何だか筆の乗りが良いのでノリでも食べておきます。
最近曇らせタグをつけたままにするべきかどうかについて悩んでます。
私が次に目覚めた時には家にいた。そして食卓の机には、眼鏡とスーツと置き手紙があった。その手紙には色々書いてあったが、要約すると…………
・この置き手紙はユヅキが書いたものである。
・私はあの後、自傷してのたうち回りながら女の悲鳴や男の慟哭、或いは女の声で救いを求めたり男の声で謝ったり……と行動は異常そのものだった。
・最後に天に向かって色んな人の声が入り交ざった慟哭をした後、力が抜けたように倒れた。
・私の異常行動はあのヘルメット団員とユヅキ、便利屋68以外は見ていなかった。
・ユヅキがあらかじめ教えておいていた私の家に運んでくれていた事。
・結局ヘルメット団は壊滅し、ユヅキは当てがなく最悪私と同居も辞さないつもりだという事。
・襲撃した便利屋68の行方は分からない。
とのことだった。
私は自身の不安定さに嫌気が差しながらも、一先ずシーシャを吸って落ち着かせる。
スゥー………
シャーレに就任してからというもの、無念が呻く事が増えた。プレイアブルキャラとの関わりが増えたせいなのだろうか。私はもう少しシーシャを吸う周期を増やさなければいけないのではないかと思い始めていた。
それから、流石にユヅキには家を買っておこう。男女の同居は誤解が生まれかねない。
そうしてシーシャは吸い終わり、シャワーを浴びて朝食を食べたら、私はアビドスへ向かった。
…………………………………………………………
「本日は対策委員会の定例会議をやります!」
私はそれをただぼんやりと聞いていただけだ。私は気にしなくて良いこと。先生がどうにかしてくれる事だ。
「むくろさんは何か案がありますか?」
そうしていると、突然私にアヤネから指名が入った。具体的な案があるわけではないが、当たり障りのない意見を出しておく。
「そうですね……観光業等はどうでしょう?砂漠をどうにか観光に使えれば……」
「確かにいいアイディアだけどね〜」
「ん、それを用意する資金がない」
「……やはりそうですか」
案の定とも言うべき返答が帰って来た。
「よし、柴関に行こう!」
そしてまたもラーメン屋に行くことになった。
私はまたぼんやりついて行くだけだ。余り余計なエネルギーを使うと次の血液摂取までの期間が縮まる。だから私は余り動かないようにしていた。そして私は何も喋らず、柴関まで先生の後をついて行った。
「先生より身長小さいから親鳥について行く雛鳥みたいですね……」
「いつも死んだ顔してるのに目を瞑れば可愛いよね〜」
「……私は雛鳥ではありません」
「じゃあ……何者ですか?」
「(先生の連れという意味で)先生の伴侶です」
「「「「!?!?!?」」」」
対策委員会の皆は余りのショックで天地がひっくり返ったような反応をしているが、予測通りである。私はこう見えて冗談はきちんと通じる人間である。
「伴侶!?伴侶!?」
「はい…………何か間違ってますか?」
「間違いだらけだよ!?!?」
「ま、まさか先生とむくろさんはそういう関係で……!?」
先生はツッコミを入れるがノノミ以外のアビドス生は衝撃的解答過ぎて頭が追いついていないようだった。何を考えているのだろう。伴侶とは『連れ』や『付き添い』という意味の筈だ。
「まさか結婚していると勘違いしているわけではないですよね?」
「紛らわしくない!?」
「そんな顔で出てくる単語じゃなかったから勘違いした」
「おじさんもびっくりしちゃったよ〜」
そうこうしていると、柴関ラーメンに着いた。中に入ると、またもテーブルの席に案内される。
「あ、あの…………ここのお店で一番安いメニューっておいくら位でしょうか?…………」
すると、先日壁に埋めてしまったハルカがいた。これは恐らく、後ほど便利屋68のメンバーが来るのだろう。まだ私に気付いた様子はないが、息を潜めておく。
「えへへっ、やっと見つかった!600円以下のメニュー!」
