それではどうぞ。
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side魔理沙
「ハッ!」
目を覚ましたらそこは見慣れた自分家の天井…。横を見ればいつも通り積み上げられた魔導書や散乱した研究道具が目に映る――!
「……っく~!」
イッテテテ……。何だ何だ?全身が悲鳴を上げてるぜ…。どこでこんな怪我なんて……あれ?やっべ…全然何があったか覚えて無いぞ
「包帯すら巻いてある…?ここまで怪我したのに覚えてねぇって相当だな」
…で、え~と……何があったんだっけ?
確か私って紅魔館に行ってたよな……。うんそれは思い出せる。で、今は家に転がされている……ん~まぁ身体も動かないしゆっくり思い出してみるか。
~~~~~
「さて二人共、そろそろ次を始めるわよ…」
「うん♪こいしちゃんもクッキー持って来てくれてありがとね~♪」
「メイドさんと一緒に作ったからね〜多分美味しいと思うよ?」
「わお、ホントに美味いなこのクッキー」サクサクサクサク
魔法の勉強の休憩時…私はこいしが持ってきてくれたクッキーをいくつか口運んでその味に少し感慨深い気持ちになる。
私は自分でお菓子なんて作らないからなぁ…。誰かの家にお邪魔して食うのが基本だったし。
「…いや聞きなさいよあんた達…」
ん?ああちょっと待ってろよパチュリー。コレ食い溜めたらまた魔法について聞かせてもらうからさ。
「っしゃあ!!エネルギーも充電されたから張り切っていくぜ!」
「ちょ!?きったないわね魔理沙!口から色々飛んで来たのだけど!!」
「ハハッ!悪りぃ悪りぃ~」
「魔導書が汚れたらどうしてくれるのよ全く……こあ、布巾持ってきてくれないかしら」
「はいただいま」
「小悪魔~ついでに紅茶のお代わり持ってきてくれ~」
「「……」」
…何だよパチュリーも小悪魔もそんな目で見て来てよ…別にいいじゃねぇか紅茶ぐらい。
「…いや、いいんですけどね」
はいサンキュ小悪魔。甘いもんだけ食ってるのはなかなかにキツかったからな。
そんじゃあそろそろ二人には私の収穫を見せてやるぜ!
「どーよコレ!森のキノコをいくつか使って煮込んでたら発光する液体が出来たんだぜ!」
「…それって魔法って言うのかしら…」
「さぁ?」
「さぁ?って…」
あのなぁパチュリー、呆れてるとこ悪いけど説明のしようなんて無いぜ。なんせ森に生えてたキノコ適当に採ってきて触媒にしただけだからよ。
「…多分だけど…貴女の得意分野が光魔法に偏ってるからそれに影響されたんじゃないかしら」
「あっそ」
「ふ〜んそうなんだ〜」
「…魔理沙…フランを見なさい。ああやって気付いた事を自分の本に書き留めているからどんどん成長するのよ」
「……ヘッ、どうせ私は大雑把な魔法使いだよ」
でもそうだな、確かにパチュリーの言う事も正しいんだよなぁ…。実際私もどんな工程や触媒を使って魔法を完成させたかなんて大体でしか覚えてないし。
「〜♪」
…それがフランの持ってる本には今まで習った魔法について纏めてあるのか……どうにかして見れねぇかなぁ……あ!!
……ん〜?……いけるな。よし!
「小悪魔〜ちょっと聞きたい事があるんだけどよ〜」
「へ?私ですか?パチュリー様でなくて」
なんて自分の事を指してさも不思議そうに首を傾げて小悪魔は私とパチュリーを見合うように目を向けてくる。
「おう!そうだぜ」
そりゃ普通なら魔法の事だったらパチュリーに聞くのがいいんだけどよ…実際今だけはパチュリーよりもお前の方が都合がいいからな。
……さて、後は私の演技力にかかってるぜ!
「あ〜でもその前に菓子の入ってた皿を片さなきゃ邪魔になるんだよなぁ〜…」
「ん?あ、じゃあ私が片付けてくるよ〜♪」
「お、そうか。悪いなフラン」
私が言った事から気を利かせてくれたんだろう。フランはそう言って陽気に鼻歌を歌いながら菓子皿を持って席を離れていく…………否、離れてもらったと言う方が正しいがな。
…シッシッシ!計画通りだぜ!
