史上最強のドラゴンポケモンになったけど弱すぎるので竜の心を知る娘に養われます 作:秋塚翔
一話目を読んでからお楽しみいただけると。
最初こそ、「幼女に養われる伝説ポケモンとは……?」と解釈違いからの抵抗はあったが、慣れてしまえば気にならなくなってしまうものだ。野性で生きるより断然居心地好いしね。食住(衣は当然にないので除外)揃った生活バンザイ。よくよく考えるとこの地方は園児でも高レべル帯のトレーナーやってるんだからありな気がしてきたわ。
「おっはよー!」
とか考え改めていたら、俺の
言うまでもないが、ここはソウリュウシティの市長宅。つまりシャガの家だ。朝の時分、起きてきたアイリスは元気いっぱいにシャガやコーチのベテラントレーナーさんに挨拶をする。すっかり見慣れたいつもの光景。
「おはよう、アイリス。体調はどうだい?」
「はい! とっても健康だよ!」
「アイリス様、本日のトレーニングのことですが、――のコースとさせていただきますね」
「分かった! それでお願いします!」
そうして家族の人たちと会話を交わした後、
アイリスは朝の空気にぼんやりしている俺の方にも歩み寄ってくる。
「おはようっ。調子はどう? ヒュラ」
「ヒュラララ」
「うんっ、良いお返事!」
答える鳴き声を汲み取ってくれたアイリスがにっこりこちらに笑いかけた。
ヒュラ――それが今の俺ことキュレムの名前だ。ヒュラララ、と鳴くのでヒュラ。
安直だが、まあ仕方ないだろう。キュレム自体がその存在を知られていないんだから。原作と辻褄を合わせるならちゃんとした存在認知は今から二年後のこと。なので名付けの仕方には納得して受け入れていた。
そもそも微笑ましいので、拒む理由もないんだが。
「みんなもヒュラに挨拶しよっか!」
アイリスはそう言ってボールから手持ちを出す。
オノンド、クリムガン、オノノクス。今が『BW』の段階なのが良く分かる面々だ。それが居並んでいる様は流石の迫力だな……ドラゴンポケモンだからなおさら威圧感凄い。
「「「グルゥ……っ」」」
が、出揃ったアイリスの手持ちたちは俺の姿を見るなり少し敬遠の態度を見せた。
「あらら。まだ仲良くできないかー」
困ったようにしてアイリスは笑う。
こうしてオノノクスたちと顔を合わせるのは幾度も経ているが、まだ距離は縮まっていない。嫌われてるとか余所者扱いとかではなく、単に
言わずもがな、ドラゴンポケモンは氷タイプの技に弱い。ドラゴンタイプの技を除き、フェアリータイプ登場までドラゴンポケモンに唯一強く出れるといって過言でないのが氷タイプだ。
そして、キュレムはドラゴン・氷タイプ。ドラゴンポケモンでありながら氷タイプであるのだ。そんな存在にわざわざドラゴンポケモンが好きこのんでお近づきになりはしないのも道理である。たとえ俺がレベル1の赤ちゃんキュレムだとしても、自分が苦手なタイプ持ちのポケモンは避けて当然だった。
それを分かってて、それでも仲良くしてほしいと願っているアイリス。その純真無垢さにできれば応えてあげたいが、今はまだ難しそうなのが心苦しい。
しかし、それはそうと。あんな強面のドラゴン然としたポケモンたちが俺にビビってる様子は優越感を覚えないと言ったらウソになるだろう。なんせ今の俺は史上最強のドラゴンポケモンだ。本当ならこのオノノクスたちの頂点に立つ存在なんだよな。……くくく、そうとなればもうちょいデカい顔をしても――あ、いえ、なんでもないですクリムガンさん『こわいかお』しないですんません調子こきました! 新入りがナマ言ってごめんなさい!?
