!!引き続き楽しんで頂けるよう努力します!


それではどうぞ。


第47話 生殺与奪の権利

 

 

side魔理沙

 

 

 

「ったく、なんだよ紫のやつ…」

 

 そんな文句を口先からこぼしながらも…現在私は日が完全に落ちた為真っ暗になってしまった魔法の森の中をせっせと自宅に向かって飛んでいるところである。

 

 こんな状況になってしまったってのも概ね紫が悪いと言っていいほどだろう。

 

「はぁ~あ…紅魔館にそのまま泊まり込む流れだったのに紫の所為でオシャカになっちまったぜ」

 

 まぁなにも子供みたくお泊り会に胸を躍らせていた訳じゃ無いんだぜ。ただパチュリーの新しい複合魔法の討論が長引いたから『じゃあこのまま……』ってなってたのによ~。

 

『これからは一進との接触を禁止とするわ』

 

 突然やって来た紫が夜分に館の全員を集めたかと思ったらいきなりこれだぜ?

 

「そりゃ開幕でそんな事言われたってこっちには疑問しか浮かばないっての」

 

 まぁ、問いただしたらなんでも…一進が何者かに襲われて永遠亭を頼らざる得ないぐらいの状態になったらしいけどな。

 

 そしてそれを聞いたこいしとフランが館を飛び出そうとするわで抑えるのが大変だったんだぞ……。

 

 ……紫はこいしを親の仇みたいに見てるもんだからマジで焦ったし。

 

 そんで、結局こいしとフラン(二人)を落ち着かせる為に館内が慌ただしくなったから私はお(いとま)してきたって訳だな。

 

「すまんなパチュリー。文句はすぐに姿を消した元凶()に言ってくれ」

 

 揃って説得をしていたレミリアと咲夜にも罪悪感を覚えない事は無いが…周りに当たり散らしてるあの二人が静まるまで待とうなんて体力は私には残って無いぜ。私は私でやる事が出来たからな。

 

「それにそれ程までに二人の暴れっぷりが凄まじいってのもあったけどな」

 

 こいしが紫の話を聞かずに永遠亭に向かおうとした瞬間に紫のやつがえげつない怒気を放ちやがるし。それにいち早く動いたレミリアが反射的にこいしを押さえつけたんだが…こいしもこいしでそれを力任せに振り(ほど)くって事までしてたからな。

 

 あんだけキレた紫を見たのも………結構最近あったな。バカな理由で地震起こしてキレられてたやつが居たわ。って言っても……。

 

「…一番身近に居たようだし、あいつ(こいし)のダメージも相当なのは確かだよな…」

 

 宴会では一進にベッタリだったから好意を持ってたのも丸分かりだったし…。

 

「ん~そうなるとやっぱり解せねぇのは紫の采配なんだよなぁ…」

 

 この際だから言うけどよ…一進が大怪我をしたってのならこいしが見舞いに行こうとするのも当たり前じゃねぇか?

 

 だけどそれを禁止にした真意もイマイチ掴めないし…。

 

 …………。

 

 

「…しゃ~ねぇな。やっぱ私が行くか……」

 

 こいしとフランが暴れる程行きたがってたけど紫相手じゃ流石に無理があるしな…。

 

 それでもあの二人なら別に行けん事も無いと思うんだが…地霊殿と紅魔館(身内の方)に紫からの圧力が掛かったらマズイだろ。

 

「ま、その点フリーの私なら比較的自由が利くからな」

 

 誰に許可を取る必要だって無いし行動の全ては私の一存で決められる。

 

 危険が少ない訳じゃ無いが…そのぐらいのスリルだって私は楽しんでやるぜ。

 

「んじゃ、思い立ったが吉日だし明日にでも顔出すとするかな…」

 

 思い立ったが吉日だったら今から行くべきじゃないのかって思うけど私は休むぜ。…既に日だって落ちてるし私だってパチュリーとのやり取りで疲れてるんだ。今夜ぐらいゆっくりさせて貰うぜ!

 

 それに最悪現地(永遠亭)に行かなくても人里で張り込んでりゃ薬置きに来てる鈴仙にでも会えるだろうし、一進の事はそこで聞いても……は?

 

「――はぁ!?」

 

 目で見てから納得するまで少しばかりかかったけど…やっとの事で目の前の惨状に意識が追いつく。

 

「…ん?んん〜?妖怪の仕業…か?」

 

 考え事ばかりしていた所為で気が付くのに少し時間が掛かってしまったが、どういうわけかここら一帯の木が大規模な伐採をされたかのように幹の途中から寸断されていた。

 

「……やっべぇなこりゃ」

 

 状況を見るにかなりの強さを持った妖怪が居てもおかしくない…が、そんなやつの発生は感じてない。それに流石にこれほどまでに森の一部が荒れてるなら気づける筈だよな…。

 

 だけど私の記憶だとここ最近こんな事があったのは知らないし……って!

