シャーレのむくろ君(不死身)   作:脱力戦士セシタマン

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 ぬーん!評価と感想欲しいぬーん!出来れば高評価が嬉しいぬーん!(貪欲の塊)


 今回はユヅキ視点からスタートです。



ミレニアムプライス

 

 

「フォルちゃん大丈夫?」

 

「……はい…………」

 

 

 私が何もする気が起きずゴロゴロしている中、むくろさんはフォルトゥナちゃんを置いてシャーレへ行ってしまった。

 

 

「…………私は……本当はむくろ様といたいのに……」

 

「あんのクソボケェ!……んまぁ、居候の身分でそんな事言っちゃいけないだろうけど」

 

 

 私は怒り半分悲しさ半分でそう言う。

 

 

「あのさ……」

 

「…………何でしょう」

 

「私でいいなら何があったか相談してくれないかな?」

 

「それは…………」

 

「そうだね……むくろさんみたく契約で行こう」

 

「?」

 

「私も言えてない事言うから、フォルトゥナちゃんも言ってくれるかな?」

 

「…………分かりました」

 

 

 私はもうちょっと渋るかと思ったけど、思ったよりあっさり承諾したから私は驚いた。

 

 

「まず…………前提にしては中々な事を言いますがむくろ様と私は別世界のキヴォトスから来ました」

 

「へぇ~、そうだったんだ〜…………ってええええええ!?!?!?」

 

 

 私は衝撃的過ぎて大声が出てしまった。てっきりむくろさんはキヴォトスの外から来た人だと思っていたから余計衝撃的だった。

 

 

「うるさいですよ…………まあ続けます。そのキヴォトスの地下施設で私は機械と生命の混合させた存在として生み出されました」

 

「むくろ様は私と似たようにその施設で改造を受けたようです。それがいかなる理由かは、本人も私も知りませんが……」

 

「だからこそあんなえげつない体質なのか」

 

「はい……そして彼は改造の結果生徒の血肉を啜る必要が出てしまった…………その体質はむくろ様は是としていません」

 

 

 私は今までのむくろさんの言葉の意味が何となく分かった気がする。自分は怪物だと言っていたのも、そういうことだったのかもしれない。

 

 

「そしてむくろ様は生まれて間もない赤子のような私を育ててくれた、兄であり父のような存在なのです」

 

「そうだったんだ…………」

 

「ですが彼は私をこの世界へ飛ばす為に記憶を犠牲にした…………と、言伝で聞きました」

 

「はぁ……むくろさんって昔からそう言うとこあるよね」

 

「おっしゃる通りです。そのせいか昔からむくろ様は記憶をロストする事が多かったのですが…………私の事は忘れる事はなかったんです。だから……私はもう忘れないで欲しい」

 

「…………」

 

 

 その気持ちは、私には理解できた。楽しかった思い出が忘れたの一言で無かったことにされるのは、私はとても嫌だった。

 

 

「…………次は私の番か。私もさ、大切な姉が数年前に失踪したんだよね」

 

「…………まさかその人の名前は、白銀シュウですか?」

 

「…………え?……」

 

 

 どうして、私の姉の名を知っているのか。その疑問によって私は最早フォルトゥナちゃんを心配する余裕なんてなくなっていた。

 

 

「どう……して?…………」

 

「苗字が同じ故まさかと思いましたが…………」

 

「姉上は!どこにいるの!」

 

 

 私はフォルトゥナちゃんの肩を揺すりながら声を大にして聞いてしまう。さっき別世界から来たと言っていたから本当は私の姉の行方なんて知らないはずだ。それでも私は問いたくなってしまった。

 

 また姉に会えるかもしれない、そんな可能性に縋りたかったのかもしれない。

 

 

「…………いえ、この世界の彼女の行方は分かりません。私達の世界でのシュウ様はそうだったというだけで、この世界のシュウ様は何処にいるのか分かりません」

 