「魔理沙…魔女内の常識だと他者の魔法の情報を盗んだ者は万死に値するわよ」
「……あぁ、だから私を呼んだのですか…」
なんてパチュリーの補足によって小悪魔が納得したように手を叩いて頷いていた。
そりゃ予め小悪魔に用があると言ったのは皿を持って行かせるのをフランにする為だけだからな。だってそうでもしないと小悪魔が皿を戻しに行きそうだったし。
「堅いこと言うなよパチュリー。それに私もフランも魔女じゃないから問題無いぜ」
「…そういう事を言ってるんじゃ無いんだけど…」
「パチュリー様~私も魔女ではないのでセーフですよね?」
「……貴女まで…はぁ…勝手にしなさい」
諦めも時には肝心だぜパチュリー!ま、小悪魔まで見ようとするとは思って無かったけどパチュリーがそう言うなら遠慮無く勝手にするぜ。
「え〜と何々〜『今日はお昼から魔理沙も混ざって魔法の勉強をして…』……は?」
「アレ?」
読み上げていた本にはあまりにも想像していなかった文が書かれていて…思わず私と隣から覗いていた小悪魔の声が重なる。
ん?あれ?この本――で合ってるな。さっきフランがパチュリーの話を纏めていた本とは別の本を手に取ったかと思ったけどこの表紙で合ってた筈だぜ。
「はぁ?何を言ってるのよ」
「って言われてもなぁ…」
パチュリーから言われた事がそのまんま私の抱いてる疑問の全てだぜ?私だって言ってて不思議に感じて……いや、というよりまさかこの書き出しからしたらもしかしなくてもコレって…。
「日記じゃね?」
「…ですね。魔法の事も書かれてはいますが、こいしさんや一進さんと遊んだ事やレミリア様の事も書いてありますから」
「やっぱりなぁ…」
小悪魔も私と同意見だったようで、書かれている文章を目で追っていっては二人で頷くように納得していた。
「…ちょっと見せなさい」
すると、思う所があったのか無関心を示していた筈のパチュリーも流石に気になったようで本を渡すように手を出してくる。
「はいよ。まぁ、魔法魔法言ってるけど実際はそんなもんなんじゃねぇの?」
「そうですよねぇ~。やっぱり子供は勉強するよりも遊んでる方が楽しいと感じますでしょうから」
「……あんた達ね…フランに甘いのはいいけれど今までの私の苦労が
「あ~パチュリー様もかなりフラン様に時間を掛けていましたからね~」
「ハァ……」
はははは!ドンマイだなパチュリー!
パチュリーは私達が楽観的に考えていたのが気に障ったようでぶつくさと文句を言い始めてるけど、実際に物申す相手はフランだから私達が何か言われる謂れは無いからな~。
「パチュリー、子供ってのは遊ぶのも勉強なんだぜ?」
肩に手を当てて諭すように私は語り掛ける。実際の所あの年でフランが子供なのかはちょっと分からないが…まぁそこは気にしててもしょうがないぜ!
「……そう。それなら魔理沙も遊んできなさい」
「…私も子供だってか?」
「あら違ったかしら?」
おいおい…いくら自分の掛けた時間が思いもしない形で発覚したからって溜まったフラストレーションを私にぶつけないでもらいたいぜ。…ったくどっちが子供なんだか…。
「…………」
「…………」
「ま、まぁまぁパチュリー様。険悪になってないで機嫌直しましょ―「ああああぁ!!!」こあッ!?」ビクゥ
すると突然、私と性悪パチュリーの間に流れる嫌な空気を払拭させようとしてくれた小悪魔の言葉を断ち切るような悲鳴声…。
思わず私達三人は揃ってそちらに顔を向けると…扉を開けたフランが叫び声を上げてこちらを見ていた。
?どうしたフラン…帰ってくるなりそんな鬼気迫る顔して何かあったか?