「ふふふ、ほら,何事も解決策はあるものよ。全部想定内だわ」
やはり来た。私はより息を潜め、彼女らにバレないようにする。バレたら気まずいどころの話ではない。もう先生の後ろにでも隠れていようか。
「はい、柴関ラーメン一丁!」
私の分のラーメンが来たようだ。私は人として活動するために食事は必要だ。ましてや人らしくあろうとするのなら尚の事大事な事だ。そして私はアビドスが彼女らに意識を向けている横目で、麺を啜り続けた。
麺はとてもモチモチしており、だが苦しくない程の噛み心地で食感は素晴らしかった。メンマは麺と共に食べるとまた違った味を醸し出し、今までで食べたラーメンで一番美味しいかもしれない。
「美味しい…………!」
一心不乱にラーメンを啜り、もう麺も具もなくなった辺りでチラッと便利屋の見ると、ノノミが便利屋に絡んでいた。もう先生の後ろに隠れるしかないと思ったが、気付かれないようにラーメンの丼ぶりをカウンター席まで持って行き、出来るだけ遠い席に座る。その途中カヨコと目が合い、カヨコが目を見開いていたが言及はしてこなかった。
そして対策委員会と便利屋が別々に分かれるまで、大将と世間話でもしていた。
その後私が何事もなかったかのように合流し、そのことに皆は気付くことなく教室へ戻った。
そういえばムツキやハルカは包帯を巻いていなかったが、彼女らの傷はもう癒えたのだろうか?……まあいい。どちらにしろ、彼女らはまた来る。どっちにしろ私は護衛にされるだろうが、出来る限り顔を合わせないようにしておきたい。
そう思いながら、私が銃床が削れていないか見ていた時だった。
「校舎より15km地点で大規模な兵力を確認!」
「まさか、ヘルメット団?」
「ち、違います……これは、傭兵です!恐らく、日雇いの傭兵です!」
やはり来たか。私は一応出撃したい素振りを見せておく。
「行ってきます」
「駄目ですよ〜☆」
「今回も私の護衛をお願い」
「…………承りました」
そして私は、襲撃が終わるまで息を潜めていた。
…………………………………………………………
時は少し飛んで日が暮れ、空が暗く街灯が道を照らす時間の事だ。私は帰路についていた。
「やっぱりいた」
その道中、カヨコに話しかけられた。何の用で会いに来たのか分からなかったが、私はいつも通り死んだ顔と冷たい声で話す。
「……どのような用件でしょうか?」
「用があるのは私じゃなくて、社長の方」
カヨコがそう言うと、アルが物陰から姿を現す。
「ふふっ……前回はこっ酷くやられてしまったけれど、今回は聞きたいことがあってね」
「何でしょうか?」
「私のことを知っていたの?」
「いえ……知りませんが?……」
完全に嘘だが、本当は知らない筈だ。しかし何故このような質問を投げかけるのだろう?
その疑問は解決しないまま、アルはまた別の質問をして来た。
「そう……それから貴方はどうしてそんなずっと顔が死んでいるの?」
「…………と言うと?……」
「昨日貴方がのたうち回っていた時、貴方の表情が凄く苦しそうだったから……何かあったのかしら?」
何かあったとは…………あぁ、そうか。アルは優しい子だ。心配しているのだろう。だが、私の問題は恐らくかなり面倒だ。小さな心配で片付く問題ではない。
だが、善意は素直に受け取るべきだろう。
「いえ…………ですが強いていうなら、この死なない体質故に原因不明の症状が多いから、こう言った事が起こってしまったのかもしれません」
「…………うちの事務所に来たかったら、いつでも歓迎するわよ?」
「私は社員に大怪我を負わせてしまいました。その方々が首を縦に振るでしょうか?」
「大丈夫よ。何故か分からないけどハルカもムツキも次の日には全部治っていたから」
治っていた……とは?…………私にそのような生徒を癒す力などはない筈だ。私の血を輸血したとて治りが早くなるわけでもあるまいし、どういうことなのだろう。
「……ご厚意ありがとうございます。もしもの時は頼らせていただきます」