 

「ここってアリスの家の近くじゃねぇか!?」

 

 森の風景が変わり過ぎていて若干怪しいが…確かこっちの方向に行けばアリスの家がある筈だろ!

 

「…おいおいおい…一体どういう事なんだぜ!?」

 

 あたりを見やればアリスの家に向かう程そこかしこに傷があったりへし折れてる木々が増える。地面にはそんな木々から落ちて来たであろう葉のついた枝が散乱していた。

 

 私は一抹の不安を抱えてより一層暗くなった森の中を飛ぶ。

 

 視界の悪い中記憶頼りに加速を続けアリスの家に向かって急ぐ。

 

 

 ……すると、

 

「…何…でだよ……」

 

 周囲は土壌から引っ繰り返したような荒れ果て方…整えられていた庭先も見るも無惨に変貌していた。

 

「今朝来た時は何事も無くあったじゃねぇかよ!!」

 

 今朝方にも訪れた友人の家…それが今では倒壊しかかっていた。

 

「崩れてたりはしないようだけど思いっきり穴空いてるし外壁なんてボロボロじゃねぇか。おいアリスッ!!居るのか!?」

 

 私がアリスを紅魔館に誘う為に立ち寄ったのが朝方で…今は大体日付が変わる頃…。

 

「…クッソ……」

 

 って事は一日経たずにこれだってか!一体何だってこんな事になってんだ—「シャンハーイ!」

 

「アリスの…人形か!」

 

 私の呼び掛けに反応してか、アリスの家から飛び出して来たのは一体の上海人形。

 

 ふよふよと私の下まで飛んで来たその人形を手に取り少し待つが…肝心である本人の方は一切姿を現さない…。

 

 

 …………。

 

 

 アリスが私を驚かそうとしてるんだったらそれは大成功だろう。

 

 しかしあのアリスがそんなバカな事をする筈無いだろうからおそらくはこの惨状を生み出すだけの力を持つ者が居ると考えるのが妥当…。

 

 ……フ~、ならしょうがないか。

 

「…何が潜んでるかも分からないんだ…ギリギリで残ってる家が吹き飛んでも文句は言うなよ」

 

 私は自らを鼓舞してミニ八卦炉を構える。そして恐る恐るアリスの家へと近づき―『やめなさいよ』「はぅ!?」

 

 そんな張りつめた緊張感を引きちぎるが如く唐突に響いたアリスの声。

 

 ビ…ビビったぁ~、こんな状況なんだから脅かすのはマジで禁止だと思うんだが…。

 

「…んだよ。居るんだったらさっさと声をかけろっつーの」

『悪いわね、私はそっちの状況が分からないのよ』

 

 はいはい。まぁ私を脅かしたくて脅かした訳じゃ無さそうだから別にいいんだけどよ…。

 

「で、何時までアリスは隠れてる気なんだぜ?もう十分驚かせて貰ったから早めにこの惨状についてご教授願いたいんだが」

『何言ってんのよ?』

 

 ん?いや、何言ってんのよって言われても私は何で魔法の森が荒れてんのか知らないから教えて貰いたいだけで……って…私はそっちの状況が分からない?

 

『…先に伝えたい事がいくつかあるからちゃんと聞きなさいよ』

「うわッ!?人形が喋ってる!?」

 

 辺りを見回してもアリスの姿は無くこの場に居るのは私とアリスの人形だけ…。

 

 そしてよくよく見てみたら聞こえてくる声と同じように口を動かしていたのはこの人形だった。

 

『気付いて無かったのね……。発声自体は出来ないからその子を伝って魔法で音を届けているだけよ』

 

 私の手の中から見上げてくる人形が流暢に口パクしているのを見てると…魔法の凄さと共に若干の不気味さも感じる。

 

『もう時間が無いから簡潔に言うわね…。そっちに長い猶予を作るからその間に一進を連れて幽香に会いなさい』

「は?一進?そして何で幽香が出てくんだ?だいたいお前は今どこに居んだよ」

 

 一進っつっても…守るつもりも無かったが私は私で紫からあいつとの接触を禁じられてるしよ。それに時間が無い?しかも何が猶予を作るだよ…つーかそもそもアリスは何で一進を知ってるんだ?