「フラン…何いきなり大きい声出してるのよ?」
そんな焦っている(怒ってる?)フランを疑問に思ってか、パチュリーも肩を竦めて私同様にフランに顔を向けていた。
…………。
しばしの沈黙に包まれ、すっかり私達の間に流れていた険悪な空気も無くなってこの場に居る私とパチュリーはフランの言葉を待つ……ん?私とパチュリー?
……そして私はある事に気付く。
「(……おい、小悪魔のやつどこ行った…?)」
しかし、そんな逡巡も虚しく、駆け寄って来たフランによって私達は今さっきまでやっていた事を知らされる事になる。
「『大きい声出してるのよ?』じゃないよッ!!何でパチュリーは私の日記を見てるの!!」
「「…………あ」」
フランの言葉を聞いて静かにパチュリーの方を見やると『やってしまった…』みたいな顔で自分の手元に目を落としていた。
この時になって私の中で小悪魔が逃げた事と、パチュリーが未だにフランの日記(本人がそう言ってるから日記でいいよな)を手にしていた事に気付く。
……。
…そして連動的にフランが怒っている理由も分かってしまう。
「わ、私はやめとけって言ったんだぜ!それなのにパチュリーが!」
「あんた巫山戯んじゃ無いわよ!?何いけしゃあしゃあと話捏造してんのよ!!」
うるせぇ!!犠牲は一人で十分だろう!犯行現場見られた以上お前は言い逃れ出来ねぇんだからこの際全部の罪一人で被ってくれ!
そうやって一早くパチュリーを切り捨てる判断を下したんだが…流石はパチュリー。なかなかに丸め込む事が出来ない…。
「大体あんたが最初にフランを部屋から出してまで盗み見ようとしてたんじゃない!」
「おおっとぉ~往生際が悪いぜパチュリーさんよぉ!!自分の罪を認めない所か私に擦り付けようとするなんてふてぇやろうだ!」
無論誰が悪いかといったら私が罪の大部分を占める事は間違いないだろう…。
まぁそんな事は認めないがな!!パチュリーにゃ悪いが私が助かる為に落ちる所まで落ちてもらう「……の」……ぜ?
「何二人して言い訳並べてるの?」
……あ。
「何二人して言い訳並べてるのって聞いてんだけど!」
「ご!ごめんなさいッ!!」
ハッ!やっちまった!?ついフランの迫力に押されて謝っちまったぜ!?これだと自分が悪い事を認めてるようなものだ!
フランを忘れてたわけじゃないけど…先にパチュリーを片付けようとしてたのが完全に裏目に出たな…。
「わ、悪かったわフラン。私は少しだけ貴女がどれだけ魔法を理解してたか知りたくなって――」
「?」
しどろもどろになりながらもパチュリーは一先ずはフランに謝る事にしたらしいな。運悪く現行を見られた自分の立場を少しでも改善しよう言葉を並べてるんだぜ。
…しかし、どうした事か何かに気付いたようにパチュリーは口を止めて考えるようなそぶりをしていた。
「(どうしたパチュリー?)」
既に私達は一蓮托生なんだから下手な事言ってフランを怒らせるような真似だけはしないでくれよ。
ここら辺は流石前の異変での私達のチームワーク。魔法使い同士つるんでる事も多かったからか、ご立腹のフランを前にして平然とアイコンタクトだけで言葉を返す。
「(いけるわ。任せなさい魔理沙)……フラン。人里に寺子屋と言うのがあるのは知っているかしら?」
「え、う…うん?」
……は?い、いやおい!任せろって言うから何か自信があるもんだと思ったけど何お前は全く関係ねぇ話題を出してんだよ!
「(いいから黙って見てなさい!)それで?どうなのフラン?」
「えっと…最近遊ぶようになったチルノちゃんと大ちゃんがそこに行ってるって言ってたけど…」
「それならその子達に聞いてみなさい。きっと勉強した事を教師に見せている筈だから」
「……へぇ~…」
…………。
……くっそ…そういう事かよ…。
パチュリーの意味不明だった前置きがここにきて本領を発揮する。悔しいが私はパチュリーの策略をただただ聞いてる事しか出来なかった。
やってくれやがったなこの紫モヤシ…!
チルノとフラン…慧音と自分を同様に見立てて教わる者と教えてる者への関係性を気付かせた上で自分を正義の方に持って行きやがった!!
