シャーレのむくろ君(不死身)   作:脱力戦士セシタマン

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 むくろ君の学力はまた因数分解が出来ない所まで戻されました。スバラシイ!

 最近大して評価されないし感想も来ないのになんでこの作品書いてるか分かんなくなってきたぜ(精神崩壊)筆折ってもいいかな?




合宿

 

 

 私が起きてから、シャーレに向かった。今日は昨日あった(らしい)一次試験の結果についてでまたティーパーティーに行くらしい。私はそれがどうしてだか嫌だった。

 

 だが私はそれを堪えて行くことにした。それは先生に迷惑をかけたくないとかではない。私が何故か覚えていた『過去と向き合う』と言う目標を成すためには、行く必要がある気がしたからだ。

 

 

「〜〜〜〜〜〜〜」

 

「〜〜〜〜〜〜〜」

 

 

 ナギサの声も、先生の声も、ヒフミの声も、何も聞こえない。都会のど真ん中で道行く人々の話し声を聞いているような、そんな感覚だ。

 

 だがそれが物凄く増幅されている為に頭が痛い。

 

 

「大〜夫?補佐〜〜ん〜調悪〜〜だ〜?」

 

「大丈夫です……」

 

 

 切れ切れでよく聞き取れないがミカが心配しているようだった。だが聞く余裕すらない私は大丈夫としか答えられなかった。まだ大丈夫だ。堪えられる。立てている。ならば問題はない。

 

 

「〜〜〜〜〜〜〜」

 

「〜〜〜〜〜〜〜」

 

 

 報告が終わったのか、先生とフォルトゥナ、ヒフミは椅子から立ち上がった。それに合わせて私も立ち、ついて行く。

 

 もう先生の声も聞くことが出来ない。けれども、私は先生のそばで、先生を守るべきだ。

 

 全てはキヴォトスを守る為に…………いや……

 

 

 

 後悔がないように…………なのだろうか……?

 

 

 

プルルルルル♪

 

 

「…………すみません、電話です」

 

 

 私は辛うじてスマホの振動は感じることができ、電話には反応することが出来た。ティパーティーから離れられたからか少しは聞き取れるだろう。そう期待して電話に出る。

 

 

「お久しぶりですね?」

 

「先輩…………!」

 

 

 そう言えば黒い服の先輩とは久しく話していなかった。

 

 

「この様子…………どうやら相当ギリギリの状態のようですね……」

 

「…………いえ、大丈夫です」

 

「むくろさん、貴方はすぐそうやって『大丈夫です』というところがあります。貴方の口癖は『大丈夫です』なのですか?」

 

「『大丈夫だ、問題ない』のほうが良かったですか?」

 

「それはもっと大丈夫ではないので駄目ですね……」

 

 

 黒い服の先輩は相変わらずの様子で、少し安心した。

 

 

「それで……一体どのような要件でしょうか?」

 

「ベアトリーチェからナニカサレテいないか心配していたのですが…………」

 

「一度マダムに呼ばれて行きましたが、いつも通りアリウススクワッドをシバいて帰りました」

 

「…………貴方も相変わらずですね……」 

 

 

 相変わらず……私の先生の敵となる者は全て叩き潰そうとするスタンスの事を言っているのだろう。

 

 

「……あぁ、それから……私はどうやら滅んだ世界線のキヴォトスから来た存在だそうです」

 

「なんと!…………であれば貴方があれだけ入り交ざった神秘を持つ事に説明がつきますね」

 

「はい。まだまだ分からないことも多いですが、少しずつ真実に近づいているようです」

 

「そうですか……それでは頑張って下さいね?それから貴方の娘さんの顔も見てみたいです」

 

「娘????」

 

「はい。ゴルゴンダから聞きましたよ」

 

 

 額縁の先輩………………そうだ、額縁の先輩の所にフォルトゥナを連れて行ったような気がする。なんで連れて行ったかは覚えていないが……

 

 

「……フォルトゥナですか」

 

「えぇ。先輩として後輩に娘が出来たのであれば興味を持つのは当たり前でしょう?」

 

「先輩の場合モルモットと言う意味合いが強そうなのですが」

 