「…………そっか……なんかごめんね……」

 

「いえ、大丈夫です。話せてスッキリしたので」

 

「…………うん、なら良かった」

 

「……どうしましょう?」

 

「……ゲームでもする?」

 

 

 そして私達は夕焼けに照らされる部屋の中、リビングのテレビにコントローラーを向けてむくろさんの帰りを待つことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私が墓標から離れ、シャーレへ向かった。外はもう暗くなっており、時間は想像以上に早く過ぎ去っていたのだろう。

 

 

「おかえり……フォルトゥナちゃんの様子は?」

 

「今は落ち着きました。今日はユズキと共に休んでもらっています」

 

「そっか。私の方からフォルトゥナの事は連絡しておくよ」

 

「ありがとうございます」

 

 

 そう言って私はデスクにつき、仕事を始める。今日のやるべき仕事が終わっていないのと、手伝ってくれる二人が休みである事で残業はほぼ確定である。

 

 が、しかしだ。幾ら忙しかろうと食事ぐらいはきちんととるべきだろう。

 

 

「コンビニ弁当で大丈夫だから!」

 

「駄目です!私が作るので先生は仕事をお願いします」

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

 

 余りの仕事量に発狂する先生を横目に、私は調理室へと入って行った。

 

 久々に静かに一人で食事を作る。ユズキが来てからと言うもの、家は騒がしくなった。だが私としてはそれは良いことだと思えた。

 

 私は調理室の冷蔵庫を開き、あり合わせのもので適当にチャーハンでも作ることにした。本当に適当なので、取り敢えず具材を刻んで冷凍された米と炒め、味付けを塩コショウで纏める。適当に入れた具材は大根やジャガイモ、ワンタンなんかが入っていたような気がしたが、何も考えない事にした。私も少し疲れているのかもしれない。

 

 

「出来上がりましたよ」

 

「やっと…………やっと休める……」

 

 

 先生は死にかけの人のような声でそう言う。

 

 

「…………なにこれ?」

 

「チャーハンです」

 

「えっこれチャーハン?」

 

「はい。取り敢えず具材を片っ端から突っ込みました。仕事がまだ結構残っているので」

 

「だからってワンタン突っ込むのは違くない?」

 

「まあ……そうですね。ちょっと私も疲れているのかもしれませんね」

 

 

 そう言って私は食卓代わりに客間の机に皿を乗せ、先生と向かい合せになるように座る。

 

 

「「いただきます」」

 

「にしても……こうしてむくろ君と二人だけでゆっくり話す機会ってあんまりなかったんだよね」

 

「そうなのですか…………まあ、この仕事の量であれば納得ですが」

 

「まあそうだよね……」

 

「…………先生、一ついいですか?……」

 

 

 私は先生に悩んでいた事を打ち明ける。悩んでいたと言うものの、どちらかと言えばぼんやりと頭の中にあるどうすればいいか分からない問いのヒントを求めるような感じではあるが、先生に聞いてみる。

 

 

「先生…………私は、失った記憶と向き合うべきなんじゃないかと思い始めているのです」

 

「!……それは!………………」

 

「……私はその体質故忘れる事が余りに多すぎます。それが少しだけ、怖くなったのです」

 

「…………」

 

「楽しい思い出やいい出来事が忘れ去られる位ならまあ最悪なんとかなります。ですがそうではない…………そう、辛く悲しい思い出や悪行を『忘れた』と片付けるべきではないような、そんな気がしているのです…………」

 

「…………」

 

 

 私はまだ過去と向き合う覚悟はできていないだろう。事実少しだけ過去を知るのが怖い。何となく何なのか分かっている。私が人を喰った事実がそんな事はないと信じたいからなのかもしれない。

 

 

 

「むくろ君」

 

「…………」

 

「むくろ君は一人じゃない。私がついているから」

 

 

 そう言って自信ありげに胸を叩く。私はどういうことか分からなかったが先生はそのまま続ける。

 