「そう…………それじゃあ、頼りたかったらここに連絡して頂戴?」
「はい」
そう言われ、私に名刺が投げられた。私はそれを掴み、財布の中に入れておく。もしもの時には頼らせてもらおう。しかし何故私にこのようなタイミングでわざわざ接触してきたのだろうか?……そう考えながら家に進んで行った。結論として私の戦闘力に目を付けたのが妥当なラインだと結論付け、私は玄関の扉を開いた。
「おかえりー」
「…………どうしてここに?」
「どうしても何も、寝泊まりする場所がないからいさせてもらってるだけよ?」
「いえ、私の家で良いのですか??」
「むくろさん、ヘルメット団と言えどトリニティのお嬢様を野宿させる気?」
「…………」
「図星だね。今日はここで寝泊まりさせてもらうよ?」
ユヅキは遠慮というものを知らないみたいだが、特にツッコむこともなく私は手を洗い、風呂を掃除して沸かす。
「まだ風呂は沸かし途中ですが、出来たら入っていいですよ」
「いいの!?ほんと助かる!」
その後私はすぐに夕食を作り始めた。今夜は米と味噌汁、豚の生姜焼きとほうれん草のお浸しだ。
「私も手伝おうか?」
「私一人で作れるので大丈夫です。今回は貴方を客人とするので、ゆっくりくつろいでいてください」
「えっいいの?」
「労働時間外ですので」
「そっかー……じゃ、遠慮なく」
私は曲を流しながら作っていると、ユヅキが手伝いに来た。私は料理も一人でこなせるのでそれを断り、ゆっくりくつろいでいるよう勧める。
私とユヅキが交わした契約は、簡単に説明するなら私の書類仕事の手伝いをし、私に血液の定期提供する事と私の秘密を口外しない代わりに衣食住を用意し報酬も渡す……というものだ。労働にあたる時間は決まっており、それ以外の時間は自由にしていて良いという…………言ってしまえば大凡は単純な労働契約だ。
そして今は労働時間外だ。私は時間外労働は嫌いなので余り働かせたくなかった。
「ふぃー……いい風呂だったわー」
暫くしてユズキは風呂から上がってきたのか、銀色の髪が水の影響で艷やかに光っていた。
「…………しかし、貴方は他人の……しかも男性の家に泊まることに抵抗感はないのですか?」
「いやいや、家もないのにそんな事気にしてられないよ」
「…………本当は嫌なんですか?」
「まあ、あんまり知らない人の家に泊まるのは嫌といえば嫌だけど……」
「まあ、そうですよね……すみません、私がもっと早く家を用意出来ていれば……」
「謝らなくていいよ。暫くはむくろさんちで寝泊まりさせてもらうつもりだから」
「……そうですか…………」
「そういえば全然関係ない話になるんだけど、こう見えて私は教職に就きたくてさ」
「そうだったんですか?」
「うん。それで先生がどんな感じなのかとか教えて欲しいの」
「分かりました。夕食の時にゆっくり話しましょう。座って待っていてください」
私はそう言って米と味噌汁をよそる。
「ユヅキさん、米はどれくらいがいいですか?」
「んー、山盛りで」
「味噌汁は?」
「具沢山で」
元気のいい声で答えるユヅキに私は山盛りの米が入ったお椀と具沢山の味噌汁をよそって箸と一緒に持っていく。
その後に私の分の米と味噌汁をよそり、生姜焼きとお浸しと一緒に持っていく。
「それでは、いただきます」
「いただきます」
そう言ってユヅキは生姜焼きをとって米と共に頬張った。その様子は種を頬張るハムスターでも見ているような気分になった。
「おいひー♡」
「食べながら喋るのはお行儀が悪いですよ?」
「…………美味しい!にしても、むくろの笑顔は始めてみたかも」
「っ!?…………」
私は驚きの余り声にもならない声を上げ、左手を頬に手を当てる。確かに口角は上がっていることが分かる。私は自身が喜んでいる事が飲み込めなかった。
「気付いてなかったの?さては貴方、最新のアンドロイドね?」
「いえ…………アンドロイドではないのは分かっているはずでは?……」