「それは…………ノーコメントとしておきましょうか」

 

 

 やはり黒い服の先輩はゲマトリアの人間らしい人だ。そう言えば、どうしてゲマトリアの先輩方の事は忘れないのだろう?…………私は黒い服の先輩に質問してみる事にした。

 

 

「それと一つ気になった事があるのですが……」

 

「なんでしょうか?」

 

「どうして私はゲマトリアの先輩方の事は忘れる事がないのでしょうか?」

 

「ふむ……それは私達にも詳しくは分かりません」

 

「…………そうですか」

 

「ですが、地下生活者が何かしら知っているようです。私も興味があるので探ってみますが、むくろさんも何かあったら教えて下さいね」

 

「分かりました。それでは、また」

 

 

 そして私は電話を切った。黒い服の先輩は完全に私の記憶のロストの基準を知りたがっていたような調子で、いつも通り心配はしていないようだった。

 

 けれどどうしてだろう。少しだけ心が軽くなった気がする。相談出来たから……なのだろうか?

 

 その日はまた補習授業を行ってから、私と先生とフォルトゥナの3人で、帰路についていた。

 

 

「そう言えば合宿は明後日だけど準備はどうかな?」

 

「…………まだです」

 

 

 先生がそう言うのでそうなのだろう。私は忘れた事を誤魔化しつつそう言う。

 

 

「むくろ様!後回しは良くないですよ!」

 

「その通りだよ。フォルトゥナちゃんは面倒見てね」

 

「私が?……面倒見られる側?……」

 

「「いや、そうでしょ」」

 

 

 解せぬ、という言葉はこの時の為にあるのだろう。その日は私は残っていた仕事を残業して終わらせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 数日後…………

 

 

 私達は合宿の場所へ向かった。それなりに遠かったが、危険人物の隔離施設として考えるならば適している場所だろう。皆は清掃道具を持っている辺り、掃除から始めるのだろう。

 

 だが無念達がうるさく言葉は聞けない。それどころか全身が痛み始める。掃除するらしいが、私は苦しくてそれどころではない。どうしてトリニティではここまでうるさいのか…………それがシーシャを吸ったとて収まらないと分かっていた為シーシャを吸う気にもならなかった。

 

 

「すこし……やすみ……ます…………」

 

 

 そう言って私は無理矢理合宿所を離れる。

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 

 この苦しみから逃れたくなって、私は走る。だが足にうまく力が入らないのかそれ程遠くない所で足が止まってしまった。

 

 私は物陰になる所で壁に寄りかかり、蹲る。右手は心臓の辺りの布に掴みかかっていた。それが楽になるか分からなかったが、勝手にそうなっていた。

 

 

「はぁ……はぁ………………ぁ゛っ!……」

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜!」

 

 

 誰かが私の背中を擦りながら呼びかける。だれだか分からなかったが、少しだけ楽になった気がする。

 

 私は自由な左手を挙げて大丈夫だという意思を伝えようとする。今の私は多分頭を吹き飛ばしてリセットしたほうが早い。

 

 

「〜〜〜〜〜〜!〜〜〜〜〜〜〜…………」

 

 

 それでも心配する手は止まらない。しかし、ゆっくりと痛みと呻き声は止んでいき、最終的にはまだ堪えられる範疇まで治まった。

 

 

「ありがとう……ございます…………」

 

「よ、良かったです。このまま動かなくなってしまったらどうしようかと…………」

 

 

 追いかけていたのはヒフミだったようだ。

 

 

「お気になさらず。私の管理不足でこうなっているので」

 

「い、いえ……無茶は良くないです!」

 

 

 ヒフミは心配してくれているようだ。フォルトゥナが追いかけて来ていないのは違和感を覚えたが、私はそのまま答える。

 

 

「その……やっぱりあの時みたく無茶するのは良くないと……」

 

「あの時????」

 

 

 私は全く持って覚えていなかった為、思わず質問してしまう。

 

 

「お、覚えていないのですか!?」

 

「…………はい……」

 

「その……むくろさん、大軍相手に一人で戦って……先生から『よく無茶しやすい』って聞いていたので今も無茶してるんじゃないかと……」

 

