受け入れ先は幻想郷   作:無意識倶楽部

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変な解釈文が続くと思いますが永夜抄引っ張り出しても分からんかったので一つ良しなに。
…感謝回って何処に投げれば良いのかしら……。


それではどうぞ。




第50話 白日の目覚め

side輝夜

 

 

 

カチ…カチ…。

 

カチ…カチ…カチ…カチ…。

 

 

「…………」

 

 

カチ…カチ…カチ…カチ…。

 

 

「…………」

 

 

カチ…カチ…カチ…カチ…カチ…カチ…。

 

「……はぁ…」

 

 私の部屋に掛けられている時計が奏でる、等間隔で鳴り続ける針の音に少々うんざりしてため息が零れる。

 

 …いや、些細な事なんだけどほんっとコレってカチカチカチカチうるっさいのよね!

 

 だって耳元に蚊〜とか一度気になり始めたらなかなかに腹の立つ音って結構ありふれてるじゃない?時計の音ってそれらの代表格とも言っていいと思うのだけれど…。

 

 なんてつい睡眠を妨害されたからムシャクシャして言葉を並べている…。

 

「…………はぁ〜」

 

 今度はさっきよりも大きなため息が零れてしまう。

 

 ……起きていれば気にも留めないんだけど時計は寝ている時になったら本領を発揮して苛立たせてくるのよ。

 

「――っく〜。……あ…確か昼からだったっけ…」

 

 そう言いながら私は一度開いた目を再び閉じて布団に突っ伏す。

 

「ま…日々に過ぎ行くさま、かねて思ひつるには似ず…ってね」

 

 日々と言うよりは日なんだけど…別に構わないでしょ。

 

 今日はちょっとした用事があるけど程良く暖まった布団の魔力(魅力?)に抗う事なんて出来るわけ無いじゃない。

 

 そうやってぼやぼやと時間を無駄に過ごしていると、私の中には一人の人間の姿が思い浮かんでくる。

 

 

 …悠久――じゃないわね。

 

 永遠の時間を生きる私に対して、何かあるたびに私に突っかかってくる人間。叫び、喚き、吠え散らかす姿が無様にも見えるし滑稽にも見える人間。

 

 ま、言うなれば犬猿の仲って言うのかしらね。

 

 向こうが私を嫌っているように私だって彼女に対して良い印象なんてものは全く抱いて無いのだからそりゃ険悪にもなるでしょうよ。

 

 …………。

 

 それで…何度も…何度も何度も…それこそ幾度となく殺し合いをしたアイツの存在がふと、私の心の中に浮かんできたってわけ。

 

 …長く束ねる髪は普通では無い程に白く…それでいて瞳は赤く染まっている為、到底人間の風貌には見えそうにも無い。

 

 そして、そのような見た目からなのか…彼女は住む家を失い…更には家族までも失ってしまった。……その身に忌まわしい呪いだけを残して。

 

 まぁ彼女の生い立ちなんてどうでもいいのだけれどね、一番厄介なのはこの話は私のとある過去の出来事が起因してるって事なのよ。

 

 …さて、なんだかんだいってかなり前置きが長くなったわね…。それじゃああまり長引かせるのは申し訳ないし取り敢えず今の私の現状一言で言うと……。

 

「めっちゃよく寝たわ…」

 

 昼からソイツとの約束があるっていうのに時計の針は既に昼近くを指していたのだった。

 

 …コレ…完全に寝過ごしたわね……。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

「さてさて…少しは急がないとね」

 

 ちょっとしたハプニング(寝坊)があったからって約束を反故にする事は決してしないわ。そう思いながらも私はそそくさと準備に勤しむ。

 

 ま…別に私が約束事に対して律儀か、と問われればそれはあり得ないと答えてもいいわよ。それも約束の相手がアイツだとすれば尚更ね。

 

 じゃあ遅れるのが確定してるってのに何故向かおうとしてるってのはあまり大きな問題ではないわ。

 

 …それは、アイツから逃げたっていうレッテルを貼られるのが無性に腹立つからってだけよ。

 

「…おや?これはこれはおはようございます姫様」

「てゐ」

 

 居間に向かう渡り廊下を歩いている途中で、永遠亭に住む小さい方の兎に出くわす。

 

 そしてその手には若干土のついたスコップが握られていた為、何の仕事をこなしてきたのか大体の予想はついていた。

 

「また穴でも掘っていたのかしら?」

「ええ、そういう姫様はお天道様が自分を通り過ぎてからの起床ですか?相変わらずお(ひま)が多く羨ましい」

「…………」

 

 ……こんの生意気兎…ケラケラと笑いながらも出会い頭にいきなり私が寝坊した事を早速弄ろうとしてくるなんてどんな了見よ!

 

 っていうか自分だって殆ど遊んでる言っても差し支えないような仕事じゃない!そのくせに何を一丁前に仕事してきました〜みたいなオーラ出してんのよ!