「いやいや、あんたの反応が感情を初めて知ったアンドロイドみたいな反応だったから」
何だか自分が初々しいとでも言われているような感じがして、頭が熱くなる。私は恥ずかしかったのだろうが、恥ずかしいとは言いたくなかった。
「今度は顔が赤いよ?」
「……風邪かもしれません」
「んなわけないでしょ!?恥ずかしいなら恥ずかしいって言いなよ」
「…………はい」
こうして尊いと言うべき時間が過ぎていく。尊いものとは私の身に余る物であり、私にとってこれは尊い時間と取りたくないなかったが、それでもユヅキが楽しそうにしているのならもう何でもよかった。
そして私はユヅキに先生がどのような人なのか話し、食事を終えた。
「じゃ、私はソファーで寝るから」
「……はい」
そして私は風呂に入ってすぐに眠った。
…………………………………………………………
私は一人朝早く起き、食事を用意しておき早々に家を出てアビドスへ向かった。家には機密に当たらない書類を置いておき、置き手紙でこれをやっておくように残した。
アビドスに着くと、皆が校門の前で集まっていた。
「おはようございます…………皆さん集まってどうされましたか?」
「今日は借金の返済の為に現金輸送車が来るんだよ〜?」
「現金輸送車……ですか」
現金輸送車とは明らかにマネーロンダリングに使いそうなものだが、黒い服の先輩の領域に踏み込みそうな気がするので何も言わないことにした。
現金輸送車に現金で利息を渡した後、教室に行き私は銃の作動を確認していた。
殴る為に使っていると言えど銃。撃てるようにして置かなければ銃の意味が無くなってしまう。まあ、持っている理由などキヴォトスが銃を持つべき環境だからというのが最も大きな理由だが。
「よし、じゃあ決まり、ブラックマーケットを調べてみよ、意外な手掛かりが出てくるかもしれないしね」
どうやらブラックマーケットに行くらしい。私はまた先生の後ろについて行ったが、私は何が黒幕か知っていた。だからカイザーコーポレーションが裏にいると分かるよう、精々検討を祈るばかりだった。
そして私はブラックマーケットに行ったがそれで私自身が得られた事は特になかったので、私はもう忘れてしまおうと思っている。
因みに私は銀行強盗でも先生の側にいただけだった。一応私に銀行員をぶん殴ってもらおうという案もあったが、スプラッタすれば正体発覚待ったなしだったので結局先生の護衛をすることになった。
そしてまた、1日が終わる。
私は自宅に寄り、ユズキに処理してもらった書類を受け取りシャーレへ向かう。そして私が処理しなければならない書類を終わらせる。最近は先生が書類仕事をこなしていることが多いので今日は私が残業して終わらせていた。
そしてほぼ寝間着で仕事をしていた私は日の出を迎え、スーツに着替える。私には睡眠も実は必要ない。だが精神の安定と人である為にやっておいた方が良い事だ。
「おはようございます」
「おはようむくろ君」
「判子が必要な物はここまで終わりました。それから必要な書類はこれぐらいで……」
「ありがとう。因みにむくろ君寝た?」
「…………寝てませんね」
「寝なくて大丈夫なの?」
「寝たほうがいいですが寝なくても大丈夫です」
「じゃあ今日は休みでいいよ。アビドスには私一人で行くから」
「…………分かりました」
先生はアビドスに一人で行くらしい。だがそれは何処か私がいない方が過ごしやすいと言う意味合いもあるのだろう。当然だが全く喋らない人間が好かれる訳もない。だが不思議とアビドスは私に態度が柔らかい気がする。先生が何か入れ知恵でもしたのだろうか?……
それから私に少々甘いのも気になる。私は別にそう優しく扱わなくとも安々と壊れないのに…………
考えても仕方がないので着替えて、一先ず眠る…………前に空腹なので何度か行った事のある柴関に行った。何故か私は柴関に行きたくなる。あの店に味に病みつきになったのかもしれない。そして私は柴関まで走り始めた。
「いらっしゃい!……あの時の補佐官じゃないか!」