「…………」

 

 

 流石にこれを忘れたは誤魔化しが聞かないだろう。

 

 

「その……忘れたと言うのは…………」

 

「体質によるものです……そもそも私の体は致命傷ですら治ってしまいます」

 

「えぇっ!?」

 

「ですが脳に傷を負ってしまえば、記憶を治すことが出来なくなります。勿論覚えている内容もありますが、大抵は忘れてしまいます」

 

「そ、そんな……」

 

 

 ヒフミの顔が曇っていると言うべき表情だった。だが私は続ける。

 

 

「……それでも、私には守りたい物があります。先生やフォルトゥナは大切な仲間ですし、貴方達のかけがえのない青春も、私には記憶を犠牲にしてでも守る価値のある物だと、私は思っています」

 

「でも……むくろさんにも大切な思い出が……」

 

「大切な思い出…………私は忘れている思い出を果たして大切と言えるのでしょうか?」

 

「え、えーっと……それは?……」

 

 

 ヒフミはキョトンとしてしまった為、説明することになった。

 

 

「忘れる程度の思い出が、果たして大切な思い出なのでしょうか?……そしてそれを再び思い出した時、大切な思い出だとまた言えるのでしょうか?…………私にどうなのか分かりません」

 

「……」

 

「ですが、失いたくない物はあります。だから私はその為に記憶が犠牲になるのは仕方がないと思っています」

 

 

 けれど、そう言うけれども。私は本当に仕方ないと割り切れなくなっているような気がする。

 

 私は人の幸せと自身の幸せを天秤にかけ、人の幸せを選ぶ。私の幸せなど二の次でいい。そう決めてシャーレの補佐官をやっているのではないのか……そう言い聞かせ、私は無念達の声を抑えようとする。

 

 だがそれが完全に収まる事はなかった。まだ私は迷っている。私が何を成すべき……いや、成したいのか、迷っている。

 

 

「…………少し落ち着いたので戻りましょう。フォルトゥナも先生も待っています」

 

 

 私とヒフミは先生の方へ進んで行った。

 

 

「大丈夫!?」

 

「むくろ様!!!!」

 

 

 フォルトゥナはキラータックルも同然の勢いで飛びつき私はそれを受け止める。

 

 

「今回はヒフミさんにお任せしましたが…………やはり私がいないとダメそうですね?」

 

「フォルトゥナ、そんなニヤニヤしないでくれ」

 

「一先ず無事で戻って来てくれて何より……だけどやっぱり無茶してるよね?」

 

「無茶してません」

 

「してるよね?」

 

「してません!」(断固)

 

 

 私はこれは『無茶してるならむくろ君は帰らせよう』という流れになりそうだったので私は全力で否定する。ここで私が帰って『先生が死にました』となれば全てがおしまいである。(フォルトゥナは私から絶対離れなさそうなので……)

 

 それに私はトリニティのネームドキャラと関わっている時に異常なほど無念が強まるのだ。確実に何かある。それを突き止めたいという気持ちもあった。

 

 

「私は先生の護衛ですし先生は私がいないとすぐ死にそうですので」

 

「酷くない!?いやまあ私が銃弾一発で瀕死になるけど!」

 

「なら……私が守るのでむくろさんはゆっくりおやすみになってもらうというのは……」

 

「……いえ、先生は何に襲われるか分かりません。それこそ生徒に無理矢理食べられる(意味深)可能性や突然キヴォトス最高戦力に襲われる(意味深)可能性もあります」

 

「えぇ!?!?!?」

 

「むくろ君?むくろ君の中で私って何者なの????」

 

 

 そんな質問決まっている。と言うか、愚問であろう。

 

 

「キヴォトスの救世主です」

 

「なんか規模大きくない!?」

 

「ですが先生がいなければ今頃キヴォトスは滅びていますよ?」

 

「そんなに!?」

 

「先生、いい加減気付いた方がいいですよ?むくろ様は先生にデレデレです。私が先生を今すぐぶん殴りたいほどには」

 

「えぇ!?!?」

 

「あ、あはは…………」

 

 