 

「…あまり言うとその口縫いつけるわよ」

 

 てゐ…滅多な事を言わない方が賢明よ。なんせ私は起き抜けから気分最悪なんだから…。

 

「うさ~流石にミ◯フィーちゃんになるのはご勘弁を」

「……ホントにやってやろうかしら…」

「お〜怖い怖い、そんなことされたらその時はお師匠様に抜糸を頼まなきゃだね」

 

 本気で言ったわけじゃ無かったけど……チッ!

 

 少し脅したらビビるかと思ったけど、顔色一つ変えないで言葉を返してくるてゐの神経の図太さを計り間違えたわ。

 

 はぁ~あ…あ〜言えばこ〜言うの典型的なウザさがてゐからは感じられるんだけど…嫌な事にずっと昔からこんな調子だったからもう慣れたわ。

 

「あぁ後お耳に入れておきたい事が一点ほど」

「…何よ」

「お師匠様のご厚意ってやつなんですかねぇ…ちょ〜っと変わった人間がウチに居座る事になりましたよ」

「…ふ〜ん、あっそ」

 

 って事は昨日鈴仙が怪我人を連れた八雲紫がウチに来たって何かと騒いでいたのはそういう事だったのね。

 

 まぁ私は面倒だったから出て行かなかったのだけど…。

 

 …………。

 

「……で、他に何かあるの?」

「うえっ!」

 

 てゐが私を見上げたままに少しだけフリーズしてるんだもの…ついつい声を掛けてしまったわ。

 

「…え、え〜と姫様ってこういう変わった事大好きじゃありませんでしたっけ?もっとこう…そいつの事を聞いたりは…」

「しないわよめんどくさい」

 

 てゐからすればウチに厄介になる事になったその人間について私が興味を持つとでも思ったのかしらね?

 

 それなら悪いわね、私が振り回すなら兎も角何で私の方が他人に振り回されなきゃいけな――いや、……面白そうね。

 

「……てゐ、急いでその人間を連れて来て」

「…な〜んか思いついたので?」

「ええ」

 

 ウチに厄介になるならそいつとの上下関係もはっきりつけておく必要もあるし…ついでにアイツに見せたらどんな反応するか楽しみだわ。

 

「ん〜まぁ了解、一進はお師匠様の所で薬学を学んでたから直ぐにかは分からないけど連れてくるよ」

「薬…?ま、いいわ任せたわよ」

「ほいほい〜」

 

 そう言うと、てゐは持っていたスコップを肩に乗せて廊下の端へと消えていく。

 

 さて、件の人間は一進と言うのね。永琳が薬について教えているのが少し気になるけど、私は早くご飯を済ませちゃいましょう。

 

「あ、おはようございます姫様。少し待っていてくださいね、直ぐに朝食の仕度(したく)をしますので」

「ええ。簡単なモノでいいから早めにお願いね」

 

 居間に入るとそこでは鈴仙が食事をとっていたのだけど……鈴仙も寝坊――なわけ無いわよね。早めの昼食でもとってるのかしら?

 

「早い昼食ね…永琳から何か追加で仕事課されたの?」

 

 私は台所に向かった鈴仙を目で追いながらも気になった事を鈴仙に問いかける。

 

 まぁ、そんな時間に起きてきた私が言うのも変なのだろうけど気になるのは気になるじゃない?だって定刻通りに里に薬を置きに行くのであればはまだ早い時間帯だろうし……。

 

「…………」

「…どうしたのよ?」

 

 私の質問に思う所があるのか…鈴仙は持ってきてくれた食器を置くや否や非常に疲れた目をして口元が震えだしていた。

 

「お…」

「お?」

「遅めの朝食ですよぉ!師匠のお咎めのお陰で今の今まで忙しかったんですぅ〜!!」

 

 わぁぁ~ん!といった感じに私に泣きつかれてもねぇ…。確かに永琳は厳しいけど、貴女が何もしてないと言うのなら流石に無闇に怒ったりはしないでしょう。

 

「酷いんですよぉ!些細な事を言ったからってテンションおかしくなる薬打たれましたし永遠亭に特攻を仕掛けてきた白黒の魔法使いを返り討ちにしましたら師匠が『彼女を治療した後家まで送って来なさい。それが終わるまで貴女は朝食抜きよ』って!朝食作ったの私ですよ!!」

 

 あ~はいはい…よくもまぁそんなにため込んでいられたものね、次から次に悪態を吐くのは構わないけど…それを私に言った所でしょうがないじゃない。というか食べづらいから身体を揺らさないでほしいのだけど。

 

「ねぇ!?姫様も酷いと思いません!?」

 

 そう言って顔を上げた鈴仙の瞳は紅くなり潤んでいた。いや紅いのは元からか…って何を泣きそうになっているのよ…。

 

「多少の怪我で永琳がそこまで言うとは思えないわ。…で、送って来なさいね。……大怪我だとしたら大方気絶でもさせたんでしょ」

「そッ……れは……そうなんです…けど……」

 

 どうやら案の定そうらしいわね。全く…いくら魔理沙が強いからって妖怪である貴女が遊び以外でそこまでやったら問題になるじゃない。

 