「そういうものなの?」
「そういうものなのよ」
そして一番許されないのは任せろと言っておきながらその言い分だと私は言い逃れが出来ないってとこだ。……私はフランと同じで教わる側の人間だからな。
「じゃあ魔理沙は?」
「……」ゴクッ
一応フランはパチュリーの説明に納得したらしく、今度は私の方へと顔を向けてる…。
…………頑張れッ!頑張るんだ私の頭ッ!今ここで何か思いつかなかったらどんな仕打ちが来るか分かったもんじゃ無いぞ!!
「あ…あ~その…な?」
言い淀む私を見てフランから見えない所でニヤニヤしているパチュリーにマスパをぶち込みたくなったけど落ち着くんだぜ…。そんな事をするのは今この場を凌ぎ切った後からでも遅くはないだろう。
「フラン。落ち着いて聞いてくれよ?確かに私も見てしまったとはいえそれはパチュリーに唆され―「妹様に皿運びをさせているから何事かと思えば……どうかしたのですかパチュリー様?」」
私がフランに対して言い訳をしようとしたその瞬間、先程フランに菓子皿を持って行かせたのをどっかで見たらしい咲夜が唐突に現れた事で注意が全てそっちに集まる。
「あぁ…魔理沙がちょっとね…」
「魔理沙が私の日記を勝手に見てたの!」
「げ!?」
やっべぇってフランの奴また少し機嫌悪くなってきてるんじゃないか!?こりゃ咲夜が来ないうちにさっさと言うべきだったぜ。
「日記と言えば…お嬢様や一進の事を書かれているものですよね」
「「「え?」」」
咲夜のこの言葉に偶然にも私達三人の声が重なる…。つーか待て、レミリアや一進……って内容を知ってるって事は。
「お前も知ってるのぜ?」
「ええ。掃除しに入ったら机の上に開きっぱなしで置いてあったから少しだけね」
ああなんだ咲夜も見た事があったのかよ。良かったぜ、これで『妹様の物を勝手に!』とか言われる心配は無くなったな。
「お嬢様にお教えしたらとても喜んでいたわ。まぁ美鈴は自分の事が書いて無くて少しだけへこんでいたのだけど」
「ねぇ咲夜?」
「?どうしました妹様?」
ふ~んそっかそっか。美鈴は兎も角それは良かったんじゃないか?な~んかレミリアと仲違いしてたってパチュリーからちょろっと聞いた事があったから私だって介入しようか迷ってたんだぜ?
…だがまぁ異変の際にフランとやり合ってるとは言えあれは弾幕ごっこありきの話だ。流石に遊びじゃない可能性があると私も色々覚悟決めなきゃいけなくなる。
「……皆に言っちゃったの?」
「いえ、お嬢様と…後は偶然近くに居た美鈴だけですが…」
「そう。……それじゃ言い方を変えるね…」
「?」
…………。
………おい待て待て待て…ひじょ~にマズくないかこの状況…。だってフランのご機嫌が非常にナナメになってる理由が日記の閲覧だぞ?
で、ここに来て咲夜とレミリアと美鈴も知ってるってなると…。
「何で言っちゃったの…?」
「散開ッ!」
我慢の限界にきたしてそうなフランの問いかけを聞いた瞬間全力でバックレる事を心に誓う。
もう知らん!!さっきまでは自分の所為もあったから何とか宥めようと努力したけどもう知らん!後は咲夜が責任もって処理しろ!
「逃がさないよ『フォーオブアカインド』からの『レーヴァテイン』!」
叫んだフランの方を確認すべく、軽く後ろを見て――後悔した。
「「「「もう皆お仕置きだから!!」」」」
…あ……。
…詰んだ。
~~~~~
「って事はコレって…暴れ出したフランにでも巻き込まれたわけか…」
…あんな怖い記憶思い出すぐらいなら知らないままで良かったぜ……。
もう人の魔導書(魔導書じゃなかったけど)なんて盗み見ないでこれからは自分で書く事にするぜ…。正直流石に懲りたし二度とあんな仕打ちに合いたくないからなぁ…。
当然魔理沙の怪我はフランがやった訳ではありませんので悪しからず。
それではまた次回。