 

『…………』

「…アリス?」

 

 そんな私の疑問を余所にアリス(上海人形)は口を閉ざしてしまった。

 

 

 …………。

 

 

「…あ~もう!!どいつもこいつも意味の分かんねぇ言葉だけ残していきやが―『……魔理沙は…私との約束を覚えているわね?』…ッ!!」

 

『…そういう事よ』

 

 その一言で私の中で疑問だらけだった事柄が次々に結ばれていく。

 

 

 ……ああ…。

 

 …成程な…。

 だから紫は接触を禁じたのか…。

 

 だから一進には魔法の素養があったのか…。

 

 だからアリスは一進を知ってるのか…。

 

「ははッ…マジかよ…」

 

 私の出した小さな声は誰にも気づかれる事無く、宵闇の森の中に溶けるように消えていった。

 

 

 過去に私とアリスの間に結ばれた約束。

 

 

 

 それは――。

 

 

 

 

 

 

sideアリス

 

 

 

 

「…ふぅ…一先ずは魔理沙に伝える事が出来たわね」

 

 上海に残してきた魔力も既に切れてしまったけど…現状で最善の行動をとれた事に安心して私は一旦息をつく…。

 

「向こうは向こうで惨状がどうのこうの言っていたけど、多分私と夢子が森に与えた被害の事を言っているのかしら」

 

 そう言いながら私は魔法の森で引き起こした夢子とのとある出来事を思い返す……。

 

 

 

 

 

『ここで私が…貴女を止める事さえ出来れば解決する事よッ!!』

『本気みたいね。…やめなさいアリス、貴女まで無理に首を突っ込む事じゃ無いわよ』

 

 軽く首を振った夢子は私を諦めさせようと諭してくる。

 

 おそらく私の目を見た事で私の持つ覚悟がどれ程のものかを感じ取っている筈だが…それでも尚諦めろと私の事を諭そうとしてくる。

 

『下手に貴女に傷を付けたら神綺様が悲しむもの』

 

 私は守る対象であるが…一進がそれに含まれる事は無い。

 

 その言葉で…ついに私の心は決壊してしまった。

 

『…………オーダードールズ』

 

 私の持つ人形達を展開して急速に夢子を包囲していく。

 

『貴女の領域とは言え夥しい数の人形ね……流石に家の中じゃ狭いわよ』

『なら吹き飛ばしてあげるわッ!!《ドールズウォー》!!』

『へぇ…!』

 

 自宅が壊れる事を顧みない程の一撃を決行する事で夢子を外まで吹き飛ばす事に成功する。

 

 そしてその際に家の中に上海を忍ばせていたのだけど…そのお陰でちゃんと魔理沙に伝える事は伝えられたから良かったわ。

 

 まぁ後はそのまま私が夢子に勝てる訳無くなし崩し的に気絶させられたのよ。

 

 で、今は魔界まで連れ帰られて軽い軟禁状態になっているってわけ。

 

 

 コンコン

 

 

「……入っていいわよ」

 

 そんな事を考えているとノック音が響き渡る。

 

 魔界に建っている私の家……否、母さんの家で共に住んでいるのは私を含め三人。

 

「漸く目を覚ましたのね。元気になったみたいでよかったわ」

 

 母さんはノックをする筈無いので誰が来たかなんて見なくても分かる。

 

「お陰様で。だから早く幻想郷に帰してほしいのだけど」

「そうせっかちな事言わないでよ。久々の里帰りとでも思って神綺様にも会ってあげて」

 

 ……やっぱり幻想郷には帰れないか…。

 

 部屋に入って来た夢子に自分の旨を伝えても返答は予想通りの拒否だった。

 

 いくら魔理沙に伝えたとはいえ…幻想郷に居る者が一進の秘密に気付いたらどんな行動に出るか考えられないから私もそばに居たかったのだけど無理そうね。

 

「…そんなに一進の事が気がかり?」

 

 すると夢子はだんまりの私を気にしてなのか、椅子に座るなりそんな事を聞いてくる。

 

「それは…ね」

 

 見抜かれているなら隠す必要は無い。

 

 だって私は今この場でも夢子と対立する気ですらいるから。

 

「殺してないわ。おそらく大丈夫の筈」

「そう」

 

 そんな事は分かってる。じゃなかったら一進の事を知ってる私をわざわざ幻想郷から遠ざけたりはしないだろうし。

 

「貴女もそうだけど…一進はホントに強くなっていたわよ」

「…夢子がそこまで言うなんてね。苦戦でもさせられたの?」

 

 ……これは少し意外な事だった。

 

 てっきり夢子が予定を変えたから一進は無事だと思っていたけど…案外一進が実力でー「いいえ全く」…そんな事無かったみたいね。

 

「だけど一太刀入れたら分かるわよ。……数十年…人間界でなまっていると思ってたけど全然、寧ろ反応も質も昔より良くなっていたわ」

 