「で、ですけど問答無用に押し入ろうと――「はいはい」姫様ぁ~」

「言い訳は兎も角食べ終わったのなら永琳の所に行きなさい。下手すれば本当に貴女の地位が無くなるわよ」

 

 永琳からすれば鈴仙をからかって楽しんでるだけなのかもしれないけど…てゐが言っていた事が本当なら最悪目も当てられない事になるかもしれないわね。

 

「…何でです?」

「その一進とやらが永琳のとこで薬について学んでいるそうよ」

「嘘ぉ!?ちょッ!ちょっと急いで行ってきます!!」

「行ってらっしゃい」

 

 そう言った後、文字通り脱兎の如く駆けて行った鈴仙を尻目に私は反対方向の障子に目を向けて口を開く。

 

「いいわよ。入ってきて」

「うささささ…姫様も人が悪いウサね。私達に気付いていたのであれば鈴仙を脅す必要なんて無いウサ」

「あら、脅してる気なんて無いわよ。ただ…ね、新しく来たやつより長く一緒に居る鈴仙の方が可愛いだけよ」

 

 永琳なら同居人が使える人材だった場合本気で新しい助手にしかねないからね…。薬物実験が無くなるのは好ましいけど今まで頑張って来たあの子の立場が奪われるのは少し癪だわ。

 

「…新しく来たやつって言われてもなぁ…。連れてこられて早々に嫌味を言われてる俺はどうすればいいんだよ?」

「我慢する事も肝心。新人なら誰もが通る道ウサ」

「……そっか」

 

 ちょっとそこ!私の事をそんな新人イビリみたいに言わないでちょうだい。そもそも大体何でてゐも若干そっち(一進)側についてんのよ!

 

「あ~紹介が遅れたわね、私は蓬莱山輝夜。一応この永遠亭の主人よ」

「ん、よろしく姫さん。俺は外界から来た藤代一進…って言っても数ヶ月前から幻想郷に居たけどな」

 

 へぇ…人里の人間では無いと思ってたけど外界からの人間ね……永琳が引き取ったのは珍しいからかしら。

 

「んで?俺は何の為に呼ばれたのさ。まさか挨拶の為だけじゃ無いだろう?」

「ちなみに一進は挨拶に行こうとしてたよ?けど…姫様が寝ていたんじゃ仕方が無いウサ」

「…ミッフィ◯にするわよ」

 

 さっきので終わりかと思えばまだ言うかこの兎は…。……取りに行かせてもそのまま逃げるだけだし、ちょっと自分で針と糸取ってこようかしら。と私が腰を上げた所で一進がくくッと笑っていた事に気付く。

 

 彼は私達の前もって交わしていたやりとりを知らない筈なんだけど……今のやりとりだけで意図に気付いたのかしら?

 

「懐かしいなうさ◯ちゃん…。久々に聞いたわソレ」

「「え?」」

「……いや『え?』って言われてもナイ◯チェ・プラウスだろ?」

「「……はぁ?」」

「えぇ?」

 

 向こう(一進)も私達の疑問が分かっていないようだけど…私達も向こう(一進)の言ってる事が分からずに二度に渡って私とてゐの声が重なる…。

 

 ええ~っとぉ~…………ダメね…全く分かりそうに無いわ。

 

「ああ!」

 

 と、頭を悩ませている私とてゐを見て何かを察したのか、一進は一人で納得したように手を叩いていた。

 

「多分中途半端に知れ渡ってんのな。英名と日本名と原名なだけだから全部同じやつだぞ」

「「…はぁ~へぇ~」」

 

 そういう事だったの…。

 

「因みにあのバッテンは口だけじゃなくて鼻も含まれているからな」

「そうなのぉ!?」

 

 へぇ~それは全然知らなかったわ…。いや、たとえ知ってても知らなくてもいい無駄な事なんだろうけど…こういう話は長すぎる時間を生きる私達にとっていい暇潰しにはなりそうね。

 

「…………ウサ」

「……しないわよ!」

 

 てゐ……両手で鼻と口隠してなくていいから安心しなさい…。流石に今の話を聞いてもまだ縫おうとする勇気なんて私には無いわ。

 

「少しは為になったかい?そんじゃな姫さん」

 

 そう言って一進は立ち上がって廊下に向かう…。

 

 まぁこんな事聞いても微塵も為にはならないと思うけどね……。ま、言うなれば少しは楽しかったわ。

 

「ええ。暇潰しになるなら歓迎するわよ。また知らない事でも教えてちょうだ――じゃ無いわよ!!もっとちゃんとした用事があるんだってば!!」

 

 危ない危ない!!こんなどうでもいい事聞いて満足してた自分が恐ろしいわ!

 

 

 

 

 

 

 




テルヨの言ってた古文は徒然草まんまです。
毎日の過ぎていく様はあらかじめに思っていたこととは異なる。って事で人生何事も予定通りいかねぇわって話ですね。
サブタイも折角の風情なので白日とか言ってますが要はクソ寝坊。
あと多分いつまで経っても来ないテルヨにもこたんはブチ切れてると思うの(シーン全カット)。


それではまた次回。

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