 完全にヒフミが置いてけぼりになっているのでいい加減この話は切るべきだろう。会話に混ざる気がないなら放っておいて良いだろうが、混ざる気があるならきちんと混ぜるべきだ。

 

 

「それは今はいいのです。掃除に戻りましょう」

 

「そうだね。むくろ君は私が見ておくからフォルトゥナは手伝って来て」

 

「分かりました。精々イチャイチャしていてください」

 

「なんかちょっと当たり強くない!?」

 

 

 私もフォルトゥナが先生に当たりが強くなっていることを不思議に思ったが、相変わらず私に対して保護者が必要と言わんばかりの物言いのほうが気になった……と言うか、悲しかった。

 

 

プルルルルル♪…………

 

 

 こんな時に一体誰なのだろう……そう思ってスマホをみると、ユヅキからの電話だった。

 

 

「どうされましたか?」

 

「あ、むくろさん?よかった。出てくれて」

 

「電話は出ます」

 

「人の話聞かないのに?」

 

「聞かないのではなく聞き逃しているだけです」

 

「それ人の話聞かないって言うんだよ?」

 

「冗談はさておき…………一体どのような要件でしょうか?」

 

 

 私はこのタイミングでユズキが電話をかけてきた理由が余り分からなかった。だが、それはすぐに分かった。

 

 

「やっぱり私も合宿に行く」

 

「……!」

 

「……過去に向き合おうとしてるんでしょ?……やっぱりさ、私も向き合うべきかなって」

 

「…………?」

 

「……あ、そう言えば話してなかったか」

 

 

 そう言ってユズキは語り出す。

 

 

「私にはね…………姉がいたんだ。唯一無二の姉。でも、数年前に失踪したままなんだ」

 

「それで私はトリニティに入った時にどろどろした実情を知っちゃってさ、嫌いになったんだよね。なんかトリニティのせいで姉が失踪したんじゃないかって、そう思えてきちゃってさ」

 

 

 私はその姉の行方を知っている気がした。だが思い出す事は出来ない。だから私は質問してしまった。

 

 過去に向き合いたいと思いながら、過去に向き合う覚悟が決まっていない愚かな私は、好奇心に負けた。

 

 

「そのお方の名前は…………?」

 

 

 

 

 

「白銀シュウ…………って言うんだけど……」

 

 

 

 

 

 私はその人を知っている。私にずっと欠けていた物がそれに詰まっているような、それでいて触れたくない物だった。

 

 

「そう……ですか………………いえ、好奇心で聞いただけです。続けてください」

 

「そっか……でも、むくろさんが過去と向き合おうとして苦しんでるならさ…………私も向き合うべき……いや、向き合いたいなって」

 

「…………」

 

 

 前を向こうとしている事は、いいことだろう。私としても喜ばしい限りだ。決して、ユズキがいないからちょっと寂しい訳ではないしユズキが目の保養になるからとかではない。断じてない。ないったらないのだ。

 

 

「…………分かりました」

 

「あと、むくろ君勉強出来なさすぎて困ってるでしょ?」

 

「……そんな事はないです」

 

「嘘だぁ。因数分解出来ない男が高校の内容苦戦しないわけないじゃん」

 

 

 私は電話越しに目が泳いでしまう。汗が滲んでいる気がするのは気の所為だ。気の所為ったら気の所為なのだ。

 

 

「まあ、行くから先生には伝えておいてね?」

 

「分かりました」

 

「あと敬語やめて」

 

「……………………分かった」

 

 

 私は電話を切って、再び清掃の様子を眺める事にした。眺めている分には、無念の呻きはそれ程酷くなかった。

 

 掃除はプールの清掃までやっていたか、私は首を突っ込む気には慣れず先生も何も言わなかった為、私は放置することにした。そしてそのまま日が暮れ、苦しみに満ちた1日は終わりを迎えようとしていた。

 

 

「むくろ兄……」

 

「フォルトゥナ……どうした?」

 

 

 フォルトゥナは先生が補習授業部に色々話している間に、こっそり近づいて来た。

 

 

「合宿前に用意していてゆっくり渡す事が出来なかったもの……はい」

 

「これは……シーシャの…………」

 

「うん。効能をヤケクソなレベルで上げたの」

 

「…………大丈夫なのか、それは?」

 

「大丈夫。前もそれを使った事があるはずだから」

 

「…………フォルトゥナを信じる」

 

 

 

 

 

 

 その日は合宿所で寝た。私と先生は同部屋で、私は風呂に入った後に、疲れていたのかすぐに寝てしまった。

 

 

 

 

 

 

「ここは?……」

 

 

 私はまた駅のホームにいた。閑散として誰もいない、静かなホームだ。

 

 

ファン!!!!