 

「むくろ君が過去に何をしていようと、むくろ君は私の相棒だから」

 

「…………」

 

 

 私はひどく驚いた。大人ならば、時に許してはならない物があるだろう。私は生徒を喰った可能性が非常に高いのにも関わらず、許されないものに含まれないような事を言い出している。

 

 

「良い……のですか?……」

 

「?」

 

「私は…………きっとキヴォトスの生徒を喰っています……それは…………良いのですか?……」

 

「大丈夫。むくろ君はそう言う人じゃないって信じているから。それに、例えそう言う人だったとしてもきっと理由がある筈だとおもっているからね」

 

 

 私はその言葉が信じられなかった。それ程私は先生に信用されていたのかと過去の自分問いたくなる様な言葉だった。

 

 

「…………私は……先生にとって私は何者なのです?……」

 

 

 私は理解出来ず恐怖すら感じる状態でそう聞いた。

 

 

 

「むくろ君は私の唯一無二の相棒だよ」

 

 

 

 私は何が先生にそう言わせるのか、やはり理解出来なかった。だが、確実に先生は私の事を信用してくれている。ならば私はそれに全力で添うべきなのだろう。

 

 

「…………そう……ですか……」

 

「だからむくろ君…………一人で抱え込まないで」

 

「……分かりました」

 

 

 私はそう答え、チャーハン食べ終えた。私達はすぐにまた仕事に取りかかった。

 

 それからまた数日は仕事に追われる日々を送り、ミレニアムプライスの発表の日まで私達は仕事に専念した。

 

 

「入るよ〜」

 

 

 先生が部室のドアをノックし、入る。

 

 

「あ!先生いらっしゃい!」

 

「先生、むくろさん、こんにちは」

 

「フォルちゃんもよく来てくれました!」

 

「お久しぶりです!」

 

「あの時は……まあ色々あったみたいだけど、元気そうでよかったー」

 

「ちょっと過去のトラウマが蘇ってしまいました……」

 

「そうだったんだ…………あ、そうそう……」

 

「どうしたの?」

 

「じゃじゃーん。ねぇねぇアリス、これ見て〜」

 

 

 モモイはどこからともなくあるものを取り出す。

 

 

「じゃ〜ん!メイド服!」

 

「ひぇっ!」

 

 

 アリスはメイド服を見た途端すごい勢いで逃げた。どうやらネルがトラウマらしい。

 

 

「あはは!いい反応!」

 

「何してるの!お姉ちゃん!アリスが怯えちゃってる……」

 

「これは完全にトラウマを植え付けられていますね……」

 

「アリスちゃん。大丈夫?」

 

「あ、アリス……しばらくメイド服を見たくありません!」

 

 

 そうこう言っているが、私達は大事な発表が控えている筈だ。そう考えているとすぐにテレビによるミレニアムプライスの発表が始まった。

 

 

「……ミレニアムプライス、始まったね」

 

「……うん」

 

「もし受賞したらクラッカー鳴らそっか」

 

「勿論です。良かった事は盛大に祝うべきです」

 

「であればショートケーキでも用意しましょうか?」

 

「でも、もしだめだったら……」

 

「……その時は、荷造りしないとね私とモモイはともかく……ユズとアリスは……」

 

 

 そう話している時に、部屋のテレビから音声が流れる

 

 

「これより、ミレニアムプライスを始めます!司会及び進行を担当するのは私、コトリです!今回のミレニアムプライスは最多の応募となりました!恐らくセミナーの方針変更により成果を求める人が増えたのが原因でしょう!」

 

 

 私はテレビを最も後ろから見る。例え誰かが襲いかかってきてもまず私が犠牲になれるように。紙耐久の私がいても雀の涙程度の壁かもしれないが、ないよりあったほうがましだ。

 

 

「昨年の優勝作品であるノアさんの『思い出の詩集』は、本来の意図とは少し違ったようですが……その形而上的な言葉の羅列が、ミレニアム最高の不眠症に対する治療法として評価されました!」