 ……へぇ。

 

 私は夢子の言葉を聞いて抱いた最もな事を質問してみる。

 

「予想に反して多少強くなっていたものの自分の力が上回っていた…と、それじゃあ何で一進を殺さなかったのよ」

「…………」

 

 こんな事聞くのは不味い事ぐらい私だって分かっている。

 

 だけど夢子の考えが分からないし、こうなった(軟禁された)以上私は内部から一進を救える方法を探さなければいけない。

 

「……私は神綺様から魔界でしか一進を殺す赦しを頂いて無いわ。…緊急事態は除くけれどね」

「…赦し…って事は…」

 

 夢子は母さんからの赦しが無かったから一進を殺せなかった…。

 

 =母さんの赦しの撤回。または一進が魔界に来ない限り完全には手を出す事が出来ない?

 

「だから一時魔界に戻って来たのよ。私の独断で決められないし神綺様の意向も聞きたいし」

「…そうなの」

 

 成程…それならまだ手は残されてないわけじゃなさそうね。

 

 母さんの方をどうにかして説得出来れば芋づる式で夢子も止められるだろうし…。

 

「まぁ、アリスも行動を起こしているようだけど咎めたりはしないから安心しなさい」

「…………」

 

 私が何かしようとしているのは既に感づかれているみたいね…それならこれからはより気をつけて動かなきゃ。

 

「さて、神綺様がお戻りになる前にいくつか確認があるのだけど……ちゃんと答えてくれるわね?」

「…一進は私に会って無いし、私は幻想郷の誰一人として一進の事を話していないわ」

 

 と、言うよりも誰が一進の敵になるか分からない以上安易に広めたりはしない方がいいに決まってる。

 

 でも不安なのは一進の異常性に気付ける者もちらほら居るのよね…。

 

「…そう。嘘も吐いてなさそうだし分かったわ」

「どのみち騙せないでしょ」

 

 だけれどどうせ夢子が聞きたいのはこの辺りでしょ。

 

 なにせ私と一進が幻想郷で接触してるかどうかも知らないのだからね。

 

 でも生憎嘘は吐いていないわよ。

 

 一進()私に会ってないし私は一進の事を秘密にしていた。まぁ向こうで誰かさんが勝手に言っちゃうかもしれないけど…。

 

「それなら最後に私から忠告してあげるわ」

「……忠告?何かしら?」

 

 もう私は幻想郷に干渉する事が出来無いから一進の事で忠告なんてされても意味無いし…だったら魔界での私の動きを制限するつもりなのかしらね。

 

 

 ……そんな…軽い気持ちだった。

 

 夢子が直接一進を裁きに来た時は最悪な状況だったけど…そんな中私は最善の選択を予定通りに進めていたからきっと浮かれていたのだと思う。

 

 だから…。

 

「私は確かに神綺様の剣でもあり盾でもある……だけど私にも意志は存在するわ」

 

 だから私は夢子が母さんに抱く忠誠心を甘く見ていた。

 

「たとえ神綺様の意向にそぐわなくても、私は神綺様を第一に考えるからそのつもりでいる事ね」

 

 母さんの意思に関係無く夢子は行動するつもりでいる。

 

 これはもう、母さんを止めれば済むような話では無くなってきてしまっているのがありありと分かる。

 

 ……はぁ、こっちはこっちで随分骨が折れそうね。まぁそれでも私は全力は尽くして何とかするつもりよ。

 

「改めてその忠義を思い知らされたけど…そんなの今に始まった事じゃ無いでしょ」

 

 …………ええ。こっちは何とかする…。

 

 

 

 だから…そっちは頼んだわよ…魔理沙。

 

 

 

 

 

 ……幻想郷で私が魔界人だって事を自ら明かしたのは貴女だけなのだから。

 

 

 

 

 




視点変更…と言うよりメイン舞台が多く、回想がある為非常に分かりづらい文章になってますね…。

ここ数話の時間軸としては…。
●魔理沙がアリス家に立ち寄る、その後アリス対夢子。

●一進が紅魔館から人里に行く。

●帰りに一進が夢子に斬られる。夢子はアリスを連れて魔界へ帰還。

●異常に気付いた紫が荒れた魔法の森に行った後に藍からの連絡で一進を永遠亭に連れ込む。

●永琳と紫は一進が魔界出身だと知る。

●一進は永遠亭に居座る事になり紫は心の整理をする。

●紫は紅魔館に居る者に一進が負傷した事を言うも会う事を禁じた。

●今回の話

……小説の中では一日の出来事なんですねぇ。


それではまた次回。


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