 

 

 すると列車が来た。

 

 

「…………貴方は?……」

 

 

 私と同じように右目に眼帯をし、左腕がクローショットのついた義手になっている、ユズキにとてもよく似た人が降りてきた。

 

 その人は、私はとても美しいと感じた。

 

 けれどもその人は、一瞬悲しそうな表情をした後に口を開いた。

 

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

 

 

 

 けれどもそれは雑音にかき消され、聞こえなかった。朝起きた時に覚えているのは、ここまでだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日、私達は必要な教材を取りに行くべく、朝から倉庫へ向かったのだが…………

 

 

 

ドカーーーーン!!!

 

 

「…………朝から最悪です」

 

「最悪で済むのむくろ君だけだよね?」

 

 

 寮の周りにこんなにトラップがあるとはびっくりだ。朝から足を吹き飛ばされ、その度に修復を待つのはこの上なく面倒だ。先生を背負ってすっ飛んでも良かったかもしれないが、それで私が引っかかって先生に爆風が当てられたらどうなるか分からない。

 

 故に私は、足を吹き飛ばされながら先生の前方十メートル程を歩いていく。幸いスーツと眼鏡は先生に預けてあるので大丈夫だ。フォルトゥナは補習授業部の皆と同じ場所で泊まっていた筈……

 

 

(にしても…………再生能力が鈍っている?……)

 

 

 私は違和感を覚えた。足が破壊されても私の足は以前…………いや、キヴォトスに来た直後は足位ならすぐに再生していたが、今は再生まで数十秒、いやそれ以上かかる。ミレニアムの時点で手の再生も遅かった為、遅くなっているのだろう。

 

 何故なのだろう…………心当たりがあるとすれば生徒の血液を取っていないからなのだろうか?……いや、血液どころか生徒を喰らっていないからなのだろう。

 

 そもそもこれだけの力を発揮するのにあんな輸血パック一つで1、2カ月持つなどおかしいだろう。つまり今は今まで喰らってきた生徒が脂肪のようにストックされていてそれが消費されている状態なのだろう。詳しい話は今度黒い服の先輩に聞いてみよう。

 

 

「あっ……」

 

 

ドガーーーーン!!!

 

 

 足に何か引っかかった感覚と同時に胴体が吹き飛ばされる。頭は無事だがシャツが無事ではないため余り嬉しくはなかった。

 

 もうシャツはボロボロであり、使い物にならないだろう。私は殆ど原型を留めていないシャツを脱ぎ捨て、そのまま進む。いい加減打ち止めなのか、漸く倉庫に着いた。

 

 

「これですか」

 

「うん………そうだけどやっぱ酷い有様だなぁ……」

 

「……余りに埃っぽいですね…………」

 

「いや、そういうことじゃなくて……むくろ君ボロボロじゃん。少なくとも服が」

 

「…………そうですね」

 

 

 しかし良さげな服が倉庫にあるわけもなく、上裸のまま荷物を持って寮へと向かう事になった。

 

 寮へ向かっていると補習授業部の皆出てきていた。どうやら罠の爆発音で起こしてしまったようだ。

 

 無念達の声が上がるが昨日より弱く、まだ堪えられる範疇だった。一応、昨日フォルトゥナから貰った少し効果を強くしたシーシャを先生より早く起きて吸った。昨日よりかは気分は悪くなかった為、確かに効果はあるのだろう。

 

 

「おはようございます」

 

「おはよう、皆」

 

「先生、何があっ……えっ!?!?」

 

「あらあら♡」

 