「ご無沙汰しております」
柴関につくと、大将が威勢のいい挨拶をしてくれる。私はカウンター席に座り、大将に柴関ラーメンを注文する。
「今日の仕事は?」
「お休みです。夜勤の代休……でしょうか?」
「そうかい!それじゃあ腹いっぱい食ってくれよ」
「はい!」
私は大将の話し方に釣られて威勢のいい返事が出る。何だかんだでこの店は好きなのかもしれない。
「柴関ラーメン一丁!」
「ありがとうございます。それでは……いただきます」
少しすると、柴関ラーメンが出てきた。私は大将に感謝しつつそれを啜る。やはりよい食事をとれるというのは良い事だ。
「大将」
「なんだい?」
「私はこの店が…………この味が好きです。これからもこの店を続けてください」
「そうかい…………」
好きなんて私が使うことなんて殆どない言葉だった。だが、柴関の取り巻く厳しい現状を知っている上で私から出せる最大限の声援だった。そう思い、味わってラーメンを食べていた矢先だった。
「友達なんかじゃないわよぉーーー!!」
聞いたことのある声と共に机を叩く音が聞こえた。どうやら便利屋68がいたらしい。何かごちゃごちゃ言っているが、少し耳を傾けてみたくなった。どうしてなのか分からなかったが、私がそうしたかったのだからいいだろう。
「私たちは、仕事しにこの辺にきてるの!ハードボイルドに、アウトローっぽく!なのに何なのよこの店!お腹いっぱい食べられるし!あったかくて、親切で!話しかけてくれて、和気あいあいで、ほんわかしたこの雰囲気!ここにいると、みんな仲良しになっちゃう気がするのよ!」
「それに何か問題でもある?」
別にそれでもいいじゃないか。寧ろそうできない人間だっているのだ。そういうのをよく見て来た。特に赤い先輩や木偶の先輩は本当に大変そうだとよく思っていた。
「だめでしょ!めちゃくちゃでぐだぐだよ!私が一人前の悪党になるには、こんな店はいらないのよ!必要なのは、冷静さと無慈悲さと非情さ!こんなほっこり感じゃない!」
「いや……考えすぎなんじゃ……」
「……それって……こんなお店はぶっ壊してしまうってことですよね?アル様?」
「……へ?」
「っ!!!」
嫌な予感がした。記憶が正しければ柴関は爆撃される。これは便利屋68のせいではないが、爆撃は避けられない。私は最優先で大将を庇うため、全力で席を蹴り飛びかかる。
ドッカーーーーーーーン!!!!
そして私は、大将を庇い爆発に巻き込まれた。
…………………………………………………………
「おい!しっかりしてくれ!」
柴関の大将はこの上なく焦っていた。庇ったシャーレの補佐官が覆いかぶさったお陰でスペースが確保されどうにか瓦礫に埋もれずに助かったが、補佐官にいくら呼びかけても返事がない。
「おい!起きてくれ!!」
すぐに柴関の大将はもうこれ以上は意味がないと判断し、力を振り絞って補佐官を押し、横からの脱出を試みた。幸いにも進んだ方に瓦礫がなく、大将は陽光を浴びることに成功する。だが、補佐官の姿を見て喜ぶ事は出来なかった。
「補佐官!!!」
シャーレの補佐官は頭が潰れ、左半身は瓦礫に埋もれそれはもう助からない死体も同然だったからだ。
「おい…………むくろさん……」
「大丈夫……っ!」
そこにアルも出くわしてしまった。アルはこれ如きで死なない事は理解していたが、それを見るのはやはり気分がいいものではなかった。
「大将、大丈夫よ。彼は死なない。元に戻るわ」
「おいおい、冗談は程々に……」
アルの声は言い聞かせるような声だったが、むくろは目の前で再生していた。そして恐らく脳が再生し始めた辺りで瓦礫をものともせずに起き上がった。
「ほ……本当だ…………だ、大丈夫か!」
柴関の大将はそう質問するが、彼は再生しかけの頭で、こう言った。
「私は……どうしてここにいるのですか?……」
脳が再生したら記憶ってなくなるらしいですね。
追記
毎度誤字報告感謝します、lightacenoah様。