 

 

「今回も『歯磨き粉と見せかけてモッツァレラチーズがでる持ち歩きチーズ入れ』や『ミサイルが内蔵された護身用の傘』、『ネクタイ型モバイルバッテリー』『光学迷彩下着』『ちょうど缶一個はいる筆箱型冷蔵庫…』」

 

「なんだろう、ミレニアムには変なものばっかり作る生徒が多いんだなぁ……」

 

「まあ、技術者は少々頭のネジが外れている人間が多いので……………」

 

 

 私は木偶(きぐう)の先輩や額縁の先輩を思い浮かべながらそう言う。よく思うが技術者はおかしい人間が多い。そうでもなければ新しい物は作れないのかもしれないが…………

 

 

「そして!キヴォトスのインターネットで一波乱を巻き起こしている『テイルズ・サガ・クロニクル2』などなど、今回応募された三桁を超える応募作品のうち、受賞できるのはたったの7作品!」

 

『それでは、7位の発表です!』

 

「ついに、この時が…」

 

「うう……」

 

 

 今か今かと名が呼ばれる事を待つ私達は、ハラハラしながらそれを聞き続ける。

 

 

「…私たちの名前、呼ばれないね」

 

「……まだだ、まだベスト3が…」

 

「……2位でもない…」

 

「……」

 

「ってことは…もしかして!?」

 

 

 

 

 

 

 

「最後に!ミレニアムプライスで最高の栄誉を受賞した作品は……」

 

「ドキドキ…」

 

「…うう…」

 

 

 ここで呼ばれなければおしまいなのだろう。心ばかりに私は祈る。この祈りが届くかどうかなど分からないが、今はそれしか出来ないだろう。

 

 

「待望の一位は…………新素材開発部のかいh

 

 

ダダダダッ!

 

「!?」

 

 

 突然モモイが立ち上がり画面を撃ち始めた。幾ら現実を突きつけられたからと言えどそこまでするのは駄目だろう。そう思うが、悲しみが理解出来ない訳では無かったのでそっとしておくことにした。

 

 

「きゃあっ!?本当に画面撃つ人いる!?」

 

「うわあぁぁん!どうせ全部持ってかれるんだ!もう関係ない!」

 

「もう終わりだぁぁぁぁぁ!」

 

「………」

 

 

 また目の前で誰かが守ろうとした物が、崩れて行く。私はそれに何もしなかった。こんな様子を見たことがある気がする。まただ。忘れていて、だが見覚えがある…………そう言う感覚に襲われる。

 

 

「……」

 

「うぅ…」

 

「……結局、こうなるんだ」

 

「……でも、全部ダメだったわけじゃないし…クソゲーと呼ばれることも、無い。これからも、きっと…」

 

「でも…」

 

「ユズちゃんとアリスちゃんは…」

 

「…私は…寮に戻る」

 

「…え?」

 

 

 

「…きっと、もう私をバカにしてくる人もいないだろうし…もしそうでも、3人と先生とむくろさんと、フォルトゥナちゃんがいるから……先生、むくろさん、ありがとうございました」

 

 

 ユズがぺこりと頭を下げる

 

 

「ただ、アリスちゃんは…」

 

「……そうだ、アリス……シャーレに来ないかい?」

 

 

 先生の提案はアリスを監視しておきたい私にとって都合の良いものだった。それ故肯定しようとするが、肯定するべきではない様に感じた。

 

 大切な物と引き剥がされる悲しみや絶望は、私は知っているしフォルトゥナを見てそれを是とするべきではないと強く思った。

 

 

「先生……その提案は…………」

 

「フォルトゥナ、今現実的な提案はこれしかない……」

 

「先生のことは、信じられます。でも……もうみんなとは一緒にいられないんですね…………」

 

「うっ……」

 

「ごめん……ごめんね、アリスちゃん……私、毎日シャーレに行く……絶対に、絶対に行くから!」

 