……どうやらまだまだアイリスの希望は叶えてやれそうにない俺であった。
朝の一幕を終えて。またいつもの一日が始まる。
「オノノクス! りゅうのまい!」
「グワゥ!」
ベテラントレーナーのコーチの下、アイリスはバトルのトレーニングをしていた。
シャガ宅に設けられたバトルフィールドで、今日もアイリスの溌剌とした声が上がる。
アイリスのオノノクスとコーチのポケモンがぶつかり合う。
訓練とはいえどちらも一歩も引かない凄まじさだ。
「
――それを俺は外野から見守る。
保護されて間もない俺はアイリスの手持ちポケモンを自認するが、まだボールでゲットはされていない未加入状態であった。未知のポケモンなのでもう少し様子を見てから、というシャガからの判断だ。
バトルの場にも未だ出てはいない。所詮はレベル1なので、たとえ許可されたとしてもあの場に立てるほど強くなんかないのだが。
そのため後学を兼ねてアイリスのバトルを見学しているけど……マジで感心しかないな。
ゲームでも言及されていた通り、指導を受けながらもアイリスは専属コーチと互角以上の腕前を揮っている。さすが『竜の心を知る娘』。肩書きにそぐうようにポケモンと息を合わせ、今まさにコーチから白星を勝ち取らんとしていた。
そうこうしてる内にアイリスのオノノクスが上手を取り、コーチのポケモンを降す。
「やったっ! やったねオノノクス!」
一勝し、ぴょんぴょん全身で跳ねて喜びを示すアイリス。コーチはやられたと負けた悔しさ半分アイリスへの称賛半分で苦笑して、今のバトルの良いところと修正点をアイリスに語っていく。アイリスはうんうんと真剣にそれを聞き入っていた。
……いつかあの場に、俺もアイリスのポケモンとして立つことになるだろうが、ぶっちゃけて現時点じゃ自信がないなあ。直で見てはっきりそう感じる。伝説ポケモンの看板も背負っているだけにプレッシャーが凄い。
特性『プレッシャー』なのにね! ……うん、しょうもねえわ。
そこで訓練は休憩に入ったため、俺もいったんその場を離れることにした。
ボールに入っていない俺は、比較的自由に歩き回れる。
シャガの家を出て、外の空気を吸うことに。
「
未来的とも古来的とも取れる町並みを見て、改めてポケモンの世界にいるのを実感する。
第二の
だからこそふと思う。――俺は何をすべきなんだろうな?
これが人間ならトレーナーになるなり、全てのポケモンと出会うなりできるけど、いかんせんポケモンだ。何のために生まれ変わったのか分からない。
俺がキュレムとして転生した理由。意味がありそうで見えてこないのはもどかしい……
「悩んでいるようだね」
ああそうだな。分からないと逆に気になってくるよ。
「気持ちは理解できるよ。ボクもそれを知るべく各地を巡っているんだから」
ふーん。
「どうすればポケモンは自由になれるか。人から解放されるのか。あらゆる固定概念を取り払うだけの力と覚悟がいる。全てを覆し、救う数式……それをボクは探し求めているんだよ」
そりゃすごいな。
とにかくだ。少しずつ強くなるしかないのかな…………って、
つか俺は誰に話しかけられているんだ?
はたと気付いて声がする方向をちらりと見やる。
すると、
「それにしても、キミはまるで人間みたいに考えるんだね。これが人と交わりすぎたポケモンの形であるなら受け入れがたいことだけど……どうもキミはそうではないように思える。興味深いね。見たことのない数式を見出した時のような感覚だ」
瞳にハイライトのない緑髪の少年。
その見覚えしかない姿に、俺は唖然とこう思った。
はえーよ○セ。
じゃなくて――(出てくんの)はえーよN!?
裏話として、キャラ日常描写は不得手だったので前回は連載停まってました。
N出すことでなんとか漕ぎつけられた次第。
居城はリーグ地下にあるからスタートはこっちからだよなって。
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