「おはよう…………って何よその格好は!!!!!!」

 

 

 コハルがとんでもない反応を見せるが、何もクレイモアで吹き飛ばされた関係でシャツがボロボロになったため脱ぎ捨て、タイツも幾重にも張り巡らされていた地雷で吹き飛ばされて、上裸に短パンを履いたような状態だった。

 

 

「スーツだと細く見えていたのにナカはそんなに逞しい体を隠していたのですね♡」

 

「エッチなのは駄目!」

 

「そんな反応をする程でしょうか?……」

 

 

 確かに私の身体は細マッチョと呼べる位には逞しいが、世の中にはもっと美形でもっと性格のいい人がいるだろう。

 

 

「むくろ君、流石に上裸は女子しかいない環境下じゃ刺激が強いんじゃないかな?」

 

「あ、あはは…………」

 

「そうよ!だから早く上を着て!」

 

「ないです。クレイモアで跡形もなくなってしまいました」

 

「……それはすまない。まさか罠を掛かりながら強引に抜けてくるとは思わなかった」

 

「アズサさんは悪くありませんよ。お気になさらず」

 

「じゃあ今日1日どうするつもりなの!?!?まさかそのまま上裸でほっつき歩く気!?」

 

「………………まあ……そうですかね?」

 

 

 服を取りに戻ってもいいかもしれないが、正直面倒だしどうせまた胴体がふっとばされるなら着ないほうがマシに思えて来た。

 

 あと皆はまず私の罠にかかっても身体がなんともないことをツッコむべきだろう。まずそっちの心配ではなく上裸であることにツッコミを入れるあたり、相当嫌なのだろう。

 

 

「駄目!!!!!!着て!!!!!!」

 

「美しい肉体を持つ男性と授業を受けるのもいいじゃないですか。きっとヤる気がムラムラと湧き上がって来ますよ?」

 

「その『ヤる』は絶対駄目な方!!!!」

 

 

 私は補習授業部が騒がしくも楽しそうにしているのを見て、安心した。だが私にすぐにでもキラータックルしてきそうな小娘(フォルトゥナ)が居るはずなのだが…………一体何処にいるのだろう?

 

 

「お待たせしました〜!」

 

 

 すると上空からフォルトゥナが降ってきた。キラータックルの次はダイナミックエントリーである。

 

 

 シュタッ!!!!

 

 

 しかも銀髪の見覚えのある少女を背負っていた。

 

 

「どうも〜」

 

「フォルトゥナちゃん、この人は?」

 

「むくろ様宅居候第一号です。因みに私が二号です」

 

「居候!?!?!?」

 

「まあ♡」

 

 

 …………完全にピンク髪の二名からとんでもない誤解を受けていそうなのだが、私はスルーすることにした。

 

 

「居候ってどういうことなの!?!?!?」

 

 

 いや、スルーしたかった(過去形)。やはりコハルは見逃してくれなかった。

 

 

「フォルちゃんまず名前から紹介してよ…………私は『白銀ユヅキ』ね。訳あってヘルメット団だったけど住み込みで仕事の手伝いすることになったの」

 

「住み込み!?!?」

 

 

 最早誤解は解けないだろう。私は心の中で天を仰ぎ、

 

 

「その事は今は別に良いです!服は私が持ってくるのでちょっと大人しくして下さい!」

 

「わ、分かった……」

 

「…………と言うことで……今日は何をやる予定なのですか?」

 

 

 フォルトゥナは服に関してフォローを入れて無理矢理黙らせる。フォルトゥナの目に圧があった気がするのは多分気のせいだろう。

 

 しかし、今日は何をするのか……以前の授業も聞いてはいるが、理解しきれていない為復習の時間だと嬉しかった。しかし、そうも上手くは行かなかった。

 

 

「と言うことで、模擬試験をやりましょう!」

 

 

 今日一日は踏んだり蹴ったりな1日になりそうだ……

 






 もう疲れたんで一旦ここまでで……次の更新は未定です()

 ぬわーーーーんもう疲れたよぉーーーー!!!!!!

フォルトゥナのビジュ!描くのだるい!あと女子描くの苦手!

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