「どこ行っても、一緒にまた、ゲームを作ろう!」

 

「ううう……やっぱり嫌!」

 

「先生!アリスを連れてっちゃ嫌!私の部屋に連れていく!ネットも一緒に使うし、ご飯も2人で……」

 

「わ、私も……」

 

「2人とも気持ちはわかるけどそのことがバレたら……ね?」

 

 

 するとドアが開いた。入って来たのはユウカだった。

 

 

「モモイ!ミドリ!アリスちゃん!ユズ!」

 

「ひいっ!もうユウカが!」

 

「ちょ、ちょっと待って!そんなすぐになんて……」

 

「悪魔め!生徒会に人の心とか無いわけ!?」

 

 

 私は気まずい為後ろに下がる。もう退去命令を出しに来たのかと私も思う中、ユウカが次に発した言葉は私達の予想を超えるものだった。

 

 

「おめでとうっ!」

 

「……え?」

 

「…?」

 

「…………は?」

 

「え、何この反応?結果見てなかったの?」

 

「……結果?」

 

「え?でも私たち入れなくて……」

 

「えぇ?」

 

「はぁ?何を言ってるの、今も放送中なんだからちゃんと見てみなさいよ」

 

「お姉ちゃんがディスプレイ吹っ飛ばしちゃって…………」

 

「ほんとに何してるのよ…………ほら見てみて、私もスマホで見てて途中から走って来たの」

 

 

 皆はユウカのスマホを覗き込む。この流れになれば私は結果を知っていたので、見る必要なんてなかった。

 

 

「え……あ……」

 

「本当におめでとう!その、実は私もプレイしてみたの。決して手放しに面白かったとは言えないけれど・・・・・良いゲームを遊んだ後の、あの独特な感覚が味わえた」

 

「モモ、ミド!あたしもTSC2やってみたよ、凄い面白かった!今ネット上でも大騒ぎだよ!」

 

 

 そう言いながらマキが部室に入って来た。

 

 

「ヴェリタスの調べだと有名アイドルの名前よりTSC2の検索数の方が多くなってるってさ!」

 

「ほ、ほんとに……?」

 

「ええ、そうよ。でもあくまで臨時の猶予だから。正式な受賞ではないし生徒会としてはまた来学期まで……ゲーム開発部の部室の没収および廃部を保留する事にしたの……えっと、それから……その」

 

「……?」

 

「ご、ごめんなさい。ここにあるゲーム機の事をガラクタなんて言って……貴女達のお陰で思い出したわ、小さい頃に遊んでた色んなゲームの事。久しぶりにあの頃の…新しい世界で旅をする楽しさを感じられた、ありがとう」

 

「じゃ、また後で!」

 

 

 ユウカが部室から出て行った。私のことに触れないのは、忘れたからなのだろうか。正直私にとってはどうでもいい事だった。

 

 

「じゃ、じゃあ……」

 

「……!」

 

「やったああああああ!」

 

「やった……嬉しい!」

 

「?え、えっと……」

 

「アリスちゃん!私たちやったよ!この場所を守りきれたんだよ!」

 

「!!つまり……みんなと一緒に……?」

 

「「うん!」」

 

「……これからも、よろしくね?」

 

「私は……アリスは……嬉しいです!」

 

「アリスちゃん!私たち、これからも一緒だよ!」

 

「はい!」

 

「………」

 

 

 私は安堵した。この子供たちはやり遂げたのだと。()()()()()()()()()()()()のだと。

 

 

「ふふふ、良かった良かった」

 

「……えぇ。そうですね」

 

 

 実際、私は役立てたのかわからない。だが、少なくともこの子たちは成し遂げた。それはフォルトゥナが言うように盛大に祝うべきだろう。

 

 

「というわけでケーキです!むくろ様!」

 

「え?本当!?やった!」

 

「……まあ、仕方がありませんね…………」

 

「いいの?」

 

「えぇ、彼女らは結果を残しました。その功績は称えるべきでしょう」

 

「んじゃ早速行こう!」

 

「あうう、緊張して気づかなかったけどお腹すいた…」

 

 

 

「私も作るのを手伝います!」

 

「ありがとうございます。ですが私一人でも大丈夫なので、フォルトゥナには場のセッティングでも頼みます」

 

 

 

 そうして一行はお祝いのため部室を出る。私はただこの平穏が続くよう、心の何処かで願った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私こと先生はシャーレにて皆がパーティーの準備をする中、フォルトゥナちゃんと仕事に手を付けていた。残念ながら私の仕事は新たにシャーレに加わったフォルトゥナちゃんやお手伝いのユヅキちゃん、当番の生徒がいても中々終わる事はなかった。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」(発狂)

 

「頑張って下さい!定時に帰るんでしょう!終わったらむくろ様手作りのケーキが待っているんですよ!」

 

「うぉぉぉ!!!!むくろ君の手作りケーキ!!!!」

 

「先生、さてはむくろ様の事が…………!」

 

「いや、むくろ君と私の付き合いの始まりは向こうからなんだよ」

 

「なんと!!!!」

 

 

 私はパーティーが始まるまでそうふざけながら仕事を進めて行く。フォルトゥナちゃんは中々ノリがいいのでふざけ合うと中々楽しい。むくろ君とは出来ない芸当だ。

 

 

「そう言えば……むくろ君、最近目に光が戻り始めてる気がする……」

 

 

 私はふと気付いた様に呟く。そう言えばむくろ君は最近……と言うかゲーム開発部と関わっている時は生き生きしているような気がする。

 

 

「そうですね……むくろ様があれだけはしゃぐのは滅多にないですからね…………それに、彼の中の人達が静かなのかもしれませんね」

 

「中の人達?……」

 

 

 フォルトゥナから訳の分からない事を言われ私は質問した。

 

 

「知らないのですか…………まあ、彼の過去について、一度お話しておくべきでしょう」

 

 

 そう言ってフォルトゥナは語り出した。

 

 

「むくろ様はそもそもこのキヴォトスに来る前は、パラレルワールドのキヴォトスにいました」

 

「えっ!?!?」

 

「まあ、それは忘れているのでしょう。むくろ様は終末へ向かう世界で、生徒を喰らい解決策を探っていました…………」

 

「………………」

 

 

 むくろ君が過去に向き合うのが怖いと言っていた事を思い出した。むくろ君は多分生徒を喰った事に薄々気付いているんだ。だから生徒に害をなす人を許さない私の『唯一無二の相棒だ』と言った時も困惑していたんだ。

 

 

「私は最後の時、気絶していた為分かりません。ですがむくろ様は私をこの世界に記憶を犠牲に逃がした……と聞いています」

 

「そう……だったんだ…………」

 

 

 何となく繋がらなかった点が線で結ばれたような気がした。まだ分からない事もあるけれど、むくろ君の境遇はよく分かった。

 

 やっぱりむくろ君はとても優しい人だ。

 

 

「彼はその喰らった生徒達の声が、耳鳴りのように聞こえたりして、苦しめられているようなのです」

 

「そっか……なら…………」

 

 

 私は決意を一つ固める。私がむくろ君にするべき事はまだ沢山あるけれど…………

 

 

「相棒として、私が何とかしないとね」

 

「…………先生……」

 

 

 私はむくろ君を助ける決意を固めた。

 

 

「…………口より手を動かさないと終わりませんよ?……」

 

「そ、そうだった……」

 

 

 そして私はむくろ君のケーキを楽しみにまた書類仕事へ勤しむのだった。

 

 






 フォルトゥナ視点は書きません。だってフォルトゥナ視点書いたら全てのネタバレが始まってしまうので。

フォルトゥナのビジュ!描くのだるい!あと女子描くの苦手!

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